タイトル:シルバーレギオン ギルド名:シルバーレギオン ギルドマスター:フィオル・ギリアム ギルドレベル :1 Lv 経験点    :4/10 (残り:6) 総合経験点  :4 ■ギルドメンバー■ 名前               Lv メインクラス サポートクラス 種族     備考 ルクシア・ローレンツ・シュバリーテ1  ウォーリア  サムライ    ヒューリン アーニャ=ブランジーノ      1  メイジ    セージ     エルダナーン フィオル・ギリアム        1  アコライト  ウォーリア   フィルボル ミハエル・デイヴィス       1  シーフ    バイキング   ヒューリン ■保管アイテム■ 名称 価格 重量 備考 =合計=     0 G (重量 0) ■ギルドサポート■ 《サポート名》 消費/タイミング/効果など 《蘇生》    - /任意   /ギルドメンバー全員のHPを全快する。1シナリオ1回使用可。 《祝福》   -  /任意   /ギルドメンバー全員のMPを全快する。1シナリオ1回使用可。 ■その他■ メモ:   ~冒険者ギルド[シルバーレギオン]の記録~  ▼セッション1、キャンペーン「月輪の裁断者」第一章:指導するツァイガー パリス同盟加盟国の一つ、塔の街ラニューリ。 そんなラニューリの属国にあたるエウロパの森を一人歩く騎士がいた。 ブロンドの髪と赤い瞳を持ち、中性的な顔立ちから、一見して男性か女性か判別がつかない。しかしその恰好は男性のそれであった。 彼の名はクラウス・ローレンツ・シュバリーテ。 王国で反逆者の抹殺や、諜報活動などを任されていた闇の一族、貴族シュヴァリーテ家。その30代目当主である。 事故で両親と妹を亡くし、若くして家督を継いだため、27歳にして当主歴は10年にもなる。 見るからに騎士という服装には、不釣り合いに見えるペンダントが、胸元に光っている。 噂によればこれは家族の形見らしい。彼はこのペンダントを肌身離さず着用していた。 ラニューリとローデシア王国は5年前より軍事的緊張状態にあり、特にここ2年の間に状況は悪化、いつ戦争になってもおかしくないと言われている。 彼がここへやってきたのは他でもない、ローデシア王国の斥候としてラニューリの情勢調査に来たのである。 クラウスの行く先には小さな村が見え始めた。出発前に見た資料から、クラウスはその村がエウロパの北東にあるノウス村だと理解した。 クラウスは気持ちを引き締め、村へ歩みを進めるのだった。 一方その村では、赤い髪と茶色の瞳を持つ、85cmとかなり小柄な可愛らしいフィルボルであるフィオル・ギリアムが、粗暴そうな見た目の男に絡まれているシルバーブロンドの髪とエメラルドの瞳を持つエルダナーンの女性、アーニャ=ブランジーノを発見したところであった。 事情を聞くと、アーニャはこの男に軽くぶつかってしまったのだが、男は「怪我をしたから治療費を寄越せ」と言い寄ってきたらしい。 フィオルが仲裁し、逆上した男の拳をスルリとかわしてそのまま倒れ込んだ男を踏みつけたフィオルは「今の内に逃げるぞ!」とアーニャを連れて逃げ出した。 その後自己紹介をし合った二人は互いに冒険者登録をするため一番近くの神殿がある街、ラニューリを目指していたことを知る。 一緒に行きましょう!とアーニャが半ば強引にフィオルを誘って二人はラニューリへ向かうため村の出口へと向かった。 村を出てすぐ、二人はクラウスとすれ違った。‥‥その時、「助けてくれぇええええ!!!」という叫び声と共に、脇の草むらから男が飛び出してきた。男を追ってくるかのように草むらから今度は蜂の群れが飛び出してきた。 半ば強制的に魔物との戦闘となり3人は協力してそれらを倒したのだった。 飛び出してきた男は自らをラニューリで外交官をしているライナーだと名乗った。 そしてライナーは「皆さんの腕を見込んでお願いが…」と申し出てきた。 話によれば、ラニューリと隣国ローデシアとの軍事衝突はこのままでは避けられないと見たラニューリ首相は20年間の公的資金援助を行う約束の下、平和的解決を求める和睦の親書をローデシアへ送る事となり、外交官であるライナーがその親書を持って国家騎士の護衛の下、今朝ラニューリを発ったそうだが、何者かの襲撃を受けて護衛の騎士隊は壊滅、ライナーも命からがら逃げだしてきたらしい。 「敵の追撃から逃れるため、森へ逃げ込んだまでは良かったのですが…道に迷ってしまいまして…更にはあの蜂どもに追い回される始末…。 お願いという他でもありません。騎士たちの代わりに私の護衛となって、ローデシア王国まで行って欲しいのです!」 襲撃者は何者か不明だがローデシアに親書を届けさえすればこちらのもの、3人は道中の魔物を倒してくれるだけでいいしローデシアまではこのノウス村からなら半日もかからない、ということで依頼を受ける事にした。 冒険者志望の2人はともかくクラウスはただの通りすがりだったが、話を聞き、この親書を母国ローデシアへ持ち帰れば成果として認められるのではないかと思い、一緒に依頼を受けることにしたのだった。 一行は雑談交じりにローデシアへと歩みを進めた。話はラニューリの神殿の話となった。 ラニューリは月の女神ブリガンディア主勢らしいのだが、ラニューリのブリガンディア主勢は事情が特殊で「月輪派」と呼ばれているらしい。 それはラニューリ神殿が独自の体制を敷いているからで、月輪派代表でもあるラニューリ神殿の神官長シドル・ミストレンジはラニューリ市民の間では「ブリガンディアの声を聞く者」崇められており、結果ラニューリの神殿体制はシドルをトップとする完全なる縦型体制となっていて、他の地域のブリガンディア主勢とは区別されているらしい。 なんでも神官長シドルはある日、夢の中でブリガンディアの予言を聞いたと言い、5年前の聖暦1004年に実際に起きた[魔将戦争]の一部始終を予言していたらしい。それ以降もシドルは幾度か小さな予言を繰り返し、市民から「ブリガンディアの声を聞く者」と慕われているそうだ。 「たった一人の人物にここまで権力が集中してしまうのは、我々国家に使える役人としては如何なものかとは思うのですが、神殿は独立組織ですし、なにより仮にも神官様ですから。我欲に囚われてしまう事もないのでしょう」とライナーは呑気に笑って話していた。 川に差し掛かった時、ライナーは声を上げた。「そんな!?ここには橋がかかっていたはずなのに!」 川は昨夜の大雨で増水しており、濁流が勢いよく流れていた。どうやら橋は流されてしまったらしい。 フィオルとクラウスの機転で対岸に渡したロープを伝って川を横断することになったが、アーニャはロープを離してしまい川に流され、それを助けようとしたライナーも一緒に流されてしまった。フィオルたちは呆れつつも二人の救出に向かうことになった。 アーニャとライナーは運良く川のなだらかな入り江に流れ着いた。…が、そこは水棲の魔物たちの巣窟だったらしい。 慣れない川の中での戦闘に四苦八苦するアーニャに、駆けつけたフィオルとクラウスが加勢し、なんとか魔物を打ち倒したのだった。 森を抜けると目の前に小高い丘が現れた。「あの丘を越えればローデシア王国領です」とライナーは意気揚々と言った。 その時、一行を水魔法が襲った。見ればそこには神殿に所属する神官兵たちを引き連れた一人の女性エルダナーンが立っていた。 ライナーは怯えた声で言う。「彼女はラニューリ神殿の神官長シドル様が持つ私兵審問官、通称「月詠四人衆」の一角、シャルロッテ……夢語のシャルロッテです!」 審問官とは元来邪教徒を処刑する神殿所属の者たちだが、私兵審問官「月詠四人衆」はシドルが個人的に雇っている集団らしい。 「その通りだ。ライナー・ガードル。貴様を「神殿規律違反、並びに国家への重大な反逆行為の容疑」で連行する」とシャルロッテは言い放つ。 ライナーは強く冤罪を主張するがシャルロッテは取り合おうとしなかった。 「月詠四人衆に容疑をかけられて連行された者が戻ってきたことは一度もないんです…このままじゃ……お願いです!どうか助けてください!」 ライナーに懇願され3人はシャルロッテと戦うことになった。 「ふむ、聞き訳の無い奴らだ。これだからヒューリンやフィルボルは愚かだと言うのだ、悪知恵しか働かん。もっとも、考える頭も持たないネヴァーフやドゥアンなどに比べれば、まだマシかもしれんがな」というシャルロッテの言葉に、ドゥアンの義父を持つフィオルが激怒した。 「血の気の多い連中だ。お前達、下がっていろ。あれは私一人で十分だ。…さぁ、神に祈りを捧げなさい。そうすれば救いの手は差し伸べられるでしょう。自身が敬虔なる神の子だというのならね……。私は月詠四人衆、夢語のシャルロッテ。神の名の下、貴様らを断罪する」 ドルイドという霧の森出身者特有のクラスに翻弄されつつも、戦闘の末、相打ちに近い形でシャルロッテに片膝をつかせることができた。 「少しはやるようだ……だが、そこまでだ」というシャルロッテの言葉に4人は周囲に目を向けた。 いつの間にか増援が来ていたようで完全に神官兵たちに包囲されてしまっていたのだ。 「命までは取らない。それを決めるのは私ではないからな。あくまで容疑者を連行しに来ただけだ。もっとも、判決が黒だった場合は私が手を下すことになるかも知れないけどね」シャルロッテは部下に肩を借りながら立ち上がった。 数十という剣先を向けられ、4人は成すすべなく拘束されてしまった。 馬車の荷台部分が鉄格子で出来た輸送車に入れられた4人。武器は取り上げられていないが両手足は縄で拘束されている。 見ればこの檻には先客がいた。薄手の黒いコートに黒いトリコーンを被った男であった。彼も同様に拘束されている。 「ほら見ろ、賊は俺じゃなく他にいるって言っただろ?こいつらが賊だ。つまり俺は清廉潔白、無実ってわけだ。サヴィ?」 男は軽い口調で4人を運んできた神官兵に声を掛けたが神官兵は無視して檻に施錠して御者席へと戻った。 「おいおいおい、どこ行くんだ?話はまだ終わってないって、お分かりでない?聞いてくれ皆の衆、彼らは俺を勘違いしてるんだ。おたくら誤認逮捕って知ってるか?冤罪ってのはヴァンスターじゃ社会問題なんだ。で、おたくらは一体何やらかしたってわけ?悪名高い盗賊団には見えないけど」 口早に話をする男に気圧されつつも一行は自己紹介をし合った。 この男は「ヴァンスター帝国フィンジアス沖を拠点とする大海賊、キャプテン・ミハエル・デイヴィス」と自称した。 これまでの経緯を話すとミハエルはこう提案をした。 「おたくらの依頼とやら、俺も一枚噛ませろよ。報酬は俺を含め四等分、それが飲めるってんなら助けてやるぜ?それとも何か?このまま連行されて処刑されるのがお望みってわけかい?無実を訴えるって言ったって、それが通用する相手ならそもそも拘束なんてされてないだろうに」 本当に助けられるのかと疑う4人に、器用に縄抜けをした両手を見せ、神官兵たちの目を盗んで鍵を開錠して見せた。 一行は半信半疑ながらも「これで助かるなら」とミハエルと協力することを約束した。 「決まりだ。いいねぇ、物事を見据えて最適解を選べる奴は好きだぜ。気に入った、今この時点から俺達は仲間だ。楽しくやろうぜ兄弟」 全員の縄をナイフで切ってミハエルは4人に手を差し伸べたのだった。 目標を達成して油断しきっている神官兵たちの隙をついてミハエルたち5人は馬車を飛び出し森へと逃げ込んだ。 ローデシアへ向かおうという事になり、東へと向かっていると、またも神官兵たちが行く手を遮った。だが今度はその中に国家騎士の姿もある。 彼らを率いていたのは月詠四人衆の頭領、瞑眼のジェラルドだった。噂どおり、サングラスの下にかすかに見える目は閉じたままだった。 「ああ、無事で良かった。ライナー・ガードル。親書を届けるはずの騎士隊たちの遺体が見つかってから気が気ではなかったよ。 何せ親書の存在など他国に知られてしまっては一大事だからね。だからこうして神殿も、彼ら国家騎士に協力して君を捜索してたというわけだ。 君達は…冒険者かな?そうか、君達が彼を守ってくれていたのか。感謝する。 おや、どうしたのかね?怯えているな……なに、私が狩るのは邪教徒だけだ。君を取って食いはしないさ」 相変わらず目を閉じたままミハエルたちを見渡したあとそう言ったジェラルド。 同じ月詠四人衆の一人、シャルロッテに襲われたばかりであった為、一行は警戒していたがジェラルドはその事情は知らないようだった。 話によればジェラルドは任務でしばらくラニューリを離れていたらしく、戻ってきてみれば親書を届けるための騎士隊が壊滅しており、ライナーの行方を捜す捜索隊に加わったようだ。 シャルロッテに指示できる人物は頭領の自分か神官長シドルだけなので、恐らくはシドルが何かの手違いでライナーに冤罪をかけてしまっただけだろうと言い、ジェラルド直々に弁護して無罪を証明してくれることになった。 「ではライナー君、ラニューリに戻ろうか。騎士隊を再編して、改めてローデシアへ向かって貰うことになる。 言っては何だが……そのどこの誰とも知らない冒険者たちよりは国家騎士の方が信頼に足るだろう。ああ、君達冒険者を悪く言ったわけではない。 君達はここまでよくライナー君を守ってくれた。ラニューリに戻り、このことを首相に伝えれば報酬が貰えるだろう。今回の依頼はこれを持って任務完了として欲しい」というジェラルドの言葉を信用し、一行はジェラルド率いる騎士隊護衛の下、ラニューリへと向かった。 ラニューリの中心には塔の街の由来ともなっている古代遺跡「ラダーの塔」が建っている。 その塔が見え始めた頃、道を進めながらジェラルドは他の人に聞こえないようクラウスに小声で声を掛けた。 ジェラルドはクラウスの声と口調からクラウスが男装をした女性であることを見抜き、更には足音と装備している武具からローデシアの騎士であることも見抜いてみせた。それも相変わらず目を閉じたままでだ。 「そう警戒しないでくれたまえ。今は戦時中ではないし国境封鎖もしていない。ローデシア人がラニューリにいたとしても、何の罪にもならないさ。 ただ、何故、ローデシアの騎士がここにいたのか、そして何故ライナー君のもとにいたのか、それが気になってね」 クラウスは無言を貫いたが、ジェラルドは「…言えないか。なに、それならそれで構わないさ。私には言えない理由があるというのは、答えを聞いたようなものだからね」と何やら含みのある言い方をして微笑んだのだった。 ラニューリに着くとジェラルドとライナー、そして騎士や神官兵たちとは、先に首相に報告をするとのことで別れることになった。 その間に冒険者登録を済ませることになり、ラニューリ神殿の神官ナタリーの案内の下、神殿へと向かった。 ナタリーは相当な月輪派信者らしく、道中はずっと如何に神官長シドルが素晴らしい人物かを語っていた。 神殿に着き、アーニャとフィオルは冒険者登録をすることとなった。 冒険者志望ではなさそうだったクラウスも「冒険者登録をしていて損はない」と登録をする。 確かに登録をすることでデメリットはないし、むしろ神殿で簡単な宿や食事を提供して貰える権利を得られるので得しかない。 船を取り戻すための道のりは長そうだしそれまで冒険者稼業で儲けるのも悪くない、とミハエルも便乗して登録することにした。 更にこれも何かの縁だとナタリーに促されギルドを組む事となった。 いざとなったらいつでも加入、脱退できるし別にいいかということで4人はギルド[シルバーレギオン]を立ち上げた。 丁度その時、別の職員がやってきてミハエルたちが首相官邸に呼ばれていると告げた。 「あとは報酬を貰うだけだ」と4人はナタリーに官邸までの道を聞き、神殿を後にした。 近道だと言う裏路地に差し掛かった時だった。 ミハエルとアーニャは不穏な音を聞いて振り返ると、半透明の膜のようなものが来た道を遮っていた。それは魔術的な罠のようだった。 そして前から一人の人物が一行に近づいてきた。 「シャルロッテが珍しく某に『逃がした異端者を探してくれ』などと申すので、一体如何様な阿修羅かと思えば…そのような気は感じぬが、な…。 しかして人は見かけによらぬというものか。某は月詠四人衆が一角、戒律のジーンと申す者。して、汝ら一体、いかような罪を重ねた?」 ジーンと名乗る大柄で筋肉質な僧兵らしい人物が行く手を遮る。 何とかして言い訳をしようとするアーニャだったが、ジーンにあっさりと見破られ、こうなったら仕方ないと身構えた。 「抵抗するか。それも良し。武を持って某に挑まんとするなら、武を持って向かい討つのが礼儀。だが手負いの者をいたぶるのは、某の信条に反する。これを飲め。来るのであれば万全を持って、全身全霊で挑んでくるがよい」とジーンは全員に回復薬を投げ渡してきた。 「某は月詠四人衆が一角、戒律のジーン。毅然たるその心意気、我が拳を持って迎え打とう」 激戦の末、ジーンを撃破した一行。 高潔な心構えと武器を使わず拳で戦う様、そして雄々しいその筋肉にフィオルが感激していたが、それらを差し引いてもジーンは強敵だった。 「冤罪だろうと何だろうと、俺達が襲われるという事実がある以上こいつは敵だ。ここで殺しても文句はないだろう? 喰うか喰われるかは海賊の常なんでね」とミハエルは迷うことなくジーンの首元に刃を当てた。 「某、生まれてこの方、修業に明け暮れ、ひたむきに己を磨いてきた。ここで終わるというのなら、それまでの鍛錬しか積んでこなかったというもの。我が人生に一片の悔いなし」とジーンはゆっくりと立ち上がると両目を瞑り、両手を広げ、仁王立ちで最期の一撃を待った。 アーニャは四人衆頭領ジェラルドに良くしてもらった手前、ジェラルドの仲間であるジーンを殺すのは良くないと反対し、逆にそのジェラルドを警戒しているクラウスは無言でミハエルが刃を当てる首元と反対の首元に自らの刃を当てた。 フィオルは泣きながら最後まで迷っていた。ジーン個人に対しては生きていて欲しいが、今後四人衆が敵として目の前に立ちはだかった時に再びジーンが相手側につくのならここで殺しておいた方がいいと感情と理性の狭間で揺れていたが最終的には殺しておこうということになった。 「うむ……自身より高みへ至った者の手にかけられるというのなら、本望。さぁ、来るが良い」 ジーンの言葉を受け、ミハエルとクラウスは同時にその刃でジーンを斬りつけたのだった。 満身創痍ながら首相官邸に着いた一行はラニューリの首相ゴードンと挨拶を交わした。そしてこんなことを言われる。 「さっそくだが落ち着いて聞いて欲しい。外交官ライナー・ガードルがつい先ほど、何者かに暗殺された。彼はとある親書を届ける役目を担っていた。しかし当然ながら親書の件も彼が運んでいたことも内密だった。知っているのは私を含めたこの国の上層部と…君達だけだ」 当然一行は無罪を主張した。首相も「流石に行きずりの冒険者が親書を奪うなどというのは考えすぎか」と非礼を詫びた。 話によればジェラルドとライナーはこの官邸へやってくる道中で襲撃され、一瞬の隙を突かれライナーは拉致されてしまい、ジェラルドが追いつくとライナーは既に事切れていたらしい。 一行はシャルロッテ、ジーンに襲撃された経緯を話して、ジェラルドの自作自演ではないかと主張した。 神殿は政治不干渉の独立機関、そんなことをするなんて考えにくいしするメリットもない、と驚くゴードン首相。 「ふむ…わかった。君達を信じよう、シドルには私が直接話をする。月詠四人衆を査問会にかけるよう要請しよう。 それともう一つ、問題がある。和睦の親書のことだ。何者かに奪われてしまったが、書簡など私が書き直せばいいだけの話。 しかし、ライナーが暗殺され、その犯人も不明となると、親書をローデシアに届ける役目を、皆怖がって引き受けてくれる者がおらん。 そこでだ、月詠四人衆シャルロッテと対等に戦い、ジーンを打ち倒した実力を持つ君達に、その役目をお願いしたい。如何だろうか?」 一行は少し戸惑いながらも依頼を引き受けることにした。 「助かる。今回の件で和睦の表明が予定より遅れてしまっている。これではこちらの意思をローデシアに伝える前に宣戦布告をされかねない。 事は一刻を争う。早速だが明日、朝一に発って欲しい。よろしく頼む」 こうして冒険者ギルド[シルバーレギオン]は重大な初依頼を受けたのだった。