タイトル:ハートレス PC1(セッション3終了後) キャラクター名:薬丸 創治 (ヤクマル ソウジ) 種族:人間 年齢:17 性別:男 髪の色:青 / 瞳の色:黄緑 / 肌の色:白 身長:174.9cm 体重:63.4Kg ワークス  :不良高校生 カヴァー  :高校生 シンドローム:ソラリス、モルフェウス ■ライフパス■ 覚醒:死 衝動:自傷 ■能力値と技能■ 【肉体】:2 (シンドローム:0,1 ワークス:1 ボーナス:0 成長:) 〈白兵〉:SL1 / 判定 2r+1 〈回避〉:SL / 判定 2r 〈運転〉:SL2 / 判定 2r+2 二輪 【感覚】:2 (シンドローム:0,2 ワークス:0 ボーナス:0 成長:) 〈射撃〉:SL / 判定 2r 〈知覚〉:SL1 / 判定 2r+1 〈芸術〉:SL1 / 判定 2r+1 料理 【精神】:1 (シンドローム:1,0 ワークス:0 ボーナス:0 成長:) 〈RC〉:SL / 判定 1r 〈意志〉:SL1 / 判定 1r+1 〈知識〉:SL / 判定 1r 【社会】:4 (シンドローム:3,1 ワークス:0 ボーナス:0 成長:) 〈交渉〉:SL / 判定 4r 〈調達〉:SL1 / 判定 4r+1 〈情報〉:SL1 / 判定 4r+1 裏社会 【HP】    25 【侵蝕基本値】 34% 【行動値】   5 【戦闘移動】  10m ■エフェクト■ 《スキル名》         /SL /タイミング      /判定    /対象   /射程/コスト/効果など 《ワーディング》       /★$/オート$       /自動    /シーン  /視界/-$  /非オーヴァードのエキストラ化 《リザレクト》        /1$ /気絶時$       /自動    /自身   /-  /[SL]d$/コスト分のHPで復活 《コンセントレイト:ソラリス》/3 /メジャー       /-      /-     /-  /2   /C値-[LV](下限:7) 《マルチアクション》     /1 /マイナー       /自動    /自身   /至近/3   /マイナーアクションのエフェクト使用以外で1つ行動を行う 《インフィニティウェポン》  /5 /マイナー       /自動    /自身   /至近/3   /武器作成(武器欄参照) 《カスタマイズ》       /3 /メジャー       /白兵    /-     /-  /3   /ダイスボーナス+[LV] 《アドレナリン》       /1 /メジャー/リアクション/【肉体】  /-     /-  /3   /ダイスボーナス+[LV+1] 《ポイズンフォッグ》     /1 /メジャー       /シンドローム/範囲(選択)/-  /3   /1G[LV]回、対象を範囲(選択)に拡大 《クリスタライズ》      /1 /メジャー       /シンドローム/-     /-  /4   /1G3回、装甲無視攻撃。攻撃力+[LV*3] 《オーバードーズ》      /2 /メジャー/リアクション/シンドローム/-     /-  /4   /1G[LV]回、組み合わせたすべてのエフェクトのレベルに+2 《奇跡の雫》         /1 /オート        /自動    /単体   /  /6   /1G1回、HPに+[LV*5]点と戦闘不能を回復。自身を対象にできない 《剣精の手》         /1 /オート        /自動    /自身   /至近/2   /《カスタマイズ》を組み合わせた武器攻撃の判定に使用。1G[LV+1]回、その判定内で1回だけダイス1つの出目を10に変更 《咎人の剣》         /3 /メジャー       /白兵    /-     /-  /4   /攻撃力+[LV*5]。《インフィニティウェポン》で制作した武器による攻撃に組み合わることが可能 ■装備とコンボ■ ・武器とコンボ 名称             価格 種別 命中  攻撃力 G値 射程 メモ インフィニティウェポン   0   1   2r+1  12   3   至近 武器(初期値:12、100%以上:13/15) 通常基本コンボ(侵蝕値:+12) 0   1   7r+1  27   3   至近 制限なし(コンセントレイト:ソラリス+アドレナリン+カスタマイズ+咎人の剣) 通常範囲コンボ(侵蝕値:+15) 0   1   7r+1  27   3   至近 最大:1G1回(通常基本コンボ+ポイズンフォッグ) 本番基本コンボ(侵蝕値:+20) 0   1   13r+1 49   3   至近 最大:1G2回(通常基本コンボ+クリスタライズ+オーバードーズ) 本番範囲コンボ(侵蝕値:+23) 0   1   13r+1 49   3   至近 最大:1G2回(本番基本コンボ+ポイズンフォッグ) 奇跡の雫          0   1   2r+1  0    0   至近 最大:1G1回(HPを10点回復し、戦闘不能を回復) =価格合計= 0 pt ・防具     装甲 回避 移動  価格  名称 / 備考 鎧 :               / 下着:               / 修正: = 合計 =  0   0   5    pt ■所持品■ 名称           単価 個数 価格 備考 バイク          5   1   5   ヴィークル。僕の移動手段。こればかりは作るのではなく、大切にしたい。 思い出の一品       2   1   2   <意志>の達成値に+1。六白傷無との思い出のバッチ コネ:情報屋       1   1   1   <情報:裏社会>の判定に+2d10。美亜とのコネ。個人的にはあまり使いたいとは思わないけど....... コネ:要人へのコネ ×2 1   2   2   (使い捨て)<情報:●●>の判定に+3d10。UGNを始めとした過去の事件関係者とのコネ。こういうのは情報屋の基本らしい....... =所持品合計=     10 pt =装備合計=      0 pt = 価格総計 =     10 pt 【常備化ポイント】 10 pt 【財産ポイント】  0 pt ■ロイス■ 対象               好意  悪意  備考 賢者の石                     10年前のあの日の事故からずっとこの身に宿っている...... 薬丸 誠也(ヤクマル セイヤ)/伯父 誠意  不快感 僕を引き取ってくれた伯父。厳格で自分の意見を押し付けてくるのが嫌いだ...... "ミーアキャット"猫川美亜/協力者 連帯感 疎外感 伯父から逃げ出した僕をしばらくかくまってくれた恩人。共同生活の関係で、どちらかというと姉の感覚に近い気がする....... ■その他■ メモ: ■設定 〇略歴  10年前にとある事故でオーヴァードに覚醒した少年。  一般家庭に生まれ、極々平凡な生活を送っていたが、事故により両親を失い、自身も死亡。しかし、適性があったのか覚醒したタイミングで何故か腹部(ちょうど鳩尾あたり)に埋め込まれている賢者の石の影響か、オーヴァードとして覚醒し、生き延びてしまった。  事故の後にUGNに拾われるも幼い時分で理解できない上に事故のショックで精神的にも追い込まれていたことから、何事もなかったように伯父に引き取られる。しかし、引き取られた先では些細なすれ違いから関係がこじれていき、中学校の卒業を待たずに伯父の元から逃げ出す。その後各地を転々としていたところを『猫川美亜』に拾われ、彼女の手伝いをしながら高校に通うようになる。(入学自体は美亜がUGNのコネを利用する形でイリーガルの立場として入学している)  高校生になってからは、(イリーガルとしての活動を求められた結果)半ば強制的に自分の力と向き合うことになり、いくつかの戦いを経て自分なりの生き方を模索するようになる。  伯父が厳格だったことが幸いして学力についてはほぼ問題ないが、UGNのコネで高校に通っているため彼らの都合で問題の発生した地域へ転校させられることもあり、行く先々で事件に関わることになるため、出席日数が若干危なくなってきているのが最近の悩み。  趣味は料理で、できるだけ簡単で栄養に気を付けたレシピを考えるのが日頃の課題とのこと。ある時期まで自身の料理がシンドロームの影響を受けていたことに気付いて矯正しようと努力したのがきっかけらしいが、いつの間にか凝り性が発動したようで基礎を覚えて以降は簡単においしい料理を作れるようになることを目標に努力するのが楽しくなった様子。  余談だが、この料理の振舞い先が主に美亜に偏ったためにカロリー計算という難題にぶつかったらしく、現在の彼の料理は栄養バランスとカロリー計算が高度のレベルにまとまったものが提供されるとか(ちなみに本人は薄味が好きらしい) 〇性格  少々内罰的で、基本的に強気で来られると尻込みしがち。しかし、精神的負荷が掛かると性格が変化し凶暴性が増す。  覚醒前も少々気弱な普通の少年だったが、事故後に起きた変化(周囲で発生する異常現象(=自身のレネゲイドにまつわるトラブル)や伯父との関係)などで自分に自信が持てなくなっており、人との争うことが苦手になっている。しかし自分の芯となる部分はしっかりと存在し、その点に関しては中々曲げようとはしない(主に食事、人の生き死に、死者に対する考え方)  主張すべきかはっきりしないときほど考えが言葉として出てこないため、会話の流れに「え~?」や「はぁ.....」などの返答が多くなりがちで、正直ツッコミがなってない。それ故か行く先々でいじめの標的にされるのだが、彼の限度を超えると性格が豹変し、いじめに関わった人間たちを対象に恐ろしいほど暴力的に対応してしまう。そのため、出席任数と合わせて問題児のレッテルを張られてしまい、その学校に居辛くなるという連鎖を繰り返している(いじめの事実を隠蔽したい学校側の厄介払いが一番多い)  ちなみに彼が一番落ち着ていられるのは料理の下拵えをしている時らしい。曰く両親と一緒に料理をした記憶を思い出すと共に、食べてくれる誰かの笑顔を思い浮かべると安らぐという。 〇バトルスタイル  巨大な包丁を精製して使って戦う。また、周囲には自身が生成した液状の薬品を水流のようにして纏い、時にはその薬品を戦闘の補助に用いる。  精製される包丁は状況に合わせて違う形に生成される他、一斬り毎に周囲に精製した薬品等で洗浄することで切れ味を確保しているため、刃が薬品の雫を帯びながら振るわれる様が、さながら八犬伝の『村雨』のようだとも称されることがある。  ※バトルイメージ   アドレナリン(@アドレナリン)全開で、行動全般が粗野な振る舞いに変化(若干ヤンキー気味)?   包丁(@インフィニティウェポン)を薬品で精製された水流で研ぎ(@カスタマイズ)ながら斬る。   範囲攻撃は水流をまとめ上げて刃として飛ばす(@ポイズンフォッグ)。   段階が進むと水流や刃の結晶化(@クリスタライズ)が可能になり、全体的に能力強化(@オーバードーズ)が可能。   また、水流を利用して仲間の治癒(@奇跡の雫)もできるようになる。 〇ヴィジュアル  背の高い先導アイチ?(となるとCV:代永翼か?)  料理ができるので幸平 創真もありか?(こちらだとCV:松岡禎丞?) ■裏設定 〇両親  特に大きな設定は考えていない。伯父の設定から、父も堅めのお仕事をやっていたとしておこうとは思っている。  当時七歳に話してもよく分からない感じの仕事で、恐らく「パパは人のためになるすごい仕事をしてるんだぞ~」とか言われて「パパすごいね~」とか言って終わってたイメージ。これだとUGNに所属してたっぽい感じもするが。  上記から母親は専業主婦で、料理が得意な人だった想定。ちなみに父親も休みの日とかに料理をして、滅茶苦茶凝った料理出して好評だったとか、妄想がはかどりそうな感じです(PLのクソ親父とは段違いだ!) 〇伯父との確執  実は本人が自覚なしにやらかしていたのが原因。  伯父自身が(仕事がそういった関連なのもあって)厳格な性格なのは事実だが、彼自身が《隠し味》の効果で思い出の味を再現してしまったため、作った料理が何度やっても両親の作った料理の味付けと同じになってしまった。  結果として「家族の死を受け入れられていない」と勘違いした伯父がより厳しく躾けると共に、若干の罪悪感から辛く当たってしまっている。その上立ち直らせるために色々と手を尽くしていった結果も芳しくなく、そこからこじれて厳しい態度に繋がっている。 〇料理の腕  本人は自分が食べるだけの分しか作らない料理がお手軽レシピのズボラ飯になっているのに対して、弁当や相手がいる料理のクオリティが恐ろしく高くなっている事実に気づいておらず、意識/無意識に関わらず栄養バランスだけはしっかりと考えられているという謎仕様の限定的な才能を有している(これにイージーエフェクトが関わってくるのだから溜まったものではない)  これで将来の夢が料理人でないのは正直甚だ疑問である。 〇性格の反転  《アドレナリン》による興奮による昂ぶりによる変化。  この状態になると基本的に『心に仕舞っていた思い』を吐き出しやすくになる。 抑圧されたものを解放した状態といえるため、自分の理想に近い形で自分を表現するようになる(信念を押し通す強さ、はっきりとした言動、行動力など)  また、溜め込んだものが爆発しているようなものなので、単純に言葉遣いが荒っぽくなる。 〇村雨みたいな包丁  技能で「料理」を取った切っ掛け。  大本はアドレナリンで高揚した状態で刀を振り回すので『村正』かな、と思ったところに他のエフェクトが重なっていった結果がこのありさま。 そんな初期案の名残とイージーエフェクトの設定が重なって刀が包丁に変更された他、キャライメージにまで波及した。  ちなみに『斬魄刀』とか『サトシゲッコウガ』とかいうのは禁止である。 ■成長履歴 〇キャンペーン 1話終了時  ・《インフィニティウェポン》   1 ⇒ 2  ・《カスタマイズ》        1 ⇒ 3  ・《剣精の手》          1 (取得) 〇キャンペーン 2話終了時  ・《インフィニティウェポン》   2 ⇒ 5  ・《咎人の剣》          1 (取得) 〇キャンペーン 3話終了時  ・《コンセントレイト:ソラリス》 2 ⇒ 3  ・《オーバードーズ》       1 ⇒ 2  ・《咎人の剣》          1 ⇒ 3  ・無上厨師            1 (取得)  ・元気の水            1 (取得)  ・声無き声            1 (取得)  ・(技能)調達           0 ⇒ 1   ⇒思い出の一品を購入 ■幕間(SS) 〇1話  --------------------------------------------------------------------------------------------------------------  一日を終えて明日の弁当の下拵えをしていると、今日も自分が生きていることを実感する。  島に来た時は霧谷さんにどう文句を言ってやろうかとまで考えたものだが、三日目にしてジャームと連戦をすることになろうとは全く思わなかった。こんな狭い世界で、ましてや人口が少ないこのような場所でレネゲイドの事件に速攻で関わることになろうだの予想外も甚だしい。正直に言って、今すぐにでも『アノ人』に連絡を取って、即刻この島から逃げ出したい衝動に駆られる。  「(………とはいえ、逃げ出せない理由もある。いや、出来てしまったというべきなんだろうなぁ......)」  逃げ出したいと思ってもそうはいかない理由は明確だ。  『六白 キズナ』。もう死んでいるはずの彼女との出会いと、あの時感じたレネゲイドの反応。  本当ならばことがことだけにUGNに報告でもあげるべきだったのだろうが、猫ヶ入くん(さん?)に説明する前にジャームの襲撃によってタイミングを逸して以降、何となく言いづらくなってしまって今日を終えてしまった。  普通に考えれば確実に頭が可笑しいと、自分自身が断言するであろう死者との邂逅。どこから話していいかも含めると、説明にしり込みしてしまった自分は、やはり意志が弱いままなのだろうと自己嫌悪に陥りそうにもなる。だがそれ以上に、あの出来事がどうしても錯覚や世迷い言と切り捨てることができなかったことが、ましてや大切に思っていた数少ない人物と再び話すことが事実が、自分の『心の芯』を揺さぶってしょうがない。  「(消えていった彼女の姿を考えるなら『実体のない何かとなった彼女の意識』とか、『実は死んでなかった彼女からのレネゲイドを介した思念による疎通』とかかな)」  ……さっきからボクにとって都合のいい妄想が浮かんでくるばかりだ。彼女が死んだことは間違いないとはっきりしているのに、彼女が明確に意思をもってボクとコミュニケーションを取ってきたという認識は僕の心にしこりとして残っている。  ボクがボクである限り、『死者は何も語らない』ことと『死者は蘇らない』ことは揺るがしようのない心理のはずなのに、その二つが相反する形でボクの心を傷つける日が雇用とは思わなかった。  「……あぁっ、もう!」  やはり、思考が横にずれてしまっているせいで下拵えに手を付けていたジャガイモの処理がうまくいかず、台所に野菜を落としてしまった。我ながら考え事をしながら下拵えをしてよく怪我をしないものだと感心するが、それと食材を粗末に扱うのは別問題。自分のポリシーにも反する愚行だ。  気をしっかりと保つつもりで両手で頬を叩き、料理に集中することにした。  --------------------------------------------------------------------------------------------------------------  結局あの後も何度か思考が定まらなくなってしまい、予定の二倍以上のジャガイモを下拵えに出してしまった。  余分なジャガイモは急造でマッシュポテトとポテトサラダに変わってしまった。暫くはグラタンとコロッケが並ぶ日が続きそうだ。……何だったら明日の弁当か支部への差し入れにするか。  「差し入れといえば......」  そう口にしてスマホを掴むと、メッセージアプリを開く。  着信しているグループは2つ。1つはこの島に来ることになって離れてしまった『アノ人』こと『猫川美亜』。昨日の件で情報提供を依頼してしまったため、その件の事後報告と『料理が味気なくて口が寂しい』などといった愚痴が書いてあった。共同生活という形で居候させてもらっていた手前、家事の殆どを引き受けていたボクの料理が食べられなくなったことは彼女の生活環境に些細ながら影響を与えているようだ。  そしてもう1つ。こちらにはこの島で出来たクラスメイトによって強制的に作られたグループだ。転校初日の歓迎会で撮った写真を送る名目で登録されて以降は頻繁にメッセージが上がるものだから、通知のポップを切っていたものがすごい量で溜まっている。  「………えぇ~?」  開いてみたら、一部のクラスメイトがボクが提供した料理で盛り上がっている。歓迎会と称して集められたはずなのに、何故か知らないうちに歓迎される側に準備が回ってくるという超展開を見せた理不尽な会だった。  中盤から『参加者』から『運営者』も変わってしまったボクは本当だったら怒っても良かったのではないだろうか?しかも終盤はお店の人すらボクに注文していたのは気のせいだっただろうか?ボクの中で消化できない何かを抱えながら終えた会ではあったが、グループの最初に貼り付けられた写真にはみんなの笑顔があった。  中心でやたらと輝いた『キラキラ』......じゃなかった白崎くん。強烈なのはキャラだけじゃなく、ジャームに放たれ、多くを一掃したあの攻撃はこの島に蔓延る謎の多いジャームたちに大いに力を発揮してくれるだろう。個人的には近くにいたことがないタイプだけど、友達になれたらきっと面白い人だと思う。  写真を撮ってくれた猫ヶ入くんは明るくて人当りも良い。さすが支部長に抜擢されるだけはあると思う反面、戦闘中にいきなり渡された雷おこしには驚かされたっけ。比較的友達になってくれやすそうだけど猫っぽ過ぎてまだ掴み処が見つからないから、ゆっくり仲良くなれたらいいな......猫っぽいだけだよね?  そういえばジャームになった二人と交友があったように感じだったけど、大丈夫なんだろうか。どこか割り切っているようで、何となくいつもより暗めの印象が悲しみを感じさせていたようにも思うんだけど......  あとはさりげなく写真に写り込んでいる四月朔日さん。初対面が色々と驚きばかりだったから、少し苦手意識に似たものがあったものの、戦闘や調査を通じて悪い人ではないかなとは思った。むしろ放っておくとどこか行っちゃいそうな感じがして、ちょっと目が離せなさそうな感じ。うん、やっぱり変わってる。  「………そして」  最後に目が行くのは、やっぱり彼女、『六白 神無』だ。  キズナの印象を強く残し、キズナ以上にボクに強く関わってこようとする彼女。ボクが聞いたこともなかったキズナの双子の妹と名乗った彼女は、確かにキズナにしか教えていなかったことを知っていた。でもキズナが家族だからという理由でボクの断りもなくそのことを話すだろうか?増して、キズナがボクに彼女のことを話していなかった理由や、写真などを含めて何故彼女とキズナが一緒にいる姿を一度も見たことないのかも気になる。このことに関しては気にしなければならないことが多過ぎる。  それを置いたとしても、彼女はないを考えているか全くわからない。むしろどことなく危機感すら感じるのだ、主にボクの生活圏とパーソナルスペースの保護的な意味で。というか、ほぼ初対面か少し関わったくらいで「今度オムライス作ってあげるね?」はないだろう。キズナを知っているだけに、常識とか倫理観とか重要なことを置いてきぼりにしてきたのではないかと疑ってしまう。それとも何かが天元突破して大切な何かをどこかに落としてきたのではないだろうか。  ……なんだか彼女のことを考えたら背筋が寒くなってきた。  「おやすみなさい。お父さん、お母さん」  部屋で日当たりの良さそうな片隅に置いた位牌に手を合わせて、寝る準備をする。  ベッドに入って、部屋の明かりを落とそうとしたところでスマホが振動して着信を告げた。気になってすぐに開いてみると......  「……えぇ~?何やってるんですか、美亜さん」  その日の最後は、美亜さんからの『小腹が空いてゆで卵を作ろうとしたら、電子レンジで爆発した』という、まさかの報告だった...... (2話に続く)  -------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 〇2話 ※ルビ振りができない仕様なので【文字(ルビ)】のイメージでお読みください  --------------------------------------------------------------------------------------------------------------  「………最悪だ」  帰宅して第一声がこれだった。  いつもなら人の有無に関わらず必ず『ただいま』くらいは言うのがルーティーンだが、今日ばかりはそんな気分にはなれずにいた。  それどころか電気もつけずにリビングまで入ってはテーブルに食材の入った買い物袋をドカンと投げ置き、乱暴に椅子に座るとテーブルに頭を打ち付けんがばかりの勢いで頭を伏せた。  「………ホント、最悪だ」  この島に来て踏んだり蹴ったりだと思ったことは数知れないが、今日ばかりは本当に限界だった。  『オモイデ様』に『黄泉還り』。どれ一つ取っても自分の神経を逆なでする要素が万歳なのに、それを助長させるように雪崩のように押し寄せてきた厄介事。 その上、甘く考えてしまったが故に失われてしまった、当たり前に続くはずだった日常の一つの消失。特に、前者についての対応が遅れたことが後者に絡んでいることが心に大きく影を落としていた。  もし四月朔日先生が時雨さんにとどめを刺していなければ、もし猫ヶ入支部ちょ.....ネコ長や白崎くんがいつも通りにふるまってくれなければ、もっと酷い姿を晒していたかもしれないと思うと、なおのこと心が重くなってくる。  「(あの時ああしてなければ、アレをやれてたら、か)」  手を伸ばせば奪われなかったかもしれなかったもの、奪われてなお貶められてしまったもの。  気にかけていれば失われなかったかもしれない、面影 冬日の命。どんなに考えても届くことのなかったと確信できてしまった時雨 京一郎への言葉。そしてその二つと【突然の来訪者(六白 霧人)】によってもって示された、この島の秘密。  この島において当たり前のように起きている『黄泉還り』が本当に死者蘇生なのだとしても気に入らないが、その仕組みがどういうものか理解できてしまった今では、【求める者(島の人間)】にも【求められているモノ(オモイデ様)】にも怒りしか湧かない。  今を生きている者が死者に想いを馳せることを否定する気はないが、『求める者』に入れなかった人間にとってこの『黄泉還り』というシステムがどれほど心を傷つけるか分かっていないことや、『求める者』がそれを免罪符に自らの足で先に進もうとすらしないということが気に入らない。だからこそボクの手でこの流れを変えなくてはいけないと、ボクの中の『ナニカ』が強く訴えかけてくるのだ。  しかし、戦わなければいけないと思う反面で、確実にしこりとなって残っている感情もある。  ボクの考えの根幹に喰いついてくる、『失ったあの日』への渇望。両親が死ぬ前に当たり前にあった家族の日常や、立ち会うこともなく失った大切な幼馴染との日常。どこかで割り切っていると考えながら、『黄泉還り』を受け入れた者たちが見せる安らいだ日常という瞞しは、確実に『人間』だった自分が求めてやまなかったものでもあることは事実だった。  死んだ人に囚われて、死者に恋い焦がれて壊れてしまった人達。帰ってこない人を求め、禁忌に手を伸ばして、それでも手に入らなくて。その先に気付けなくなってしまった、見えない繋がり。過去に縛られて、今を見ることができなくて、行く先がなくなってしまって行き着いた【ジャーム化(狂気)】を、ボクはこれまでも見続けてきたはずだ。  まして、その【ジャーム化(狂気)】が生み出したものに明るいものなどなかったことは明確だったはずだ。ジャームに殺されてしまった人の関係者、ジャームの狂気の果てに生み出されてしまった命、ジャームとの戦いの中で【ジャーム化(狂気)】囚われてしまった仲間。その多くは『記録から抹消(なかった者)』とされ、場合によっては記憶にすら残らなかった。  そんな経験が、許しがたいことが目の前にある。そういった思いを抱いていながら、それでもなお割り切れない感情を呑み込めずにいる。  「(結局あの日から進めてないのか、ボクは)」  そんなことを考えて、すぐに首を振った。  両親が死んで、伯父さんに育ててもらって、家を出て。オーヴァードとして戦うようになってからなんて、特に強く考えるようになった、それまで刻んだ時間が紡ぐ絆。【オーヴァード(人)】が【オーヴァード(人)】であれる最大の理由。  昔、誰かが『『生きる』という字は『人』が【土(地面)】を踏みしめている姿を指している』という話をしていて、それを聞いた祖父が『生きているなら、ちゃんと地面で踏ん張ってなきゃいけないんだよ』と、ボクを諭すために行った言葉。どんなに辛くても、生きている限りは立ち続けて次に繋がるまでは自分勝手に終わってはいけない。木の枝のように、【亡くして(折れて)】しまった先が新しい芽を出すように、次に繋げるためにその先を【生きる者(自分)】が育てていくんだと続けられた、今は亡き祖父の考え。  「死んだ人間は戻らない………でも、覚えている人がいる限りはその人は消えない」  どこかでありふれた様に使われる言葉だが、両親の死と祖父の考えは、それぞれを失ってなおボクの【メモリー(心)】に刻まれた【オーヴァード(今)】のボクにとって大切な【原点(オリジン)】であり、ボクが明日に向かっていくための【約束(道標)】。あの日、一度は折れそうになったボクが立ち上がれるようになったキッカケであるこの話は、元は他人の受け売りだったけれども、ボクにとっては【化物(今)】を続けているからこそ正しいと思える【信念(確信)】だ。  そこに優しさはないのかもしれない。だとしても、決してそうだとしても.....  「………やっぱり間違ってるんだよ、死んだ人に自分の想いを押し付けるなんて」  死者との明日を求めることはいろいろと思うこともあるが、今はそれ以上に『黄泉還り』などといってその実は他者に押し付けられた理想を具現化しているようにしか見えなかった『マガイモノ』の産物への嫌悪感が強い。過去に囚われて進めなくなってしまった人達にとって、それは一時的とはいえ確かに救いとなるかもしれない。しかし、その救いに囚われてしまった人達の末路を見ても【求められているモノ(オモイデ様)】とやらは何も考えないのだろうか?  少なくとも現状と相容れることだけは、決して認めるわけにはいかない。このまま静観して、ボク自身が止まることだけは許さない。  面影 小春が語るには『縁切りの祭り』とやらで、今回の一件は沈静化するといっていたが、『黄泉還り』の対象者がジャームになる可能性があるという事実がある以上、ただ鎮静化するといって楽観視するわけにはいかない。  恐らく、『縁切りの祭り』とやらは、『黄泉還り』の対象となった者をジャーム化させずに消滅させると共に、『黄泉還り』を望んだ者の『ロイス(繋がり)』を正しく、緩やかに昇華させるための儀式か何かなのだろう。しかし、傷無の『黄泉還り』に異常が起きているとの言い分がある以上、きっと問題が起こるに決まっている。儀式自体はともかく、絶対に事前の準備は必要だ。  幸い、こっちの思いをを知ってか知らないでか、この件に対するファクターもボクの下に集まってきている。  「………『死んだはずの人間』、『知らされなかった人間』、『語らない人間』、か」  『六白 傷無』。死してなお自分の身を案じてくれる、大切な幼馴染。『黄泉還り』を疑いながら、その対象者とは明らかに違う様子を見せる彼女。これまでの感じからしても、『黄泉還り』と異なった存在である彼女はきっと『オモイデ様』とやらについても詳しいはずだ。  『六白 神無』。この島で出会った傷無の双子の妹を名乗る少女。まるで突然生まれたような、幼馴染をなぞるように行動する『ナニモノ』か。傷無のようでいて、まるで傷無のようにボクのことを知っている彼女は明らかにこの島における違和感の一つだ。  そして、『六白 霧人』。今になって現れた傷無の兄。この島の秘密に一番近く、今の事態において一番不自然な最重要参考人。ボク達に『オモイデ様』の存在を語り、恐らく僕以上に傷無の復活を望んでいるはずの人物。  自分に関係する3人の関係者が、それぞれ抱えているものを繋ぎ合わせれば、きっと答えがわかるはず。そのはずなのに、どうしてもそれを追いかける気になれない自分がいることは、自分の中の見えない恐れがあるからなのか.....  それでも、こんなものを見せられた以上、ボクは絶対に逃げられない理由がある。  父の、母の、何より傷無の死に対するボクの結論を、そして今日までの生き方を否定されるわけにはいかない.....最初に傷無と再会したあの日、死んだ人間が目の前に現れたあの日、それまでにボクが抱いてきた確信をボク自身が諦めないために。そしてこれからを生きて、活きて、逝きていくために。なによりも終わってしまったモノを明日に【繋げて(生かして)】いくために。  そのためにも.....  「………傷無、君にはすべてを話してもらう」  .....たとえ君と【敵対する(道を違える)】ことになっても。 (3話に続く)  -------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 〇3話  --------------------------------------------------------------------------------------------------------------  「(......失敗した)」  白く眩んだ世界の中で、ボクはあの土壇場での失態に気付いてしまった。  自分が取った行動が、島を、仲間を、友人を危険にさらしてしまったことに、愕然とする。  どうして、ボクは美作先生の妨害に対して『オモイデ様』に手を伸ばすなんて真似をしたのだろう。  本来ならば、あの場合の最適解は『美作先生への攻撃ないし妨害』か『オモイデ様の破壊』だったはずだ。なのに、ボクはあの場面で咄嗟に『オモイデ様』に手を伸ばしていた。  傷無に言われた言葉が思考のどこかに残っていたのは間違いない。だけどボクの信念が揺らいでいなければ、それを無視して『黄泉還り』をぶち壊すくらいの行動をとっていたはずだ。  でも実際はそれ以上の『ナニカ』に突き動かされ、気付いた時には今の状態に甘んじてしまっている。  ......一体ボクは何をしている。どうして意思を......遺志を貫けない。ボクの答えは一体どこにある......  お父さん、お母さん、爺ちゃん。ボクは一体どうしたらいい......? (4話に続く)  -------------------------------------------------------------------------------------------------------------- (以下補足 … 次回の記載時に削除)  前回セッションでPL側が最後の最後まで色々と考えた結果が今の彼の心情です。  前回のエンディングであえて攻撃的なリアクションを起こさなかったのは、4話目の展開を前に覚悟を決めすぎるとそれにロールが縛られそうだったので、次のセッションまである程度キャラクターの行く末を柔らかくしたかったこともあります(ちょっと覚悟決めすぎてて、PLがガチで『これはアカン』と感じていたので......)  最初はここで覚悟を決めて傷無に対してメモリーを取ろうと思ったのですが、次のシナリオハンドアウトのロイスを見て断念しました。そしてこんな彼の心情を考えた結果、まさかの両親と祖父に対してもメモリーが取れなくなってしまうという悪循環に陥っています(最後まで『感情:遺志』で取得を目指したのですが、今以上に良いこじつけを思いつきませんでした)  その結果がイージーエフェクトと常備品の拡充な当たり、私の迷走っぷりが如実に表れているのが判って頂けるかと思います。  前日まで考えた結果がこれなんで、当日のロールがきつくてきつくて、泣きたい。 〇4話  --------------------------------------------------------------------------------------------------------------  -------------------------------------------------------------------------------------------------------------- url: https://charasheet.vampire-blood.net/2431378