タイトル:風走 健 キャラクター名:風走 健(かぜばしり けん) 職業:遊園地職員 年齢:35 / 性別:男 出身:日本(羽星市) 髪の色:黒 / 瞳の色:黒 / 肌の色:白(火傷痕を除く) 身長:182 体重:74 ■能力値■ HP:12 MP:12 SAN:38/59      STR  CON  POW  DEX  APP  SIZ  INT  EDU  HP  MP 作成時  13   8  12  10   3  15  13  15  12  12 成長等 他修正 =合計=  13   8  12  10   3  15  13  15  12  12 ■技能■ ------------------------ 戦闘系技能 ------------------------ 習得/名前       現在値 習得/名前    現在値 習得/名前      現在値 ●《回避》      70%  ●《キック》  82%   《組み付き》   25% ●《こぶし(パンチ)》80%  ●《頭突き》  13%   《投擲》     25%  《マーシャルアーツ》1%    《拳銃》   20%   《サブマシンガン》15%  《ショットガン》  30%   《マシンガン》15%   《ライフル》   25% ------------------------ 探索系技能 ------------------------ 習得/名前   現在値 習得/名前   現在値 習得/名前   現在値  《応急手当》30%   《鍵開け》 1%    《隠す》  15%  《隠れる》 10%  ●《聞き耳》 65%   《忍び歩き》10%  《写真術》 10%   《精神分析》1%    《追跡》  10%  《登攀》  40%  ●《図書館》 55%  ●《目星》  74% ------------------------ 行動系技能 ------------------------ 習得/名前    現在値 習得/名前   現在値 習得/名前    現在値  《運転》   20%   《機械修理》20%   《重機械操作》1%  《乗馬》   5%    《水泳》  25%   《製作()》  5%  《操縦()》  1%    《跳躍》  25%   《電気修理》 10%  《ナビゲート》10%  ●《変装》  73%   《》     % ------------------------ 交渉系技能 ------------------------ 習得/名前    現在値 習得/名前      現在値 習得/名前 現在値 ●《言いくるめ》55%   《信用》     15%   《説得》15%  《値切り》  5%    《母国語(日本語)》75%   《》  % ------------------------ 知識系技能 ------------------------ 習得/名前      現在値 習得/名前      現在値 習得/名前  現在値  《医学》     5%    《オカルト》   5%    《化学》 1% ●《クトゥルフ神話》40%  ●《芸術(演技)》  45%   《経理》 10%  《考古学》    1%    《コンピューター》1%   ●《心理学》55%  《人類学》    1%    《生物学》    1%    《地質学》1%  《電子工学》   1%    《天文学》    1%    《博物学》10%  《物理学》    1%    《法律》     5%    《薬学》 1%  《歴史》     20%   《》       %    《》   % ■戦闘■ ダメージボーナス:1d4 名称 成功率 ダメージ 射程  攻撃回数 装弾数 耐久力 / 備考                              /                              / ■所持品■ 名称      単価 個数 価格 備考 スマートフォン    1   0 財布         1   0 サングラス      1   0 =所持品合計=     0 所持金 預金・借金 ■その他■ メモ: 羽星市郊外にあるテーマパーク『ドリームランド』。焼け落ちた廃病院を模したウォークスルー型お化け屋敷『霊安室からの呼び声』には、とある噂がある。 ―平日の開園から夕方までの間、運が悪いと本物の幽霊と遭遇する。― 何を馬鹿なと一笑に付したリアリスト、彼女に良い所を見せると意気込む若者等の来園者達を呑み込み、今日も廃病院は恐怖を生み出し続ける―― 甥の風走 修太と二人暮らしをしている、ドリームランドの職員(幽霊役)。噂の「本物の幽霊」の正体。噂は広報担当の職員がノリノリで拡散した。 兄夫婦とその息子の修太と出かけた際にビル火災に巻き込まれ、炎の中を彷徨ったため体は火傷痕だらけ。特に視界を確保するため露出せざるを得なかった顔上部の火傷痕が酷く、正視に耐えない。幼い修太を抱え込んで庇っていたため、顔の下部や胴体の前面等は火傷痕が少ない。 普段はサングラスと長めの前髪で顔の火傷痕を、長袖長ズボンで身体の火傷痕を隠している。 その火災によって兄夫婦は他界。火災直後は兄夫婦を喪った悲しみもあり、自分に子どもの養育なんてできる訳がないと修太を両親に預けていたが、気になって病院を脱走し様子を見に行く。その際に両親を拒絶し塞ぎ込む修太の姿を見て、彼の悲しみに寄り添えるのは火災現場にいた自分だけかもしれないと思い、両親を説得して引き取ることを決意した。 整形することを医師から勧められていたが、修太の養育に金が必要だと考え断った。火傷痕は修太を守れた勲章だと思っており、悪く捉えていない。 火傷痕の所為で前職を辞し、転職も難航していた時に『お化け募集中!』の求人広告を見つけて応募、一発合格した。 青い顔をしながら「イメージにピッタリだ」と笑ってくれた支配人には恩義を感じており、実は苦手な幽霊役の演技研究に余念がない。 学生の頃は周囲に優秀な兄と比較されて腐り、喧嘩が絶えず言動も粗野な人物だったが、おっとりとした兄夫婦と修太の影響で丸くなった。修太を一人前に育てることが他界した兄夫婦への最大の恩返しと考えており、自分のことよりも修太のことを優先する。 家事は一通りできるが、料理は苦手。しかし兄嫁がよく作ってくれたハンバーグの味を修太に伝えたいと思い、ハンバーグだけは練習した。修太の誕生日や良いことがあった時に腕を振るう。但し毎回端っこを焦がす。 義理堅く、筋を通さない行動を嫌う性格。基本的に他人には厳しいが、一度懐に入れた相手に対しては面倒見がいい。 外見を整えて一般的なお化けレベルになるためのメイク術を覚えたが、広報担当から「是非そのままでいってください」と言われてショックを受けた。その為、他スタッフのメイクを担当してその手腕を発揮している。「ま、いっかァ…。」 お化け屋敷の待機場所から出るタイミングは客の声や足音等の音が頼りのため、耳が良くなった。「飛び出すタイミングはバッチリよォ!」 客の恐怖度合いを推し量るため、表情から感情を読み取る力が鍛えられた。「こいついっぱいいっぱいだァ…。」 恐怖のあまり錯乱した客から攻撃されることがあり、反撃もできないため身のこなしが良くなった。「お客様ァ!スタッフへの暴行はァ!ご遠慮くださいィ!」 客を正気に戻すため言葉を尽くすこともある。「こんなところに本物の幽霊がいる訳ないだろうがァ!!」 修太がかくれんぼにドハマりしていた時期があり、付き合っている内に探し物のコツを掴んだ。「子どもってあんな隙間に入れんだなァ…。」 休みの日は修太にせがまれて図書館へよく行き、修太を待つ間に興味が湧いた本を読む。「最近のゾンビは何でもアリだなァ。」 【大切な人】風走 修太(かぜばしり しゅうた) 叔父の風走 健と二人暮らしをしている少年。幼少期にビル火災に巻き込まれ、叔父の尽力によってほぼ無傷で救出されるも両親は他界。悲しみに暮れて周囲を拒絶していたが、叔父の不器用な優しさにより立ち直った。肉体的にも精神的にも自身を救ってくれた叔父には強い感謝と尊敬の念を抱いている。叔父のことは最早第二の父だと思っており、呼び方を「おじちゃん」から「とーちゃん」(実父は「おとーさん」と呼んでいた)に変えようかと考えているが、気恥ずかしくて実行に移せていない。叔父の火傷痕に罪悪感を持っており、いつかお金を貯めて整形を受けさせたいと考えている。 両親の血を継いだのか(叔父とは正反対の)おっとりとした性格。好物は良いことがあった時等に叔父が焼いてくれる端っこが焦げたハンバーグ。読書が趣味なのだが、叔父に図書館へ連れていってもらうのは余分なお金をかけさせないように考えた結果である。読書で得た難しい語彙を使いたいお年頃。 【傀逅】生還。ショゴス、邪悪な奴隷、淵みに棲むもの、魚人、ゾス人、大いなる邪神(コラジン)と遭遇。以下リプレイ。   罹患すると衰弱し、最終的には意識を失う奇病『霊憑病』が流行している、ある日の羽星市。健は修太と一緒に図書館へ向かう途中で謎の声に導かれ、路地裏で事故を起こした車を発見する。覗いた運転席には死体があったため警察と救急へ電話を入れた後、近くにまだ死体が転がっているかもしれず修太にそれを見せたくないと考えた健は、彼をその場に残して先程よりも弱々しく聞こえる声の方向へと向かう。路地の奥では女性を襲っている不気味な男がおり、その場に居合わせたスーツの男と共に不気味な男を昏倒させて女性を助けるも、女性は既に冷たくなっていた。女性が守る様に抱えていたスーツケースに収められた物体(黄色い筒と赤い筒、謎の構造体2つ)の内、黄色い筒を手に取ってスーツの男と話していると、不気味な男の仲間と思われる連中に囲まれてしまう。全員を叩きのめそうと身構えた時、謎のドローンが現れ「シリンジを使用して変身してください」と謎の指示を出し始める。突然のことに困惑していると、その指示に従ったスーツの男が赤い筒を使用して炎を纏う魔人へと変貌してしまった。あまりの事態に黄色い筒=シリンジの使用を躊躇っていたが、ドローンの「変身を躊躇えば死亡します。」という言葉に腹を括る。『ハリケーン!』という音声と共にシリンジから飛び出した針を身体に突き立てると、全身の不調を感じた後に全能感に包まれ、自身の身体は風を纏う魔人=ハリケーンへと変貌していた。その力は凄まじく、炎の魔人=コンバスチョンが隕石を誤爆させたことで険悪な雰囲気になったり、自身も超人的な力に振り回されたりしつつも、2人は不気味な男達を一撃必殺で打倒する。直後、視線を感じて辺りを見回すとこちらを見ていた女性がいることにハリケーンは気づいたが、走り去られてしまった。2人はスーツケースを回収したドローンの指示で変身を解除すると、現れた屈強な男達によって何処かへと強制的に連行されてしまう。   路地裏に置いてきてしまった修太の心配をしつつ連れて行かれた先は、羽星市の警察署だった。地下の管制室の様な場所にいた藤原ライカと名乗った女性は「貴様らが倒した連中は邪神の復活を目論む組織の一員であり、霊憑病は邪神への生贄にされた被害者の症状だ。シリンジを使用しても五体満足な貴様ら適合者には邪神の復活を阻止するため協力してもらう。これは命令だ。」と語り、高性能AIを搭載したドローン=AIbotから受け取ったスーツケースをデスクに仕舞う。健はライカ(コードネーム:ジャック)の横柄な言動や、シリンジの危険性を理解した上で使用させたことに怒りを感じ反発するが、修太が生贄にされる可能性を排除するため渋々ながら協力を約束する。暴力団関係者だというスーツの男=伊吹・ハモンドも協力することになり、ライカから明日以降警察署へと来るように指示が出され、この日は解散した。   警察署から出た際に伊吹に連絡先の交換を提案すると「堅気に連絡先は教えられない」と断られ、(そんなこと言ってる場合かァ…?)と思うも、修太が心配だったため食い下がらずに帰路に着く。家に帰ると夕飯を用意してくれていた修太に帰りの遅さを心配されたが、本当のことを話す訳にもいかずにはぐらかしつつ、夕飯を(感動で泣きながら)食べた。   翌日、健が修太と共に朝食を食べながらニュースを見ていると、自身と伊吹の後ろ姿がそれぞれハリケーンとコンバスチョンへと変わり、不気味な男達を叩きのめす映像が流れ始める。呆然としていると修太に「見た目がちょー悪者っぽくない?怖い」と言われてしまい傷つくが何も言えないため、映像を提供したであろう女性へ(八つ当たり気味の)怒りを募らせて、鼻息荒く警察署へと向かった。   警察署の正面で待機していたAIbotの説明によると、組織の手掛かりになりそうな情報と場所は既にピックアップされており、それらを調査して邪神支援者たちの企みを阻むことが自分たちの主な任務だということだった。今朝の映像を撮った女性に関する調査もあったが、伊吹の「身体は資本だぜ」という意見に納得し、まずは戦闘訓練を受けにいくことを決める。戦闘訓練は先日防衛戦に敗北してしまうも四階級を制覇したキックボクシング選手、生姜野喜助がつけてくれるということもあり、期待をしながら生姜野が所属する乱馬ボクシングジムへと向かうのであった。   警官の制服に身を包み化粧で火傷痕を完璧に隠した健とスーツの刑事といった風体の伊吹を会長の世近堂が出迎えてくれたが、肝心の生姜野は車椅子に乗っており「僕はもうボクシングを引退したんだ!稽古なんてつけない!ボクシングなんて大嫌いだ!」と言い放つ。その瞬間、生姜野の周囲に大きな3つの錠前が見える様になり、健と伊吹は己の目を疑う。生姜野の心理状態を正常に戻さなければ稽古をつけてもらえないだろうというAIbotからの進言もあり、健が出入口で転んだりしつつも一度外へ出た2人は、藤原ライカから説得するための情報を得られるであろう場所を伝えられ、調査に乗り出す。   警察署の地下で生姜野の概要(防衛戦で須藤祥吾(経歴不明、素行が悪くとても文化的な生活を送ってきたとは思えない人物。現在行方不明。)にキックで足を折られて完敗し、リベンジマッチが組まれたが直後に引退会見をした。引退の理由は怪我による現役続行不可能であったが、専門家には疑問視されている。)、病院で生姜野の完治証明書(担当医は立てないのは身体以外の要因、あなた達なら彼の足になれるかもしれないと語った。)、生姜野の実家で母親からの証言(弱い自分を守るためにボクシングを始めたのに、このままでは喜助は期待に殺されてしまう。完治していると知られると再びリングに立てと言われてしまう…。)といった情報を手に入れた2人は、再び乱馬ボクシングジムへと向かう。   周囲に3つの錠前を浮かべた生姜野に、2人は手に入れた情報を突き付けて嘘を暴いていく。「ボクシングなんて大嫌いだ!」という発言には、伊吹が見かけた生姜野によって綺麗に手入れされたグローブを見せ、ボクシングを嫌いになれないという気持ちを。「もう一生、車椅子の生活だ!」には完治証明書を突き付けて外科的には完治しているという自覚を。「立てないのは原因不明の疾患なんだ!」には母親の証言から、期待を裏切りたくないといった心因的なものなのではないか?という仮説をぶつけ、生姜野から「須藤への恐怖と周囲の期待から逃げたいという気持ちが、足の機能を奪ったに違いない」という本音を引き出すことに成功する。   意気消沈した生姜野は「警官という職業柄、得体の知れない存在と相対することもあるでしょう。怖くはないんですか?逃げたくは、ないんですか?」と2人に問いかける。健は「育てている子どものことを思えば、踏ん張れんだよ。」と答え、「自分が守るものは何だったのでしょう…。」と溢した生姜野に伊吹は「キックボクシングを始めたのは自分を守るためだったんだろ?今までやってきたことを前向きに捉えて自分と向き合うために、キックボクシングを続けてみればいいんじゃねぇか?」と言葉をかける。続けて健が「お前が守るべきもんは分かんねぇけどよォ、キックボクシングが好きなんだろ?稽古変わりといっちゃあなんだが、俺と一緒にキックボクシング(の稽古)やってみねぇか?」と言うと、生姜野は「守るべきものがあるあなたと一緒に稽古すれば、私にも何か芽生えるかもしれませんね。…良ければ是非、やらせてください!」と、世近堂の力を借りてリングに上がるのであった。   始まった生姜野の稽古は並大抵のものではなかったが、確かな成長を感じられるものだった。特に拳と蹴りの成長を2人が実感していると、ジムの扉を蹴破って須藤が姿を現す。須藤は「ベルトを寄こせ。あの時のベルト、偽物。お前のベルト、全部寄こせ。闘え!闘え!」等と訳の分からないことを言い、生姜野を持ち上げて殴ろうとする。健が咄嗟に須藤の脇腹を蹴ると、彼は生姜野を放し「邪魔を、するな。お前たち2人、相手?倒せば、ベルト、もらえる?」と問いかけてきた。得体の知れなさを感じつつ「ベルトはくれてやれねぇが、そのまま見過ごすこともできねぇなァ!」と喧嘩を売ると、須藤は「分かった。2人一編に、来い。構わない。俺、強い。グローブを、しろ。」と言ってきた。健は「舐めたヤロウだァ!」と怒りを感じつつ世近堂にグローブを付けてもらい、伊吹と共に須藤と相対する。   ゴングが鳴り、健が怒りに任せて須藤の顔面に拳を叩き込むと、その部分は爛れて玉虫色でゼラチン質な何かが露わになり、中にある無機質な目を向けてくる。須藤は人間ではなかったのだ。それを知ってしまった生姜野は錯乱し、恐怖で足が震えている世近堂が生姜野を連れてジムから脱出する。「俺、本気、出す。お前たちも、出せ!」と須藤は声を上げ、AIbotも変身を躊躇えば死亡すると伝えてくる。2人は「「変身(!)」」と宣言しそれぞれのシリンジを身体に突き立てて、魔人へと変貌するのであった。   変身直後、ジムの練習生や近隣住民が騒ぎを聞きつけて集まり始め、2人と須藤の姿を見てパニックが起きる。2人の姿を見た群衆の中から「ベリアル…いや、ただのベリアルじゃない!ペアの悪魔…いわば、ベアリルだ!!」と叫ぶ声が聞こえてきた。そんな大混乱の中、可能であれば須藤を気絶させようと2人で相談していると第2ラウンドを告げるゴングが鳴り響く。   ハリケーンとハイキックの応酬をし、コンバスチョンに殴られて燃え上がった須藤はコンバスチョンに組み付き体力を回復させ始める。ハリケーンは拳の四連打で須藤をコンバスチョンから引き剥がし、トドメとばかりに跳躍から渾身の蹴りを放つ。須藤は爆散し「これが特訓の成果だァ!!」と気炎を吐くも、人間ではなかったとはいえ意思の疎通ができる生物を殺してしまったことで、心に大きなしこりを残す。AIBOTから労いの言葉と生姜野たちが無事に避難したことを聞いた2人は、警察署の地下へと戻るのであった。   伊吹からの報告を聞いたライカは邪神支援者がベルトを狙っていたことに疑問を持ちつつ、戦力が向上し支援者の企みが潰せたことを「悪くない」と評価して報酬の札束を2人に渡す。それを(健は嫌々ながら)受け取った2人はAIbotの見送りを断り、互いの体調や邪神について、ライカへの不信感などいくつかの話をした後で帰路に着く。修太の用意してくれた夕飯をまたもや涙でしょっぱくしながら食べ、彼が寝た後で酒を呑みながら兄夫婦の仏壇へ修太の報告をしてから眠りについた。   翌日、目が覚めた健はアラームを止めるため腕を伸ばすと、自身の腕が青緑色に変色していることに気付く。寝ぼけまなこの修太から腕を隠しつつ洗面台で確認すると、身体の所々が青緑色になっており、その箇所は鱗にも見える状態であることが分かった。普段から長袖の服を着ていることに安堵しつつリビングへ行くと、昨日の自分たち『べアリル』が乱馬ボクシングジムで暴れ、須藤を殺害したというニュースが流れる。べアリルに怯える修太にかけるべき言葉が見付からず、「殺害」という表現に内心で大きなショックを受けながら少し気まずい雰囲気の朝食を終えて、足取り重く警察署へと向かった。   合流した伊吹に身体の不調について訊くと、彼は色を識別できないという。それぞれの不調をライカに訴えると、それらが変身による変調だと伝えられた上で「行動できていれば問題ない。さっさと調査を開始しろ。」と冷たい言葉をかけられ、ライカに対して盛大に舌打ちをする。警察署前で次の行き先を不審者が出没するという呼張たこ公園に決め、健はトイレで昨日と同様に火傷痕を隠そうとするが、肌の変色とニュースの内容に動揺していたのか火傷痕を隠すことはできなかった。   到着した公園を一通り見回すと、茂みの中で周囲をキョロキョロと見ているスーツの男性を見つける。健が声をかけると男性は飛び上がらんばかりに驚いて「お、おばけ!ごめんなさいごめんなさい!」と言いながら固まってしまう。少し経ってから落ち着きを取り戻した彼は根墨孝史郎と名乗り、同じ会社の社員達から暴言を吐かれても言い返せない気弱な性格の人物だった。健は社員達の暴言に青筋を浮かべて押し黙り、伊吹が不審者について根墨に尋ねると心当たりはないようであったが、「僕、こんな弱い僕からもうすぐ生まれ変われるんですよ!」と不思議な話をし始める。根墨の話を纏めると、ある日出会った占い師に自分の悩みをピタリと当てられ、その占い師に勧められたセミナーで知った神の力を宿す水『神シリーズ』に心酔し、今日開催されるセミナーのイベントで水に力を与えた神が降臨する、というものであった。あまりにも怪しい話(というか詐欺)に邪神支援者が関係しているかもしれないと考えた2人はAIbotからのお墨付きももらい、根墨の勧めに従ってそのセミナーへの参加を決める。   根墨に連れていかれたセミナー会場は羽星市でも有数の高さを誇るビル50階の一室で、席は殆ど埋まっているほど盛況であった。神シリーズの生みの親という講師(せんせい)と呼ばれる女性が入室するとセミナーが始まるが、健は出入口に立っているガタイの良いローブの男2人が鍵をかけたことに気付き、伊吹にそれを伝える。講師は「我々にとって水こそ崇め奉る対象なのです。現代社会では水をろ過してしまい本来の神性が失われていますが、今回は祝詞を読み上げることによって水に神様を呼び戻してみましょう!手元の資料を基に、復唱をお願いしますね!」と資料に書かれた謎の文言を読み始めた。口パクをしながら様子を窺っていると、段々と声は揃い、速く大きくなっていく。   講師だけが最初とは別の言葉を唱えていることに2人が気付いた時、重い破裂音と共に何かが机の上に飛んでくる。それは、人体の一部だった。飛んできた方を見ると、セミナー参加者の男性が沸騰したかのように膨れ上がって一部が破裂し、人間とは違う別の存在に変貌する途中であった。同じ現象はセミナー会場の至る所で起きており、祝詞が止まった会場は元人間達の呻き声のような鳴き声と変化を免れた参加者の悲鳴が飛び交う地獄と化す。講師が「今回は随分残ったわねぇ…。」と呟くと、彼女の沸騰したかのように波打つ身体は瞬く間に元に戻る。伊吹は講師が血清のような物を自身に注射し、変化を免れている様子に気付いた。伊吹は健にその事を伝え、血清を使えば何人かは助けられるかと2人が相談していると、講師は変化しなかった人間を始末しろとローブの男達に命じる。彼らのローブの下は8本の腕を持つ異形の化け物であった。2体の8本腕は出入口に陣取り、付近の生き残った人々をまるで埃を払うかのように虐殺し始める。更に、こちらへ助けを求め「神様なんて嘘っぱちだった!!」と叫ぶ根墨の足は沸騰したかのように波打ち、その範囲が徐々に増えてきていた。そんな中、AIbotは任務を当該エリアからの脱出に更新する。多くの人を見殺しにして脱出するのは寝覚めが悪いと考えた2人はできるだけ多くの人を助けるため「健が出入口の8本腕を相手取り、血清を見ていた伊吹が講師から血清を奪う」という作戦を立てるも、動きを察したのか元人間(AIBOTのデータベースによると『邪悪な奴隷』)3体に背後から襲いかかられてしまい、変身の機会を逸したまま戦闘が始まってしまう。   邪悪な奴隷達の攻撃で健はボロボロになりながらも、伊吹と共に奴隷達へと攻撃をして変身するための隙を作り出すことに成功する。「「変身(!)」」の宣言と共に起きた強風と小爆発の余波をモロに受けた邪悪な奴隷達は爆散した。下半身は完全に沸騰してしまい気を失っている根墨を気にかけつつ、コンバスチョンが講師の方へ向かおうとすると、8本腕達は出入口から離れて講師を守るように立ち塞がる。2人の姿を見た講師は「とんだ大アタリが混じっていたようね。確かにこれは血清よ。全身に回っていない人間に使えば効果はあるでしょう。…でも関係ないでしょう?あなた達はここで死ぬんだもの!」と言い、何かを唱え始める。それは呪文であり、最後まで唱えられてしまうと何かしらの効果が発現することを理解した2人は、呪文の完成を阻止すべく攻撃を仕掛けるのであった。   8本腕達からの集中攻撃を何とか凌いだハリケーンが暴風で巻き上げた机や椅子を講師へぶつけようとすると、彼女は素早く何かを唱えそれらの軌道を逸らしてしまう。直撃を確信していたハリケーンは驚愕するも、講師の顔には先ほどよりも疲労が浮かんでいることに気付く。連撃ならば更に疲労させられるかもしれないと考え、ハリケーンは8本腕からの攻撃を更に受けつつも講師へ拳を2発叩き込むが、それらも逸らされてしまった。疲労の色が濃くなった講師は、彼女への攻撃に失敗し転倒しているコンバスチョンへと向かって何かを唱えるが、それは効果を発揮せず悔しさに顔を歪める。ボロボロになったハリケーンを8本腕からの攻撃が襲うが、コンバスチョンが転倒しながらもハリケーンを庇い、難を逃れた。コンバスチョンのアシストに応えるべくハリケーンは拳の3連撃を講師に叩きつけ、講師を昏倒させることに成功するが、自身も膝をついてしまう。ハリケーンは姿勢を崩しながらもコンバスチョンの拳を受けたことで燃える8本腕を、コンバスチョンはもう片方の8本腕を殴りつけて粉砕し、死闘は幕を閉じた。   急いで根墨に血清を投与するため、変身の解除も忘れて動き出そうとしたその時、謎の女性が現れた。「こいつらか…!」と険しい表情で吐き捨てたライダースーツの女性は腰へ謎の装置を装着し「変身!」と叫ぶ。そして肩に『D-3』と書かれた銀の装甲を一瞬で身に纏った彼女は、敵意も露わに2人へと向かってくるのであった。   AIbotから「任務更新。識別不能武装ユニットの撃滅。」と伝えられた2人は困惑する。ひとまずハリケーンは謎の女性と対話するために拘束を試み、コンバスチョンは根墨に血清を投与するための行動を開始した。ハリケーンが拘束に失敗し、謎の戦士の左腕が変形したドリルに身体を貫かれている間に、コンバスチョンは血清を根墨に投与、彼の変貌を阻止する。いつの間にか周囲には野次馬が集まり始めており、べアリルに立ち向かう謎の戦士の応援をしていた。謎の女性は一般人の近くで何かをしていたコンバスチョンを警戒し、「その人から離れろ!」と光る剣を振るって根墨から引き離す。根墨の安全を確保した2人は謎の女性の行動を止めるため、それぞれ殴りかかって銀の装甲へ大きな損傷を与える。すると仲間だと思われる存在と通信していた女性の周囲から眩い光が生じ、視界が回復した時には彼女の姿はどこにもなかった。AIbotの「ターゲットロスト。追跡不能。」という報告を聞いた2人は、戦闘の余波で火の手が回ったセミナー会場から根墨を連れて脱出する。   人気のない場所で変身を解除し一息ついていると、根墨が目を覚ます。彼は変われない自分に絶望し、これからの人生を悲観していた。後ろ向きな姿勢が問題だと考えた健は「助けられた命だと思って、(助けた)俺たちのために頑張ってくれねぇか?後ろ向きな奴ァ、俺は好きじゃねぇんだ。」と言葉をかける。それを聞いた根墨は「お二人のように前を向いて生きていくために、何かアドバイスとかあったら…、僕なんかにもできるかは分かりませんけど、教えてもらえませんかね…?」と尋ねる。「まずは自分なんか、ってのを止めるところから始めるんだな。自分はできるって、そう思うんだ。」と伝えた健はビル火災に巻き込まれた時のことを語り、「そんな大変な時だからこそ自分はできるって前を向いて、足掻いたからこそ生き残ることができたと、俺は信じてる。」と締めくくった。心が動かされた様子の根墨が「なかなか実行に移すのには時間がかかるかもしれませんけど…、僕もそれ、やっていってみようと思います。」と言うので、健は笑いながら「まずはあのいけ好かねぇ奴らに一言言い返すところから始めてみろ!」と発破をかける。その後2人の名前を訊き、猫背だった背中を伸ばし深々と一礼して感謝を伝えた根墨は去っていった。AIbotが「ベースへ帰投しましょう。支援者達の情報を多数収集することができました。お手柄です。」と2人に話しかけ、健は今朝のことを思い出して深い溜息をつきながらも、伊吹と共に警察署へと向かう。   伊吹からの報告を聞いたライカは、支援者達の目的は信心深い者達を利用して仲間を増やすことであると予想し、末端であろうとは言え活動拠点を1つ潰せたことは大きいと語る。報告がひと段落したところで、健は途中で乱入してきた女性が敵か味方かをライカに問いかけるが、ライカにとっても正体不明の存在であり「自衛のため撃破命令も出している。細かい事をお前達が知る必要はない。こちらでも対処は取っておく。」と言うだけだった。伊吹は「また同じようなのが飛んできたら堪ったもんじゃねぇぜ。今回の戦闘、こいつの腹には穴が開いたんだ!」とぼやき、その言葉で自身が邪悪な奴隷達の攻撃によってボロボロであったことを思い出した健は治療を受ける。健が傷の処置を受けている中、伊吹は初日のケースの中にあったシリンジではない物についてライカに質問するが、「お前達が今知る必要はない。」と取り付く島もない。「これから戦闘が厄介になっていくと思う。敵も警戒するだろう。教えてくれても、いいんじゃないか?」と食い下がる伊吹に、ライカは「今は使えない、とだけ答えておこう」と返すのであった。   警察署の前で2人は、今日の惨状の中で1人だけとはいえ助けられたことは僥倖だったという話をする。明日の調査について訊く伊吹に、健は最初にべアリルの映像を撮った女性がどうにも気になるということを伝え、明日は彼女について調べることを決めてから別れた。   家に帰った健は心配する修太に怪我の理由を誤魔化しつつ、修太が作ってくれたオムライス(ケチャップライスはベチャベチャ、殻入りの卵は上に乗っただけ)を食べる。殻は噛み砕いて何事もなかったかのように食べ進めていると、修太から不審な集団が家に訪ねてきたため居留守を使ったという話をされる。それらが邪神支援者達の可能性を考え、何かあったら直ぐに連絡をするよう修太に言い含めた健は、一抹の不安と今日は良いことをしたなァという達成感を感じながら眠りについた。   翌朝、健はいつものように修太と一緒にテレビを見ながら菓子パンを食べていると、何やら硬い物が口内にあることに気付く。手の中に出して見てみると、それは数本の歯だった。訝しむ修太に、パンの包装が口に入ったようだから捨ててくる、と席を外して洗面台で口内を確認すると、いくつかの歯が根元から折れていることが分かる。また変身の影響か…と考えつつ残りのパンを食べていると、べアリルがまた出没して大暴れし、銀の戦士がそれを止めるために戦った、といった内容のニュースが流れていた。それを見た修太は「べアリルをもてはやしている奴もいたけどさ。僕は人を傷つける奴はどうかなって思うから…。」と少し怒っており、健の心は痛む。昨日怪我をしたことで修太に心配をされながら、健はライカに家の警備を頼むことができるかを問おうと考えつつ警察署へと向かうのであった。   健が伊吹に今朝の変調について話すと、彼は痛覚がなくなっているという。伊吹の体調を心配しつつ地下へ向かうとライカは不在だった。近くの職員に警備の件を伝えると、「上に通してみます。」とだけ返され、おざなりな対応に舌打ちをする。   昨日決めた通り、邪神支援者の可能性がある動画配信者、照井明日香について調べると、彼女はオカルト関係の内容を顔出しで配信する人気配信者であり、健は彼女が路地裏で見かけた女性であることが分かる。ここ2週間は宗教団体『金色の彩雲』に関係する動画を投稿しており、最近の投稿を再生すると、モザイクがかけられた建物の中で照井と対談する『シャイン牧師』と呼ばれた男が「人間が犯した罪の山が混沌を生み出しており、それから救われるには神にお越しいただくしかありません。我々は着々と準備を進めており、後数週間後もすれば神はお出でなさるでしょう。その時、神を信仰し復活を支援した者だけが寵愛を受けられるのですよ。」と話し、最後に「信者は集めておりますが、誰でもいい訳ではありません。金色の彩雲のメンバーからの紹介じゃないと体験入信も受け付けていないんです。本気のあなたからの応募、お待ちしておりますよ。」と締めくくる。動画の評価は悪く、「笑顔が少なくなった」「やらされ感がすごい」等、照井への心配と困惑のコメントが多かった。更なる情報を求めて、べアリルの姿を映した動画の次に投稿された動画『2体の悪魔、情報求む』を再生すると、照井がべアリルは神の復活を邪魔する悪魔であること、神の秘密が漏れない限り絶対に負けることはない、という事を語り、「近日、体験入信者を募ります!詳細はツブヤキッターで♪」と締める。彼女のアカウントを見ると最新の投稿は今朝のもので、駅前の喫茶店で14時から体験入信希望者の簡易面接を行うという内容だった。不明な点は多かったが、悩んでいても仕方がないと考えた2人は喫茶店へと向かう。   店内では照井が何か作業をしながら座っていた。2人が体験入信を希望すると、彼女は冷やかしや遊び半分はお断りだと言い、「あなた達の熱意を是非ここで聞かせてほしいの。あなた達はなぜ、金色の彩雲に入信したいと思うの?」と尋ねてきた。健は火傷を理由に差別されるのが辛く、人を見かけで判断する世界を変えたいと、伊吹は表立って胸を張れない仕事に嫌気がさし、いっそこんな世界をひっくり返せば面白いのではないかと考えた、と口から出任せを言う。2人の返答に満足した様子の照井はシャイン牧師への紹介を約束し、早速『教会』と呼ばれる場所への案内を始めるのであった。   辿り着いた教会はその名前とは裏腹に寂れた2階建ての建物だったが、照井の動画に映っていたモザイクがかけられた建物と雰囲気は似ていた。照井が背中を向けている間に、AIbotはライカからの「そこは我々の探していた拠点の1つだ。2階のどこかにある邪神の復活を妨害できる資料を何としても持ち帰れ。」というメッセージを投影し、健は(そこまで調べがついていながら、手をこまねいていたのかよォ…!)と内心で叫んだ。照井の案内で応接間と書かれた部屋に2人は案内される。待つこと数分、照井はやって来たシャイン牧師に2人を紹介し、彼女をエージェント・ミステリアスと呼んだ牧師はにこやかに握手を求めてきた。どこか嫌な予感がしつつも2人が握手に応じると、彼はこう言う。「なるほどぉ。これは、これは。なぁるほどぉ…。エージェント・ミステリアス、お手柄です。アタリだ。…害虫です。」瞬間、牧師の身体はボロボロと崩れた。   牧師の身体の至る箇所から這い出たどす黒いゼラチン質の塊が、ヒダの隙間にある無数の目玉で2人を睨み付ける。須藤によく似た、しかしそれよりも悍ましい存在に2人は狼狽し、その様子を見た照井はバツの悪そうな顔をしつつ「あなた達も私を騙そうとした。だから、お互い様なのよ!そうでしょう…?」と言う。牧師は膨らませた身体の裂け目を巨大な口の様にして健を丸呑みにしようとし、健が咄嗟に躱すと「いやぁ、流石に反応が速いですねぇ。惜しかったぁ。」と笑った。「約束は果たしたわ。これで、私の妹は…。」「あぁ、そういえばそんな話でしたねぇ。では、彼女は返してあげましょう。」という照井と牧師の会話から、照井は妹を人質に取られて協力せざるを得ない状況であったことが察せられる。「どこだったっけかなぁ…、あぁ、ここだぁ。」と言って牧師は服を捲り、露わになった彼の側腹部には、目や口からゼラチン質の物体を流し、ただ呻き声を上げるだけの女性の顔が張り付いていた。顔面蒼白になり「そ、そんな…。桜…!」と言う照井の反応から、それが彼女の妹であることが分かる。「おやおやぁ、彼女はどうやら、あなたの下には帰りたくないそうですよぉ。そんなに落ち込まないください。後で会わせてあげますよぉ。…おい、こいつを連れていけ。」と牧師は部屋に入ってきた魚人に指示を出し、照井は部屋の奥へと連れ去られた。牧師は2人へと「さてさてぇ、罠とも知らず、釣り糸に見事に引っかかってくれましたねぇ。あんな胡散臭い情報を大真面目に信じて、こんな所までのこのこやって来るのは、神の復活が嘘ではなく真実だと知っている者だけ、です。では…駆除といきましょうかぁ。」と語りかけ、最早人の形を失った姿で襲いかかってこようとする。   牧師の外道な振る舞いに怒り心頭の健は伊吹に続き変身しようとするが、懐にシリンジがないことに気付く。「おやぁ、お探しはこちらかな?」と言う牧師の方を向くと、手の様な箇所にハリケーンシリンジが透けて見えた。(丸呑みにしようとした時にスってやがったのか!手癖の悪い野郎だァ…!)と更に怒りが燃え上がる健に「こちら、使われると面倒ですからねぇ。あなたは後でじっくり料理してあげますよ。ほら君、それまで遊んであげなさい。」と、牧師は応接室へ戻ってきた魚人をけしかけてくる。健と魚人、コンバスチョンと牧師が対峙し、AIbotが「任務更新。未確認生命体の撃破。シリンジの奪還。」と伝えた時、戦いの火蓋が切って落とされた。   見た目よりも素早い牧師に丸呑みにされてしまったコンバスチョンの元へ行くため、健は魚人に肉弾戦を仕掛ける。蹴りと拳を叩き込んで魚人を倒した時、コンバスチョンは牧師の体内から脱出。コンバスチョンはその勢いのまま牧師を殴りつけたが、あまりダメージが通っていないようだった。AIbotによると牧師は炎への高い耐性があり、「推奨。ハリケーンシリンジの早期奪還。」とアドバイスをする。それを聞き、牧師の攻撃を凌いだコンバスチョンは自身の近くにハリケーンシリンジが転がっていることに気付く。どうやら、牧師の体内から脱出した際の衝撃で、牧師がシリンジを掴んでいた手の一部が千切れていたようだ。コンバスチョンはそれを健へ向かって蹴り飛ばし、寸分違わず手に収まったシリンジを使って健はハリケーンへと変身する。更にコンバスチョンは牧師に蹴りを入れ、跳躍からの蹴りを叩き込もうとするが躱されてしまった。変身したハリケーンを脅威と見なしたのか、牧師は腹部から大量のゼラチン質の塊をハリケーンへ向けて放出してくる。それらを避けたハリケーンは牧師へ鋭いワンツーを入れ、跳躍すると「駆除されるのはテメェだ、この外道がァッ!!」と怒りを込めた蹴りを放つ。蹴りが突き刺さった牧師の身体は爆発し、バラバラに飛び散るのであった。   ゴロリと転がった牧師の頭部が口を開く。「な…るほど、なるほどなるほどぉ。少々、見くびりすぎていたようですねぇ…。だがもう、遅いのですよぉ。あなた達は、既に後手後手だ。一足先に…地獄で、待っていますよ。」そう言って哄笑する牧師の千切れた身体から火の手が上がり、彼を燃やし尽くしたのみならず、凄まじい勢いで教会を火の海にしてしまった。照井が連れて行かれた先を見ていたハリケーンは資料の回収をコンバスチョンに任せ、彼女を救出しに行く。照井が消えた扉を開けた先には更に3つの扉があったが、その内の1つから微かな物音が聞こえた。鍵のかかった扉を蹴破り中に入ると、どこかしらが欠損した死体の山と、涙を浮かべて蹲る照井の姿があった。異形の姿(ハリケーン)を見て気絶した彼女を黄衣で包んで抱え上げ、ハリケーンは部屋の窓を破って脱出する。玄関の近くに照井を横たえコンバスチョンがまだ脱出していないことを確認したハリケーンは、炎で焼かれて痛む身体と蘇るビル火災のトラウマを無視して、再び火災の中へ身を投じた。2階に上がると、燃える魚人の死体がある廊下の奥で、ジェスチャーで左手にある部屋へ入ることを伝えるコンバスチョンを見つける。そちらの捜索をコンバスチョンに任せて向かいにある部屋へ入ると、怪しげな機器や資料の中で巨大なパソコンが鎮座していた。それに素早くコードを刺したAIbotが「最重要機密情報の回収完了。脱出しましょう。ここは用済みです。」と言い、限界を感じていたハリケーンは再び窓を破って脱出する。コンバスチョンに何も伝えずに脱出してしまったことに気づき、バツの悪い思いになりながら玄関へ回ると、そこには無事脱出したコンバスチョンと気絶したままの照井以外にも人影があった。   それは昨日現れた、銀の戦士に変身した女性だった。彼女は覚悟を決めたかのような表情をしており「今日、ここで決着をつけよう。」と言うと、腰に謎の装置を装着し「変身!」と叫ぶ。昨日とは異なり肩に『D-4』と書かれた漆黒の装甲に身を包んだ彼女は、闘志を漲らせてこちらへと向かってくる。AIbotの「任務更新。『D-4』ユニットの撃滅。」という言葉に複雑な感情を抱きつつ、2人は身構えた。   故障したらしき武器を投げ捨てた彼女をハリケーンが殴る。「お前達の目的は何だ!なぜ人を襲う!」「人なんざ襲ってねェ!」「人間の言葉を喋って…!私が人類をお前達から守ってみせる!」と彼女は聞く耳を持たない様子だった。「お前達が倒れるまで、私は倒れないぞ…!」と不退転の覚悟を示す彼女に「そっちこそ目的は何なんだァ!」「恐らく俺達の目的は同じだ。俺達も邪神とやらを復活させたくないだけなんだ!」と2人が言うと、「邪神を復活させる…?一体何の話をしているんだ?!」と彼女は動揺する。それでも戦闘を止めない彼女はコンバスチョンに殴られると、「化物共め…!」とハリケーンへ頭突きをかました。「人類の平和は、私達が守る!」「別に俺達ァ、平和を脅かそうなんざしちゃいねぇよ!」「そんな姿で…!説得力などない!」と言い返されたハリケーンは(だったら普通の姿ならいいんだなァ…!)と変身を解除しようとするが、火事で近隣の住人が集まってきていたため思い止まる。話を聞こうとしない彼女に苛だったハリケーンが「俺達も人を守りたいんだよ!取り敢えず話を聞け!大体お前、俺達が人を襲ったところ見てんのかよォ!!」とヤケクソ気味に叫ぶと、それを聞いた彼女は狼狽し、「確かに…。いやしかし、こちらに来た情報が間違いだと、いうのか…?!…クソッ、今日のところは一時撤退する!」と言うと彼女の周囲からまたしても眩い光が生じた。視界が回復した頃には彼女の姿はなく、AIbotも「ターゲットロスト。追跡不能。」と報告する。周囲に人が大分集まってきていたため、2人は照井を連れて人気のない場所へと移動するのであった。   2人が変身を解除した時、照井が目を覚ます。なぜ助けたのかを問う彼女に、健が「あのまま死なれちゃあ、寝覚めが悪いからなァ。」と返すと、「そんなこと言ったって…!私は、あなた達を騙していたのよ!あなた達の命を差し出して、あいつに監禁された妹を助けようとした…。でも、私の妹は、もう…。私は、全て失ってしまった…。1人では生きていけない…。なぜ!?なぜ助けたの!あのまま死なせてくれればよかったのよ!!」と感情を爆発させる。それを聞いた健は、ビル火災の中を彷徨った苦痛の記憶、焼けて顔も形も分からなくなった兄夫婦の遺体を思い出し「死にたかっただァ?ふざけるんじゃねェ!!あんな、熱くて、息が苦しくて…あんな所、人の死に場所じゃねぇよ!!」と激怒した。怒る健に、照井は「それでも、私にとっては、私の妹がたった1人の大切な人だったのよ…。彼女がいなければ、私はこれから生きていけない…。…ねぇ、あなた達に大切な人はいる?もし、私と同じように大切な人を失ってしまったら、同じことを言えるの?!」と叫ぶ。「まぁ、今すぐ立ち上がれとは言わねぇ。だが、残されたもんは、それでも歩いていくしかねぇんだ。自分の人生をな…。その人生をどう生きるかは、これからのあんたの勝手だ。だが、拾った命は大切にした方が良いと思うぜ。」「失ったらってお前は言うが、失われた方の気持ちはどうなるんだよ。お前に生きて欲しくないと言うとでも思ってんのかァ?」という伊吹と健の返答に「そんなの…、分からないわよ…。」と彼女は力無く返した。「ま、今は分からなくても、いいんじゃねぇか?取り敢えず、ゆっくり飯食って、風呂入って、寝て起きて…また明日、考えりゃいいじゃねぇか。」「それにお前ェ、動画を投稿してたんだろ。コメント、ついてたのを見たぜ。あの中にはお前を心配してくれている奴もいたじゃねぇか。この後どうするかは知らねぇが、そいつらに無事だってことは、伝えた方がいいんじゃねぇか?」と2人に言葉を重ねられた彼女は、少し落ち着いた様子で「…それも、そうかも、しれないわね…。せっかく、助かったんだものね…。確かにあなた達の言う通り、私はまだこれからどうしていいか分からないけど…ひとまず、1人で考えてみるわ。」と言う。去りゆく照井に、健が神父を倒したことを伝えると、彼女は礼を言って夕闇の中へと消えていった。「任務完了。お疲れ様でした。ベースへ帰投しましょう。」とAIbotに促がされた2人は「今回もくたびれたし、後味が悪ぃ話だったなァ。」「ま、助けれただけ、マシだろ。」と話しながら警察署へと向かった。   資料の回収に成功したことをライカは「お手柄だ。」と言い、得られた情報の一部を印刷した紙を渡してくる。それによると邪神の復活に必要なのは精神力と呼ぶべきものであり、不特定多数のものでも良いが邪神を信奉する者、神に関係する種族のものであるのが望ましいこと、全ての精神力を献上した者は永遠の安寧を得て眠りにつくことが書いてあった。邪神の復活に霊憑病が関係していることがはっきりしたと言うライカは、「他にも有用な情報はもっと出てくるだろう。必ず、我々やお前達を助けるものが出てくるはずだ。また報告する。」と締めくくる。健が彼女に警備の件について訊くと「警備は手配しておいた。しかし、あまり我々のような者が近くにいると邪神支援者達に勘付かれないとも限らない。多くは手配できないが、そこは承知してくれ。」と返答し、健は彼女に対する態度(必要がない限り話しかけない、ずっと睨みつける等)を改めることを決めた。ついでに今回も乱入してきた女性についても訊き、「敵対してくる以上は対抗するしかあるまい。」とのことだったので「悪い奴じゃない気がしたから、現場判断でいいなら俺はまた対話を試みてみるがよォ。」と伝える。「好きにしていいが、お前達の正体はバラすなよ。何が起こるか分からないからな。」というライカの返答に、既に正体をバラそうとしていた健は目をそらした。   伊吹と明日の後遺症への不安を話した後、健は家へと帰り着く。火事場を突っ切ったことで顔色が悪くなったりしていないかを不安に思いながら家に入ると、いつものように修太が出迎えてくれた。修太が作ってくれたカレー(野菜が大きすぎて火が通り切っておらず、ちょっと焦げている)を食べていると再び歯が折れ、修太に心配をかけさせまいとそのまま飲み込んだりしつつも、こんな会話をする。 「おじちゃん、どうかな今日のカレー…?」 「あァ、今まで食ったカレーの中で一番美味ぇよ。」 「本当に?やった!…僕的には野菜の中に火が通ってなかったりしてちょっと微妙かなって思ってたんだけど…。」 「これはこれで瑞々しくていいじゃあねぇか!」 「やっぱりおじちゃんのコメント当てにならないなぁ…。まぁでも、おじちゃんが美味しいって食べてくれるならいいや。僕はもっと美味しい物を作れるように、これからも頑張るね。」 「おォ…?まァ頑張れ頑張れ!」 「そうだ!おじちゃん、偶にハンバーグ作ってくれるでしょ?僕がカレー上手に作れるようになったら、僕が作ったカレーにおじちゃんが作ってくれたハンバーグ乗っけてさぁ、ハンバーグカレーなんて一緒に食べれたらなって思うんだけど、どうかな?」 「まァ、良いけどよォ…。毎回端っこを焦がすぜェ?」 「いいよ、僕それが好きなんだから!ほら、香ばしくっていいでしょ?」 「おォ…。修太の味覚もあんまり当てにならないんじゃねぇかァ?」 「おじちゃんには言われたくない!」 「えェ!?」 ショックを受ける健に焦る修太。それに「冗談だよ、冗談!」と笑う健。 「そうかァ、あれが好きなのかァ…。まァ、焦げはあんまり良くねぇって聞くからな。次は焦がさねぇように頑張るぜェ!」 「じゃあ、おじちゃんも美味しいハンバーグ作れるようになったら、僕もそれに負けないぐらい美味しいカレー作れるようになるからさ。絶対!一緒にハンバーグカレー食べようね!」 「…あァ、そうだな。よし!いつか作ろう!」 「絶対だよ?」 「あァ!絶対だァ!」 「うん!」   ニコニコとカレーを食べる修太を見て思う。果たして、そんな未来が自分に来るのか…。温かい気持ちと冷たい不安の両方を抱えたまま、健は束の間の休息を取るのであった。   翌日、目を覚ました健は利き手で目を擦ろうとして強烈な違和感を覚える。目元に触れる、このぬめり化をおびた感触は一体…。恐る恐る確認すると、右の袖口から出ていたのは見慣れた自分の腕とは似ても似つかない、一本の触手だった。思わず上げた声で起きてしまった修太から触手を隠しつつ彼を寝室から出し、健は触手を包帯で覆い隠す。そして最低限の荷物だけを持ち「病院へ行ってくらァ!」とだけ修太に伝え、驚く彼の声を振り切るようにして外へと飛び出した。警察署の近くで伊吹を待っている間にニュースを確認すると、霊憑病の被害者がここ三日で急増(死亡100、意識不明200)していること、異常な燃え広がりを見せた雑居ビルの火災にべアリルが関与しており「自衛隊で駆除してくれよ!」という市民の声が上がっている、といった内容があり、健は肩を落とす。   意気消沈したまま普段の時間よりも遅い伊吹を警察署の前で待っていると、ふいに肩を叩かれる。振り返ると、伊吹が『大丈夫か?』と書かれたメモをこちらへ突き出していた。なぜ筆談なのかを問うと彼は『耳が聞こえん』と書き、利き手でペンが使えない健はジェスチャーで『行くぞ』と警察署の玄関を指して歩き出す。中へ入るとAIbotから「ジャック(ライカ)から緊急指令が下る。一度、ベースへ向かいましょう。」と伝えられた健は「このタイミングで緊急指令だァ!?」と嫌そうな顔をし、怪訝そうにしている伊吹に再び『行くぞ』とジェスチャーをするのであった。   伊吹の耳が聞こえないことを健から聞いたライカはAIbotにリアルタイムの字幕を投影させ、緊急指令の内容を2人に伝える。「お前達が得た情報から奴らの本拠地点を割り出した。ここを叩けば邪神復活支援活動は完全に停止し、我々の完全勝利だ。今夜、お前達が本拠地を掃討し、他部隊が同じタイミングで市内に点在する前線基地を襲撃する。私や指揮系統の最低限の人員は、指示を出すためにここに残る。」 ■簡易用■ 風走 健(かぜばしり けん)(男) 職業:遊園地職員 年齢:35 PL: STR:13  DEX:10  INT:13 アイデア:65 CON:8  APP:3  POW:12  幸 運:60 SIZ:15 SAN:59 EDU:15 知 識:75 H P:12  M P:12  回避:dex*2  ダメージボーナス:1d4 ―――――――――――――――――――――――――― [技能](職業技能点:300 個人技能点:130) (書式:職業/個人<成長>[その他]) ―――――――――――――――――――――――――― [持ち物] ・武器 ――――――――ここに記入―――――――― ・防具 ――――――――ここに記入―――――――― ・所持品 ――――――――ここに記入―――――――― [プロフィール]