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【簡易プロフィール】 ある嵐の夜、落雷を受けるも持ち前の体力で奇跡的に生還したと噂の精神科医。代償として髪は白髪に。また、首から手に掛けて枯れ木を逆さまにしたような痕があり見られるのをひどく嫌う。 穏やかで優しい性格だが、精神的に追い詰められると口調は荒くなり粗野な一面が垣間見える。 懐に「護り刀」を隠し持っており、心が不安定になるとひっそりと取り出して祈り、精神安定を図る様子が見られる。 【詳細】 とある地、名家の生まれ。所謂蔵持ちのお屋敷に暮らしていた。 病弱だが頭脳明晰、穏やかで優しいといった人格者な兄がおり、彼は子供達に勉学を教える塾を開いていた。一方、いすずは体力を除いて何をするにも兄に劣り、一族内でも比較され貶され、日に日に性格は荒び行動も粗野になっていく。 ある日の夜、酷い嵐に遭い屋敷の蔵は倒壊。大切に保管してあった一族の家宝の刀も紛失してしまう。いすずはこれを好機と捉えた。刀を見事見つけ出せば一族内での評価を一新できるのではないか。病弱な兄にはできない、頑丈な自分にしかできないことだ。 嵐の中屋敷を飛び出し、無くなった刀を探しに行く。 刀は遠く、大樹の元に刺さっていた。高揚気味に掲げた刹那、雷がその樹に落ちた。濡れた金属を掲げたいすずも感電し即座に失神。その後のことは知らない。気付けば見知らぬ土地の病院にいた。覚えてはいないが、精神錯乱を起こして病院を転々としこの地に至ったのだという。 そして新聞にて一族の末路を知る。あの嵐の夜、火事が起き屋敷ごと燃え、兄も家族も消息不明だという。ところで、いすずは声をかける人々が目を逸らすことが気になった。鏡を見てみると酷い落雷の痕のほか、驚くべきことに髪は真っ白に、目の色も薄く変容していた。 この変容が、いすずの大きな転機となる。 幸い見目もこうして変わった、この地では己を知る者は誰もいない。残ったものはこの刀だけ。一度死んだも同然の身ならば、死体の上に安置する「護り刀」を帯刀していてもおかしくはなかろう。さて、一度死に、新たな生を得るのならば兄のような人生が生きてみたい。兄のように穏やかで優しい人になりたい。人を助け、信頼され、先生と呼ばれてみたい。 こうして、いすずは兄の真似事をし続けるうちに考え方そのものも「兄」となった。 【精神科医になるまで】 己を担当してくれていた谷崎医師は独身男性であり、そして高齢であった。孫のように接してくれた彼の話術、治療法を緻密に学び己のものとし、退院と同時にその意思を見込まれて養子となり彼の後を継いだ。

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