タイトル:アデュラリウス・フェルドスパー キャラクター名:アデュラリウス・フェルドスパー 種族:バジリスク [特徴:邪視と瞳石、猛毒の血液、魔物化、弱点(水氷+3)] 生まれ:部位操者 ■パーソナルデータ・経歴■ 年齢:15 性別:男性 髪の色:銀色 / 瞳の色:虹色 / 肌の色:白 身長:155 体重:ちょっと均整が取れた 経歴1:許婚がいる 経歴2:創造性に目覚めた 経歴3:ドレイクが嫌い 穢れ度:4 ■能力値■      技     体     心 基礎    8     11     14    器用 敏捷 筋力 生命 知力 精神 A~F  12   9  11   8   4   3 成長   4   3   3   2   3   2 →計:17 修正   2 =合計= 27  22  25  21  21  19 ボーナス  4   3   4   3   3   3    生命 精神    抵抗 抵抗  HP  MP 基本  10  10  42  40 特技         0   0 修正 =合計= 10  10  42  40 ■レベル・技能■ 冒険者レベル:7 Lv シューター   7 Lv  / プリースト/リルズ  7 Lv バード     1 Lv  / アルケミスト    1 Lv ウォーリーダー 2 Lv  / フィジカルマスター 1 Lv ■戦闘特技・値■ [参照] 特技名       : 効果                       : 前提 [p226] 魔法拡大/数     : 対象を拡大するごとにMP倍増、達成値は個別     : [pIB31]武器習熟A/クロスボウ : ダメージ+1、Aランク装備可能           : [pIB39]マルチアクション   : 制限移動を条件に、近接攻撃と魔法を両方行使できる : [pIB30]精密射撃       : 射撃攻撃で誤射しない               :    魔物       全力    知識 先制 移動 移動 基本   0   5  22  66 修正 特技        0 =合計=  0   5  22m  66m ■呪歌・練技・騎芸・賦術・鼓咆・占瞳■ [参照] 特技名     : 効果          : 前提 [p]  ビビッド     : 20分に1MP回復     : [p]  パラライズミスト :            : [p]  怒涛の攻陣Ⅰ   : 物理攻撃力+2、回避力-1 : [p]  神速の構え    : 移動5m 基本      : ■装備■ ・基本命中力、追加ダメージ、基本回避力        Lv 命中 追ダメ 回避 ファイター : グラップラー: フェンサー : シューター : 7  11  11  10 ・武器 価格 用法 必筋 修正 命中 威力 C値 追ダメ [カテゴリ・ランク] 名称(*:装備している) / 備考 (参照) 1500     20  -1  10  50  11   9 [クロスボウA] *クレインクィン / 射程40m、キュア・ハートセット (p) 60   2H   2     11  12  10  11 [ボウB] *ショートボウ / 射程20m (239p) 1850  1H   5     11  15  10   5 [クロスボウ] *インスタントボウガン・ソリッド / 射程20m、アウェイクンセット (p) =価格合計= 3410 G ・防具    必筋 回避 防護  価格  名称 / 備考 鎧 :           15 クロースアーマー / 防護点2 盾 : 20      7  15000 イスカイアの魔導鎧 / 着脱加工。マルアクで命中と魔力+1 修正: = 合計 =    0   7  15015 G (回避技能:) ・装飾品    価格 名称        / 効果 頭 :100  ヴェール      / それなりに装飾がついている 耳 :100  聖印        / 顔 :             / 首 :100  軍事徽章      / 背中:5000 ウェポンホルダー改 / 二つの武器を収納できる。シエラにもらった 右手:500  器用・指輪     / 左手:1000 俊足の腕輪     / 腰 :   矢筒        / 足 :             / 他 :100  アルケミーキット  / =合計=6900 G ■所持品■ 名称          単価 個数 価格 備考 黄金シードル      200  1   200 保存食(一週間)    50  1   50 バルバロス携帯セット  100  1   100                   0 『”彷徨ノ塔”』    30  1   30  大事にしている本 矢筒          20  1   20 矢×20         10  2   20  ボウ用 19 太矢×25        20  7   140  クロスボウ用 20 緑カードA        200  2   400 緑カードB        20  7   140 鏑矢          5   1   5   射ると大きな音を立てる。ボウ専用 魔晶石3点        300  0   0 羽ペン         2   1   2 インク         3   1   3 白紙の本        30  1   30 アウェイクポーション     1   0   支給品 ヒーリングポーション+1    2   0   K20+1、シエラにもらった 楽譜             1   0   バンクシェリアにもらった。有名らしい。半分くらい解読中 緑カードA           0   0   粗製カード タロスの欠片         1   0   ひろってきた 銀の太矢           5   0   銀属性 コボルド特製ハーブ酒     0   0   65度。バンクシェリアにあげた 油              1   0 魔力の太矢          0   0 徹甲太矢(12本)        5   0 楽器             1   0   ハープ 筋力の指輪          1   0   カモミールに譲渡中 魔晶石5点        500  3   1500 秘密の封蝋       280  1   280 イグニスの魔符     1000 0   0   ⁺10名誉点 カードシューター       1   0   ビリディアヌスからもらった マナチャージクリスタル    1   0   5点分。バンクシェリアにもらった                1   0 聖印(ダルクレム)      1   0   グレベンさんの→バンクシェリアへ =所持品合計=    2920 G =装備合計=    25325 G = 価格総計 =   28245 G 所持金    1520G 預金・借金    G ■魔力■ 知力ボーナス: 3 特技強化ボーナス: 0 武器ボーナス: 0  名前  Lv 追加修正 魔力 神聖魔法 7       10 ■言語■       話 読            話 読 共通交易語 ○ ○ / 巨人語       - - エルフ語  ○ - / ドラゴン語     - - ドワーフ語 - - / ドレイク語     ○ ○ 神紀文明語 - - / 汎用蛮族語     ○ ○ 魔動機文明語○ ○ / 魔神語       - - 魔法文明語 - - / 妖魔語       ○ - 妖精語   - - / グラスランナー語  - - シャドウ語 - - / ミアキス語     - - バルカン語 - - / ライカンスロープ語 - - ソレイユ語 - - ・地方語、各種族語     話 読 名称 初期習得言語:交易交通語、バジリスク語、汎用蛮族語、ドレイク語、妖魔語 技能習得言語:魔動機文明語、1個の会話 ■名誉アイテム■ 点数 名称  30 インスタントボウガン・ソリッド  50 カンテラタック克式弩唱法  30 ”囁きのカンティクム・グロリア”  30 ”斉唱のユニオン・イクサルティトス” 100 朝の太陽  50 クレインクィンクロスボウ  10 イグニスの魔符  10 イグニスの魔符 所持名誉点: 150 点 合計名誉点: 460 点 ■その他■ 経験点:625点 (使用経験点:25500点、獲得経験点:23125点) セッション回数:17回 成長履歴: 成長能力  獲得経験点(達成/ボーナス/ピンゾロ) メモ 1- 筋力    1230点(1000 / 180 / 1回) 2- 精神力   1270点(1000 / 270 / 回) 3- 生命力   2090点(1000 / 940 / 3回) 4- 敏捷度   1400点(1000 / 400 / 回) 5- 器用度   1510点(1000 / 460 / 1回) 6- 知力    2560点(1000 /1460 / 2回) 7- 器用度   1520点(1000 / 520 / 回) 8- 知力    1890点(1000 / 840 / 1回) 9-        0点(   /   / 回)  中間成長。器用、敏捷×2、知力、筋力、生命力 10-       650点( 650 /   / 回)  模擬戦・暗闇、段差戦 11-       50点(   /   / 1回) 12- 器用度   2160点(2010 /   / 3回)  1500Gバンクシェリアに借金返却 13- 筋力    2510点(1000 /1460 / 1回) メモ: シエラへの【対抗】 ●●〇◯ カモミールへの【恋心】 ●●○○ バンクシェリアへの【友情】 ●●〇○ 『ストラス』への【依存】●〇〇○ 《追加(一発振り、↑は1発振り直し) クラベスへの【嫉妬】●●○○ 子爵への【保護】●●●○ レイラへの【憐憫】●〇○○ ルキスラ周辺で行き倒れたことがあり、アズライトに一時期拾われていた関係で斥候組に顔を見られている可能性あり 一般技能:ウェザーマン/3、ヘラルディスト/3、ノーブル/4 生えた技能:ミュージシャン/1 スカラー/2、シンガー/2、ランバージャック/1 【第2部日記】 ・夢に迷う-0 扉をどかす依頼で此処に来た。 人族とバルバロス一緒じゃないと入れないなんて変な扉。4m×12m…の縦長。書いてある文字も、交易共通語と汎用蛮族語以外は後から足されたようなもの、らしい。入ったひとの言語という推論。巨人族は…ダークトロールなんかは結構強ければいいってのも多いけど。 しかし、エルフみたいな長命種が一度も入ったことがないのは考えづらい。兄さまたちだって誰かしら連れて入るだろうし…。これは違う。 …過去に持っていた人、とか?今考えても仕方ないな。 ・夢に迷う-1 継ぎ目のない壁。光っていた。削ってみたら、やはり光っている。蓄光するものに近い?シエラに教えてもらうと、僕自身は魔晶石の構造はよく知らないけれど、その破片に似てるっていうのは…マナが含まれている、って感じなのかな…。わからない。これも保留。サンプル採取。 この遺跡、なんか返事を返してきた。変。友好的すぎて、罠の可能性はあるけど、体内を削るなんてちょっと悪いことしたかも。 ・夢に迷う-2 カモミールが見たことない顔をしてた。小さな人族の子供がたくさん放牧されてたからここの領主は随分思い切った政策だと思ってバンクシェリアに訊いたら、違うらしい。人族には「孤児院」っていう親のない子供を売るためでもなくわざわざ引き取って生活を与えて勉学や仕事を身につけさせる施設があるんだって。僕の持っている本にも孤児院って出てきてたけど実際に見たのは初めてで、御伽噺の世界に来たみたいで、驚いた。 確かに子供の時から育てるっていうのは理に適ってるし、ないわけじゃないと思うんだけど…そういうのじゃないような。僕の知ってる人族の子供ってバルバロスにあんな集らないし。ドレイクを知らなかったのかもしれないけどさ…。僕も遊びたかったけど、あんな活発な子たちじゃ邪眼を見られたり、転んで血をかけたりしたらと思うと怖いし。シエラも何か見に行っちゃったし。 まだ礼儀の自信がないので、挨拶の言葉、シエラの真似をしてみたけど…自分の言葉にするのは難しい。ローザラインさんも、気づいてて優しくしてくれたんだと思う。本当にすごい…いや、カモミールが連れてきたから、か。ライト先生に教えてもらったことを思い出さないと。 人族の絵本を読んでみたかったし、遊び方のわからないものがたくさんあって、とても楽しかった。孤児院、って施設は健康そうで清潔な子が多い幸せな国みたい。グラスランナーの神官なんていたんだね…あの人族がここを護ってるおかげかもしれない。 食器を片付けに行ったときに、女の子と会った。この世界は優しくて、少し浮かれすぎていただけで、これが当たり前の反応。それに、好きじゃない奴に好きなひとたちを独占されて面白くないなら気持ちはわからないでもない。邪魔しない場所にいたのかな? 言葉を選んでくれるし優しいよね、あの子。僕はお皿を洗ってくれたことへの感謝とローザラインさんへの感謝が伝わればよかったんだけど…うまく伝えられたかな。 未だにシエラやローザラインさんの言う友達って言葉もぴんとこない。また一緒の隊になって嬉しいなって、これが友達なのかな…。 もし、人族の街がこんな場所なら、やっぱり行ってみたいな。 「怪我、してない?…良かった、そう」 『部下を信じるな、友を信じるな。利用されるな、利用しろ。どうすれば一番得をするか常に考えろ。覆していいのは愉しむ時だけだ。…お父さまの口癖は正しい。僕もいつか笑う日のために頑張るよ」 「…お父様の教えは正しい。だから僕はそれ以上になりたい。無理を、不可能を、どうでも良いを解決して。みんながそう思って笑えるよう、心の赴くままに戦いたい」 成人になりたてのバジリスク。 くすんだ虹色の目と虹色にきらめく銀髪が特徴の神官服の少年。 交易共通語に慣れておらず、目下勉強中。 女性として育てられた過去があり、当時の名前はアデュラリア。 男系家族で幼くしてリルズ信仰に目覚めてからは両親の気まぐれと悪乗りで政略結婚用の「女性」として扱われるようになった。 何不自由なく育てられてきたが、本人としては不本意。好きなものは歌と本で、リルズ信仰に目覚めたのも隠れて読んだ小説に則るもの。 ディルフラムの彫刻家カロンの作品を目にする機会を得て人族を「見てみたい」と思っていた。 小さい頃の夢は一騎当千の英雄として人族の勇者と戦うこと。 家族に遊ばれていることはわかっていたが、成人早々「許婚が決まったから」と親に言われて「飽きられた」と解釈した。 剣も魔法も習わせて貰えず、独学で習得できる程の才もなかった。何方にしろ長生きできないなら、と家出のようなかたちで旅へ。 冒険者セットはカロンからもらったもの。 野営もおぼつかない程に冒険者としてはお粗末だったが、食材を切ることと火加減を見ることは覚えたらしい。火起こしはまだよく失敗する。 好きなものは肉料理。苦手なものは柔らかすぎるもの。 年の離れた兄たちに散々脅かされていたため、ドレイクが怖かった。 「ドレイク相手に限らず自分や心を許した相手が痛めつけられたり苦しむことが怖かったのだ」と現在は納得している。 【アリア日記】 ・カシュカーンに着いた日 ろくに外に出たこともなかった僕が大陸を渡れたと知ったら兄さん達はどう思うだろう。褒めてくれる…ないか。 見抜かれたのは誤算。人族が変わり者で良かった。 プライドの欠片もなさそうなドレイクの下で働くのは屈辱だけど、あと二人は女の子だし、乱暴じゃなさそうだ。少し楽しみでもある。 本の中に入り込んだようで。 ・曇天に集う 他人が死ぬかもしれないと思ったのは初めての経験だ。 自分が怪我をしたり死ぬことはずっと考えてきたけれど、同じ場所にいる誰かが怪我をして、正直動揺した。 つくづくお父様やお母様、兄さんたちは強いんだと思う。僕ももっと速く傷を直せれば。もっとお祈りすればリルズ様に届くだろうか。5年近くお声を聞かせてはくださらないけれど。 人間の女の子が合流してくれなかったら捕らえられていた。どう扱われるかなんて想像したくない。 それにしても、自分の魔剣をあんなに簡単に捨てるなんてやっぱりあのドレイクは頭がおかしい。話が早くて助かったのも事実だけれど、相手の気が変わって殺されそうになったらどうする気だったんだか。 帰った後でナイトメアの娘に叩かれた。 頬を叩かれるなんて初めてで、本当にそんなことがあるんだと思って、怒るのも忘れてしまった。 あの娘、どうして僕が傷を負ったことを怒ったんだろう。そんなことより自分の馬の心配をすればいいのに。 ・幕間 人の声の騒がしさでよく起きる。 あまり意味はわからないけれど、不快ではない。 武器を並べている店で見慣れない弓を見つけた。試しに撃たせてもらって驚いた。反動で狙いがぶれるけれど、普通に引くより楽だし、手に馴染む。 思い切って買ってみた。 お母様が見たら怒るかな。それとも…。 ・森に惑う-1 なんでまた会うことになったんだろう。 僕としてはあれと二人で組めと言われるより百倍マシだったけれど。 偉い人族の言葉はどれも速口で聞き取りづらい。自己紹介は困る。言いたいことも言いたくないことも満足に言えない。シエラが変わり者で本当に助かった。 やっぱりドレイクは嫌い。 白い髪の子は態度が読めない。要警戒? ・森に惑う-2 酷い森。お互い攻めづらいのも頷ける。 捜している相手もこんなところばかり選んで通るのが任務でもないだろうに。 薬草を探したり、地図を書いたりとみんな忙しく動いていた。見よう見まねでやってみたけれど上手くいかない。 野営は楽しかった。久しぶりに火の近くに寄った。あれと白い髪の子が何か言い合っていた。嫌なら僕が外でいいけど、それは人族の女の子らしくないらしい。 おやすみなさい。 ・森に惑う-3 見直したのは間違っていた。 あのドレイクはいつも都合のいいことばかり言う。できるまでやればいい。人族とバルバロスが共に生きる世界をつくる。あんな香水臭い理想、あり得ない。 気づかなかったのは僕の落ち度。けれど気を散らしていたのを咎めるならまだしも楽譜の読み方を教えてやるなんて、わざわざ起きていてやったのだと馬鹿にしたいのか。恩を売りたいのか。それとも見下して笑いたいのかもしれない。 こんなもの受け取らなければ良かった。 …シエラは屋敷に閉じ込められたことがあると言っていた。少し意外だ。それでもシエラが明るいのは母親が好きだからだろうか。 シエラの聞いてくれたことには答えたいけれど、交易共通語は難しい。 きちんと伝えられたところで、立派な理由ではないのだけれど。 言えるわけがない。女として育てられて、嫁ぐのが嫌で逃げたなんて。 ・森に惑う-4 僕の浅慮で班を危険に晒した。 誰もなにも言わなくても。 先遣隊は無事見つかった。猛獣と戦わずに済めば良かったけれど、結局戦うことになった。 勘が鋭いから動物は好きじゃない。 殺しておこうとしたらシエラに止められた。理解はできないけれど言い争う時間がないので従う。蛮族相手にもああいうことを言わなければいい。 帰りはそれなりに順調だった。 ・森に惑う-5 眠れない。 三日すれば憧れていた弓が手にできる。 シエラが進めてくれた。みんなのくれた…プレゼント。 いやな言葉。 受け取れるだけの働きなんて、まだ何もしていない。 素直に喜べないけれど返していくしかない。カモミールにだけでもまだ期待されているのなら。 本でも読み返そう。 原本は置いてきたけれど、ほとんど覚えている。 再翻訳してみようか。少しは勉強になるだろう。 ・其等に出遭う-1 今日は初めての公式任務。 自然の洞窟と剣の迷宮が混ざっているところはバルバロスの顎でも見た。問題は混ざっていると対応ができないこと。 リーダーも弓の性能が見たいようだから積極的に使おう。投資したなら当然だ。 ビリー…なんとか…ラルダ、だっけ。 よく聞き取れなかった。 雑魚は初めて見たけど、文献通り隠さなくていいくらい力は弱いらしい。 あの歳まで生きてこられたなら相当運が良い。一緒に来た分罠も疑っているから、帰っていなかったら殺そうと提言しよう。…勘繰られるか。 ・其等に出遭う-2 思ったよりも旅路は順調。 悪路でないだけ良い。 ビリーは帰していい。ここまで不審なことはしなかったし、そのためにあいつに突っかかった。 気に食わなかったのは本当。 入口が崩落したのはあり得る範囲。どちらに転んでも僕は問題ない。 迷宮ならどこから来るかわからないよりまだいい。大体の単語なら覚えたはずだ。失敗はできない。 絵画は気になったけど写しならいい。 どうせ月並みな絵だろうから。 あとはやらかしただけ。 撃ったのはあいつを呼ばなかった僕だから、カモミールを怒る必要はないと思う。補充が効くとは言え将来的に良くはないから、怒鳴るのはわかる。 伝わっていなかったみたい。 カモミール、ごめん。 シエラが巻き込まれなくて良かった。 概ね順調。 二つ目の宝箱はあからさまだから罠は疑った。やはりそう。魔法生物なのは意外。 倒した。 魔剣に会ったときは「僕とは合わない」と思った。カモミールなら使うだろうから、持って行くことに異存はない。 あいつはやはり上役として不安が残る。 仮にもトップが前に行くなんてありえない。せめて潰しの利く斥候に任せるか、見るだけなら僕に任せて後ろにいるべきだ。野伏と馬持ちなら帰ることくらいはできるしスタミナ切れもしない。 思い返せば僕の目が潰れたら困ったのか。魔導機文明の遺跡だと忘れていた。 最近やけにお腹が空く。配給だけだと少し足りないから買い足しておこうか…装備も買ってもらったしやっぱりやめておこう。 がつがつ食べるなんてはしたない、ってお母様なら怒るだろうし。ただでさえ午後のお菓子も食べていないし毎日お湯にもつかってないのに。 会っても旅の間のことは絶対に言えない。 シエラは育ちが良さそうな割に時々マナーが悪いけど、いつも美味しそうに食べる。 アンディの好きなタイプかな、ああいうの。 ・其等に出遭う-3 バンクシェリアに音楽を習うことにした。 言葉を選んで教えてくれているのはわかっているけど、覚えきれない。何度も同じところで間違えた。 あいつは怒らない。 できるまでやればいい。そう言って何度もやらせる。 時間を奪っているのに、出来が悪いのに、対価を払っていないのに。 焦って、指が動かなくなって、最後は僕が怒鳴って終わった。 また来いだなんて言っていたけれど、班の雰囲気のためのリップサービスだろう。 腹が立たないわけがない。 僕は神官。歌なんか歌わなくて良い。カモミールのほうが余程上手い。…せめて今日教わったことができるまでは、煩わせるべきじゃない。 返せない負債が多すぎる。ドレイクなんかに。 人族に飼われたドレイクが庇護者気取りだなんて、背中にどんな刃を隠しているかわからない。 でも、好意ではないことはわかる。 格下と思われるのは屈辱だけれど仕方がない。嗤われたり優しくされるのは惨めだけれど。 僕は何もできないんだから何もいう権利はない。 ・幕間 夢を見た。 気がついたらそこは家の玄関で、シエラもカモミールもバンクシェリアも誰もいなかった。 急に扉が開いてお父様とお母様が出てきて、後ろからアンディに背中を叩かれて、振り返ればグレイ兄様が腕組みをして立っていた。 『お帰りなさい』『心配した』『家出なんてお前もやるなぁ』『無事で良かった』 ーーこんなもの、もういらないな。 ーーアリアは頑張らなくていいんだよ。 ーーそのままのアリアが可愛いんだ。 ーー私達が上手にやるから。 ーーなんにもしなくていいんだよ。 昔取り上げられた木剣のように弓も楽器も楽譜も全部踏みつけられて燃えて、灰になって。 そこで目が覚めた。 寝直す気になれないから、これを書いている。 力任せに引くだけの弓はよく外す。好きなことは習っても結局下手くそで、神様に祈ることが唯一の取り柄。 兄様たちはなんでもすぐ、上手くやれるのに。 もし過去に何か努力をしていたなら僕も3人のように胸を張ってここにいられたのだろうか。 こんな時間にここで音は出せない。僕が夜明けにうろついていたら殺されるかもしれないけれど。 それなら運が悪かった。 ・出立に謀る-1 なんで名指しで護衛なんてさせるかな、あの貴族。僕たちの側からは仕事は選べないわけだけど、公的な場まで連れて行く気だ。端的に言って頭がおかしい。 僕としては好都合。 シエラが人族に侮辱されると気にしてくれた。確かに気分は良くないけれど、仕込みに時間をかける程出来た料理は美味しい…らしい。やったことはないけれど。 27班の人族はそれなりに信頼に値する。間者にしては妖精魔法使いの女は少し目立ちすぎている。信用はしない。 バンクシェリアは今日も最低。 人族として生きているナイトメアの女の子を蛮族呼ばわりするなんてデリカシーの欠片もない。 平和を望むのは勝手だけど、あいつの理想はどうにも鍍金臭い。割り切れないことを割り切って話されても不愉快だ。 僕も思うところはある。…カロンの兄さんはなんの価値もなく生まれて無駄に死んだんだろうか。仕方がないとカロンが眉を顰めたことに意味はないだろうか。 ・出立に謀る-2 少しだけ見直した僕が愚かだった。 行けと言われたから行く。 謝れと言われたから謝る。 子供の口に飴を突っ込んでおけば幸せになるなんてレベル。 シエラは満足らしいけど、何故謝るべきなのかをわかっていない謝罪なんて必要ない。 荷物を簡単に捨てる郵便屋には誰も手紙を託さない。そんなことさえ他人に教わらなければわからないなら奴隷以下だ。 ・出立に謀る-3 あいつのせいで死ぬのは絶対に嫌だ。 シエラやカモミールを犠牲にしてでも僕は生きる。絶対に。 …きっとアンディはそれじゃ面白くないと言う。今こそ愉しめと言うだろう。 グレイ兄さまとの駒勝負のときもいつも投了一歩手前で笑っている兄だ。 「見てろよアリア。此処からが面白いんだ」 9割がたそのまま負けていたけれど。 ・出立に謀る-4 今日が本番。 あまり眠れなかった。警護をしながら個人的なことをするものじゃない。 王道なのは毒。ビリーを捕まえて調理場の検証に付き合わせる。 同時に襲撃があった。違和感がある。あまりにも敵が弱すぎる。その割には何もないのが不気味だ。 考えろ。兄さまなら…お父様なら、お母様ならどうしてこうするか。単なる威嚇。入るためでないなら、出るため。仕込みは終わっているから意味がないという結論になったけれど。 今回の犯人像に当て嵌まる以上、あまりビリーをひとりにしておきたくない。 有能だから余計に。 シエラと話す中で危険を察知する能力の高いカモミールに会食の護衛を変更することを提案する。 シエラは…僕が恥をかきたくないから行きたくなくなったと思っているみたい? 結局僕が行くことにした。 既に仕込まれているなら解毒が使える僕が行ったほうがいいという意見は正しいと思う。刺客を逃さないこともできる。二人の方が外回りが得意なのも理解できるし。 僕の使い方について、シエラは僕より詳しいみたいだ。僕が僕という駒の使い方を把握できていないのか。 時間を見つけてヴェールを買いに行く。 駐屯地とはいえ、護衛とはいえ公式の場だ。みすぼらしい格好では出たくない。 ・出立に謀る-5 編成を決めたのはこちらといえ、眉ひとつ動かさずにバジリスクとドレイクの護衛を受け入れるか。今更だけれど。 入ると正面にビリーがいて頭痛がした。 僕のことまでバレたら寝返ったと思われても言い逃れできない。注目されるのはバンクシェリアに任せて大人しくしていよう。あいつのお披露目だ。 いつも通り夢でも語り出すかと思ったら案外まともに挨拶が終わった。 あの「宿題」で調子が乱れているのか、公式の場だから言葉を選んでいるのかはわからない。 子爵の物言い。 負けた相手の不満を飼い慣らしたドレイクに戦後処理をさせて抑えたい。人族の貴族どもの手前ああ言うしかないとはいえ、正直不愉快だった。 不愉快だけれど、恐らく僕の考えと子爵の考えはほぼ同じところに収束できる。交渉できるとわかっただけでも収穫。 馬鹿貴族共の無遠慮に格下を見る顔に比べれば余程マシだ。兄さま達なら全員脅しつけるぐらいはしていただろうか。倍返しの為に笑っている気がする。 案の定無事には終わらなかった。 食器は確認したけれどナプキンはやられた。詰めが甘かった。時間を惜しまずに可能性を全部潰しておけば。 死ぬ可能性もある麻痺毒らしい。隊長でなければどうなっていたかわからない。 確認しに行った僕の責任だ。毒の判断ができる奴まで連れて行ったのに。 そしてあの馬鹿。あそこで部屋を出て行くのが一番悪手だ。上に立つつもりがあるなら迂闊な行動を取るべきじゃない。何度でも言う。 追う、外で鏑矢を撃つ、でも混乱を招いたら。入口から敵が来たら。もう中にいたら。本当はパニックになっていたからシエラが行くと言ってくれて助かった。 異常は…なかったらしい。 指揮系統を乱す、というのは納得もできる。でも混乱を招くためだけにこの規模で、この程度で済ませるものだろうか。納得できないことが多い。 ・出立に謀る-6 間違ったことを言ったとは思わない。 酷いことを言ったと思っている。 そのことに関しては、あいつはなにも悪くない。 今日のバンクシェリアは変だ。普段の、あいつに向けたはずの言葉がすり抜ける不快な感覚をあまり感じない。 …集中できない。 隣に立つということが相手を利用することとどう違うのかよくわからない。グレイ兄さまとアンディみたいに、たまに思い出したように命を狙い合って遊ぶような関係も少し違う気がする。 楽譜を眺めるのはやめて本を読んだ。 登場人物のひとりの口癖でもあるからか、『彷徨ノ塔』には”仲間”という単語がよく出てくる。 最初は「独善的な言葉」と貶す地の文が最後には「私の在処」と呼んでいる言葉。 以前は格好良いと思っていたけれど、現実はよくわからない。 …少なくとも、できないかもしれないことに頷くのは軽率だ。 ・出立に謀る-深夜 座して死を待つことも座して救いを待つことも、フェルドスパーとしてあり得ない。 とはいえ交渉自体は失敗。 僕が考えていたよりもあの男の視点は先にある。そして考えていたよりもずっと夢想家だ。 僕の吐いた嘘は見抜かれていただろう。 共感している、けれどそれを実現するつもりはさらさらなかった。 己以外の誰が己を大切に思ってくれるものか。それが成立するとしたら、利害だけが他人と繋がる絶対の方法。 僕自身に嘘を吐いてでも、他人を信じて死ぬなんて悔しかったから。 世界に背を向けても夢を語ろうとする覚悟がなかったから。 …でも、最後にひとつくらいは。 「喪われて」やる前に。 出立に謀る- 初めてまっすぐ他人の目を見た。怒っているのがわかった。 争いのない平和な世界がつくりたいと言った。力を貸してくれと言った。 何に力を貸してくれとは言わない。小競り合いは仕方ない。今だって僕がただ気に食わなくて撃ったと思っている。 欲しいのは斥候で、魔法使いで、神官なんだろう。いつだってあいつの理想の世界には僕たちの誰ひとりいなかった。 だから空虚で。踏みつけられても自分より上なんて認められやしない。あいつにとっては誰もがどうでもよくて、ならば殺される筈がないからだ。 僕だって僕みたいな奴は好きになれないけれど。それでも物を与えておけばどうにでもなるとずっと見下されていたのだろう。バジリスクの、この僕が。 殺してやる。 僕は絶対に理想の場所を手に入れる。その場所でこいつを、思いつく限りの方法で殺してやる。 出立に謀る- 弓を持ってきてしまった。 共有財産は置いてくるのが筋だった…ごめん、シエラ、カモミール。 持ってきた以上捨てていくのは非効率。 …蹴られて放してしまったから、少し擦れて傷ついているけれど使えそうだ。 何処へ行っても同じ。僕が弱いから、僕の言葉は誰も聞かない。 ハーゼは迂回。食料確保、弓の訓練、あとは近場の下級蛮族も従わせないといけない。やることは山のようにある。 そろそろ休憩は切り上げよう。 出立に謀る- バンクシェリアめ。護衛をせずに僕を追うなんて呆れ果てる。折角作った縁に傷をつけようなんて馬鹿の極みだ。 死んだ奴らに報いるため。 怒りで目の前が真っ暗になった。 死者は何も望めない。彼が王になったとして、今回の騒ぎで死んだ下位蛮族共は恩恵を受けられたり喜んだりできるだろうか。殺してきた相手は良かったと祝福するとでも思うのか。 それとも誰かがそれを頼んだのか? お前の見るべきは今目の前にいる者じゃないのか? そんな程のいい言い訳で理想を掲げていたなんて思わなかった。本当にこいつには自分の意志を通す覚悟がない。心の底から軽蔑した。 折れた角を掴む。胸倉を掴まれる。 やっぱりバンクシェリアは自分の為にしか怒れない。シエラやカモミールとお前が並べる器だなんて思うな。 隣で歩んでくれと言いながら、お前の想う国に僕たちの存在は常に一欠片もありはしなかったくせに。 直後に雷光が飛んできて驚いた。 (執筆中…) ・幕間-1 見たいものだけしか見ていなかった。 シエラが、カモミールが、僕に話しかけていた意味も感情も理解しようとしなかった。彼女達の傷さえ気がつくことができなかった。 ひっくり返して棄てた水が淀んだ色をしていたことを、きっと子爵は知っていたのだろう。 誰かが怪我をするのは嫌だ。初めて大切なものを貰った。初めて自分の好きな物語を知る人に会った。初めて信用しないと言われた。友達だと呼ばれて嬉しかった。無謀な夢の先が見てみたかった。僕に何かを教えてくれる相手がいるなんて思わなかった。見捨てないで。ありがとう。お願いだから生きていて。できるすべてを天秤に乗せる覚悟はできている。 そんな気持ちは高位のバルバロスに、バジリスクに、女の子に、両親の子に、兄達の妹に、フェルドスパーに相応しくないと僕の中の”アデュラリア”が否定する。 けれど、今会う相手は皆僕を僕としてしか認識しない。 それは…今の僕には快いことだ。 ・幕間-2 夢見が悪くて、気晴らしに射撃場を借りる。命中はするけれど、取り回しがきかない。巻き上げは間に合っているから本当はもう少し速く撃てると思う。 強くならなきゃいけないのに。 それで認めて貰うんだ。誰かに。できるだけ多くの人がいい。 …理解してしまった。 僕は家族が好きだけど…同じくらいずっと嫌いだった。 僕を見下した兄さまたちを思う存分痛めつけて、悔しがらせてやりたかった。弱者が強者を踏みつけにできる僕の居場所が欲しかった。 そんなもの立ち行くわけがない。なら僕が欲しかったのは結局、何処までも戦場でしかなかったのだろう。 どうするつもりなんだ、と訊かれて答えられるはずがなかった。一緒にあいつらを虐げに行こうよ、なんて。 ーーあいつはもっと覚えが良かったぞ ーーこんだけ教えてやってまだできねーの? ーーお前は本当に可愛いな ーーやめやめ、お前には向いてないよ また本音を言って傷つくのが怖かった。本気でやって失望されるのが怖かった。卑小な自分がずっと嫌いだった。バンクシェリアに殺気を向けられて少しだけ考えた。 これでもう、楽になれると。 何を考えても、何を成しても、きっと僕のつくった国は弱者が強者を踏み躙る。そんな気がした。 ひと段落したところでシエラが矢の補充にきた。相変わらずの態度がなんだか惨め。バジリスクに弓を向けられて恐いとかないのかな。バンクシェリアを怖がらない時点で無意味かもしれない。 損害を与えたことを気にしない、と言うのなら本当に家がいやで此処まで来たの?豪胆だ。 …まだ十分には話せなかった僕の理由に同じだと、頑張ったと言ってくれるなら、この女の子は明るい顔の下でどれだけ辛い思いを続けてきたのだろうか。 リルズ様。今更祈ることが許されるなら、どうかシエラの心が曇りませんように。あの子が心のままに生きていけますように。 行軍にあたって”ストラス”を作った鍛治職人がもうすぐ居なくなる?らしい。 だから加工は今のうちに頼んでおいたほうがいい。 多分、そういう意味であっているはず。 取り回すための機構は欲しかった。けれど、報酬を減らした僕がそう言うなんてあまりにも烏滸がましい。 いつ出て行くかわからない僕にお金を貸してくれるとシエラは言う。お金だけじゃなくて、働きでも返してほしいと言う。 馬鹿だよシエラ。そんなこと他で言えば良いようにされて売られてしまう。 僕は返す。君と友達でいたいから。 幕間-3 …泣いてしまった。 困っただろうし、面倒だっただろう。 少しごねれば見捨てて貰える筈だった。僕みたいな奴に割く時間なんて無駄だ、って思ったのに…あいつ、しつこい。 僕だって「僕みたいな」って思いたいわけじゃない。できないなんて思いたくない。(涙の跡) …悔しい悔しい悔しい悔しい! 自分の限界を定めていたことが。飛び出していながら”アデュラリア”でいたことが。 うまく歌える歌じゃないけれど、聴いてほしい歌を聴いてもらった。昔、両親の招かれた席で聴いたことのあった歌。感謝と愛の歌。 合間に見たバンクシェリアの表情は見たことがない顏をしていた。もっと…じゃない。その感情の邪魔にならないように。僕の欲が出ないように。相手の心が安らぐようにと、祈った。 (執筆中…) ・幕間- 叩かれた。 今更それで怒ったりはしない。弱い僕が口答えをしたのだから叩かれてしかるべきだ。 ただ、驚いた。悲しかった。ただやっと僕の方を見てくれたとも感じた。 最悪の可能性を提示する。 それが間違っていることはわかってる。 なのに己の心の痛みをわかって欲しくて、相手の心を踏みにじった。それが間違っていることくらいわかっている。 写しの楽譜を破った瞬間の心は、空虚だった。 なにかが喪われた感覚だけがそこにあった。 意味もわからず楽譜を写し続けた時間、少しずつ記号や単語の意味を教えて貰った時間、みんなが寝静まってから押さえるだけで弦の復習に励んだ時間、そのすべてを引き裂いて棄てた。 それだけ僕は怒りを感じた。わかってくれなくていい。言葉を尽くしても行動を尽くしても駄目な奴はいる。それは僕で、バンクシェリアは悪くない。 間違った道でも突き進んでいけば、いつか僕もどこかに辿り着くだろう。 その時あいつがどこにもいないことを願っている。 カモミールも、シエラも、誰もいないことを。 (執筆中) ・幕間- 破られた楽譜を作り直してくれる、なんて。 嬉しいという気持ちは表せない。 バンクシェリアは、怒っている。けれどそれを抑圧している。 腹が立っているならいっそまた殴ってくれればいいのに。ひとつひとつ説明されると、家族を思い出す。 挙げ句の果てにはまた、己を粗末にする。死ななきゃいい。それで傷つかれて堪るものか。最後に勝利?皆が無事?できるものか。 誰もが傷つく。それが戦争。 甘ったるい理想論に吐き気がする。 やっと気づいたのか、後ろにいる奴が自分に心を向けていることに。 支えてくれと言われたって、隣に来てくれと言われたって、僕自身にそこにいて欲しいと言われたって。 「2回転を踊るなら、3回転を回れなければお客の前では踊れないのですよ、お嬢様」屋敷の道化師の口癖。己が未熟なことなど百も承知で。死なせてしまったらもう取り返しがつかない。今の僕では隣には立てない。傷をつけるだけだ。 ・幕間- 否定する。否定しながら追いかける。お前と同じ道など歩まないと。それで心に火をつけられるなら無駄じゃない。 結託しないのが、互いにとって今の最善。 カモミール、シエラ、本当にごめん。 僕は仲良くなんてしない。 違う手を打ち続ける。バルバロスの一員として、僕は僕のやり方で… (涙の跡)偽りを述べるのは案外しんどいものだね。 兄さま達みたいになりたい。 悩む時間があるなら、もっと有意義に使うでしょう。僕だってバジリスクであることを有効に使ってみせる。 秩序は闘争の先に提示できるもの。 (執筆中…) ・幕間 捕虜にしたバルカンに会いに行く。 その前に子爵にお願い事をしておこうと思ったらバンクシェリアが会いにきた。 なんの話かと思えば、同じ要件で。 彼も彼で本気らしい。 渡された台本の山からどれ程あれの命を救いたいかが伝わってきた。でも、それは的を射ているか、実際に相手を目の前にしたら何割を言葉にできるかはわからなかった。 僕で試してみてと言ってみた。 個人的には説得されなかった。床に座ったまま上から理想を説かれるのは中々不愉快だったしこのままなら死ぬから仲間になれと言われても強制力を感じる。僕としては受けておいて後で寝首をかこうかと思う。 でもバルカンは武人肌の種族だ。中でもかつてその(馬鹿正直、の単語が線で消されている)高潔さからダルクレムに封じられ、時に人族を仲間と認めることもある程の「例外」だ。生粋の戦士だから平和という言葉はどう響くかわからないけれど、対等な態度で話せば話くらいは聞いてもらえると思う。捕虜という立場上対等などあり得ないのだから相手の名誉の為にはそのくらいで丁度いい。 なにより以前のように理想を説くのみではなくきちんと「仲間」と言ったあの言葉は取っ掛かりになる。否、そうしてみせる。バンクシェリアがそう言ったことが重要なのだ。 ・幕間 子爵にお願いに行った。 相変わらず天幕に入れてくれるあたり今ひとつ思考が読めなくて疑わしい。 僕なら…狙撃手を用意して同じことはするかな。苛立たしい。 バンクシェリアは大人しくしていると言ったけれど、肝心なところは彼が話さなければあまり意味がない。水を向ければ話してくれるだろう。 目標はバルカンの助命。欲しいのはそれを僕達が願ったという事実。子爵が公的な場にバンクシェリアを連れ出した以上、失敗するとは思っていなかった。 「失敗したら自分が貰う」というのは予想外だった。あの狸爺。絶対譲らない。 ・幕間 フェン…カモミールとシエラも伴って牢へ行った。 食事と酒の差し入れまで用意するなんて甘い。悪いとは言わないが僕なら付け入る材料にもする。嬉しくもあるけれど。 思ったよりも戦士だったという印象。 僕には説得が難しかった。 あの場で僕にできるのは嘘を吐かないことだ。 嘘を吐かないことは貴族と戦士の溝を 浮き彫りにする。理想を突き詰めれば言えることはある。けれど、援護射撃ならこれで充分。 バンクシェリアの言葉を聞いてから考えていたことがあった。以前読んだ神話の中に出てきた「イグニスの炎」…僕達の感情を構成し身体を動かすもの。 バルバロスと人族共通に持つもの。 結局、僕達とカモミール達は始まりの剣に連なる存在に変わりはない。 だから共に暮らすことができるはず。 暴論だろうか。詭弁だろうか。けれど、実際にリルズ様はバルバロスと人族とを区別なさらない。 ならこの考えも無駄ではないと僕は思う。なにより口先で(一部消されている)死人が減らせるなら何でもいいだろう。 クルードニス。 名前を忘れないように書いておこう。 ・コボルドの里で 押さえるべき地点にコボルドの里があった。レイラという女性がまとめ役。 便利な泉もあることだし、できれば話し合いで済ませたい。バンクシェリア側に引き入れられれば重畳。材料はいくらでもある。 逃げられて少し心が痛んだのはクロスボウ使いの彼らに少し親近感を感じていたからだろうか。実家にいたときも僕の機嫌を損ねると首を刎ねられるからと低級蛮族は寄って来なかったのを思い出した。 僕としても使用人と仲良くすると兄さま達がいじめるからあまり関わりたくなか(荒く削られている) 囲むつもりが囲まれるなんて。 けれど、この里のコボルド達はどうやら集団戦に慣れている。レイラという女性も手練れで信頼されている。 敵に付け入る隙はある。 そうでなければ共倒れ。1番身を守る手段のないシエラでさえ僕は傷つけたくない。武器の射程の関係もあるけれど、女性の肌に傷を残して自分が無傷なんて。 ならば考えろ。考えろ。 バンクシェリアはコボルド達に言葉を掛けながら難しい顔をしていた。何を迷っているんだろう。こと戦場においては自信がすべてだと思うけれど。 彼は理想を掲げながら自信がないのが一番の欠点だ。目指す地点さえ分かれば材料なんて(乱雑に削られている) 見た目が弱そうで、相手と同じ武器使いで、上級バルバロスの僕の言葉なら受け入れやすいだろうか。そもそも協力するしかない状況だ。そんなに怯えているなら命令される方が楽だろう。少し高圧的でも許して貰おう。 シエラに、僕が司令塔、頑張って、と言われた… 肩に乗るこの重さは命だろうか。 殺させない。傷つけさせない。それが無理だとしても、命さえあればこの聖印が覆す。 今は神官であったことに感謝する。 ・戦場1〜2 やっぱり舐められている。 僕達が予想外の戦力だったのだろう。…とはいえ、最初に来た相手でもこの里を落とすには及ばないと思うけれど。 僕なら里の後方にゴーレムを設置しつつ正面から攻める。それであらかた本拠が壊れるだろう次の波からが本命。 そろそろ魔法が使える奴も投入してくるだろうし神官としては胃が痛む。 ”ストラス”を撃つのは楽しい。先達の切磋された技術を間近で見るのは楽しい。死人が出かねない戦場だというのに、自分の有用性を示すのがこんなにも楽しい。 兄さま方、母さま、父さま、僕もフェルドスパーとして恥じぬバジリスクだと証明してみせます。 (滲むほど強い筆圧で) いつか、後悔してください。 ・戦場3~4 アンドロスコーピオン。 数はそうでもないけれど今までの相手からすれば少しばかり面倒。今までの相手とは系統が違う気もする。 あの銃の性能自体はあまり良くない。せいぜい届いて20mといったところか。けれど、今まであった距離の利が減ったならもうこの高台に留まる必要はない。 大丈夫、視線の魔力も弓も届く。 ここからは神官として動くんだ。 カモミールと一緒に左翼に向かう。 途中で後ろから何かを弾くような物凄く高い音が聞こえた気がするんだけど、なんだったんだろう。矢でも当たったのかな? 敵も少しは頭を使ってきたみたい。 …アードラーに爆弾を持たせるなんて厄介な。覚えておこう。 あいつらが全力で飛んできたら一瞬で拠点まで辿り着かれる。片方はバンクシェリアが押さえられても、2匹いるのが面倒だ。空を飛べないことが恨めしい。 それでも僕にできることを考えろ。 ”ストラス”の重みが手にかかる。期待していると、頑張ってと、成長したねと言われたんだ。…それ以上に、僕の護りたいものに手を出す奴は「許さない」。 落とせた。僕にもできた…! ・戦場5 偵察に行ったカモミールから敵将が来るのを教えられた。数が多いし、シエラやバンクシェリアが難しい顔をしているから相当強いのだろう。魔導機械もいると言う。 ここまで本陣も皆もたいした傷は負っていない。シエラの馬はだいたい傷を治したし、ここまでの道に罠を仕掛けて、来る数を減らせばなんとか倒せる。 そう思っていた僕は楽観的にすぎた。 お願いします。カモミールを、バンクシェリアを、シエラを、拠点の者たちをどうかお護りください。大切な者たちなのです。一人たりとも失いたくない。どうか、どうか。そう祈った。 戦いが終わったとき、本当に感謝した。 誰も欠けずに生きているということに。 ・幕間 魔導機械の砲口が此方を向いたとき、思わず身が竦んだ。 撃たれて、痛くて、痛いとすら思わなかった。ただ傷口が熱かった。1回目は脇腹。2回目は庇った腕。 殺されるということは恐怖だ。どれだけ今まで守られていたか思い知った。 あんなもので誰かが撃たれるくらいならいっそ自分が撃たれたほうがいい。誰かがこの痛みを味わうくらいなら。僕ならなんの被害も受けないのだからと、そのくらい言えるようになりたい。 そうでなければ言葉に出すべきではないからだ。 ・幕間 家にいたときは、許されなかった。 何かしたくても、そんなことをする必要がないと何故か僕じゃなく相手が怒られていた。みんな怖がって逃げていった。 ずっと触れてみたかったふわふわの毛に触れさせてもらう。ありがとうと、怖くないと言ってもらえたことが、こんなにも嬉しい。 駄目じゃないよね。彼等もこんなに強い相手なのだから。触れてもきっと大丈夫。 ・幕間 レイラさんが弓を教えてくれると言った。忙しい筈だけどありがたいこと。 ”カンテラタック克式弩唱法”、弱者の技術とは思わない。 重要なのは有用性。弱者が強者を殺した技術は、これからの僕に必要になる。 誰かと何かをすることは、とても嬉しい。 …誰かさんの差し金じゃなければもっと。 ・幕間 シエラがボーアを保護してきていた。 殺すしかなかったと思っていたのに、戦場から騎獣を拾ってくるなんて…想定外。すごい。 欲しいと思うけど…この戦争が終わればザルツに帰ってほしいとも思う。 自分が昔着ていたドレスも、アクセサリーも。君が身につけていたらもっと綺麗だったと思うんだ。そんなに豪華じゃなくても、お洒落をして笑っている君は素敵だと思う。シエラはとても強いけど、シエラの生きる場所は戦場ではないように思う。 ・幕間 久しぶりに家族の夢を見た。 習い事に行く前にお父様の膝に乗っているときの夢だった。 『行っておいで、アリア。もし、できなくても気にすることはない。私はお前を愛しているよ』 そう言って額にキスをしてくれた。 そういうときは僕は決まって少しミスをして帰る。お父様がとても嬉しそうな顔をするから。 離れた今ならわかるかもしれない。 お母様は貴方を愛してはいなかったし、兄さま達は隙があれば貴方の後釜に座りたがっていた。 愛情を注げる相手が僕以外にいなかったのだと思う。 今、貴方はどうしているだろう。裏切られたと思っているだろうか。とうに死んでしまっただろうか。 アデュラリウスの名は貴方がくれたもの。フェルドスパーの姓は貴方のもの。 いつか再会できたなら、1人前のバルバロスとして感謝を伝えられたらいい。 独り立ちをして尚それでも貴方を愛していますと。 ・幕間 折角の宴なのにバンクシェリアがいなかったから、探した。 お手伝いをしたら酒を一本貰ったからそれも一緒に。見慣れなかったからこれ何?って訊いただけだったんだけど…でも、自慢のお酒らしい。 バンクシェリアは酒が入っている方が感情が、読みやすくなるかもしれない。普段は顔と雰囲気が合わなくて違和感が酷いけれど、わざとではなかったのかな。 …少し感情を露わにしすぎた、かもしれない。 カモミールが、バンクシェリアが傷つくたびにどうして防げなかったのかと無力感に苛まれる。後方で痛い思いもせずに祈るしかできない己が嫌だった。 でも、死ぬかもしれないときに救えるのも僕自身なのは違いない。それは当たり前の仕事だ。 彼の物言いは将の物言い。弱い相手が欲しいのは自分たちの生活の保障。名誉や感謝よりも。先んじて言われ、それが為されれば、いつか信頼に育つ。お前たちを侵すつもりはないと、僕より強そうに見える彼に言わせたかった。 あと…隣に居ろというなら肩の重荷を少しだけ背負うことを許してほしかった。信用がない…のなら、仕方がないかな。 ・幕間 言葉で伝えることは、難しい。 言葉を信じることも難しい。 ならば僕というものが何か残ればいいと思った。 そんな浅ましい胸の内をあの剣にも見抜かれていたようだ。半身とはよく言ったもの。僕は武器は武器としか思えないからまだ辿り着けない境地なのだろう。 社交辞令でも、理想の先に僕の居場所があると言ってくれたことが嬉しかった。 でも、やはり僕はつくづく彼を怒らせることしかできない。僕は有害だ。 ・幕間 ”ストラス”を磨いていると心が安らぐ。 楽器と向かい合っていると安心する。 それは相手が物を言わないからだろうか。 僕のことを嫌わないとわかっているから。 そう考えてぞっとした。 兄さま達のように誰かを石にしたいなんて思ったことはなかったはずなのに。 でも、たしかに相手が物を言わなければ安心してこの手に抱けるような気がした。 (執筆中…) ・幕間 変身した。 初めてじゃない。獲物を取るために何度もした。でも何度やっても慣れない。 バンクシェリアは「助かった」と言ってくれた。カモミールは口を利いてくれない。シエラ…一緒にいるのは、警戒心がなさすぎるよ…。危害を加えるような奴がいたら許さないけどね。 君に醜い姿を見られたくはなかった。 「嫌いにならないで」とは言ったけど。…今ここにいてくれるならシエラは僕を嫌いじゃない、って信じる。 本当に、誰も死ななくて良かった。 僕にはこれしか思いつかなかった。 (執筆中…) ・幕間 天幕でうとうとしていたらバンクシェリアが物資を持ってきてくれた。 護ってくれてありがとう、って。 …みんなが死にかける前にもっと考えなきゃいけなかった。もっと早く変身していれば傷を癒すことができた。 あのとき、きちんと考えていればできたことが山のようにある。 …どうしてバンクシェリアに怒鳴ってしまったんだろう。シエラに泣きついてしまったんだろう。 傷だらけのシエラに気付く余裕がなかったことを指摘されたから?…だったら自分が治療するからと言われたから? みんなが生きていて本当に安堵した。 あのときはたしかに役に立てたのかもしれない。 でも一度陣に戻ればお荷物の、替えが利く存在だ。僕がいなくても誰かが僕の仕事をする。 それなのに怪我をするのは替えの利かない誰かばかり。少し傷を塞いだくらいでなにかえらいことでもしたみたいに褒められるのは本当に辛い。それでも怒鳴ることはしないほうが良かった。 どうせうまく言えないなら仲間ではなく仕事相手と思おうか。カモミールにも動揺せずに接することができるかもしれない。 過剰な期待をしているのは僕の方なのだから、一度割り切るべきだろう。 成人した、人の命を預かる神官だ。 感情に振り回されるのは良くない。 (執筆中…) ・幕間(己の深淵へ) どうしていつもこうなのだろう。 安堵、感謝、喜びの感情。なのに気がつけば伝えたいことと逆のことを言っている。 認められたいと思えば思うほど、怒鳴り声で掻き消そうとしてしまう。 『…あいつはお前を危ない場所に連れて行こうとしたな』 『貴方に取り入ろうとする不届き者だったからよ』 『なんだ、そんなに気に入っていたのか。…それはすまないことをした』 『悪い悪い!今度買ってきてやるから許せよ』 …わたくしに口を利ける立場だと思ってるの。あの頃はよく言ってたな。元から友達や仲間という言葉は吐き気がしていた。同情か知らないけどいじめられるってわかっているのに馬鹿じゃないのかと。 けれど、今はあのときとは違う。 怖かったのは期待をされた上で嫌われて、失望されること。ずっとみんなが怖かった。だから先んじて相手を嫌って失望しようとした。未だに僕は誰も信じていないのかもしれない。シエラのことさえ味方として利用していないとは言い切れない。 あんなに優しくたってバンクシェリアは僕のことが嫌い。カモミールは僕が怖い。好かれることなんて一つもしてこなかった。 ずっとそう思っていたのに、ぬるま湯に浸かって甘えていたのがこの様だから。 「僕ではなく、神官としての僕を信じてほしい」 これなら嘘偽りない言葉になれるだろうか。怖い。怖くて仕方がない。 ・出立 出立の前に話に行った。 兵士として、裏切るような真似はしないと。戦士として、とは言えなかった。だって僕は戦士じゃない。弱い、研鑽も積んでいない神官だ。 …ずっとわかっていた。僕のことを一番信じられないのは僕自身だと。 未熟は今更、でも僕のせいで相手の心が不信に乱れて、それで傷を負わせるのは嫌だ。 カモミール、背中を預けると言ってくれてありがとう。 バンクシェリアには…笑われたな。どんなに心から吐いた言葉も、心も、年齢の差の前ではいとも容易く弾かれてしまう。 誰がいなくても彼は自分の夢を遂げるだろう。仲間と呼称できる相手さえいれば。 仲間なら誰でも良く、相対する者の事情など彼の前にはどうでもいいものとして転がっている。周囲を省みないその態度は必要なものだ。 兄さまたちを思い出す。 僕を好きだと言ったあの目は、気に食わないものを見る目が混ざっている。何を言おうと子供の戯言と断じられれば届かない。抱き上げられ、笑顔でいなければならない屈辱をここでもう一度味わう羽目になるとは思わなかった。 10年早く生まれていれば。 子供であることが許されない見目なら少しは違っただろうか。 その年月があればシエラにもカモミールにも怪我なんかさせなかったのに。 《歌バリエーション》 【アズライトの教えた歌】(基本は公益共通語、かつ2人以上の輪唱系の歌) 今日は良いことがありました 月よ 星よ(天気が悪いと「雲よ 風よ」。元歌では「愛する友よ」)お聞きくださいな (出鱈目に跳ねる即興のメロディと自由な言語でその日あった嬉しいことの報告が続く。うっかり不協和音を鳴らした時は「こういうこともあったけど〜」とやらかし話で繋ぐ) それは素敵なことでした/それは素敵なことですね 今日の私は幸せです 大陸一の果報者 大陸一の果報者 【寿ぎの歌】(ドレイク語) ありがとう 我らの出会いの幸運を神に感謝しよう あ 今日まで生きて、私と出会った貴方に 願わくば 我らが明日も轡を並べられますように 共に歩む相手に感謝を 【望郷の歌】(交易共通語) 遠く遠く 思い出せば紡ぎゆく 過ぎし日の言葉を 焚き火にくべる 諍いの言葉も 破り捨てた手紙も 青々と茂る思い出の糧 離れて初めて 貴方を思う 日々と言う言の葉に塗り潰された 貴方の愛をこの身に思う 燃えゆく言の葉は 今日も私を生かしてゆく 手のひらに感じる灰の温もり 【恋うる歌】(バジリスク語) 可愛い貴方と二人きりの夜は 共に湯に浸かり 髪を梳き紅を差し 好物を並べて杯を交わそう ”貴方と共に、私の愛が変わることはない” そう誓った だから逃げないで 微笑みよりも睦言よりも 凍るその瞳が貴方の真実 私だけが知る永遠 《家族構成》 ・オルソグレイス・フェルドスパー 長兄。グレイ兄さま。 「複色持ち」の強力なバジリスク。 一軍をまとめる資質がかなり高く、また高レベルの魔法戦士。全てにおいて感情の一切を排して効率を求めるタイプだが、偶に本気で遊んだ時は飽きるか相手が動かなくなるまでえげつない攻めを繰り返す。普段はアンデシンを諌める側。 アデュラリアの憧れ。 ・アンデシン・フェルドスパー 次兄。アンディ、もしくはアン兄さま(怒られるけど)。 赤色に緑のフレアが入った髪と瞳が印象的。手の込んだ仕掛けで敵味方問わず騙したり操ったりすることが大好きな参謀方。 頻繁にアデュラリアを可愛がって(からかいまくって)いた。ドレイクについてあることないこと吹き込んだのもこの兄。 オルソグレイスとは比較的歳が近いが、アデュラリアとは百年単位で歳が離れている。 ・アピア・フェルドスパー 母親。お母さま。 ディアリウスの正妻。避妊失敗で出来てしまったアデュラリアを暇潰しを兼ねて女の子として育てた。 性にも戦にも奔放な性格。 ・ディアリウス・フェルドスパー 父親。お父さま。 まだまだ現役なバジリスク。アデュラリアを可愛がっていた。 『”彷徨ノ塔”』 交易共通語で書かれたのをアリアが自力で写本したバジリスク語の本。 記憶を失った蛮族の少女が同じ事情の騎士の少年、二刀流の剣士、歌うたいの青年3人とパーティを組み、果てしない塔を登り続けるフィクション小説。