タイトル:冥星 音(くらぼし とおん) キャラクター名:冥星 音(くらぼし とおん) 種族:吸血鬼 年齢:17 性別:女 髪の色:銀色 / 瞳の色:赤色 / 肌の色:白色 身長:156.8 体重:やせ気味 ワークス  :不良高校生 カヴァー  :高校生 シンドローム:ハヌマーン、ブラム=ストーカー ■ライフパス■ 覚醒:死 衝動:吸血 ■能力値と技能■ 【肉体】:3 (シンドローム:1,1 ワークス:1 ボーナス:0 成長:) 〈白兵〉:SL1 / 判定 3r+1 〈回避〉:SL / 判定 3r 〈運転〉:SL2 / 判定 3r+2 二輪車 【感覚】:3 (シンドローム:1,2 ワークス:0 ボーナス:0 成長:) 〈射撃〉:SL / 判定 3r 〈知覚〉:SL1 / 判定 3r+1 〈芸術〉:SL6 / 判定 3r+6 ピアノ 【精神】:2 (シンドローム:1,1 ワークス:0 ボーナス:0 成長:) 〈RC〉:SL1 / 判定 2r+1 〈意志〉:SL1 / 判定 2r+1 〈知識〉:SL / 判定 2r 【社会】:1 (シンドローム:1,0 ワークス:0 ボーナス:0 成長:) 〈交渉〉:SL / 判定 1r 〈調達〉:SL1 / 判定 1r+1 〈情報〉:SL1 / 判定 1r+1 裏社会 【HP】    28 【侵蝕基本値】 38% 【行動値】   8 【戦闘移動】  13m ■エフェクト■ 《スキル名》          /SL /タイミング/判定/対象   /射程/コスト/効果など 《ワーディング》        /★$/オート$  /自動/シーン  /視界/-$  /非オーヴァードのエキストラ化 《リザレクト》         /1$ /気絶時$  /自動/自身   /-  /[SL]d$/コスト分のHPで復活 《音界の王》          /1 /メジャー /-  /-     /-  /6   /このエフェクトを組み合わせたハヌマーンエフェクトのレベル+1する。この効果で最大レベルを超えてもいい。ただし、この効果でエフェクトの使用回数は増加しない。1シナリオLV回 《鮮血の一撃》         /1 /メジャー /対決/-     /武器/2   /このエフェクトを組み合わせた白兵攻撃のダイス+[LV+1]個する。あなたの2点のHPを消費 《コンセントレイト:ハヌマーン》/2 /メジャー /-  /-     /-  /2   /C値-LV(下限値7) 《リミットリリース》      /1 /オート  /自動/自身   /至近/6   /貴女が判定を行う直前に使用する。その判定のC値を-1(下限値5)する。1シナリオ1回 《血の宴》           /1 /メジャー /対決/範囲(選択)/-  /3   /エフェクトを組み合わせた攻撃の対象を範囲(選択)に変更する。1シナリオLV回。 《ウェポンフォーカス》     /2 /常時   /自動/自身   /至近/-   /《風斬糸》 攻撃の命中判定の達成値+LVする。侵蝕率基本値+3する。 《吠え猛る爪》         /1 /メジャー /対決/-     /武器/2   /装甲無視、攻撃力-[5-LV](最大0)する。 ■装備とコンボ■ ・武器とコンボ 名称  価格 種別 命中 攻撃力 G値 射程 メモ 風斬糸    1   3r-2 12   0   15m =価格合計= 0 pt ・防具     装甲 回避 移動  価格  名称 / 備考 鎧 :               / 下着:               / 修正: = 合計 =  0   0   8    pt ■所持品■ 名称  単価   個数 価格 備考 風斬糸 経験点36 1   0   種別:白兵 技能:《白兵》 命中:-5 攻撃力:12 ガード値:0 射程:15m          1   0          1   0 =所持品合計=     0 pt =装備合計=      0 pt = 価格総計 =     0 pt 【常備化ポイント】 4 pt 【財産ポイント】   pt ■ロイス■ 対象  好意  悪意  備考 音使い         上級P54 ハヌマーンシンドロームを持つPCしか取得できない。《音界の王》のエフェクトを1レベルで取得する。経験点は必要なく、通常通り成長させることができる。ハヌマーンのエフェクトとして扱う。 音星茜 信頼  不信感 Pで取得。 唯一信頼がおけて気さくに話せる人。ただ自分の身に起こっている異変については話していない。身体の変化やピアノ奏者休止について深く詮索しない為助かっているが、胸中ではどんな風に思っているのか、他の人と同じように思っているのではないかと不信感を拭えない。 吸血鬼 好奇心 恐怖  Nで取得。 自分の耳を治してくれた存在。異常な存在であり、同じような存在になった今では畏怖に似た感情ばかりが起こる。ただ、彼が一体何者なのか興味はある。 桜の主 幸福感 憐憫  Pで取得。 友達のような存在。吸血衝動に耐えかねた時や精神的に辛い気分になった時に公園まで来ては幹に寝転がって話しかけたりしている。友情に近い感情を抱いているが、そんな自分が酷く憐れに感じる時が多々ある。 ■その他■ メモ: 名前:冥星 音(くらぼし とおん) 性別:女 年齢:17 ブリード:クロスブリード シンドローム:ブラム=ストーカー/ハヌマーン ワークス/カヴァー: 不良高校生/高校生 所属:桜木第一高等学校 コードネーム:蒼血の楽魔(楽魔と略されることが多い)、UGN寄りのものはない為名付けてもらえると嬉しいです。 誕生日:5/30 身長/体重:156.8cm/身長に対してやせ気味 好きなもの:月光(特に第2楽章)、苺ジャムの塗られたトースト、父親 嫌いなもの:怒鳴り声を上げる人、苺ジャムとマーガリンが同時に出るアレ(苺ジャムだけでいいじゃないか)、楽魔という名 苦手なもの:日光、お節介焼きな人間、母親 一人称:平常時はオレ、勝手知ったる仲なら私 二人称:アンタ、お前。勝手知ったる仲なら名前、君 口調:他人を寄せ付けないような棘っぽく荒い言葉遣い。 挨拶1:「(ヘッドフォンを外して)挨拶? オレの名前は冥星音(くらぼしとおん)、17歳、高校生。もういいだろ? 音楽聴いてるんだ、あっちいけ(再びヘッドフォンを付ける)。」 挨拶2:「音星明(おとぼしあきら)、音星音楽塾所属です。はい、音星陽(おとぼしよう)の一人娘の、父にはまだ及びませんが……。ですが、今宵は皆様方に、第二の楽聖の誕生を予感させられる、そんな夜にしてみせます!」 好感度(弱):「関わってくるなよ。お前らも不良なんかと関わり合いたくはないだろ? オレもお前らと関わり合いたくない」 好感度(中):「オレに関わっても碌なことにならねえぞ。オレは──。……いや、何でもねえよ。くそ、だからお節介焼きは苦手なんだ……」 好感度(強):「私はね、楽魔なんて呼ばれてるようなどうしようもない人間なんだよ。それに、君の中を流れる血の音、心臓の鼓動が聴こえてくるんだ。そうするとさ……血が飲みたくて飲みたくて堪らなくなる、どうしようもなくさ。まるで吸血鬼でしょ。……お願いだよ。私はまだ、人間でいたい」 プライベート:「♪(ピアノソナタ月光) ……ば!? ピアノ弾いてんだよ! 文句あっか!!」 ビジネス:「お金は要らない、代わりにアンタの血を飲ませて。そうしてくれれば、好きなだけ──」 会話1:「大丈夫か? いや、困ってる気がしたんでな。オレでいいなら話ぐらい聞いてやるよ」 会話2:「身体が熱い、喉乾いた……。血が欲しくて仕方がないなんて、本当に化物みたいじゃん。このまま人間じゃなくなるぐらいならいっそ──」 会話3:「私の父さんは現代の楽聖って言われる程度には凄いピアノ奏者で、音楽家だったんだ。それが、私ときたら真逆の楽魔。悪魔と契約した魔女だってさ。今となって思うけど、人間として音楽に向き合っていれば、それだけで良かったんだよ。……もう、どうしようもないけどさ」 攻撃1:「あんまり動くなよ? 音が狂う」 攻撃2:「今宵の月光。楽魔の演奏会には最高の舞台だとは思わない? さて、あなたは最後まで聴いてくれるのかな?」 ・桜木市に通う不良高校生。素行不良が目立つものの、成績は学年でもトップ層に位置する。天才音楽少女、音星明に似ているという噂もあるが、真相は定かではない。レネゲイドウイルスやオーヴァード、UGNといった言葉は知らず、一般人として日常を過ごしているが、自分が人間を辞めてしまっていることは自覚している。 ・吸血鬼の因子という特異なレネゲイドウイルスを植え付けられたことでオーヴァードに覚醒している。その影響から鋭い聴覚と音感を獲得したが、日光に弱くなる、定期的に他者の血液を吸わなければ暴走するなど、吸血鬼に似た特性を持ってしまっている。その影響から、精神的にも、オーヴァードとしても何かと不安定な部分が多い。 ・音楽があれば一人ぼっちでも生きていけると豪語するほどの音楽狂いで音楽に対してはストイックな姿勢で取り組んでいる。だが、覚醒したことで得た音感によって自分は未来永劫、音楽の極致に至ることはできないと諦観している。  音楽好きの不良高校生。  遅刻、欠席の常習犯であり、授業中でもお構いなしにヘッドフォンで音楽を聴いていたり、深夜帯に市内をうろついているところを度々目撃されていることから高校内では有名な不良学生として扱われている。  ただ、試験で赤点を取ったことはない。それどころか同学年の中では上位に食い込む程度の成績である為、彼女の持つ威圧感も相まって教師たちが積極的に指導をすることは殆どない。  風評や、彼女自身が周囲の人間を寄せ付けないような対応を取っていることもあって、基本的にいつも一人で過ごしている。偶に音楽室に忍び込んでピアノを奏でている姿を目撃されることもあるが、その時はばつが悪そうに毒を吐いて脱兎のように逃げていく。その演奏はプロ顔負けのもので、不良学生であるはずの彼女の意外な側面として語り草になることもあるとかないとか。尚、この風評は信憑性がないものとされ、真に受けている人間は殆どいない。  町外れの古びた屋敷で1人暮らしをしており、家にいる時間の殆どを演奏の時間に割り当てている。作曲をしたり、ラジオや母親から渡されたCDやレコードで音楽を聴いたりすることもある。  演奏に没入しすぎた影響で寝食を忘れ翌日に響くこともしばしばあり、それが遅刻、欠席を引き起こす原因となっている(本人の意思で遅刻、欠席することもあるが)。 ・名前:冥星 音(くらぼし とーん) 、コードネーム:蒼血の楽魔  冥星音は偽名であり、本名を音星明という。  父親は現代の楽聖と称され、数年前に忽然と失踪した音楽家でピアノ奏者、音星陽。  彼女もまた父親の名に引けを取らない程のピアノ奏者であり、3歳の時分にピアノと出会うと6歳の頃に大規模の演奏会に参加し、(父親の知名度もあるが)その名が知れ渡る。以降からは音楽界でその腕を遺憾なく振るい、二代目の楽聖となる存在として注目を浴びていた。  しかし、明が14歳の頃、重篤な耳の病を患ったことで音楽の道が絶たれてしまう。  その当時は連日のようにマスメディアに取り上げられ世間全体から同情的な視線を送られていたが、結局それも数か月後には見向きもされなくなり、その存在は忘れ去られていった。  が、彼女は15歳になると、耳の生涯を克服し音楽界へと舞い戻ってくる。  その演奏は衰えることはなく、それどころか1年前とは最早比べ物にならない程に変貌していた。  その復活、異常とも言える才能の熟達には、界隈の著名人たちも感嘆の音を上げた。  だが、それ以上に彼女を畏怖し、気持ち悪がる声が上がった。  その為彼女を指して、「蒼血の楽魔」と称した。奴は悪魔と契約して、人間を辞めたのだと。  そんな風表がまことしやかに囁かれた頃、彼女が16歳に上がる頃。彼女は学業への専念を理由に再び音楽界から去っていく。  彼女の行動を無責任、音楽からの逃避と称し、界隈やマスメディアを問わず口々に彼女を非難した。契約の任期が切れてまた耳が聞こえなくなった、などという根も葉もない噂が囁かれた。  そういうこともあって世間体なども鑑みて、音星明という名前ではなく冥星音という偽名で生活すること、元々通っていた高校から遠い場所に転校してそこで勉強することを母親から提案され、彼女もまたそれを承諾した。  現在の彼女は冥星音として気の向くままに音楽に触れ、静かに一人で生活している。 ・ブリード:クロスブリード シンドローム:ブラム=ストーカー/ハヌマーン 覚醒:死 衝動:吸血 Dロイス:音使い エフェクト  ブラム=ストーカーとハヌマーンシンドロームのオーヴァード。本人は自分が人間ではなくなっていることを理解している。が、自分がオーヴァードという存在であることは認知していない。そもそも、オーヴァードという言葉を知らない。  UGNには監視対象にされているのかもしれない。少なくともこの世界が変貌してしまっているということ、UGNやFHという組織が暗躍していること、そういった世界の真実を知らないのだ。  オーヴァードとしての戦闘経験はないが、自分のエフェクトや能力の傾向は身体の方が把握している為、自然体でエフェクトを使用できる。  ・音使い  音がオーヴァードに覚醒してから、その体内には強靭で鋭利な細い糸が備わっている。  彼女はある程度この糸をコントロールすることができており、音楽室の鍵をピッキングしたり、飛んできた野球ボールから身を守ったりなどの用途で何かと使っている。戦闘においても、自らの血液を馴染ませることで糸の本数と長さを伸ばし、より多い対象に攻撃を行うことができるようになる。  但し、この糸の本質はそこではない。  この糸はエグザイルシンドロームのような形状変化ではなく、彼女の音使いとしての力と吸血鬼の因子が交わることで生み出されたもので、本質はワイヤーではなく、そこから奏でられる音にこそある。  その音に聞き惚れてしまったなら最早それは彼女の術中に嵌まったのと同義で、後は肉体をずたずたに裂かれ血液を啜られるのみである。  尚、本人はこの音使いの力を自覚していない。  声が凶器となる者もいる音使いという存在の中で、彼女のようなオーヴァードとして不安定な存在は危険因子となりうるだろう。しかし、彼女はこの力を現在に至るまでただの一回を除いて暴走させたことはない。その一回も、大事という程ではなかった。  不安定な彼女が力を暴走させていないのは、彼女に埋め込まれた『吸血鬼の因子』が関係しているようだ。まぁ、その一回の暴走を招いたのも、この因子のせいであるのだが。  ・EE  音の聴覚は覚醒した時から鋭く強化されており、耳をすませば体内を流れる血液の音さえ聞こえる。この血液の音から対象の情報を知ったり、嘘を吐いているか見抜くこともできる。  彼女が覚醒したのは、彼女が14歳の時。  当時、重篤な耳の病を患ったことで耳の障害を持ってしまった。  音楽家としての道を断たれたことで自らの運命に絶望し自殺未遂を起こす程に心を病んでいた彼女だったが、母親の仕事の都合でイギリスへと旅行に行った時、彼女は一人の男と出会う。美しい月光が差し込む夜分、彼女の部屋で。  男はその装いの通りに紳士的で、珍客の来訪に驚いていた彼女に優しく声を掛けた。  男の声は甘美で、不思議な魅力を感じさせるものだった。決して大きな声でなかったのに、その声は彼女に不思議なほど澄んで届き、徐々にその警戒心が溶けていく。 「悪いね。私はキミのファンなものだから。失礼極まりないことは自覚しているが、居ても立ってもいられなくなってね」 「君の奏でる『月光』、ソナタのね。陽氏のものよりも私は好きなんだ。いや、今日の月光は見事で、あぁ空がね。こんな月夜にはキミの月光がよく似合うだろうね」  数度の会話の後、男は言う。 「耳が元のように聴こえるようになりたいか?」 「……ええ。なりたい!」  彼女は即答した。なんとなく、この男は自分の耳を治せるのではないかと直感したからだ。  男はそれを聞き届けると、彼女の後ろに回りその指先を彼女の耳の中に突き刺した。  彼女が次に目を覚ました時、月の光は未だに外から差し込んでいた。男はいない。  路地の、空き地の方だろうか。野犬の、煩い声が聞こえてきた。  それから彼女は音楽界へと舞い戻る。姿は、その夜から変わってしまったから髪は黒く染め、眼には黒色のカラーコンタクトを嵌めることで誤魔化した。  演奏は彼女ですら驚愕する程に熟達していた。いや、耳、男に治された耳によって、どれだけ細かな音であろうとも支配することができた。  当初、彼女は再びピアノを弾けることに歓喜した。弾けなくなった時から欠けてしまったものが戻ってきた、そう感じたから。  それに、自分で奏でる音の美しさに自分で酔っていた。自惚れという程ではないが、目指していた父親を越えたと本気で思ったのだ。  称賛の声も、単純に嬉しかった。  だが、楽魔という名を耳にした時、彼女は再び苦悩に陥る。  彼女が目指していたのは、失踪した父親がそれまでに呼ばれていた楽聖という称号。父親の背中を追いかけ、彼女は音楽界でピアノ奏者として活動していたのだ。  それが、真逆の楽魔と称されている。奴は悪魔と契約して才能を得た魔女、だと。  今まで、そんなことは考えもしなかった彼女だったが一度考え出すと止まることを知らなかった。  あの夜に出会った男は悪魔だったのではないか?  自分は悪魔と契約した力を振るっているだけなのではないか?  自分は本当に、自分の力で父親を越えることはできたのか?  自分は……音楽を穢したのではないのか?  考えれば考える程に辛い気持ちになり、音楽界で生きることがただただ苦痛になっていった。  また、彼女はもう一つの問題を抱えていた。  血への飢えだ。  彼女は男によって耳を治されてから元よりも耳が良くなっていた、異常なほどに。近くにいる人間、その中を巡る血液の音さえ聴こえる程に。  その鼓動が聞こえる度に、口内から涎が零れるような気がして口元を拭う。高級な肉を目の前にした時のように、溢れる食欲を感じた。  人が近くにいるだけでこれであるわけで、演奏会のように多くの人間が犇めく空間に立たされるとその衝動は更に掻き立てられる。  また、時折水で潤すことのできない猛烈な渇きと熱を感じるようになり、激しい吸血欲求を覚えた。  彼女の日常は、いつ自分が他人を襲ってしまうか、自分が本物の悪魔、化物になってしまうか怯え、必死に衝動を抑え続けるものへと変貌した。  そして、あくる日。演奏を終えた楽屋の中で、自分の手から伸びた細い糸、その糸と自らの手にべったりとこびりついた誰のものかも分からない血液を見た時、彼女の中で大事な物が音を立てて崩れ落ちたのだった。  その翌日に彼女は、学業に専念するという理由でピアノ奏者の休業を各所に伝えた。  逃避と称され非難や誹謗中傷を受けたが彼女の決意は揺らぐことはなかった。これ以上この界隈にいればいずれ取り返しのつかないことをすると知っていたから。  母親は彼女の決断を受け入れ、彼女が休めるように手回しをした。慣れたような手つきだったこと、少しとして反対しなかったことに少しばかり疑問を感じていたが、母親は何も言わなかったし、彼女も何も聞かなかった。  彼女は今、冥星音として、静かで一人ぼっちの生活を享受している。その生活には音楽だけが溢れていて、動物や植物たちに向けて演奏するのも楽しいことを教えてくれた。  だが、時折彼女はどうしようもない渇きと餓えを覚えることがある。全身の水分を抜かれたような干上がりを覚え、焼けるような熱さが身を焦がす気がした。  それをいつもは我慢しているのだが、時折どうしようもなくなり誰かを襲ってしまうのではないか、そんな不安を覚えることがある。  そのときには彼女は血を飲ませてくれる相手を求める。手段は決して褒められたものではないし非常に危険なものであったが、その他に方法を思いつかなかったから、彼女は自らの身体を売っている。  深夜帯に街を徘徊するのはその相手に会いに行く、もしくは探す為。  楽屋の中で他者の血を舐めたその日から、彼女は渇きの潤し方を心得ていた。血の味も、それが今の自分にとって何よりも美味しいと感じることも。こんな手段はきっと許されることはないことで、自分はどうしようもなく化物になってしまったのだと実感させられる。  それでも、他者を襲い血を啜る、吸血鬼のようにだけはなりたくなかった。  本当の吸血鬼(ばけもの)になりたくない、誰に許されなくても人間、音星明でいたい。それが彼女が他者を寄せ付けない理由である。 ・ワークス/カヴァー: 不良高校生/高校生、所属:桜木第一高等学校  桜木第一高等学校に通っている高校生。素行不良だが、成績は優秀。  部活動には強制的に入れさせられるため、家庭科部に所属している。正直、何部でも問題はない為変更可能。幽霊部員である。  普段から一人で行動し、何者も寄せ付けない振る舞いを見せている為、学校では不良のレッテルを張られ敬遠されている。  偶に勘のいい人間、噂好きの人間から音星明ではないか、と疑われることもあるが、世間での音星明の印象とは真逆な雰囲気を持ち、何より日本人とは思えない銀髪と赤眼から結局は他人の空似ということで片付けられる。  出没しがちな場所は曇の日なら屋上、陽が昇っている場合は人気のない校舎裏など日の当たらない、人気のない場所。音楽室に忍び込んでピアノを弾いてる時は言ってしまえば、ピアノが弾きたくてどうしようもないという一種の禁断症状が出ている時であり、そういう時には糸でこじ開けて侵入している。  一曲弾き終えたら満足げに帰っていく。そんな生物。 ・ロイス  ・Dロイス:音使い  ハヌマーンシンドロームのDロイス、音使いの力を持っている。  男に耳を治されたときから元々持っていた優れた音感が更に花開き、悪魔と契約して得たと称される程の音感を獲得する。彼女もまた、その男の異常性、自分の身体の変化、当時の不安定な精神状態から、自分は自分の弱さから音楽の悪魔と契約してこの音感を得てしまったと思い込んでおり、音楽界に居続けることが赦されないことのように感じたこともあって去ることを決意した。  実際、男によって埋め込まれた吸血鬼の因子によってこの力が開花したことに間違いはない。だが、音使いの力自体は彼女の中に元々備わっていたものであり、因子がその可能性と結びついて力を表出させたに過ぎない。  言ってしまえば、彼女は悪魔と契約したのではなく元々、悪魔になる素質を持っていた。  ・音星茜  音星陽の妻で音の母親。音楽系企業の女社長。  勝気で人情家、周りの人間を引っ張っていくリーダーシップも兼ね揃えた女性であり、部下からの信頼も厚い。だが、音楽や娘に関する事柄になれば何者よりも冷徹で貪欲になり、一切の容赦、妥協がなくなる。その影響で親類やライバル企業、果ては音楽界からも悪評が出ている。  経営手腕はまずまずだが、音楽関係への嗅覚(聴覚?)が尋常ではない程立ち、音楽業界の拡大に対して凄まじいまでの貪欲さを持っていることもあって、中小企業として立ち上げた数年後には大企業にも引けを取らない企業へと成長させた。  茜は元来奏者としての才覚に恵まれず、それも含めて聴者として音楽狂いであり、陽と婚姻したのも彼の奏でる音に魅了され自分の前でだけずっと弾いて欲しいという願望があったからである。人間としての陽に対して愛を持ち合わせていなかったが、演奏者としての陽に対してなら無類の愛を持っていた。  音を生んでからも陽への愛は冷めることはなかったが、3歳の頃に音がピアノの玩具を用いて陽の演奏を完全とは言い難くも殆どコピーしている姿を目撃した時、陽への愛が音への愛にガラッと変わる。  以降は、演奏者としての道に進むことを反対する陽の意見を一切無視して音をその道へと誘い、奏者として成長していく音を増して溺愛するようになる。  音が耳の病を患った時には音と同様に深い絶望に陥り、イギリスへの商談に音を連れて行ったのはその商談の後に音と共に心中しようと考えた為である。  が、彼女の耳が理由は分からないが治り、その演奏が元々のものよりも遥かに上達していることを知り、より一層音への偏愛を深めていく。  音が現在抱えている苦悩に関しては彼女は知らないし、知る気もない。知ったとしても、意に介することはない。音が学業に集中したい、演奏者を休みたいと言った時には少しばかり惜しい気持ちもあったが、下手に縛り付けてしまえば取り逃してしまうことは陽が失踪した時に学んでいた為、彼女の為に桜木市の屋敷と土地を買い身元がばれないように戸籍の詐称など、手を回した。ただ、年に数度の休暇の時には顔を出すようにきつく約束はさせた。でなければ、自分が狂ってしまうだろうから。  茜は音を人間として愛していない。演奏者としてしか愛していない。  ただ、音を越え、自らを滾らせる音楽家がこの先出ることはないと本能的に理解している為、茜が音を取り逃がすことはない。喩え音の正体を知ったとしても茜は音を喪うぐらいなら血を全て抜かれても構わないと本心から告げるだろう。 ・基本的な食事がイチゴジャムの塗られたトーストとホットミルクだけであり、滅多にそれ以外を口にしない。それ以外の物を口にするのは他人と何処かに行った時や音楽関係でどうしても行かないといけない席での場合のみである。尚、偏食家というわけではなく、安く手間も取らない、尚且つとても美味しいこのメニュー以外を摂取する意味を感じないだけである。  元々は家柄からそこそこに舌は肥えていたのだが一人暮らしを始めた当初に、少し高めの食パンとジャムを買って食べたことが切欠でこのような食生活になっている。  そう言う訳で、食事に疎い。というか、流行に疎い。流行りの飲料や食べ物に興味・関心がない上、上記の理由でそういうものよりもトーストが至高だと本気で考えている。 ・屋敷に夕刻に飛んでくるカラスのことを可愛がっている。数十羽いるわけだがそのほとんどに名前を付け、それらの特徴をしっかり押さえている。 (嘴に傷が付いている大柄のカラスをリダ、屋敷の屋根にいつも上っているカラスをアガリe.t.c...)  また、桜木市に移り住んでからは屋敷近辺の樹々や花を愛でるようになっている。中でも桜の主のことは気に入っていて、深夜になると一人で主のところに行っては話しかけたりしており、友情のようなものを感じているところもある。その優しい雰囲気から思い詰めた時や、寂しい気分になった時にはそこに行って愚痴を言ったり思ったことを話している。  傍から見れば異常者のようだが本人はそのことに対して無自覚で、可愛いもの、気に入ったものに対して普通に接しているだけだと考えている。 ・普段からぶかぶかな厚めの灰色パーカーを着て、フードの下にヘッドフォンをしている。下には安物のジーパン。  普段から厚着なのは日光を浴びると、力が抜かれるような怠さや焼けるような痛みを感じる為。暑いがラフな格好をすれば辛い為、パーカーは外せない。故に夏は苦手。かと言って、冬場は手がかじかんで上手くピアノが弾けなくなるため、冬も苦手。 ・一人称がオレで、柄の悪い口調なのは、彼女の中の不良像を忠実に守っている為である。不良というものを知らない為、「女の子だけど男の子みたいに話せば不良っぽいかな?」、「迷惑な人ってこんな感じで話してたよね?」と過去の経験から不良っぽく振舞っているに過ぎない。  所詮は不良の真似をして周りの人間と壁を作っているに過ぎず、今までに他者に迷惑を掛けるような行為に及んだことはない。授業中にヘッドフォンで音楽を聴いていることを問題視されてはいるが、音が漏れないよう注意している為今までそれで他生徒に迷惑を掛けたことはない。 ・音星陽も実のところオーヴァードであり、音使いであった。彼が彼女らの元から姿を晦ましたのは茜が自身に見向きしなくなった頃。孤独に苛まれ、これ以上ここにいれば自分はどうにかなってしまうと感じた為に出ていった。現在、ジャーム化、UGNやFHに所属しているか否か、などは決めていない。  音を音楽の道に進ませたくなかったのは自分よりも音楽への才覚を強く持っていると感じ茜を奪われることを危惧していたから。茜の異常性に気づきながらも茜を人間として愛していた彼にとって、茜を奪われることは許し難いことであった。この時には既に、茜の心は奪われていたのだが。  音に対しては親、音楽家、一人の人間として愛憎入り混じった複雑な感情を抱いており、彼女にきつく当たることも、優しく接することもあった。 ・勉強はできるが世間に疎く、何かとずれている部分が多い。音楽に傾倒し過ぎてそれ以外のものに碌に触れてこなかった(と言っても、最低限のマナーや一般教育は受けていたが)為である。 →SNSという単語は知っているが、それの使い方は知らない。というか、「SNSというものがある」というぐらいの知識であり、LI〇Eとかツ〇ッターとかフェイス〇ックとか、色々種類があることも知らない。そもそも、自分の持たされている端末のメールアドレスを把握していないわけだが。 →加えて家にはグランドピアノとトースター、ラジオなど音楽を聴く機材ぐらいしか置かれておらず、実家でもそう言ったものに触れてこなかった為、電子・電気製品の類に滅法弱い。  テレビという概念を見た記憶が3歳以前から止まっているせいで、テレビ=箱(ブラウン管)というイメージのままだし、屋敷を巡回するル〇バに一日一回は驚かされる。端末には当然初期アプリしか入っていない。というか、普段から電話アプリと音楽アプリしか使っていない(使えない)。偶に、更新で端末が動かなくなる時には壊れたと思って、公衆電話から母親に救援を求めたりする。  このような娘の奇行に、母親は割と本気で心配している。人間としての音を。 →流行に疎いものの音楽関係の情報は母親の口伝で聞いている為、そこそこ分かってはいる。尚、母親も全て教えている訳ではない為、結局知識は程々しかない。最近、母親から音楽配信サイトの存在を教わり使えるようにしてもらったが、結局ラジオやCDで音楽を聴くのに落ち着く。 ・吸血衝動に抑えが利かなくなる時、血を吸わせてくれる人間を求めて深夜帯にうろつくことがある。言ってしまえば売春紛いのことをしてその見返りに血を貰っている。最近では、『桜木市には吸血鬼がいる』といった噂が実しやかに囁かれていたりいなかったり。  冥星音としては普段から近寄りがたい雰囲気を醸し出し他人が話しかけてきたとしても感じの悪い対応で邪見に扱う一匹狼のような生き方をしているが、元の性格は母親である音星茜と同様に人情家で、茜よりも責任感が強く且つ理性的。自分の愛したもの(ピアノ、ジャムトースト)にとことん没頭し、限界というものを一切定めない、少々ストイックがすぎる性質はあるものの、所詮は自分の中でのものであり茜のように他者にまで干渉することはないし、する気もない。  普段からあまり態度に示さない為、初対面や面識の薄い人間からは不愛想に思われがちであったが、演奏会やパーティー、通っていた学校では細かい部分を気に掛けたり、他者の助けになるよう影ながら助力していたりしていた。  現在の他者への関わり方も、自分の性質を承知し、他人と関わって不幸にさせることを恐れるが故のもので、決して悪意があるわけではない。  ただ、彼女はただ他人を気遣っているというだけでこのような対応を取っているわけではなく、生まれつき臆病で不測の事態やキャパシティを越えた事象に弱く、それらを元来恐れていること、今までの人生における他者との関係性もまた要因となっている。  前者に関しては日常生活で強く現れる。例えば、後ろから人に声を掛けられると驚ろかされた時の子猫のように跳躍しとんでもなくてんぱってしまったり、押しの強い人間に迫られるとあわあわして普段被っている不良の仮面が割と容易く剥がれる。  ピアノや勉強においては不測の事態が決して起きないようにそういった事態を幾らかパターン化しシミュレーションするなど入念な準備を心掛けている為、上手く立ち回ることができているだけである。  後者に関しては、音星明というピアノ奏者であること、音星陽の娘という立場から誰もが音のことを一人の人間として関わることがなく他者に対して隔たりを覚え続けたことで、「自分は彼らと一緒に生きられないし、彼らは自分と一緒に生きてはくれない」といった諦観を抱いている。また、ピアノへのストイックな姿勢の影響で、誰かと遊んだり話したりする機会がまったくなく、茜や周囲の人間が寄せる期待に応えなければいけないという想いも相まって、一層他者との交流の機会がなくなってしまっている。  その為、彼女は真に他人を信頼することができず、辛いことや苦しみ、悩みを自分一人で抱え込んでしまう。  その癖、他人が悩んでいると見過ごせずに首を突っ込むことが多い。 url: https://charasheet.vampire-blood.net/2557344