タイトル:カリナ・クークラ キャラクター名:カリナ・クークラ 種族: 享年:12 髪の色:銀  / 瞳の色:紅  / 肌の色:白 身長:154 体重:32 ポジション:ソロリティ クラス: サイケデリック / ロマネスク 初期配置:煉獄 行動値:16 ■パーソナルデータ■ 暗示:喪失 [記憶のカケラ]       内容 09手紙→慰め※      郵便受けから取り出した一通の手紙。その手紙が今のあなたの現状と深く関わっているという確信。手紙の内容は思い出せない。あの手紙には何が書かれていたのだろう、誰か大切な人から来たのだろうか。それとも…・。 ※慰め          さびしかった境遇を慰める手紙、それを心待ちにしている自分。 受け取る度心が踊り、文字をなぞるだけで暖かさに包まれた。 はたから見れば、無機質に込められた愛にすがる哀れな少女。 でもそれは、私にはとても幸せなことで… 24宝物→姉妹達※→フィア※大切な宝物、あなたは一つの品をそれはそれは大切にしていた。その品は一体何だったろう?きっと今持っている【たからもの】に違いない。あなたとそれは、運命の絆で結ばれているはずだ。 ※姉妹達         辛いことも、耐えられないことも多かった。 一人だったら死んでしまっていただろう。 だけど、あの子達と一緒にいたから私は我慢できた。耐えられた。 気弱で心優しいあの子達の前では、私は凛々とした姿を演じることが出来たんだ。 貴方のこと、思い出せないけど…忘れないよ。 ※フィア         初めてあったときから、あの子はとても泣き虫だった。 些細なことですぐべそをかき、それでまた皆からからかわれ。 そんな時はさりげなく匿って、そっと頭を撫でてあげたっけ。 泣き止んだ後、あの子ははにかんだ笑顔を見せてくれた。 確かに慰めてあげたのは私だったのに。 不思議と、その笑顔に私も救われていたように思う。 …もう二度と、見られなくなってしまった。 もし、あの時、私が離れなければ。何かが、変わったのかな… 花火           埃まみれの倉庫から、あの子が目を輝かせて飛び出してきた。 両手いっぱいにかかえていたのは、古びて色あせた花火。 いくつかはしけってダメになってたけど、 これは付くかな、どんな色かな、なんてみんなではしゃいでたっけ。 …ねぇ、いつかは、本物のお花も見たいね。 そのときは、みんなで一緒に… 誘拐           いつだって、気味の悪い笑顔を浮かべていた。 うわべばかりの優しい言葉を手繰り、姉妹達に近づき。 連れて行かれた姉妹達は、二度と戻ってこなかった。 何も言われなかったし、伝えられはしなかったけれど。 私には、名も知れぬあの人が奪っていったのだと分かっていた。 その汚泥のような濁った心が、私には『見えた』から。 …でも、それだけ。 結局あの時の私は、身じろぎほどの抵抗さえ、できなかった…。 掌            まとわりつくような雨が降りしきる、夕闇の中。 貴方は、そして姉妹達は、冷たい地べたに力なく横たわっていました。霞む視界の影で、一人泣き叫ぶ少女の姿が目に映ります。その目は涙を湛え、絶望に染まりながら…なお、貴方達に手を伸ばしていました。どうか、立ち上がって。負けないで。こんな所で終わっていいはずが無い、と。しかし彼女は何者かにそのツインテールをつかまれ、その場に引き倒されます。記憶の中で、最後に貴方が目にしたのは。希望を捨てなかった小さな友人と、それを踏みにじり高笑いする魔女の姿でした… フェイク [未練]      内容    狂気度  発狂時 たからもの    への 依存 □□□□ 幼児退行(最大行動値減少(-2)) アリス      への 保護 □□□□ 常時密着(自身か対象以外は移動マニューバの対象にできない。また、対象が違うエリアにいるなら移動以外の効果持ちのマニューバは宣言できない) ナターリヤ    への 信頼 □□□□ 疑心暗鬼(あなた以外の全ての姉妹の最大行動値に-1) カルミア     への 恋心 □□□□ 自傷行動(戦闘開始時と終了時に1つずつ、あなたはパーツを選んで損傷する) アザレア     への 憐憫 □□□□ 過剰移入(サヴァントに攻撃する時、出目に-1) リーチェ(ナナシ) への 悔恨 □□□□ 自業自棄(失敗した攻撃判定は自身の任意の部位に命中する。) ■強化値■     武装 変異 改造 メインクラス   0   0   1 サブクラス   0   0   2 ボーナス 寵愛       3   2 =合計=   0   3   6 ■マニューバ■ [部位]     マニューバ名    : タイミング : コスト : 射程  : 効果 [ポジション]  内緒話        : オート   : なし  : 効果参照: あなたはバトルパート開始時と終了時、任意の姉妹一体(自身を除く)を自由に選び、互いに対話判定を行っても良い。 [ポジション]  号令         : ラピッド  : 2    : 効果参照: 貴方を含む舞台上にいる姉妹全員、望む攻撃マニューバ1つを「ラピッド」で使用してもよい。 [ポジション]  花園の集い      : ラピッド  : 2    : 効果参照: 貴方を含む舞台上に居る姉妹は全員、現在位置に関係なく「花園」に配置を変更する。この効果は「移動」ではない。 [ポジション]  姉妹のくちづけ    : ラピッド  : 1    : 0    : サヴァントに対してのみ使用可。対象サヴァントは現在行動値が4減少する。 [ポジション]  心を鬼にして     : オート   : なし  : 効果参照: 貴方が使用した攻撃マニューバによるダメージで姉妹がパーツを損傷したなら、その姉妹は発狂状態の未練一つ選び、狂気点1点を減少させてもよい。 [メインクラス] 運命歪曲       : ジャッジ  : 効果参照: 0~3  : 貴方を対象とした攻撃判定でのみ使用可能。コストの代わりに、貴方は任意の未練に狂気点1点を加える。判定の結果は判定値に関係なく「失敗」となる。 [メインクラス] 歪める力       : ラピッド  : 3    : 0~2  : 『完全解体』状態でも使用可能。対象はパーツを二つ選ぶ。そのパーツは損傷する(レギオンは二体減少)。 [メインクラス] 盤上の駒       : アクション : 2    : 0~1  : 『完全解体』状態でも使用可。移動1、さらに移動させた対象の現在行動値を2点減らす(移動が妨害されても行動値は減少する)。 [メインクラス] 魂の抱擁       : アクション : 2    : 0~2  : 『完全解体』状態でも使用可。対象が持つ未練一つを任意に選んで狂気点1点を減らす。その後、自身の発狂していない未練1つを任意に選び狂気点1点を加える。 [メインクラス] 虚空の王座      : オート   : なし  : 自身  : 貴方が同エリアから受けた「妨害」「移動妨害」は無効にしても良い。 [サブクラス]  時計仕掛け      : オート   : なし  : オート : このスキルを習得した際、Lv3の改造パーツを追加で一つ獲得する。このパーツは強化値に縛られず、修復も可能。 [サブクラス]  死の舞踏       : ジャッジ  : 0    : 自身  : 攻撃判定のサイコロを振りなおす。 [サブクラス]  愛撫         : ラピッド  : 0    : 0    : 転倒。 []       背徳の悦び      : ダメージ  : 0    : 自身  : 使用済みの「ラピッド」「ジャッジ」「ダメージ」のマニューバを一つ、再使用可能にする。 []                 : オート   :     :     : [腕]      ぬいぐるみ(フィア) : オート   : なし  : なし  : バトル終了時、任意の未練を一つ選んで狂気点を一点減らす。このパーツは損傷時に所持パーツから取り除く。 [腕]      手紙の入った封筒   : オート   : なし  : なし  : バトル終了時、任意の未練を一つ選んで狂気点を一点減らす。このパーツは損傷時に所持パーツから取り除く。 [腕]      カルミアの描いた絵  : オート   : なし  : なし  : バトル終了時、任意の未練を一つ選んで狂気点を一点減らす。このパーツは損傷時に所持パーツから取り除く。 [頭]      のうみそ       : オート   :     :     : 2 [頭]      めだま        : オート   :     :     : 1 [脚]      エナジーチューブ   : オート   : なし  : 自身  : 最大行動値+2。装備箇所にダメージを受けた際、貴方は任意の基本パーツ一つを追加で損傷しなくてはならない。 [頭]      アドレナリン     : オート   : なし  : 自身  : 最大行動値+1。 [胴]      しっぽ        : オート   : なし  : 自身  : 最大行動値+1。 [頭]      けもみみ       : オート   : なし  : 自身  : 最大行動値+1。このパーツを行動判定で使用した際、大失敗してもこのパーツは損傷しない。 [頭]      よぶんなあたま    : オート   : なし  : 自身  : 最大行動値+2。 [頭]      あご         : アクション : 2    : 0    : 肉弾攻撃1 [腕]      こぶし        : アクション : 2    : 0    : 肉弾攻撃1 [腕]      サイコブラスター   : ラピッド  : 効果参照: 0~2  : コストの代わりに貴方は現在行動値を1減らした上で、任意の未練に狂気点1点を加える。射撃攻撃4。 [腕]      うで         : ジャッジ  : 1    : 0    : 支援1 [胴]      せぼね        : アクション : 1    : 自身  : 次カウントで使うマニューバ1つのコスト-1 [頭]      ボイスエフェクト   : ラピッド  : 2    : 0~2  : 対象の姉妹一体と互いに対話判定を行っても良い。 [脚]      あし         : ジャッジ  : 1    : 0    : 妨害1 [胴]      サイボーグ      : ダメージ  : 0    : 自身  : 防御2。 [胴]      はらわた       : オート   :     :     : [胴]      はらわた       : オート   :     :     : [腕]      ワイヤーリール    : ラピッド  : 3    : 0~2  : 移動1 [脚]      ホッパー       : ラピッド  : 2    : 自身  : 移動1、この移動に対して「移動妨害」は無効。 [腕]      かた         : アクション : 4    : 自身  : 移動1 [脚]      ほね         : アクション : 3    : 自身  : 移動1 [脚]      ほね         : アクション : 3    : 自身  : 移動1 ■その他■ 寵愛点:1点 成長履歴: No. 獲得寵愛点(達成/ボーナス/ピンゾロ) メモ 0     20点(   / 20)     シナリオ 「一つに」 uni様オリジナル 1    -20点(   / -20)     寵愛で消費能力値上昇により[エナジーチューブ][ライトセイバー]を取得 2     22点(   / 22)     シナリオ 「生きた証」 箱庭の物語 3    -20点(   / -20)     寵愛で消費[魂の抱擁][盤上の駒]を取得 4     25点(   / 25)     シナリオ 「人形遣いの森」 箱庭の物語 5    -20点(   / -20)     寵愛で消費[死の舞踏][号令]を取得 6     31点(   / 31)     シナリオ 「星待つ神の想いは」 箱庭の物語 7    -30点(   / -30)     寵愛点で消費[花園の集い][姉妹のくちづけ]を獲得 能力値上昇により「しっぽ」を取得 8     30点(   / 30)     シナリオ 「Miss,miβgestalt」前半 uni様オリジナル 9    -30点(   / -30)     寵愛点で消費[愛撫][背徳の喜び]を取得 10    33点(   / 33)     シナリオ 「Miss,miβgestalt」後半 uni様オリジナル 11    -40点(   / -40)     寵愛点で消費[虚空の王座][心を鬼にして] 能力値により[けもみみ][よぶんなあたま] メモ: ▼戦闘スタイル 内緒話や魂の抱擁で姉妹と自分の未練の狂気点を回復しつつ、歪める力とサイコブラスターで敵を遠距離(0~2)から破壊します。 死の舞踏を併用することで、サイコブラスターの射撃判定を命中しやすくしました。 号令や盤上の駒、花園の誓いなど豊富なラピッドマニューバで味方には優位な、敵には不利な盤面を仕上げることが基本戦略です。 ▼キャラ設定 ●カリナの独白  記憶に残る手紙とぬいぐるみは一体誰から貰ったものだったのか…何も思い出せない。この手に残るのはボロボロになったぬいぐるみと、相手を壊し、自身に迫る破壊の運命さえ歪めてしまう…強大な力。代償に彼女は失った…心は空っぽ…それはまるで本当に人形になってしまったようで…。自分の内には無いその輝きを…、彼女はあの子たち…そう、大切な姉妹達に求めてしまっている…。姉妹達と接している間だけは、嘗ての自分でいられたから...。 ●容姿・特徴・性格  全身の殆どが機械と融合したドールで、いつもぬいぐるみを片手に抱いている。容姿は銀髪ツインテールで黒いゴシックを着ている少女。いつも片手に猫の様なボロボロのぬいぐるみを大切に持っている。(猫は最近動き出した。名前はフィアです。【よぶんなあたま+けもみみ+しっぽ+たからもののぬいぐるみ】)頭部には自身の奥に眠る力(ESP)の発動の際に、反動を軽減する制御装置が搭載されていたが、どんな狂気にも屈しない姉妹達を見ていて、必要のないものだと決意、制御装置をあえて取り外し、力の制御に努めている。また、右手には強力な遠距離武装[サイコブラスター]、脚には瞬間移動用にホッパーが搭載されている。  彼女の奥に眠る力(ESP)の大部分はサイコキネシスに分類されるだろう。しかし、他にも極々稀に条件が合致すると特異な超能力を発揮する。例えば、敵からの攻撃を受ける際の恐怖による爆発的なストレスから、自我次元による接続が瞬間的に拡大し、ESPが暴発することで破壊の運命から逃れる。強力な残留思念を感じてしまった時、そのモノが体験してきた記憶を、半ば強制的に追体験をするなど...その派生は多岐に渡るが、彼女はその力のどれもを意図して行使出来ず、その発動には代償が生じることが多い。  彼女の本来の性格は冷静・温厚・面倒見が良いなどが挙げられるだろうが、その性格は身内...即ち姉妹達や家族、恩人などの特定の人物にのみ適応される。彼女は自身の力を発動するたびに代償を払っている。それは脳にある制御装置でだいぶ軽減されているが、確実に彼女の精神を、心を蝕んでいた。しかし、現在は制御装置を取り外してフィアと共に力の制御を行っているので、それほど気にせずとも良くなったようです。当初は外敵への冷徹さ、容赦情けの無さとして、彼女のフラストレーションが表にでていたのだが、姉妹達と会い、旅をしていく中で本来の彼女が持つ、愚かしくも暖かな人の心がその身に戻り、姉妹達に向ける暖かな感情に反して、外敵(姉妹以外)に対する冷徹な対応等の二面性はなりを潜めたようです。彼女は姉妹達に戻してもらった心に従い、これからも他者を救う事でしょう。 ●生前の記憶(設定)  彼女は普通の家庭に生まれた。両親、ペットなどがいるだけの、ありふれた家庭に生まれたのだ。しかし、それが彼女にとって最初の不幸であった。彼女の周囲では程なくしていくつもの怪現象が起き始める。決まってそれは彼女が寝ている時に、非常に小規模での現象だったが...彼女の親に取っては、気味が悪く、捨てるには十分すぎる理由足りえたのだ。彼女は田舎の教会に、悪魔付きの気味の悪い子供として引き取られた。そこでの生活はお世辞にも良いものだったとは言えないだろう。両親と同じ、気味の悪いモノを見る神父の目...近所の子供たちによる純粋な悪意による石の投擲など、彼女の周りは...彼女への悪意で満ちていた。そんな彼女が、自身の周囲で起きるらしい現象を嫌悪し、恥じ、どうにかしたいと思うのは当然だった。その頃だ、彼女のもとに、手紙が届き始めたのは。最初はいたずらか何かだと思っていた彼女も、回数を重ねるごとに次第に絆されていき、その手紙の到着を楽し気に待つようになるのにはそう時間はかからなかった。人生で初めてともいえる暖かな言葉の数々、初めての誕生日プレゼントに貰ったぬいぐるみなど...彼女にとってそれは下手なドラッグよりものめり込んでしまう、甘い劇薬だったのだ。それが、彼女にとっての最大の転機だったのだろう。最後に受け取った手紙には「君の周りで起きる現象をなんとかできるかもしれない」と綴られていた…。  手紙に書いてあった場所に来た彼女は、待ち伏せていた数人に捕まり、ある実験施設に拉致されてしまった。それは、極秘に行われてきたESPに関する研究所であった。そこで彼女は初めて自身の奥底に眠る力について聞かされることとなった。彼女は、寝ている間に自我次元への接続を拡張し、周囲に影響を及ぼす特殊な体質をもつ個体だったのだ。研究所の研究者たちは、体質の強化及び反動の軽減化を行なうために、彼女の体を、脳を、細胞レベルに至るまで改造を行った。彼女は、これまでにない程、長く高度な自我を保ったままESPという強大な力を振るう兵器として望まれて、数々の改造をその身に受けることになった。当然度重なる改造や今まで意図して使っていなかったESPの発動による負荷で、彼女の心はすり減っていった。彼女が自我を保てたのは彼女と同じか、それ以下の境遇の...姉妹達がいたからだ。彼女は必死に耐えた、姉妹達に決して弱みなど見せぬように...心配させないように...負担にならないように...。結末として、彼女はほぼ完成に至った。高度な自我を保ち、ESPの力を振るう。しかし、その代償は決して無くせなかったのだ。彼女への研究が終わると同時に、程なくして研究所は研究所として機能しなくなってしまった。各地での戦争の影響により、研究の続行が困難になったのだ。彼女は研究所の地下に凍結保存されることとなった。  斯くして、世界は後日談に移行する。その日、気まぐれに寄った、嘗ての面影など微塵もない研究所の跡地、その地下で眠る彼女を、ある一人のネクロマンサーが...アザレアが見つけた。 ▼「[一つに] クリア」 カリナ視点 ●ファーストコンタクト  …カリナは突然の銃声で目を覚ました。周囲を確認すると、自分と同じくらいの少女が三人…しかしその誰もがカリナの知る普通の容姿とはかけ離れていた。その中でも、自身よりも早く目覚めていたであろうショットガンを携えた少女が一際目を引いた。彼女はジョン・スミスと名乗っていたが…本当の名前なのかはわからない…おそらく偽名なのだろう。このような状況ではそういう対応もしょうがないし、本来ならば私も警戒しても良いはずなのだが…なぜかその時、後の姉妹達に対しては警戒心など持てず…ただ、守らねければと思ってしまったのだ。  次に気になったのは腕から釘が突き出ている、尻尾の生えた…冷静そうな少女、彼女はナターリヤと名乗った。少し話してもわかったが、彼女はとても大人びていて、頼りになる…自然とそう思える様な人物だ。奇行が目立つジョンや、私よりも小さい顔に大穴の空いた、元気で少し危なっかしい印象を受ける少女…カルミアがいる中で、ナターリヤは非常に頼りになるように思えた。  先ほど話したカルミアには会って早々恥ずかしいところを見られてしまった。まさか、なにもないところで転んでしまうなんて…起きたばかりだから体が動かしにくかったのかと疑問を持つが…。すぐどうでもよくなった。私は、私よりも小さい体で、私たちを守ると言い放つ彼女に…強い羨望を覚えてしまった。あぁ、この子は私が失くしてしまったモノを持っていると…強く惹きつけられた。しかし、同時に心配になった。彼女は自分で言った通り、私たちをその身をかけて守ってくれるだろう…では彼女は誰が守るのか?とても不安になった。  最後に物陰に隠れて震えていたのは、私たちの様な異形な部位の見当たらない…そう、普通のか弱い少女。その子の名前はリーチェと言った。起きてから自覚したが、私には力がある。右手に搭載された武装や、根源に眠る…恐ろしい力…それらは身を守るには十分すぎるものだと直感出来た。おそらく、リーチェ以外の三人も同じだろう。…彼女は、本当にか弱く…脆く…そして、とても尊いものだと思えた。後から考えると、この何もかもが後日談になってしまった世界で、彼女の様に人らしく、狂った様子の無い者は少ないだろう。だから、私はリーチェを、この子を放っておけず、保護対象としてみるようになったのだと思う。 ●研究所での探索  そこには、ただの悪意とありふれた悲劇があった。蠢く肉体…それを操る敵…それらは、この研究所で生まれたものだった。客観的に見ても、彼女たちは被害者で、哀れな存在なのだろう。姉妹達も、各々ソレに対して思うこともあったのだろう。しかし、私は…何も感じなかった。ただ、大切な姉妹達を襲ったモノが壊れた…壊しただけ。ただの作業以上の感情を持てなかったのだ。「あぁ、これが代償だ」と直感できた。他の姉妹達にもない、世界の理する歪めるこの恐ろしい力…使うたびに自身の何かが削れていく感覚があったが…やはり、代償はあったのだ。…私はこのまま力を使い続けた先を幻視してしまった。行きつく先は、あの肉塊の主と同じか、それ以下の存在。恐ろしかった。ジョンがアレの願望を叶えているのを横目に、ただ…姉妹に気が付かれないように震えた。だが、カルミアは…ナターリヤは言ってくれた。私は、彼女たちと何も変わらないと…輝く心を持つ彼女たちは、歪なココロしかない私を…一緒だと言ってくれたのだ…。多分、この時からなのだろう…ナターリヤに漠然とした憧れを抱くようになったのも。…カルミアが愛しく思えたのも...ここが始まりだったのだろう。  肉塊の主を退けた後は、皆…何かを取り戻していった。そう、取り戻してしまったのだろう。私も...あの部屋で見つけてしまった。あの部屋に入った瞬間、何か違和感を覚えた。既視感…それに近いなにかだ。その部屋には、私の持つぬいぐるみと似たぬいぐるみが多く放置されていたり、誰かに宛てた手紙の入った封筒が一つあった。その時ばかりは…ただ…ただ手紙を、ぬいぐるみを抱きしめて震えた。カルミアの方でも何かあったようだが、私には余裕が無かった。その手紙が、私宛のものだとわかったからか…忘れてしまった記憶のはずなのに、失ったココロのはずなのに…涙が止まらなかった。きっと、姉妹達を困惑させてしまっただろう。でも、その時は…姉妹達に深く感謝した。姉妹達が私に言ってくれた言葉があるから、きっとこの手紙を大切なものだと思い出せたのだと…。私は…捨てられたわけじゃなかった。愛されていないわけではなかった…。 ●後日談の世界の中で  外に出た私たちを待ち構えていたのは、荒廃した大地、曇天の覆う太陽無き空。まさに、何もかもが終わった後の世界であった。研究所を出てすぐに彼女はまるで来ることがわかっていたかのように、私たちの…いえ、”アリス”の前に現れたのだった。彼女を通してアリスも何かを取り戻したのだろう。正直、私はリーチェを貶した彼女…ナナシにはあまりいい思いを持てなかったが、ナナシは私達よりもずっと多くの事を知っていると、会話の節々から伺えた。どこか諦めたようで、すり減った様子の彼女は…私たちに忠告だけしてその場を去ってしまった。「絶望しかない世界で、苦しんでまで踏み出す意味があるか」そう言い残して。  そのあとはまた大変だった。アリスが突然駆けだしたかと思うと、その場にあるものを使って火葬を始めたのだ。私は正直…アリスの事を掴みかねていた。偽名や、単独行動に走りたがり、たびたびの奇行や、時々出るグレイズという人物の名。そして、どこか不安定で危うい印象を持つアリスは、私達を姉妹をどう思っているのか…何がしたいのか…私には見えてこなかった。火葬をし終え、叫ぶ彼女を見て、私と彼女の間に会った壁が崩れていき、彼女が穴に落ちていくビジョンを幻視した。やっと彼女の心を見ることができたと思う反面、今を逃すと彼女がどこかに独りで行ってしまう様に思えて、焦燥感に駆られた。だから、リーチェと繋いでいた手を放し、彼女の頭を撫でたのは…。何かしなければ、今何かしなければ彼女と離れてしまう。理解し合える機会を永遠に失くしてしまうかも…そういう危機感から出た行動だった。この両の手が彼女の頭に触れ、その行為を受け入れてくれた…その瞬間、私の内にあるアリスへの疑念は無くなった。「あぁ、この娘もカルミアや、ナターリヤ、リーチェと何も変わらない」と…何を躊躇っていたのかと…そう思った。私は、最初から答えを出していたのだ。この娘達を守る。優しい心を持ちながら、どこか危うく、不安定なこの私の大切な姉妹達を守ると…。  だから…カルミアが言ったように、きっと私達5人なら…この絶望しかない世界で前に進んでいけるだろう。苦しんでまで踏み出す意味なんて考えるまでもなかった。私が、皆と居たい。守りたい。それだけでよかったのだ。 ▼「[生きた証] クリア」カリナ視点 ●荒野の中で  私は荒廃した世界を姉妹達と共に歩いていた。先頭は上機嫌に武器を抱えるアリス、その様子に苦笑する私とカルミア、後ろを歩くリーチェとそれらを見守るナターリヤ…皆、私にとって掛け替えのない存在達だ。そんな一行の元に、どこからともなく空を流れてきた一片の花びら。それはコスモスという花…それも生きている花のものだとカルミアが言った。私たちは物珍しさか、目的地が無いのを理由に花が咲いている場所を探すことにした。 ●建物の探索  私達は花びらが流れてきたであろう施設に辿り着いた。そこはおびただしい数の切り傷など、戦闘の跡が多く存在していた。アリスはこの切り傷を付けた者のことが気になるようだけれど、私には戦闘があったにしては死体などが無いのが気になった。一体だれがだれと戦闘をしていたのだろう…。  施設を探すと、明らかに最近まで誰かが生活していたであろう部屋を見つけた。そこでは2人の少女の映った写真とカメラ、この部屋で生活していたであろう人物の日記(ノート)を見つけた。2人の少女の名はミラとマナというらしい…彼女たちは、ここで花を咲かせる事に苦心していたようだ。…ここに来るまで彼女たちとは遭遇しなかったが、あの戦闘跡…少し心配だ。二人とも無事だと良いけれど...。日記にはこの先の扉のパスワードが書かれていた。これで先に進むことができそうだ。 ●花園での出来事 暇がなくてかけませぬ~ ▼「[人形遣いの森] クリア」カリナ視点 φ(..)メモメモ ・幼く気弱そうな少女 何処かの施設から、数名の少女たちが「被検体」として収容されてきた。 なかでも、比較的年少の一人の少女がサンプルとして注視されたようだ。 以降、映像では彼女を「被検体F」と呼称している。 ・作り笑いする怯えた少女 被検体F、過剰ストレス時に救援目的のテレパシーを発信することが確認される。 (この際、実験として彼女に精神的・肉体的虐待の映像あり) ・虚ろな目の少女 被検体F、ストレス過剰による精神崩壊の危機。アンデッド化と自我固定処理を実施。 ・異常に高揚した顔の少女 被検体F、精神に若干の不安定確認。肉体は安定。実験施設に配置。 同世代同性の自我固定型アンデッドを多数配置の上、テレパシーによる波及効果を実験開始。 ・疲れた顔の少女 被検体F、仮想共同体内において孤立。自身のストレスを周囲に放射。 救難信号より強力な内容と確認し、以後慎重にストレス負荷を加える。 ・狂乱した顔の少女 仮想共同体内で内乱が発生。肉体損傷個体多数。被検体F、想定以上のストレス放射。 他のアンデッドらの自我に過大な変調を発生させる。被検体Fのコントロール化実験開始。 ・血まみれで嗤う少女 被検体F、精神崩壊状態から回復せず。他アンデッドの肉体を自らに接合し始める。 ストレス放射範囲の拡大止まず。緊急避難。 ・フラクタル 被検体F、および仮想共同体施設と外部研究棟、居住地を放棄。 今後、同地には敵軍を誘導、Fのストレス放射による自我崩壊に陥れるべく軍部に打診。