タイトル:――斯くして、些細な離別は置き去られた。 キャラクター名:鬼瓦 征一郎 職業:警察官(刑事部捜査第一課・警部補) 年齢:31歳 / 性別:男 出身:日本(浅草) 髪の色:黒 / 瞳の色:深紅 / 肌の色:やや色白 身長:188cm 体重:75kg ■能力値■ HP:13 MP:16 SAN:56/99      STR  CON  POW  DEX  APP  SIZ  INT  EDU  HP  MP 作成時  15   9  16  11  14  16  14  17  13  16 成長等 他修正 =合計=  15   9  16  11  14  16  14  17  13  16 ■技能■ ------------------------ 戦闘系技能 ------------------------ 習得/名前       現在値 習得/名前    現在値 習得/名前      現在値 ●《回避》      42%  ●《キック》  60%   《組み付き》   25%  《こぶし(パンチ)》50%   《頭突き》  10%   《投擲》     25%  《マーシャルアーツ》1%    《拳銃》   20%   《サブマシンガン》15%  《ショットガン》  30%   《マシンガン》15%   《ライフル》   25% ●《杖》       80%   《》     %    《》       % ------------------------ 探索系技能 ------------------------ 習得/名前   現在値 習得/名前   現在値 習得/名前   現在値 ●《応急手当》39%   《鍵開け》 1%    《隠す》  15%  《隠れる》 10%  ●《聞き耳》 75%  ●《忍び歩き》60%  《写真術》 10%   《精神分析》1%   ●《追跡》  75%  《登攀》  40%  ●《図書館》 60%  ●《目星》  82% ------------------------ 行動系技能 ------------------------ 習得/名前    現在値 習得/名前   現在値 習得/名前    現在値  《運転》   20%   《機械修理》20%   《重機械操作》1%  《乗馬》   5%    《水泳》  25%   《製作()》  5%  《操縦()》  1%    《跳躍》  25%   《電気修理》 10%  《ナビゲート》10%   《変装》  1%    《》     % ------------------------ 交渉系技能 ------------------------ 習得/名前    現在値 習得/名前      現在値 習得/名前 現在値  《言いくるめ》5%    《信用》     15%  ●《説得》75%  《値切り》  5%    《母国語(日本語)》85%   《》  % ------------------------ 知識系技能 ------------------------ 習得/名前      現在値 習得/名前      現在値 習得/名前  現在値  《医学》     5%    《オカルト》   5%    《化学》 1%  《クトゥルフ神話》0%    《芸術()》    5%    《経理》 10%  《考古学》    1%    《コンピューター》1%    《心理学》5%  《人類学》    1%    《生物学》    1%    《地質学》1%  《電子工学》   1%    《天文学》    1%    《博物学》10%  《物理学》    1%   ●《法律》     65%   《薬学》 1%  《歴史》     20%   《》       %    《》   % ■戦闘■ ダメージボーナス:1d4 名称 成功率 ダメージ 射程  攻撃回数 装弾数 耐久力 / 備考 警棒   80 1D6+db  タッチ     1       15 / 職務中や緊急時しか持ち歩かない。受け流し、ノックアウト攻撃可能。                              / ■所持品■ 名称            単価  個数 価格 備考 財布            個   1   0   …………(運転免許証もここに入っているようだ) スマートフォン       台   1   0   ……………特別珍しいものでもないだろう。 警察手帳          冊   1   0   職務中でなくとも携帯するようにしている。 衛生用品          枚・個 -   0   ハンカチ、ティッシュ、テーピング。 腕時計           個   1   0   スマートフォンで時間を確認できない状況も多々あるのでな。 手帳・ボールペン      冊・本 -   0   記憶力は悪くないと自負しているが、念のための覚書だ。 以下職務中または緊急時のみ        0 警棒            本   1   0   職務用。不思議と手に馴染む。 トランシーバー       台   1   0   警察無線。任務には必須。 手袋            本   1   0   白い手袋。 =所持品合計=     0 所持金   5万円 預金・借金 ■その他■ メモ: 「警視庁捜査第一課警部補。鬼瓦征一郎だ」 「…どうした。私には特別語ることなど存在しないが」 「ただ法が掲げる正義に従い職務を全うするのみ」 警視庁刑事部捜査第一課の警部補。一言で表すならば『質実剛健』 ○現在に至るまで 代々警察官や軍隊に所属する者が多い、由緒正しき家系の生まれ。 幼少より、礼儀礼節から武術まで厳しく叩き込まれた。 強く、正しく、美しく、と教育された結果、生真面目で礼儀正しく、また、他者より強者である自覚がある分、他者への慈しみある優しい人物となった。 彼元来の性格からか、それとも疑問を抱かせぬ環境ゆえか、捻くれることはなかった。 そんな彼が警察官となるのは当然の流れだった。彼自身、民の正義のため自らの力を振るうことに異論なかった。 家柄的にも、能力的にも所謂キャリア入庁も目指せたが、彼の眼中にはなかった。 キャリア組となった場合、警察間の調整といった事務仕事が主となる。彼自身の意志や能力を鑑みた結果、椅子に座っているより、現場で動き回り公共の役に立つ方が良いと考えたのだ。 そうして、大学卒業後警察学校を経て警視庁へと入庁。順調に経験を積んでいき、現在は警部補にまでなっている。 寡黙ではあるが、堅実さ、誠実さにより、特に明記するようなトラブルは発生しなかった。 ○性格 一人称は仕事では私、プライベートでは俺。二人称はTPOによるが、あなた(お客様)、お前、貴様 等。 家柄故か、家の教育故か、プライベート部分において少々考え方が古風なきらいがある。 質実剛健。寡黙であり、よく言葉が足りないと指摘される。また、表情が乏しいのもあり、一見するとしっかりしているものの冷たそうに見えるかもしれない。 だが、その実情は先述の通りである。生真面目で礼儀正しく、慈悲深い。自身を強者と自覚するゆえの慈悲深さ、と表現すると、他者を弱者と見下しているように感じるかもしれないが、そうではない。これは単に彼の良心や善性からくるものであり、人並みか同等以上に他者に優しいだけである。 善性が強く(疑わしい部分がなければ)基本的に他人を疑わないお人好し。 一方、内なる正義感は、卑怯、卑劣な行為を嫌う。 しかし、行き過ぎた正義感は組織で活動する上で邪魔となることも理解しているため、正義感を暴走させず自身を律する理性も持ち合わせている。 上の命令には従うことと法で謳われている通り、職務には忠実であり、自身の意見より組織を優先する。自身の正義が公共にとっても正しいとは限らない。個人的感情と相反することがあっても、職務とあらば感情を殺す。今ではもはや癖である。 なお、常日頃から自身の感情を律している影響か、感情そのものに疎い。(心理学不所持) 「…不満げな表情をしているな。私でもわかる」 「自身の正義を優先したくならないのか?…随分世迷い言を言うのだな」 「何のための法だ。法は民全員に布かれた平等なもの、即ち民にとっての『正義』だ」 「それを個人的感情で左右して構わないと思うのか?個人の正義で秩序が乱れ定義がぶれるなど、民にとっては不平等極まりない」 「法の掲げた正義のもとに職務を全うする。これが私の正義だ」 ○家族 警視庁入庁と同時に一人暮らしをしていたが、現在は妻・菊(きく)と二人で暮らしている。 夫婦仲は円満。二人の間に流れる空気は、春の陽だまりのように穏やかである。子どもは後述の理由によりいない。 *菊(きく) 来待市出身の女性。29歳。控えめで奥ゆかしい家庭的な性格。だが、芯が強く凛としたところがある。 扶養内で勤務するため、週3日ほど近所の書店でパート勤務している。夫にばかり負担をかけ家にいることに対する罪悪感が働くに至るきっかけだが、現在は仕事自体に楽しみを見出している。健気である。 (鬼瓦の稼ぎで十分暮らしていけるため、妻から働きに出ると申し出られその理由を聞いた際は全力で反対した。彼女が心配であり、負担を抱えてほしくないからである。しかし、彼女の意志が固く譲らなかったため、最終的には鬼瓦が折れた。鬼瓦としては、彼女の自由を奪うのもまた望むところではないのだ。) 出会いは大学というありきたりな場所。体調不良で覚束ない足取りだった菊を助けたのがきっかけだった。 菊の父は高圧的な質であり、菊自身、目立たないタイプ。男性に対しこれまで良いイメージを抱けなかったが、初めて男性の優しさに触れ思わず感銘を受けた。この時、一目惚れしてしまったのかもしれない。 とはいえ、その時連絡先まで聞く勇気が菊にあるわけもなく、上級生だということもあり再会の機会はすぐに訪れなかった。 この想いは叶わずとも、せめてちゃんとお礼をさせてほしい。 そう想いを募らせていたところ、ある日偶然書店で再会。嬉しさのあまりしどろもどろになりながらもお礼を伝えると、鬼瓦もちゃんと菊のことを覚えていた。この時、鬼瓦も、(彼にとっては)あのような些細なことで改めてお礼に来る彼女の誠実さ、ひたむきな様子を可愛いと思っていた。 ここから、鬼瓦の言葉足らずな不器用さ、菊のマイナス思考等により紆余曲折あるのだが、無事交際し結婚に至る。 なお、結婚前の検査により菊が子どもの望めない体質であると判明している。しかし、鬼瓦はそれでも構わなかった。現実的な話をするならば、他の兄弟もいるため、後継ぎの問題はそちらに譲れば済むし、今は養子縁組等の制度があるというのもあったが…鬼瓦としてはそんなことはどうでも良い。 菊のことが大切であり、愛している。彼自身も他者に対しここまで大きな感情を抱いたことがなく、今更捨てることなどできない。子どもは勿論嫌いではないが、無理に望むものでもない。菊が苦しまない事の方が彼にとっては重要だった。 そんなこんなで、今日も夫婦円満である。 「…………。」 「なんだ。まだ何かあるのか。………菊?俺にとっては何よりも大切な存在だ。それ以上でも以下でもない」 (相変わらず言葉足らずというか口下手だなあという目で見守られながら) ○技能 【回避・キック・杖・忍び歩き】 幼少より様々な武術を叩き込まれているため、そのような立ち振る舞いが身についている。(忍び歩き→摺り足的なニュアンス) 図体の割に身のこなしは軽い。 拳銃よりも手に馴染む警棒を扱う方が得意であり、不思議と性に合う。(警棒→「杖」2010 P36参照) キックの方が鍛えられているのは、人体の構造的に手より足の方が威力が出せるためである。 【追跡・聞き耳・忍び歩き・目星】 容疑者に悟られぬよう追跡するための隠密スキル。 また、怪しい星に当たりをつける。現場の違和感に気づく等。 【図書館】 任務中時間を無駄にできないため、捜査等の資料は手早く正確に漁る。 【説得】 話せばわかる可能性、相手がまだ引き返せる可能性を考慮する姿勢から。相手の良心を出来る限り信じる。言葉足らずは真摯な態度により補われる。 自身の発言には責任を持ち、その場しのぎで適当なことを言う等不誠実な言動はしない(言いくるめ不所持)。 【法律】 警察官として当然の知識。法に則り職務を全うしている。規律正しく。 ○神話的事象に対して 危険に遭遇すれば、自身を含む全員の生還を目指す。 ただし、自身が強者である自覚はあれど、過信はしておらず、得体の知れない何かにまで通用すると思うほど愚かでもない。また、全てを救えると思い上がるほど傲慢でもない。 何より、自分には守るべき大切な存在がいるため、自己犠牲をしてまで助けるという判断は行えない。哀れには思うが、是非もなし。 敵が人間であった場合、基本的にどのような人間にも良心がある可能性を捨てはしないが、守るべき者(ここでいう守るべきものは家族に限らない)に危害を加えるならば容赦しない。先の通り、全てを救う力はないし、彼にも譲れないものはあるのだ。 ○他PCとの関係 ・大楯 勇護  同課別係の警察官。 ・獅童 竜  同課の警察官。 ▶詐欺特殊殺人事件  十津川皇人が容疑をかけられた事件。被害者がメンタルセラピスト・白浪宝の客であったため、彼も参考人として巻き込まれる事態に。第二課から引き継いだ本件は音喜多宵指揮のもと鬼瓦が捜査に携わった。  4人協力のもと捜査した結果、真犯人の逮捕に至った。この際紆余曲折あって仲良くなった。 ・十津川 皇人  日本三大海運会社、十津川海運の次男。だが、自身は海運業には関わらず、宝石商として気ままな生活をしている。  元々実家の縁で面識があった。  胡散臭い雰囲気の優男でありその上名家という話題性があるためか、上記の容疑をかけられた経験がある。  「客観的に、十津川の振舞いが疑わしいと判断されることについてはその通りだと言わざるを得ないが、犯罪に手を染めるような人間でないことも知っている。…犯人逮捕は警察の責務。仮に彼が旧知でなくとも尽力する。」 ・白浪 宝  事件前、重い荷物が持ち運べず困っていたところを助けたのがきっかけで知り合った。  病弱だが、芯の強い優しい青年であることを知っている。 ・音喜多 宵  同課の上司殿(警視)。愛らしい容姿をしているが、鬼瓦の性格的に外見で侮ったりはしない。  音喜多の優秀さ、勤勉さをよく知っており、尊敬に値する人物だと考えている。  以前、音喜多指揮のもと事件解決に携わった経緯がある。 ○余談 ・家柄ゆえか、自宅での服装は基本的に着流しである。 ・実家は和を基調とした一軒家。裕福。 ・『私』の正義。『俺』の正義とは言っていない。 ・大正時代のインセイン鬼瓦さんのIF。あちらと違い変な歪みは抱えていない。…今のところは。 ・特高の彼よりも色々マイルド。 ・拳銃より警棒の方が手に馴染む理由  警棒というより近接武器と表現した方が正しい。大正の彼とは別人だが通ずるものがあるのかもしれない。 ・自PCにしては珍しく後ろ暗いところのない人物。リアルの人間は割とこんなもんかもしれない。 ○同PLの他PCからの所感(知人等のみ) 久遠 「ふふ。良い人だよね。彼。彼の魂の美しさは神様も気に入ってるんだ」 「あと、色んな出逢いを運んできてくれそうなところも…ね」 「君の行く末に、神の祝福があらんことを」 祈 「きっくんを落とすなんてこのこの~!果報者め~(・∀・)ニヤニヤ」 「って、ちょっと!無表情だからわかりづらいけど引いてるでしょ!私そういうのわかるんだからな!」 「今時男の子だって女の子みたいな恰好するんですー!もー考え方が古めかしいんだから」 「え?男の『子』って年齢じゃない?今そういうのいいでしょ><」 「あ、忘れてた!可愛い子じゃないとどうも気乗りしなくてね………『番人』って感じかな!」 「なんのって?秘密☆彡」 以下クリアシナリオ ○クリアシナリオ ①ねずみ様作『汝、隣人を愛するならば』 KP:柏木 まあさ様  PL:焼き魚様(PC:溝幡 樹)、つかさ クリア報酬等:SAN-2、応急手当+9、目星+7 後遺症:STR、CON、DEX各-2 1か月間のみ(2020.2.23~2020.3.23) ②ma34様作 むつー様改変『沼/男/は/誰/だ?』 KP:焼き魚様 SKP:柏木 まあさ様 PL:時雨様(PC:十津川 皇人)、髪永様(PC:白浪 宝)、けい様(PC:音喜多 宵) ロスト ① 夫は心身ともに強靭です。それは多分彼自身も自負しているし、周囲もそう評するでしょう。 だから、白いベッドで衰弱し眠る夫を見た時は…ありきたりな表現で恐縮ですが、心臓が止まるかと思いました。 目覚めるまでの間は生きた心地がしませんでした。原因不明の病状、このまま目を覚まさなかったら………。 紅い花が咲き乱れる故郷は信仰の深い土地ですが、この時は正に神に祈りました。嗚呼、どうかこの人を奪わないで、と。 祈りが届いたのか…(いえ、彼自身が頑張ったでしょうにこの表現は失礼ですね。)彼は無事目を覚ましてくれました。 私は、何があったのか聞かずにはいられませんでした。 彼は私の様子を見て、一瞬申し訳なさそうな表情をした後、ぽつりぽつりと話してくれました。夢を見ていたのかもしれない。しかし、夢にしてはあまりにも鮮明すぎる、と最初に宣言して。 要約すると、 ・詳細不明の団体に連れ去られ、もう一人の男性とともに実験台にされていた。 ・童話の世界のような場所だったが、凄惨な場所だった。 ・連れてこられた怯える青年を宥める術もなく、しかも途中で自身は毒に侵され殆ど行動できなくなってしまった。 ・それでも、なんとか2人で脱出し戻って来た。 ………といったところでしょうか。 童話というと、彼の事が思い出されますが…ふふ、彼ならば茶化しつつも真剣に耳を傾けるのでしょうね。 ああ、あと、お見舞いに来てくださった彼でも、いつものように微笑みながら疑わず話を聞いてくれるのでしょう。 …いえいえ!和んでる場合ではないのです。 性質上、冗談でこのようなことを言う人ではありません。ええ、ええ。私も来待の人間ですもの。俄かには信じがたいことでも、彼が言うからには冗談であると一蹴などできません。 精神的に堪えているような様子はありませんでしたが、「肝心な時に何もできず、守られる立場の一般人に助けられるとは、鍛錬不足だな」と反省している様子でした。…何とも生真面目な彼らしい。 容体はすぐ安定し、検査の結果も問題ありませんでした。とはいえ、本調子に戻るまでひと月ほどかかるようです。 彼の仕事は常に死と隣り合わせ。そんなことはわかっています。それでも、万が一があった時、受け入れられるのか…妻として情けない限りですが、覚悟が足りていないようです。 彼との穏やかな日々が、どうかこれからも続くよう…祈りましょう。 ②-1 緋色に囲まれた森の奥。緋色の髪色を持った青年がいた。 二礼、二拍手、一礼。 「祓え給い、清め給え。神ながら守り給い、幸え給え〜…なーんて、もう手遅れなんだけども。それでも祈らずにはいられないっ!名は体を表すってこういうことかなっ?え、違う?…などとおちゃらけてみたものの、流石にそんなテンションにはなれないな。語り部反省。」 「……私は、彼のモノガタリのファンさ。まあ、彼に限らず、全人類のモノガタリのファンなわけだが。」 「──だからね、結末を否定なんかしない。モノガタリには、必ず結末が訪れる。それがどんなに幸福なものであろうと、悲惨なものであろうと。」 「だけど。」 「…もうちょっと、彼のモノガタリを見ていたかったなぁ。まったく、彼といい残酷な事をしてくれるよ。君達は。花が散らない世界があったら……等と、云いつつ。それは私の場合、考えるのすら都合が良すぎるな!」 「……君達に、平穏と安らぎがあらんことを。」 彼の呟きは、目の前にそびえ立つ大木に吸い込まれ…呼応するかのように、背後から青年を呼ぶ声がした。 「ああ、ごめんよ。待たせたな!!キリッ!!……此処は不便だよねぇ。君みたいな人の案内がないと来れないんだからさ。まあ、だからこそ御杖代なんて呼ばれるのだろうけども!!」 「…うん。気はすんだよ。行こっか。彼女を待たせてるからね。」 「──さようなら。」 穏やかな青年に導かれ、緋色の髪の青年は立ち去った。 見送る森の主は黙したまま。 だが、去り際。 一陣の風が凪ぎ、彼の声が聴こえた気がした。 「         」 そう、選択がどうであれ、およそ世界を形造る要素に変化など訪れないのだ。 世界から見れば、ほんの些細な離別など与り知らぬことである。万が一観測されたとしても、すぐ忘れ去られてしまう。 だが…そんな小さな出来事でも、大切に思う者は確かにいるのだ。 ──ゆりかごに抱かれるような、忘却の眠りを。 その日の空は、どこまでも蒼く澄み渡っていた。 ②-2 少年が彼の死を知ったのは、怪死事件が騒がれ始めた直後の事であった。 遺体がないため、死が認められるのは随分先なのだが、死亡当時同行していた者の証言から真実であると見なされた。 少年も件の怪死事件の情報収集で多忙ではあったが、知らぬ人ではない上、事件の当時者となれば、行かない理由がない。 少年は遺された彼女の家を訪れた。 そこで聞かされた話は、少年の奥底に沈めている心的外傷に触れるには十分な内容だった。 まさか彼まで、とは感じていない。 正直、彼の職業上そういったことはあり得る話ではあったし、彼自身、そちら側の類の人種であることは明白だった。 だが、彼は自身の手の伸ばせる範囲を弁えているとも思っていた。そのため、少年は告げられた内容に少なからず驚き、ショックを受けていた。 自己犠牲する側の気持ちも最近ほんの少し理解が及んだような気はしたが、それでも。彼の根幹はそう簡単に揺らがないのだ。 「ったく、馬鹿ばっかり……サイアク。」 菊に案内された部屋で、少年は話を飲み込み、言葉を吐き出した。 菊は少年と会話した後すぐ席を外してしまったため、現在この空間には少年と死んだ彼の写真しかない。 「……駄目だよ。そんなこと言っちゃ。」 そう、この空間に声を発する者は自分一人だったのだが……少年の悪態に柔らかな声色で応じる者がいた。 驚き声の方を見てみれば――常々、今は特に会いたくない人物が入り口に立っていた。 「…いたなら声かけてくださいよー。のぞき見ー?盗み聞きー?悪趣味ですねー」 「ふふ。こんにちは。かりやまことさん。」 つい零した言葉をしっかり聞かれていた様子だったこともあり、少年はサイアクだと思いながらそっぽを向いた。 穏やかに微笑む青年は、それを気にしたそぶりなく少年の近くに座った。 「……さっきの発言は、別に思い出したことでもあったのかな。」 「ッ!」 この男は人の心がないんだ、だとか、こんな奴を慕う奴らの気が知れないだとか、過った思いは沢山あったが、それらは全て睨むという行動に収束された。 だが、その行動もほんの一瞬の事だった。 ここで適当にはぐらかすこともできたが、少年にとってそれはこの男から逃げているように思えて癪だった。 「………ああ、そうですよー。まあ、久遠さんみたいな狂人には理解できないでしょうけどねー?」 「……そんなこと、ないよ。」 「喪ったことなんてないくせに、わかったような口利かないでくれませんー?」 「…まことさん……。」 何だその眼差しは。何故そんな憐憫の籠ったような、ある種慈愛の籠ったような瞳を向けられなければならない? 彼は激怒した……と言うと過言になるが、相手の余裕が悔しかった。 少年の口は気づけば止まらなくなっていた。 あなたの思考回路が理解できないこと。 あなたの雰囲気が苦手であること。 兄が死んだ時のあなたの発言がずっと引っかかっていること。 こんなにも悪い人なのに、周囲の誰もがあなたを慕うのも気にくわないこと。 あなたの何もかもが嫌いであること。 気づけば、話は彼に直接関係のない所にまで飛んでいた。 自己犠牲が賛美されるこの世界が嫌い。 遺される者の痛みがわからない世界が嫌い。 兄さんの意志が捻じ曲げられる世界が嫌い。 兄さんが心から笑えない世界が嫌い。 兄さんが救われないまま死んでしまった世界が嫌い。 ――そんな数々の怨嗟を、久遠は相槌すら打たず黙して聞いていた。その顔にはいつの間にか、いつもの穏やかな笑みを携えていた。 やがて声が途切れ、嗚咽が混じり始めた頃。 久遠は少年を優しく抱きしめ頭を撫でていた。 少年には振り払う気力すら残っていなかった。 「…うん。辛かったよね。ずっと誰にも話せなかったんだね。君はとても賢いから。……優しいから。」 少年を包むゆりかごは、どこか深淵に落ちてしまいそうな、仄暗い場所を揺蕩い抜け出せなくなるような、そんな曖昧な感覚しか抱けないものであった。 しかし、少年はこのゆりかごだけは嫌いだとは思わなかった。 「……そんな見え透いた、お世辞で、機嫌取ろうったって……」 「ううん。お世辞じゃなくて本心。君は純粋で、真っすぐで、嘘がつけないんだ。」 「……ハァ?久遠さんの目って、やっぱり、節穴…ですかー?それでも…心理学の、教授ですかー?」 段々落ち着き元気を取り戻したのか、少年の悪態が戻ってきていた。 久遠はふふっと笑いながら気にせず続けた。 「一応そうだよ。……欺いたり取り繕ったりするのと、心を偽るっていうのはまったくの別物。これは僕の個人的な意見なのだけれど……心を偽らないのなら、纏う仮初めもまた、真実なんじゃないかな?」 「…………。何言ってんだか。」 少し可笑しそうに笑ってから、離してください、とぐいーっと押し少年は離れた。 久遠はおっと、と言葉を発しただけで特に抵抗せず振り払われた。 「あ、ええとね。まことさん。……さっきの話だけれど。僕が言ったことで君を傷つけてしまったんだよね。……今更謝っても遅いと思うけれど、ごめんなさい。」 「…謝るなら最初から言うな、やるなって話ですー。それ、自己満足って言うんですよー?自分の気を済ませたいから謝っておきたいって。気持ちの押し付けですー。」 「……うん。そうかもしれないね。でも、謝りたいって思った気持ちは本当。だから言わなきゃと思ったんだ。」 「まあ、良いですよー。許しはしませんけどー。それはそれとして、謝罪は受け取ってあげますー。僕ってホント優しいですからねー。」 「……ふふ。そうだよね。神さまもそう思うって。」 「……それ、35過ぎのオジサンが恥ずかしくないんですかー?とか思っちゃうんですけどー?」 「恥ずかしい?うーん……ただの会話だよ?」 「いや、見えないものとの会話って、よくそんなことしててこの現代社会生活していけますよねー。」 「見えないもの?確かに今は見えないけれど、……声はちゃんと聴こえるから。ふふっ。」 「…………。」 こいつのことはやっぱり苦手だ、と思いつつ、その反面、こいつが現在でも周囲から白い目で見られず暮らしていけるのは天性の雰囲気というものなんだろうな…いやもしくは故郷の影響か……とも思った。 だが、前よりは関係性が変わったように思えた。 それは、相手も同じなのだろうか。 「……………。」 「うん?急に黙り込んで……どうしたの?まことさん。」 「……いえ、なんでもありませんよー。」 いや、恐らくこいつのことは一生理解できない。狂人だし、見えないものと会話するし、考えが合わないし。 でも、前のように傷が抉られる感覚は無くなった。 「……お待たせ。二人とも。いやー。人の家のキッチンだから手間取っちゃってさ!」 扉が開き、緋色の髪を持ったサイドテールの青年が姿を現した。 続いて、家主である彼女も入ってくる。 青年の持つお盆には、人数分のお茶と菓子が置かれていた。 いつものようにマシンガントークを放つ彼から出されたお茶はぬるかった。 ――ある蟠りにも、些細な離別を。 ○??? 「……おや、こんなところに流れ着いたのですか。」 「愚者………いえ、正確に言えば『愚者の形をしている混ざりもの』ですね。」 「…………。」 「まあ良いでしょう。これも何かの縁です。貴方にとって幸か不幸かは知りませんけど……ようこそ、魔法使いの世界(マギカロギア)へ。」 ■簡易用■ 鬼瓦 征一郎(男) 職業:警察官(刑事部捜査第一課・警部補) 年齢:31歳 PL: STR:15  DEX:11  INT:14 アイデア:70 CON:9  APP:14  POW:16  幸 運:80 SIZ:16 SAN:99 EDU:17 知 識:85 H P:13  M P:16  回避:dex*2  ダメージボーナス:1d4 ―――――――――――――――――――――――――― [技能](職業技能点:340 個人技能点:140) (書式:職業/個人<成長>[その他]) ―――――――――――――――――――――――――― [持ち物] ・武器 ――――――――ここに記入―――――――― ・防具 ――――――――ここに記入―――――――― ・所持品 ――――――――ここに記入―――――――― [プロフィール]