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【通過シナリオ】 ｢K479｣「侵色」 【備考】 生まれつき身体が病弱で、幼少期はほぼ病院での生活を強いられてきた。 今現在は、それなりに体力もつき、1人でなんとか生活出来る程度には落ち着いているが、それでも身体能力は皆無である。 長時間歩くことも出来ないため、遠出する時は車椅子か杖は必須。 普段は家件アトリエで活動していることが多く、主に肖像画を作り出している。 ただ、それを市場などに出すことはなく、本人は｢ある1つのものを表現したいだけ｣とのことで、それ以外は失敗作なんだという。 彼は、過去に1度だけ殺人を犯したことがある。 高校生時代、彼には片想いをしていた相手がいた。相手は幼馴染で同い年の女の子であり、しばしば入院していた彼を気遣って、ずっと付き添ってくれていた。 絵の勉強を始めたのも、元々は彼女が絵を描くのが好きであったため、彼女に教わりながら彼も隣で絵を描いていた。その時間が当時の彼にとって、もっとも幸せな時だった。 しかし、そんな幸せな時間は長くは続かなかった。彼女の父親は虐待が酷く、その環境に彼女は徐々に精神をすり減らしていく。それでも、彼の前では心配をかけまいと、笑顔を絶やさずにいた。 それでも、暴力の痕は隠しきれるわけでもなく、あるキッカケでそのことを知られた彼女は｢もう生きるのに疲れたの…｣と弱音を零す。しかし、自殺する勇気もないのだと震える彼女に、彼は手を差し伸べた。 もし、自分がもっと強かったなら、彼女の手を引いてこの街から抜け出せただろうか…。父親にもっと強く言い返せただろうか…。彼女を僕が守るから…君が好きだから頑張って生きよう、だなんて口に出来ただろうか。 いくら後悔を抱えようと、いくら理想を語ろうとも、それを叶えられることは決してない。 ただ、彼女の力になりたい一心で。 自分に出来ることを成すために。 大きな後悔、蝕む狂気、自分の手で幸せにするのだという独占欲、こんな環境に産み落とした両親と神様への恨み、こんな選択肢を選ぶことしか出来ない自分への失望、ありとあらゆる感情がごちゃまぜになり、わけもわからないまま何度も振り下ろされたナイフの先の―― ――彼女の笑顔だけが、僕の脳裏から離れないんだ。 さぁ、今日も描こう。 最後の彼女の笑顔を額縁の中に閉じ込めるために。

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