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尊敬できる兄がいた。兄は医者で沢山の人を助けてきた。自分も兄と同じように人を助けられる医者になれるよう、兄の人生のレールを便乗して進んできた。自分が医大生になったある日、事故によって兄は植物人間となり動けなくなってしまった。そこから自分は何をすればいいかわからなくなってしまった。兄を助けられるのであれば助けてあげたい。しかし、人はこうなってしまった以上、医学的にも死を待つのみだというのもわかっている。兄がレールの上にいない今、自分は何をすればいいかわからない。 伊空市の三ツ見に住んでいる。 一人暮らしをしており、 医学専門学校に通っている。 友人関係といった人物はおらず、同じ学部に通っている者達と軽くコミュニケーションを取っているぐらいだ。 恋人もおらず、熱心に勉強を頑張っていたのだが 兄が事故にあってからは学校にも通えていない。 金魚を飼っている。デメキンで名前はマーチ たまに両親が食べ物を送ってくれるため、残さないように料理はする。 父親の名前は双葉　寿喜(ふたば　かずよし) 56歳 母親の名前は双葉　苗子(ふたば　なえこ) 54歳 二人とも自分と兄の事は名前で呼ぶ。 父親は無口だが頑固というわけではない。 たまに口を開いてはアドバイスをくれたり好きなようにしろと言ってくれたりする。 母親もおっとりした性格だが一度喋りだすと長い。世間話が好きな人だ。 双葉　真悟(ふたば　しんご) 子供が好きだ。屈託のない笑顔、純粋な瞳が好きだ。医者を目指しているのは兄さんの後ろを追いかけてた事もあるのだが、子供を笑顔にしたいという気持ちもあったからだ。 兄さんと同じ医者を目指すと言った時、兄さんに「お前は俺より器用だから、きっと小さい子供を助けてあげられる。」そう言われた。誇らしかった。その言葉があったから、僕は勉強を頑張って医大生になることができたんだ。なのに、突然だった。 兄さんが、事故で植物人間になったというのだ。僕にもっと知識があったら兄さんを助けてやれるのだろうか。何かを成し遂げたいという気持ちも今は何処にも見当たらない。何もする気が起きない。兄さんを助けたいが、現代の医学では助けられない事もわかっている。兄さん、僕はどうしたらいいのかな。 双葉　正和(ふたば　まさかず) 弟は昔から他人を笑顔にする力を持っている。気は弱いが困っている人を率先して助けようとする。そんな弟が俺は誇らしかった。 弟に負けないように、俺も人を助けられる人間になりたいと思って医者を目指し、そしてやっと実現した。しかし、すぐに終わりがやってきた。 目が覚めたらベッドの上。手足は動かず、目も開けられない。意識はハッキリしているのに意思表示さえ許されない。弟の嘆く声が聞こえる。ゴメンな、お前のこと励ましてやりたいのに、お前を見ることさえ叶わないんだ。俺、どうしたらいいんだろうな。

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