タイトル:ちくわ卓 キャラクター名:ミー・アルドベリア 種族:ナイトメア [特徴:異貌、弱点[水氷、銀+2]] 生まれ:戦士 ■パーソナルデータ・経歴■ 年齢:16 性別:女性 髪の色:金  / 瞳の色:青  / 肌の色:蒼白 身長:143cm 体重:45kg 経歴1:ガキ大将だった 経歴2:告白された事がある 経歴3:恥ずかしい二つ名を持っている 穢れ度:1 ■能力値■      技     体     心 基礎    8     13      9    器用 敏捷 筋力 生命 知力 精神 A~F   6  12   5   2   4  12 成長   1   1   2   2      3 →計:9 修正   5     10   4      4 =合計= 21  21  31  21  13  28 ボーナス  3   3   5   3   2   4    生命 精神    抵抗 抵抗  HP  MP 基本  11  12  45  43 特技        30   0 修正 =合計= 11  12  75  43 ■レベル・技能■ 冒険者レベル:8 Lv ファイター  8 Lv  / ソーサラー  5 Lv スカウト   1 Lv  / エンハンサー 7 Lv アルケミスト 1 Lv  /         Lv ■戦闘特技・値■ [参照] 特技名 : 効果                            : 前提 [p2122]タフネス : 最大HP+15                         : ファイターLv.7 [p225] 全力攻撃 : 近接攻撃ダメージ+4、回避-2                 : [p223] 両手利き : それぞれの武器で同一対象に攻撃可能、命中-2、必要筋力15以下 : [pIB29]頑強   : 最大HP+15                         : [pIB36]かばう  : 1Rに1回1PCをかばう、自動命中となる             :    魔物       全力    知識 先制 移動 移動 基本   0   4  21  63 修正 特技        0 =合計=  0   4  21m  63m ■呪歌・練技・騎芸・賦術・鼓咆・占瞳■ [参照] 特技名      : 効果                                                                                                  : 前提 [p]  マッスルベアー   : 筋力ボーナス+2。使用MP3                                                                                       : [p]  キャッツアイ    : 命中ボーナス+1使用MP3                                                                                        : [p]  ビートルスキン   : 防護点ボーナス+2。使用MP3                                                                                      : [p]  ストロングブラッド : 炎と水・氷のダメージをー5                                                                                       : [p]  デーモンフィンガー : 魔神の様な器用な指先を得る。器用度+12、命中力+2.                                                                            : [p]  シェイプアニマル  : 馬や豚、猫など人間の社会に近い動物に変身する。能力値はそのまま、技能の使用可、発声もできる。攻撃は全てパンチになる。なお、この技能を使う時、武器、防具、衣装を装備せずZENRAにならなければならない : [p]  ジャイアントアーム : 筋力+12 打撃点+2                                                                                           : [p]  クリティカルレイ  : 近接か射撃攻撃の出目を上昇させる。これによりクリティカル値以上になった場合はクリティカルする。                                                     : 10秒(1R) ■装備■ ・基本命中力、追加ダメージ、基本回避力        Lv 命中 追ダメ 回避 ファイター : 8  11  13  11 グラップラー: フェンサー : シューター : ・武器 価格 用法 必筋 修正 命中 威力 C値 追ダメ [カテゴリ・ランク] 名称(*:装備している) / 備考 (参照) 340   1H  15     11  15  10  13 [ソードB] *ブロードソード / 父親の形見。売らない。かなり年期入ってるから手入れが大変。 (232p) 1020  2H  24     11  34  10  13 [ソードB] *グレートソード / この前ノリマジハのお店で見てた武器を帝都でも見かけたから買っちゃった。これくらい扱えないとまたソニアに馬鹿にされちゃうわ。 (232p) 150   1H   3     11   3  10  13 [ソードB] *ダガー / 新しい武器。癖でよく必要以上に踏み込んじゃうからこの長さが丁度いいのよね。魔法の発動体を組み込んでもらったわ。 (232p) =価格合計= 1510 G ・防具    必筋 回避 防護  価格  名称 / 備考 鎧 :    -1   6   760 チェインメイル / 父親の形見。手放さない。 盾 :              / 修正:        1 = 合計 =   10   8   760 G (回避技能:ファイター) ・装飾品    価格  名称      / 効果 頭 :           / 耳 :           / 顔 :           / 首 :           / 背中:           / 右手:500  巧みの指輪   / 能力値一つを+1する。一度だけ砕いて+13 左手:500  剛力の指輪   / 能力値を一つ+1する。一度だけ砕いて+13 腰 :3000  ブラックベルト / 魔法の品。防護点に+1する。 足 :           / 他 :10000 勇者の証:体  / 能力成長の出目に3・4が含まれなかった場合ふり直す =合計=14000 G ■所持品■ 名称           単価 個数 価格 備考 ロープ          10  1   10 松明              6   0 小型ナイフ           1   0 毛布              1   0 水袋              1   0 火口はこ         20  1   20 背負い袋            1   0 スカウト用ツール        1   0 保存食(一週間分)       1   0   食べ物は大事。ソニアに借りを返さないと。1回使用。 着替えセット          1   0   一週間分の着替え。流石に戦闘が続くと鎧の下も痛むから。 普段着             1   0   普段着。寝てる時等、鎧が痛すぎるので購入。 雑費           3100 1   3100 第二回に食事。ワイン消費1。くさび2個使用。指輪購入1。ナイフ。魔晶石5点一個。アンロックキー×2。魔晶石3点4個。アウェイクポーション二個。巧みの指輪一個。金A2枚。 調理道具セット      50  1   50  一応、料理は出来るのよね。一人の時はあんまりしなかったけど。 救命草          30  5   150  料理に居れれば少し傷を癒す手伝いができるかもね。 ワイン          20  4   80  料理に使えるかなって。 バスタードソード     280  1   280  手に馴染まなくて売った。デザインは嫌いじゃなかったわ。 食材           7   20  140  調味料も一緒。とりあえず市場で打ってた野菜とお肉、お魚を冷蔵庫に入れとこう。 くさび          2   10  20  何かに使えるかも。この間も鉱山で役に立ったしね。 ハンカチ         4   1   4   持っとくのはマナーだってお父さんが言ってたから。 手鏡           50  1   50  鏡が無い所もあるからね。 耳栓           20  1   20  クラウディアが夜煩いから必要なのよね。 仮面           60  1   60  なんかお店で売ってて面白いから買っちゃった。仮面って後ろめたいものがあるみたいであんまり好きじゃないんだけど、工芸品とかだと思うと趣あるわよね。 アンロックキー      100  2   200  開かない扉が開くんだって。遺跡の扉なんかを空けるのに便利そうだから買っておいたけど、使う機会あるかしら? フック          10  3   30  これも何かに使えそう。 ロープ          30  1   30  少し長めのものを買っておいたわ。備えあれば、ってやつね。 インク          3   5   15 羽ペン          2   1   2 羊皮紙          5   10  50  5枚一束。インクとペンは買ったから、これで何かメモ出来るわ。 ツーハンドソード     430  1   430  結構いい剣だったけど、新しいの買ったからもう使わないし売っちゃったわ。置いておいても意味無いものね。何より大きいから嵩張るし。 木の実          5   20  100  一袋10個入り。口さびしい時とかいいかもと思って。 魔晶石(5点)       500  1   500  最近練技をよく使うし、真語魔法も勉強したから、必ず必要になるわ。 ちくわ          0   365  0   美人コンテストの優勝賞品なんですって。なんでも特産品なんだとか。面白い見た目してる割に結構おいしいわ。こんなにあっても食べきれないし、これを使った料理でも考えてみようかしら。 ?????        0   1   0   これも優勝賞品だって。届いてからのお楽しみだとか。 テント          350. 2   700  野外で野宿する時用のテントよ。最近よく外に行くし、必要になるかもしれないわ。 魔晶石(3点)      300  4   1200 練技用ね。これ一つで錬技一回分を補えるわ。なかなかいいじゃない。 ヒーリングポーション   100  10  1000 金A級           200  5   1000 賦術を勉強してみた。これで少しは自分の弱さを補えるといいけれど。 バレンタインチョコレート 0   1   0   巷で話題のイベント、バレンタインに配られるというお菓子。食べると甘い。らしいわ。 アウェイクポーション   100  5   500 =所持品合計=    9741 G =装備合計=    16270 G = 価格総計 =   26011 G 所持金    7263G 預金・借金    G ■魔力■ 知力ボーナス: 2 特技強化ボーナス: 0 武器ボーナス: 0  名前  Lv 追加修正 魔力 真語魔法 5       7 ■言語■       話 読            話 読 共通交易語 ○ ○ / 巨人語       - - エルフ語  ○ ○ / ドラゴン語     - - ドワーフ語 - - / ドレイク語     - - 神紀文明語 - - / 汎用蛮族語     - - 魔動機文明語○ ○ / 魔神語       - - 魔法文明語 ○ ○ / 妖魔語       - - 妖精語   - - / グラスランナー語  - - シャドウ語 - - / ミアキス語     - - バルカン語 - - / ライカンスロープ語 - - ソレイユ語 - - ・地方語、各種族語     話 読 名称 初期習得言語:交易交通語、親の種族の言語 技能習得言語:魔法文明語、魔動機文明語 ■名誉アイテム■ 点数 名称 所持名誉点: 296 点 合計名誉点: 296 点 ■その他■ 経験点:4200点 (使用経験点:34500点、獲得経験点:35700点) セッション回数:9回 成長履歴: 成長能力  獲得経験点(達成/ボーナス/ピンゾロ) メモ 1- 生命力   2000点(2000 /   / 回)  初回 2- 器用度   2550点(2500 /   / 1回)  シオンさん 3- 筋力    2500点(2500 /   / 回)  Dちゃん 4- 精神力   3050点(3000 /   / 1回)  ドラゴン山 5- 精神力   4050点(4000 /   / 1回)  大会 6- 精神力   4000点(4000 /   / 回)  殺人事件 7-       1500点(1500 /   / 回) 8- 敏捷度   4500点(4500 /   / 回)  サイコレズ 9- 生命力   4550点(4500 /   / 1回)  ゾイド 10-      3000点(3000 /   / 回)  野球 11- 筋力    4000点(4000 /   / 回)  ベルゼン回 メモ: ■キャラ紹介 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 母親は彼女を産んですぐに亡くなっている為、父親に育てられた。 生まれた時、水を嫌った為、父親の故郷である街に移り住んだ。 ナイトメアである事を隠そうとせず、大きな角も堂々と晒している。 それは、母親を殺してしまった自分への罰であり、贖罪のつもり。 又、両親が与えてくれた体なので、大切にしたいとも思っている。 性格は気丈で真っ直ぐ。少々ツンデレだが面倒見はいい。 又、常に正直に振舞おうとする傾向にある為、隠し事は一切ない。聞かれれば大抵の事は喋る。 なので、嘘をつかなければならない時は少々厄介で、後ろめたさがあからさまに顔に出る。つまり、嘘が付けない。 しかし、蛮族に対して強い憎しみを抱いている為、例え友好的な蛮族であろうと、容易に打ち解けようとはしない。 女神の血涙”ルーフェリアブラッドディアーズ”という二つ名を持っており、本人の前で口にすると赤くなって怒る。 好きな物はホットミルク。鎧と剣に触れられる事を嫌う。 また、過去に故郷ごと思い人を失った事があるので、恋愛には異常に臆病。 加えて、叔父との死別を経験してからか、人と関わる事に対しても臆病になっており、他者とは必ず一定の距離と壁がある。 必要以上に構われるとどうしていいかわからない。 が、そのくせ寂しがりなので、本当は人恋しいが、上記の理由もあって人付き合いには苦労している。 面倒見がいい性分と、寂しがり屋である性格と、過去から来る他者との壁が彼女の性格を少し捻じ曲げている。 戦い方は誰に教わったわけでもなく、我流で、かなり荒削りなものだが、幼少期から剣一本で生きてきただけあって、腕はそれなり。 そもそも、蛮族を殺し続けた末に得た剣技ばかり。蛮族絶対殺すマンの誕生である。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ■一般技能 【給仕(ウェイター/ウェイトレス)】Lv2 飲食店で接客を行う 【料理人(コック)】Lv2 飲食店に勤め、腕を振るう 【髪結い/理髪師(バーバー)】Lv2 金銭に余裕のある者は、彼ら理髪師に整髪や髭剃りを頼む。 理髪師は刃物の扱いになれており、いざとなれば切開や縫合などの簡単な外科手術も行える 【用心棒(バウンサー)】Lv2 商人の護衛や商店の警護を担当する腕自慢。 相手を威嚇し、高圧的に振舞う交渉に慣れている。 戦いそのものについては戦士系技能で判定を行う 【精肉業者(ミートパッカー)】Lv2 ハムやソーセージなど、加工肉製品を作り出す知識を持った者たち 一般技能の多くは今のパーティメンバーと出会うまでの旅で彼女が培ったもの。 割となんでも挑戦する積極性がある為か、失敗しながら依頼をこなした結果の産物として技能と口に出来るまでになった。 料理に関しては父親に教わった経験がある為、肉を加工する知識を得ていた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ■キャラクター評価 ・現状のパーティメンバーへの素直な気持ち __________________________________________________________________________ ソニア:ソニア、なんだか様子がおかしかったわね。ベルの名前を聞いて取り乱したりして、ソニアらしくなかった。それにいつもより突き放された気がするわ。 正直腹が立った。ピルルカの事、たかが一人だなんて…あんまりよ。そりゃ、ソニアにとって私達と一緒に居る事は不本意だったかもしれないけれど… 私、自分だけ一方的にソニアの事仲間とか友達だと思ってたんだと思うと、悲しくなってくる。 そういえば、ゼンの事も酷かった。自分以外の他者を助ける為に何かをなそうとする事が愚かだなんて… 今までもソニアは少し冷たい言動が多かったわ。でも、流石に少し許せなかった。 今思えば、今回は特に酷かった気がするわ。ねちっこく、わざわざ角の立つ言い方をして… ソニアの過去に何があったか知らないけれど、あんな言い方しなくたっていいのに。ま、今に始まった事じゃないといえばそうなんだけど… …過去といえば、いう必要性のない事は言わないってって言ってたけど、それってまだ知ってる事があるって事よね。 ソニアは何を知ってるの…?私の知らないソニアの過去が…私は気になって仕方がない。 ソニアにとっては私なんてどうでもいい存在かもしれないけれど、だとしても、私はもう、ソニアに対して無関心でいられないのよ。 でも、本当はソニアの事を知るのはとても怖い。 いつかそれを知ってしまったら、もう今までの関係には戻れいないような気がして……ソニア…本当に、大丈夫なの…? __________________________________________________________________________ クラウ:クラウはいつもクラウで、言動もノリもおかしくて、正直ついていけないけど でも、意味わかんない事言いながら、クラウは気を使ってくれたのよね。 私は今も昔も、正直クラウって何考えてるかわかんなくって、まともに信じてあげられない。 出会いの時点で第一印象は最悪で、今でも笑顔の裏で私達を貶めようとしてるんじゃないかって疑ってしまう。 なのに、ダークナイトの話が出た時、そんな私の事気遣って、冗談言いながら話を逸らそうとしてくれた。正直、とっても嬉しかった。 同時に、今でもクラウの事信じてあげられない自分自身に腹が立って、胸が苦しくなるんだけどね。 _________________________________________________________________________ ティル:初対面のベルには言えて、私には言えない事がある。 そう思うと、私ティルには友達だと思ってもらえてないんだ。力になってあげられないんだって思って どうしていいかわからなくなって、泣いてしまった。…だから、二人の顔を見る事も出来なくて… でも、隠していた理由を知って少し安心したわ。 私達を騙す為とかじゃなくて、危険が及ばない様にする為…だったのよね? でも、それを知る為に、ティルには悪いことをしてしまった。 ひた隠しにしていたにも関わらず、他人の心にズケズケと…私嫌な子よね。 私の所為でティルは怯えたまま放心してしまった…けれど、それでも聞かずにはいられなかったの。 だって、私にはティルが何をそんなに恐れていたのかわからなかったから。私にも怖いものはあるけれど、あんなにもオドオドしてたら普通気になるじゃない。 その所為で少し強引に話を聞く事になってしまったのは後悔してるわ…。 だけど、ティルが何かに怯えているんだろうって事がわかってよかった。 ティルが怯える理由を何とかしたいと思ったから。 だって、友達には笑っていてほしいもの。穏やかに、幸せに、なんの不安もなく。 その不安の根を絶つために、私は剣を手にしたんだから。 だから、相手がなんであろうと、どんなものが来ようと、私は立ち向かって見せる。 だって、友達の為だもの。 __________________________________________________________________________ ピルルカ:ピルルカ…どこへ行ったのかしら……一人きりで不安じゃない?寂しくない?困ったことはない?悪い奴らに酷い事されてない? 不安。ピルルカが居ないってだけで、胸の奥に重い何かが徐々に増えていくような感覚すら覚えて…辛い。 ソニアの言う事も一理あるし、ピルルカだって私達と戦って来たんだから、一人でもある程度なんとかできる…とは思う。 だけど、人はふと目を離した瞬間に、別れが訪れる時だってある。 怖いの。 またあの日の炎の様に、あの日の朝の様に突然別れが訪れてしまうかと思うと… 考えただけで怖い。 嫌。嫌よ…嫌…嫌!!まだピルルカとお別れなんてしたくない…まだまだ話したいことがたくさんあるのに!!あの笑顔を見守っていたいのに…!! 乱れる自分の心を抑えるので精いっぱい。 考えただけで、吐きそうになる。 どうして突然一人で行ってしまったの?ピルルカ…無事なのよね?また、会えるわよね…? このままじゃ…私、どうにかなってしまいそう。 __________________________________________________________________________ ディー:ごめんなさい…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!! 私、どうしてディーを?ディーは私の仲間よ?父さんの剣を向けるべき相手じゃない! あんな事するつもりなんてなかった。だって、ディーがピルルカに何かする筈なんてない筈だもの。 でも、自分自身に問いかけても、即答できないの。 ”そうよ。ディーはそんな事しないわ。当然よ。” どうしてすぐにそう答えられないの?何故、一瞬、考えてしまうの…? でも、そんな私にディーは”無理して受けれなくていい”って言った。 そんなの出来る訳ないわ!私自身が辛いの…私は、ディーを受け入れてあげたい…でも出来ないの! 信じてあげたいのに、それが出来ない自分の弱さが憎らしい。 ディーは私を何度も助けてくれたし、私のワガママも受け入れてくれる。 だからこそ辛いの…心臓を刃物で抉られる様に、痛むの… だって、優しさには優しさを返してあげたいもの…それでもディーを受け入れられない… 蛮族という事実が、私にディーを受け入れさせてくれなくて…もうこんなの嫌。 __________________________________________________________________________ トリメレ:まだよくわからない子だけど、とりあえず、天然だって事はよくわかったわ。 まさか、ラミアの姿でいきなり現れるなんて思ってもみなかったし… 多分、認識が人とズレてるのよね。 私にもそういうところあるから、なんとなく理解できる気がするわ。 ラミアの姿で現れても、トリメレはトリメレのままで…少しホッとしたけれど… でも、それが逆に怖くもあった。 やろうと思えば、無垢を装う事だってできるものね。 でも、トリメレはゼンの目的を聞いて素直に”いい人だ”と言ったし ティルの事も私のかわりに見ててくれた。 だから、たぶんいい子なんだなって思ったし。 トリメレと会うのはあの日以来だったけど、そういう部分があったおかげでいきなり斬りかからずに居られたのかもしれないわ。 でもやっぱり、トリメレが蛮族のラミアって事実は変わらなくて、いつでも首を落とせるように剣に手をかけるには十分で… まだ、この子の事も受け入れがたいみたい。 __________________________________________________________________________ ベル:ベル。少し儚げ、知的で、冷静で、時々少し強引で、優しい子。第一印象はそんな所かしら。 ハイマンの事はよく知らないけれど、寿命が短いなんて、私なら怖くてどうしていいかわからなくなっていたかもしれない。 だって、せっかく友達と仲良くなってもすぐにお別れなんて辛いじゃない。 ベルの凄いところは、転生するとはいえ、死を通過点として受け入れてる事ね。 まるで設計図を作る様に、すぐ死んでしまうなら、その前に生まれ変わればいいなんて…少なくとも私には至れない答えね。 そうえいば、ティルもハイマンだったのよね。だからティルはベルにだけ話をしたんだろうけれど、ベルはあえて黙っててあげたって事かしら。 それはたぶん、優しさからくるものなんでしょうね。ベルは、まだ出会って間もない私の事を何度か気遣ってくれたし。 でも、私にとっては、故郷を出て以来、他者から優しくしてもらう事なんてほとんど経験がないし、正直戸惑ったわ。 ピルルカの事で混乱してた私をシオンと一緒に抱きしめてくれたし…でも、あの時はそれも逆に怖かった。 ゼンが蛮族だってわかった時だって、自分を抑えようと必死だった私の手を握ってくれたけれど…私はその手を振りほどいてしまった。 そんなつもりなかったのに、ただただ、直接的に与えられるだけの優しさにどうしても慣れなくて… その裏に何かがあるんじゃないかとすら思ってしまう… せっかく、私の事を心配してくれたのに。 もっと互いの事を知れば、あの手を握り返して上げられたのかしら… ともあれ、今度何かお詫びをしないとね。 __________________________________________________________________________ ゼン:クラウはオネエとか言ってたけど、男の人なのに女の人みたいな話し方の少し変わった人って印象。 今回蛮族ってわかったけれど、色々自分から話してくれた分、自分で思ってたより敵意は湧かなかったわ。 嘘か本当かはわからないけれど、誰かの為に自分の居場所すら捨てて旅をしてるなんて…凄い事よ。 バジリスクって種族の事もあんまりよく知らないけど、蛮族ではえらい方って話だし、ゼンみたいな人は稀有な例…なのよね。 しかし、自分の目が見たものを石にしてしまうなんて、少し可哀そうよね…目を瞑っていても景色が見えるとはいえ。 わざわざ自分の種族が露呈する危険を冒してまで私達の前でもその目を開かない事を考えれば、 相手を傷つけないようにする為って理由は信じてもいいかもしれないわね。 そういう部分も踏まえて、立派な人の様に思えるわ。 一緒に戦ってわかる、その余裕のある振る舞いも評価したい所かしら。 ただ、まだそれでもわからない事は多いし、警戒は必要ね。 といっても、ノリマジハについてからであった誰よりも自分の素性を話してくれた方なんだけどね。 今後とも、仲良く出来れば心強いところだけど…どうかしら。 __________________________________________________________________________ エクシミア:なんか、私達が話してる時もごちゃごちゃ言ってたけど、ディーが時々抑え込んでくれてたような気がする。 今はディーと一緒だから害はないと信じたいけど、いざとなったら私がこの手で… ま、そうならない事を祈っておこうかしら。 ソニアじゃないけど、これ以上面倒事は増やしたくないし。 __________________________________________________________________________ シオン:私、シオンにとってどんな存在なのかしら… 私は、シオンに相応しくない気がしてならないの。 自分では最初の事について、シオンは悪くないって言ったけど、 またああならないとも限らないって心の中では疑ってる。 だから、いつもシオンが私に向けてくれる気持ちに申し訳なさが付きまとうのよね… でも、シオンは私の事大切に思ってくれる… そんなの不公平よ… だって、思ってくれる人には同じくらい返してあげたいもの。 ねぇ、私でいいの……? なんて、言ってもどうせ二つ返事なのよね…… __________________________________________________________________________ ※各好感度(10段階)※初回は0とする。 0(他人。基本的に警戒。依頼で同行する時は一応気遣う) 1(少し仲のいい他人。警戒しているが少しは気を許している。信用には足りない) 2(知り合い。一応はそれなりに気遣う。行動に少し興味が湧く。少しは信用する。) 3(友人。本格的に興味が湧き、対象を知りたいと強く思うようになる。信用はしているが、信頼には足りない。) 4(仲間。隣りに立つ仲間として認め、背中を預ける事に迷いがない。友人の時より強い信用を得る。少し信頼しているが、まだ完全には警戒が解けない。) 5(大切な仲間。自分の事も知ってほしいと思うようになる。また、守り抜く為に自分を犠牲にしてでも全力を尽くす様になる。強く信頼し、信用している。) ※ボーダーライン(ここを超えると裏切りや嘘に対する反応が大きく変わる。また、仲間の不可解な行動に理解を示す様になる。) 6(親友。多少無理な頼みでも笑って受け入れる。かわりに、その他の反応がちょっと面倒になる。) 7(腐れ縁。対象の目的の方が自分の目的よりも優先されるようになる。) 8(家族。もはや自分の存在よりも大切なものとなり、守る為なら迷わず命を投げ出せる。ミーの母性が覚醒する。) 9(家族以上の存在。もはや大好き。本人にもどうしたらいいのかわからないくらい好き。場合によっては恋愛対象にすらなる。) 10(依存関係。どんなことであろうと受け入れ、最大限尽くす様になる。対象のいかなる行動であっても拒絶しない。もはや嫌いになれないし、一緒に居ないと不安になる。) _____________________________________________________________________________ ソニア  5.8 友達…の筈だけど、私だけが一方的に思ってるだけだったのかも。ソニアは私の事なんて… クラウ  6.9 間違いなく親友よ。ええ、鬱陶しい事はもう個性だから、受け入れてあげる。ま、それ以外はべつだけど。 ティル  6.3 ティルが何に怯えていても、私は友達だから。アンタの事、絶対なんとかしてあげる。 ピルルカ 7.5 ピルルカ…何か用があったなら私に言ってくれれば手伝ったのに。心配ね。 ディー  6.7  蛮族でも関係ない。少なくとも、今は仲間であり、何より大切な友達よ。 トリメレ 3 まだ深く知る事が出来てないし、そろそろどういう境遇の子なのか知りたいところね。 ベル   1.7 優しい子ではあるけど、彼女が本当の事を言っているとは限らないわ。まだ、警戒が必要ね。 ゼン   1.8 心強くはあるけど、一応は蛮族だし、警戒しておかなくちゃ。 総合評価:私、向き合う事は出来た。けど、 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ■少女の今まで 幼少期。少女は小さな村で生まれた。 母親は美人で器量良しなエルフ、父親は真面目で穏やかな人間。 夫婦はとても仲が良かった。 そもそも、種族を超えて子を成す二人の仲が悪い筈もないのだが。 母親は父親よりも年上だった。 エルフという種族である為、人間より年齢というものに対しての感覚が緩い。 だが、人間はエルフに比べれば「短命」と言える。 二人が結ばれる時、必ず認識すべき現実を受け入れなければならない。 「私より先に貴方は逝ってしまうのね」 理解はしていた。その長すぎる寿命故に、多くのエルフが種族と交流を持つとき、必ず向かい合わねばならない事だ。 ある集落に迷い込んだ人間は一人のエルフに恋をした。 それ以来よく集落を訪れる様になった人間が来るのをエルフは毎日待った。 「あの人、今日は来ないのかしら?」 会いに来た人間を捕まえて「遅いわ!私、最近になってから、なんだか退屈で退屈で仕方がないの!」と子供の様にはしゃぐエルフ。 「この前来たばかりじゃないか」と笑うその人と過ごす時間がたまらなく楽しかった。 だからエルフは、この人とずっと一緒に居たいと、いつしか強く願う様になっていった。 そして、何年も経ったある日、二人は結ばれた。 全てを受け入れて尚、気持ちは揺るがなかった。 幸せ。 この幸せはいつかは終わってしまう。 それでも、人間は言う。 「君より先に僕の心臓が止まってしまっても、それは悲しい事じゃない。僕は君と生きる事が出来たんだから。」 ばか、私が悲しいのよ、と人間の背中を叩くエルフのお腹は気が付けば大きくなっていた。 それは、二人が父親と母親になった証であった。 それは、幸せの種である。 が、同時に、二人を永遠に分かつ絶望の芽映えでもあった。 母親は子を産んですぐ死んだ。 生まれた赤子は、頭から二本の鋭く、禍々しい角を生やしていた。 恐らくそれが原因であろう。 娘と二人になってから、父親は自分の住んでいた街に娘を連れ帰り、育てる事になる。 だが、父親はしばらく心を病んだままだった。 自分が先の筈だったのに・・・ 父親は我が子を見つめる。 見つめれば見つめる程、思い出すのは妻の記憶。 脳内をいっぱいに埋め尽くすほどの思い出が叫びをあげる。 何度も感じた温もりが、すぐそこにない現実が、胸を締め付ける。 そんな感情の渦の中に、はっきりとした言葉が焼き付いて自分の中から離れない。 「お前さえいなければ」 一瞬、声に出してしまったその時、父親は恐怖した。 自分は何をしている? 何故、その手に持ったナイフを我が子に向けているのか!! そんなこと、出来る筈はなかった。 愛する妻が生きた証を、消すような真似を。 だが、今まさに、自分はその愚行を行動に移そうとしたのだ。 父親は毀れる涙をまき散らしながら、何度も何度も謝った。 ごめんな、ごめんな、と。 それは、愛する妻と、これから愛する、我が子に向けられたものであった。 それから7年。 少女はとても元気だった。 父親は言う。 「その美しい金色の髪と、青い瞳・・・お前は母さんに似たな。」 少女は母親の顔を知らない。 だから、鏡を見つめてこんな顔?と首を傾げ、父に微笑む。 それが堪らなく可愛く感じるのだろう。 または、本当に母親の面影を感じたのだろう。 父親は、何も言わず、娘を抱きしめる。 その時、父親は見つけた。 娘の額にある小さな傷を。 どうしたのかと聞かれても、少女は「ころんだー」と言うだけ。 だが、父親はうすうす感じていた。 この角はいずれこの子を苦しめるだろうと。 それは、目に見える分、同世代の子供と接した時、必ず綻びを産む原因となる。 父の考えは正しかった。 ある日、少女と共に街に出た時の事だった。 どこかから石が飛んできた。 幸い親子には当たらなかったが、父親が目をやった先に居た犯人は、また石を構えて投げようとしていたのだ。 犯人は6歳程、少女と同い年くらいの少年だった。 父親は叱りつけようと口を開こうとしたが、娘が袖をぐっと掴んで、止める。 そして、娘が叫ぶ。 「私だけなら相手になってあげる!でもおとうさんはダメ!!」 父は、その大きな声と、相手を真っ直ぐに見据えて毅然と立つ娘の姿に絶句した。 「言葉に出来ないからって、相手に当たらない気持ちをなげつけるな!」 その言葉に、少年は動きを止め、手にしていた石を落とす。 見れば、手も足も震えていた。 「そんな伝え方しないでよ!!貴方のお母さんが生んだその手は、そんな事をする為にあるんじゃないわ!!」 言い終えて、少女は気丈に父の手を引いて歩み始める。 父親は手を引かれながら振り返り少年を見たが、そこにはもういない。 その日の夜、夕飯の後、父親は恐る恐る娘に訊いた。 いつも石を投げられるのか、と。 すると、娘は少し躊躇って口を開く。 「いつもじゃないし、石は初めて。・・・いつもはね、みんな、ただ言うの。私の事望まれない子、禍罪の子、「悪夢」だって。でも、そんな筈ない。」 そうとも、お前は僕の大事な宝物だ。と父親は娘を抱きしめる。 すると、娘もそっと父親の大きな腕に手を添えて言う。 「ええ、そうよ。当然よ。だって、こんなにあったかいおとうさん達の子なんだもの。」 その一言だけで、父親の涙腺を破壊する事など容易い事だった。 自分の犯しかけた罪、その贖罪をせねばならぬと毎夜の事考える父。 だが、こうして、いつもその娘に救われてしまう。 自分が情けない。それでいて、なんと愛おしく、優しい子なのだろうと。 気持ちが渦巻き、涙は止めどなくあふれ出てしまう。 そんな泣きじゃくる大の大人を、娘は母親そっくりの笑顔できゅっと抱きしめる。 「ねえ、おとうさん、お母さんが生んでくれたこの手はね、泣いている人を抱きしめる為にあるのよ。」 翌日、少女は外へ遊びに行った。 そして、その父親は、娘にバレない様に物陰に隠れながら、こそこそと嗅ぎまわる不審者へと姿を変える。 少女はまっすぐ街の広場に向かう様だった。 街の広場は、子供たちが集まる遊び場となっている場所だ。 少女はいつもここに来るようだった。 と、様子を見ていると、さっそくそこに昨日の少年を見つけ、声をかける娘の姿があった。 父親は身構えた。何かあればすぐに駆け付けて、なりふり構わず娘を守るのだと。 だが、少し様子が違った。 どうも変だ。 少しだけ近づき、聞き耳を立てる。 するとそのやり取りがかすかながら聞こえてきた。 少年は少女にこう言っている。 「石を投げたのは謝る・・・でも、お前とは仲良く出来ない。」 「どうして?理由を聞かせて頂戴。」 少女は問う。 が、少年は口ごもる。 「わたしは貴方の気持ちが聞きたい。」 少女が言うと同時に、少年は言う。 「わからないんだよ!どうしたらいい?オレ、わかんないよ・・・ 悪いのはオレで、母さんはお前の事が嫌いで、お前と仲良くすると友達から仲間外れにされて、オレは・・・オレは」 「自分で考えなさい!!わたしはあなたの事何にも知らないんだから!!」 「オレだって知らないんだよ、わからないんだよお前の事!!」 少年が叫ぶ。 興奮気味に、混乱しながら少年は少女から目を逸らす様に俯いた。 だが、少女は少年の顔をその両手で無理やり自分に向けさせる。 「ばかね・・・知らないなら、知ればいいじゃない。」 「は、離せよ・・・」 「嫌。わたしを見て。これが私!」 少しの間。 静寂があたりを包む中、父親は木陰から我が娘と石投げ少年の様子を伺いながら息を飲んだ。 「オレ、そんなんじゃわかんないよ・・・」 少女に顔を押さえつけられたまま、困った様に少年は零す。 「だから、もっと教えてくれよ・・・お前の事。」 歪みのない、素直な言葉だった。 少年の言葉を満足げに聞き届けると、少女は少年から離れ、背を向けて言う。 「ふふっ・・・嫌よ!」 「ええぇぇぇ!?」 余りにバッサリと斬られたので驚きを隠せず動揺する少年。 (えぇぇぇぇぇぇぇ!?) だが、一番動揺していたのは、彼女の父親であったのだが。 しかし、続けて少女は言うのだ。 夕日に照らされて金色に輝く長く美しい髪を揺らして。 「明日からよろしくね。」 と。 それ以来、どうも友達が増えたようで、父親が様子を見に行くと、何人もの少年達と一緒に居る姿を確認する事が出来た。 父親としては満足なのだが、日に日に増えているようで、気が付けば町中の子供達を引き連れている。 それはそれで心配な気もしつつ、嬉しい悩みを抱えている事に喜びを感じる父親だった。 だが、ある日の事だった。 少女の住む街は突如、炎に包まれた。 人々が叫び声をあげながら、逃げ惑う。 だが、無情に剣が背を貫き、立ち向かうものは胴を裂かれ、はらわたをぶちまける。 泣き叫ぶ声、怒鳴り声、狂ったような叫び声。 それは、少女の家にも聞こえてきた。 父は武装し、家の扉の前にありったけいろんなものを積みバリケードを作った。 娘を守らなくては。 その一心に、父親は震える体に鞭打って戦いに備える。 少女には何が起こっているのか、わからなかった。 だが、危険が迫っている事だけははっきりとわかる。 父の剣幕は明らかに異常で、事の異常さを物語っているからだ。 ひっきりなしに聞こえてくる破壊音や、叫び声。 夜であるにも関わらず炎に照らされる空。 全方位から異常が迫ってくるのだ。 7歳の少女とて、身構える。 「ミー、裏の井戸、わかるだろう?」 ”敵”を迎え撃つ準備が出来たのか、父親がテーブルの下で座る娘に問う。 うん。と少女は答えるが、父の言葉の意図をなんとなく察し「嫌だよ・・・わたし、ここに居る」と駆け寄った。 だが、父は剣を片手に震える声で、優しく言い聞かせる。 「いいかい?あの井戸は街の近くにある川に繋がっているんだ。だから・・・」 「嫌!離れない!!一緒じゃなきゃ嫌よ!」 少女は頑なに首を横へ振る。 それでも父は引かなかった。 ただ娘の頭に手を置いて「僕は大人だから通れなくってね。大丈夫、必ずまた会えるから。」 だから逃げるんだ。と娘の背を押し、裏口へ急かす。 「嫌よ・・・」 少女がまた拒絶する。 涙をこらえながら。 だが、”敵”は待ってはくれなかった。 突如として大きな音を立てて軋む扉。 時間はない。 父は娘を抱えて、井戸へ投げ込んだ。 少女は衝撃と共に背中に強い痛みを感じるが、そんな事は気にならなかった。 おとうさん・・・! 井戸の底から空を見上げるが、様子はわからない。 が、すぐに大きな音がした後、金属音が数回響き、父の呻き声が聞こえた。 どさり、と肉が叩きつけられる音が少女の耳に入る。 その瞬間、血の気が一気に引く感覚が押し寄せる。 そして、近づく足音がいくつか。 咄嗟にすぐ近くに見える穴へと這って入る。 確かに、少女が自分一人が這う事でぎりぎり入れる穴であった。 先は見えず、暗い。 だが、このまま”敵”に見つかればその結末は想像するのも容易い。 父の言いつけ通り、少女は逃げる事を選んだ。 父の無事を祈りながら。 数時間、少女は這い続けた。 井戸の底の抜け道を一人、延々と進み続ける。 一切の明かりはなく、今どこに居るのかわからず、自分の這う音しか聞こえないその場所は少女の不安を煽る一方だった。 体は長時間の緊張で消衰し、冷たい地面が体温を奪う。 だが、少女は止まらない。 父にまた会わねばならないのだから。 涙も、弱音も、痛みも、全てを堪えてただ真っ直ぐに進む。 そうして、ようやく少女は光を見た。 外は既に日が半分上り、明るくなっていた。 少女はあまり街を出たことはないが、確かに見知った場所に出た。 そこは、母の集落があった場所の近くだと聞いていた。 脚を引きずりながら、少し歩くと、すぐに街が見えた。 どれだけ時間が経ったのかはわからないが、人気が全くないのを感じる。 どうやら、”敵”も去った後の様だった。 少女は真っ直ぐ、自分の家へ向かう。 脚は痛むが、そんなもの、気にしていられない。 ただただ父親に会いたい。 その一心で進む。 そして、辿り着いた。 家の前に立つと、胸の奥からぐっと我慢していたものが噴き出しそうになる。 扉はバラバラに砕け散り、家の中は散乱し、血が辺りに飛び散っている。 そして、その先・・・吹き飛んだ裏口の扉の上に横たわる人間が見える。 少女は駆け寄る。 「おとうさん!!」 声を荒げながら、何度も、何度も呼びかける。 だが、その肉の塊は身動き一つしない。 「おとうさん・・・ねぇ・・・おとうさん・・・返事、してよ!ねぇ、ほら!わたし、ここにいるよ?戻ってきたよ?」 蹲り、父の手を取る。 が、その手は驚くほど冷たい。 ぬるり、と何かがへばりつく感覚を覚え、腕を見れば、赤黒く濁った血がべったりと滴っていた。 認めたくない。 それでも、少女は理解し、受け入れてしまった。 どんなに嫌であろうと、すべての感覚が物語る。 父親の死を。 瞬間、堪えていた涙と、不安が体の内側から一気に溢れ出していた。 まるで爆発するように。 叫び声とも、呻き声とも言い難い、声にならない声が空に轟く。 だが、空は憎らしいほどに晴れ渡っていた。 朝日が、焼け跡となった廃墟を照らす。 この日、少女は何もかも失った。 そして、悲劇から5年が経った。 濁った風が吹き荒れる荒野。 地面を力強く踏みつけ、駆け抜ける戦士が一人。 可憐ながらどこか力強さを感じさせる雄叫びが子鬼を切り裂く。 風を切り、鈍い音を立てて眼前を掠める爪。 だが、少女には無意味だった。 瞬き一つせず、顔すれすれを通り過ぎる腕を体を捻りながら両断し、回転を利用して走り抜ける。 そして、子鬼は喉から血を吹いて崩れ落ちた。 もはや、コボルト程度に少女を止める事など出来ない。 少女は戦っていた。 その日は近くの宿で一夜を明かした。 日が昇ると、少女はベッドから立ち上がり、すぐ傍に置いた剣を見つめる。 少しだけ刃こぼれしているが、手入れの行き届いた少女には少し大きな剣。 そして、少し色の変わってしまった鎖で編まれた鉄の鎧だ。 その金属の塊は、彼女にとっては父だった。 「よう、嬢ちゃん、ここらじゃ見ない顔だな。」 酒場。 朝っぱらから生計を立てるための情報を得ようと立ち寄ったその場所で少女に声をかける男が居た。 訝しげに男に視線を移しながら、少女は答える。 「そうね。そもそも、ここいらじゃこの角はそうそう見ないでしょう?」 溜め息を吐きつつ、前髪をかき上げながら少女は皮肉交じりに 「貴方もわざわざこんなのに声かけるなんて、変わってるわね。」 と言い返す。 「ハッハ、棘だらけだねぇ。俺はそういうのは嫌いじゃないぜぇ?」 男は笑う。 どうも、煽られてすぐ逆上しない分、そこらのチンピラよりは賢いらしい。 少女は気にせず、ホットミルクを一杯頼みながら話を続ける。 「何?ナンパする為に声かけたのなら他を当たって頂戴。ロリコン。」 今度はこれでもかと言わんばかりにとげとげと言葉を返して見せた。 が、それでも男は笑って見せる。 男のにやにや顔を気にしつつ、少女がミルクを受けとる。 ミルクは熱く、様子見に口を付けるが、やはり飲むには早い様子。 小さく息を吹きかけながら恐る恐る口にするその姿は本当に幼い。 男は笑う。 「へへ、残念だが、守備範囲外ですわ。嬢ちゃんはあと10数年したら絶対美人になるにちげえねえが。」 それよりも、と続ける。 「あんた、女神の血涙”ルーフェリアブラッドディアーズ”だろう?」 耳にした瞬間、ほぼ同時に少女は口にしたミルクを盛大に噴き出した。 ミルクが気管を刺激し、熱いやら、苦しいやら、とにかく噎せて咳き込む少女は顔を真っ赤にして男を睨む。 「あ、あんた!!!な、に・・・なんなのよ!!!!」 手をぶんぶんさせながら、男を指さす少女。 過剰に反応するそのワード。 そう、それはとっても恥ずかしい彼女の最近の悩みであった。 「何だい?その反応みるに、やっぱりそうなんだな?ルーフェリアブラッドティアーズ!! 「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!あー!!あー!!!あぁぁぁあ!!!!」 遮る様に大声で声を重ねる少女の反応を見て、男はなお楽しそうに笑うのだった。 「あぁあ・・・あんたねぇ・・・!!」 耳まで真っ赤にしながら、少女はいろんなものを堪えつつ怒りを露わにする。 「その・・・あのね、それ・・・あんまり大きい声で言わないでよ・・・」 小さな声で「お願いよ・・・」と言いながら、少女はむっとして男を恨めしそうに睨みつけた。 「いやはは・・・悪い・・・からかって悪かった!」 飄々と、どこか掴みどころのない男はまた笑いながらそういう。 訊けば単に彼女への依頼の話であった。 なんでも、最近噂になっている少女がなかなかに腕利きだと聞いての直接依頼だとか。 依頼は別段難しい内容ではなかった。単に、実物が見たかった、という類のものらしい。 二本の角に、芸術品レベルの金髪、宝石の様に青い瞳の12歳。 それが似つかわしくない鎧を来て、鬼神の様にコボルトを斬り続けているというのだから。 目立つのは確かだ。 それに、それだけ有名になったという事だろう。 本人が1ミリも望みもしない通り名が付くほどに。 「いいわ。理由は不純だけど、依頼と報酬がしっかり用意されてる以上、仕事はする。」 少女は愛剣に手を添えて、俯く。 その様子を少し眺めながら、男は話し始める。 「依頼内容の確認だ。アンタは俺の護衛をして、こっから先の街まで俺を送り届ける。これだけだ。」 まあ、いろいろと期待してるぜ。とお約束の笑いを交えながら少女の肩を叩こうとする。 が、少女は咄嗟に一歩下がり、その手を交わす。 「触らないで!!」 「おっと・・・わ、悪い。」 男もさすがに笑みが消え、申し訳なさそうに手を引いた。 「あ、その・・・ごめ・・・・・・次から気を付けて。」 微妙な空気が流れる中、男はやれやれと言わんばかりに、酒場を出る少女の後に続く。 街の外に出ると、二人を見渡す限りの青空が出迎える。 気持ちのいいくらいの快晴。 散歩するには丁度いい天気だ。 「気持ちいいわね!目的地までそう長くないし、短い付き合いだけど、まぁよろしくね。」 ずんずん、と歩み始めた少女は少し上機嫌だった。 依頼者の男はというと、少し拍子抜けだった。 聞いていた印象とはちがったのである。 常に全身を棘が覆うような空気を纏い、どこか悲しい空気を漂わせる少女。 そして、手にした剣で敵を殺し、血の涙を流しながら、一心不乱に戦い続ける。 美しい容姿とは裏腹に、死神の様な空気が通り名を浸透させた理由である。 だが、道中蛮族や魔物と出くわしても、噂で聞いていた通りの姿ではない。 どこか寂しさはあるものの、敵を殺した後、必ず埋葬し、祈りを捧げる辺り、ある意味では恐怖を感じはしたが。 噂の独り歩き、というのが大きいのだろうな、と男は少女の戦う様を見て小さく頷く。 「少し休憩しないか・・・?」 道のりも半分を過ぎたあたりで、男が提案する。 「何?もう疲れたの?だらしのない・・・でも賛成。」 通りがかりにある森を指さし、少女は休憩所を提案。 二人は一時の休息をとる事となった。 そこは小さな広場の様になっていて、切り株が椅子の様に立ち並んだ自然の公園であった。 切り株に腰かけて、少女は笑う。 「たまにはこうやってゆっくりするのも悪くないわ。」 その表情は、本当に朗らかで、やはり、噂は噂なのだな、と、男も笑う。 だが、ふと、男の脳裏に小さな疑問がわいた。 「嬢ちゃんは、いつもそんなに楽しそうなのかい?」 単純に気になったから、という安直な理由で問うたのだが、少女は意外な反応を見せた。 きょとんとして「わたし、楽しそう・・・?」と、逆に問い返される始末。 男は言う。 「だって、笑ってるじゃないか?」 男の言葉は、裏も表もなく、素直な感想であった。 だからこそ、少女はなんだか不思議そうな顔をして呟くのだ。 「誰かと一緒なんて、久しぶりだから・・・かもしれないわね・・・」 と、自分で言ったセリフを頭で認識してから、少女は言い訳の様に 「あっ、ちがっ・・・あんたと一緒だから楽しいとかじゃ・・・ないから。」と付け加える。 へいへい、と男は笑うが、少女はそれからしばらく一人で喚いていた。 そんなこんなで二人は無事目的地まで何事もなく辿り着いた。 「ほら、報酬だ。」と男は金の入った布袋を手渡し、じゃあな、楽しかったよ。 と少女に背を向けた。 「ちょ、ちょっと!待って!」 だが、少女は男の後ろ姿を捕まえる様に大きく声をかける。 「んんー?なんだい?俺と別れるのが寂しくなったのかな?」 相変わらずの減らず口で男は笑うが、少女は真面目な表情で男を見つめた。 「こんなに貰えない!」 小さな布袋。 だが、その重さは明らかにその袋の大きさとは不釣り合いなものであった。 少女は報酬を突き返すのをきっかけに、胸の中に浮かんだ疑問を投げかける。 「おかしいわよ!だって、いくら噂の真相が知りたかったとはいえ、ほんの散歩程度の距離で数か月分の食費が賄える程渡す?」 何が目的よ?と言わんばかりに複雑な表情で睨み付ける少女の眼に、男はまた、小さな笑いで応えて見せた。 ただ、その笑いは、今までの彼のにやにやした表情とは少しだけ違って、どこか陰りが見えた気もしたが、少女は黙って答えを待った。 男は突き返された布袋を指さし、言う。 「それについては離せば長くなるが、端的に言うと、俺には、兄貴が居たんだ。」 とっても身勝手な兄貴がね、と付け加える。 男が言うには、こうだ。 ある場所に街があった。 男は15年程前までそこで兄弟と二人で住んでいたのだが、ある事をきっかけに街を離れてしまったのだという。 「何があったの?」 辿り着いた街の入り口から少し離れ、入り口となる正門の柱に寄りかかりながら少女は問う。 その話に、不思議と興味がわいた。 他人の家族事情であるにも関わらず、聞かねばならない気がしていた。 多すぎる報酬の理由でもあり、自分にも関係あるのだから当然ではあるが、もっと別の何かを感じて。 だからこそ、少し視線を遠くへやりながら語る男の言葉に耳を傾けるのだ。 この男は”誰”なのか、と。 男は話を続けた。 男の兄はある日突然、街を出ると言ったのだ。 それは愛する者の為だと言う。 誰かに恋をする事は大した問題ではない。それ自体は何も構わなかった。 好きにすればいいとさえ思った。 だが、ただ単に、ムカついたのだ。 自分を一人置いていく兄に。 男はまだ若かった。 だから、一時の感情に任せてたった一人の家族であり、兄弟と喧嘩別れしてしまったのだ。 「お前がここを出るのなら、俺から出て行ってやるよ!」 ムキになって言ってしまった言葉に後悔を感じたのは、それから10年後、再び故郷に帰った時だった。 街は、もうそこにはなかった。 あったのは廃墟。 死んだ街の墓場であった。 そして、真っ直ぐ向かった我が家では、後悔を強くさせるものが待ち受けていた。 それは、自分の兄の墓だった。 ただ、会いに来ただけだった。 ただ会って、言ってやりたかった。 俺はお前と違って、こんなに上手くやってるんだって。 だが、そんな意地だけで塗り固められた男の努力も、全て消え去った後は虚しいだけであった。 男は自分の我がままで喧嘩別れしたあの日を思い出して、泣いた。 悲しかったからじゃない。悔しかったのだ。 後からわかった事だが、街は蛮族の襲撃により、一夜にして壊滅したという。 蛮族達はただ殺戮を目的に故郷を焼き払った。 兄はその時死んだのだと知る。 そしてもう一つ、噂を耳にした。 一人だけ、生き残りがいる、と。 その噂の出どころはわからない。 だが、男には確信があった。 兄の墓。 誰も居ない廃墟。自分の様に街に身内でもいなければそんなところに近づく輩など居ない。 むしろ、居るのは死体を漁る恥知らずくらいだ。 他人の、ましてや知らない人間の、墓を建てるだろうか? 知人であったとしても、エルフに惚れて街を出るような変態に、恩を感じて外から街まで墓を作りにくる物好きなど、少なくとも男は知らない。 だとしたら。 一つだけ心当たりがあった。 「それが、お前さ。」 目の前で俯く少女に男はそう囁いた。 少女は唇を噛みしめながら、男を見上げる。 「どうして・・・何も言わなかったの?貴方・・・何も言わずに帰るつもりだったんでしょ!?」 少女の言葉は、男の心をちくりと刺した。 それは、間違いなく、男の臆病さを指摘したものだったからだ。 「悪いな・・・この話、ほんとは怖くて自分からは言い出せなかったんだよ。」 それは、まさしく、今も続く男の後悔であった。 兄に娘が居ると知った時、男の脳裏に兄の墓が過る。 そして、また、後悔する。 どうして、自分はつまらない意地を張って街を出てしまったのだろうかと。 身勝手なのは兄ではない。置き去りにされる現実から逃げ出した自分の方だ。 兄の死を知って、深く後悔するのは、兄弟と、その娘を、自分の家族を助けてやれなかった事実がそこに確かにあるからなのだ。 「せめてもの罪滅ぼしがしたかった。」 「それが・・・これ?」 少女は男に金貨の入った布袋を突き出して、眉根を寄せる。 複雑で複雑で、少女の心にはそんなもの抱えきれなかった。 「理由はわかったわ。だけど、それなら尚の事受け取れない。」 引かず、少女はその一点張り。 そんな様子を見て、男は諦めたように袋を受け取った。 「よく似てるよ。嬢ちゃんと兄貴はさ。」 頑固なところが、と。溜め息を吐き、背を向ける男。 その背中を真っ直ぐに見つめる少女。 男の背中はどこか見覚えがあって、なんだか懐かしく感じる。 彼女には、少し男の気持ちが理解できた。 心細いとか、悔しいとか、泣きたいとか、不甲斐ないとか、おおざっぱなものだけれど。 だからこそ、少女の気持ちは変わらない。 「お父さんは死んじゃったわ。でも、貴方の所為じゃない。全部、あいつ等の所為なんだし。だから・・・」 少女は胸の内から湧き上がる、いろんなものを飲み込んで、言葉にした。 「だから、それ持ってせいぜい生きなさい。辛い事、いっぱい抱えながら。」 そういって背を向ける。 唯一の家族に別れも告げずに。 男は一瞬、少女の背を追いかける。 が、言葉が出なかった。 口を開いても、言葉が出なかった。 少女は、振り返らない。 でも、今日はその街で夜を明かす事を決めていた。 夜、宿屋。 ベッドの上で考える。 壁に立てかけられた父の剣を見やり、心から漏れた言葉を呟く。 「ねえ、お父さん。お父さんは・・・弟さんの事、恨んでなんていないよね?」 剣は答えない。 ただそこにあって、ただ鈍く月明かりに照らされるだけ。 少女も答えが返ってこない事なんてわかっていたが、それでも、口にすれば、父に届くような気がして、つい口から漏らしてしまったのだ。 眠れない夜は、そうやって明けていった。 と、日が昇ってしばらくすれば、ざわざわと、辺りが騒がしい。 何事かと宿の窓から外を見れば、近くに人だかりが出来ていた。 その先に・・・ 少女は走る。 見間違いだ。 朝は寝ぼけがちだし、昨日から気の落ち込む事ばかり考えているからなんだ。 そう自分に言い聞かせながら、見たくもない現実を直視した。 「この男・・・この間の・・・」 「悪夢の子を探していた男か・・・何故だ?誰にやられた?」 辺りから声が聞こえてくる。 「蛮族の仕業だよ。この男、金貨だけじゃなく、宝石や宝を持ってた。」 「露天商が見たって言ってたな。少女から袋を受け取るのを見たって。」 「見られたって事か。物騒だねぇ・・・」 誰もが何もせずただぼーっと突っ立って、血塗れの男を見下ろしていた。 口だけはべらべらと・・・だが、誰も、何もしない。 心を冷たい氷で冷やされている様な感覚だった。 少女の体は考える間もなく動いていた。 男の手を取り、引きずっていく。 「嬢ちゃん!何やってんだい!放っておきなよ!」 よせ、関わるな、と他のものが少女を止める声を制止する。 少女は気にしなかった。 そんな事、どうでもいい。 ただ、この人をこのまんまになんてしておけない。 どうする事も出来ないのはわかっていながら、少女は街のはずれまで男を引きずって行った。 街はずれの森。誰も居ない、広い場所。 見覚えのある切り株が立ち並ぶその場所に、少女は男を寝かせる。 振り返れば血が道を作っていた。 もう、男は死んでいる。 また、何もできなかった。 少女は歯を食いしばる。 だけど、涙は流さなかった。 声も上げなかった。 かわりに、ただひたすら、穴を掘った。 やがて、少女は人一人が入る程の穴に男の亡骸をそっと寝かせ、土をかけた。 墓標はその場に合った切り株を削って作った。 誰も居ないその場所で、少女は静かに祈る。 そして、やれることをやり終えた時、少女はゆらりと立ち上がり、街へと帰って行った。 宿に帰ると、すぐに体を洗い、部屋に放置されていた古ぼけた父の剣を抱きしめる。 ふと目をやると、すぐ傍の鏡に自分の姿が映っていた。 少女は鏡に向かって呟く。 「ねぇ・・・おかあさん・・・わたし・・・悪い子だよ・・・」 母親そっくりだ。と何度も父に言い聞かされたその姿を見つめ、少女はやり場のない思いをその小さな胸の奥に抱え、拳を握り、ただただ蹲った。 そして、自身の中に深く燃え上がるものを感じていた。 抑えようのないもの。 悲しみ、後悔、虚しさ、無力さ、やり場のなさ。 そして、怒りだ。 自分に。 そして、全てを奪っていった者に対して。 そして、明くる日、少女はまた街を発った。 その剣で、悲しみを斬り捨てる為に。