タイトル:『VOID』 キャラクター名:白射玄乃 職業:刑事 年齢:35 / 性別:女性 出身: 髪の色:蒼海 / 瞳の色:薄紅 / 肌の色: 身長:167 体重:56 ■能力値■ HP:14 MP:14 SAN:68/99      STR  CON  POW  DEX  APP  SIZ  INT  EDU  HP  MP 作成時   7  15  14  16  18  13  17  18  14  14 成長等  -1            2 他修正 =合計=   6  15  14  16  20  13  17  18  14  14 ■技能■ ------------------------ 戦闘系技能 ------------------------ 習得/名前       現在値 習得/名前    現在値 習得/名前      現在値 ●《回避》      73%   《キック》  25%   《組み付き》   25%  《こぶし(パンチ)》50%   《頭突き》  10%   《投擲》     25%  《マーシャルアーツ》1%    《拳銃》   20%  ●《サブマシンガン》85%  《ショットガン》  30%   《マシンガン》15%   《ライフル》   25% ------------------------ 探索系技能 ------------------------ 習得/名前   現在値 習得/名前   現在値 習得/名前   現在値  《応急手当》30%   《鍵開け》 1%    《隠す》  15%  《隠れる》 10%  ●《聞き耳》 75%   《忍び歩き》10%  《写真術》 10%  ●《精神分析》70%   《追跡》  10%  《登攀》  40%  ●《図書館》 80%  ●《目星》  87% ------------------------ 行動系技能 ------------------------ 習得/名前    現在値 習得/名前   現在値 習得/名前    現在値  《運転》   20%  ●《機械修理》70%   《重機械操作》1%  《乗馬》   5%    《水泳》  25%   《製作()》  5%  《操縦()》  1%    《跳躍》  25%   《電気修理》 10%  《ナビゲート》10%   《変装》  1%    《》     % ------------------------ 交渉系技能 ------------------------ 習得/名前    現在値 習得/名前   現在値 習得/名前 現在値  《言いくるめ》5%    《信用》  15%  ●《説得》85%  《値切り》  5%    《母国語()》90%   《》  % ------------------------ 知識系技能 ------------------------ 習得/名前      現在値 習得/名前      現在値 習得/名前  現在値 ●《医学》     20%  ●《オカルト》   20%  ●《化学》 20%  《クトゥルフ神話》0%   ●《芸術(演技)》  20%  ●《経理》 20% ●《考古学》    20%  ●《コンピューター》80%  ●《心理学》78% ●《人類学》    20%  ●《生物学》    20%  ●《地質学》20% ●《電子工学》   20%  ●《天文学》    20%  ●《博物学》20% ●《物理学》    20%  ●《法律》     20%  ●《薬学》 20%  《歴史》     20%  ●《芸術(絵画)》  30%   《》   % ■戦闘■ ダメージボーナス:0 名称 成功率 ダメージ 射程  攻撃回数 装弾数 耐久力 / 備考                              /                              / ■所持品■ 名称 単価 個数 価格 備考       1   0       1   0       1   0       1   0 =所持品合計=     0 所持金 預金・借金 ■その他■ メモ: ◯白射玄乃(しらい・くろの)/『VOID』HO3 【カラスノエンドウ/ソラマメ】:「小さな恋人たち」「喜びの訪れ」「未来の幸せ」 【シラー】:「変わらない愛」「辛抱強い」「我慢強さ」「寂しさ」「哀れ」「不変」「恋の呼びかけ」 『HO3:刑事    貴方は他の課から異動してきた刑事だ。    今まであらゆる事件を解決してきたことだろう。』 「あら、こんにちは。ようこそ、『公安局刑事課アンドロイド事件捜査係』へ。私は白射玄乃、よろしくね」 「知識こそ力、よ。溜め込んだそれらは、一切邪魔にはならないの」 「アンドロイドだろうが、人間だろうが、自分の意思に此処にいるのよ。その意味を、履き違えないで」 「私が綺麗? ありがとう、分かってるわ。でも安心して、綺麗、だけじゃ終わってあげないから」 ・晴れ渡った蒼穹の下で煌めく大海原のような、けれど何処か風を一枚の幕と飾るかのような、美しい薄青色の髪を丁寧に伸ばし、後頭部の高い位置で結んでいる。瞳は一切の穢れが無い白雪に、夕暮れの輝きが反射をして煌めくような白赤色。  色素の淡い眼差しは、光の移り変わる輝きに合わせて、数多の色を見せるが、一番強く色彩を映すのは、星の光が美しい黒々とした玄い夜空と、果てない夕景。夜半に空を見上げると、時折瞳の中に、もう一つの赤い銀河が見える。  一切の曇りなく、全てが完璧なまでに整えられた容貌を持っている。巷を歩けば十人が十人振り返るが、だが、その美しすぎる容貌がゆえに人離れをしている風にも感じられ、時に恐ろしさや威圧感さえも他者に感じさせることがある。また、意識をしなければ表情の変化が乏しい節があるため、それと合わさって、人の身でありながらアンドロイドと勘違いをされることも度々あるが、勘違いされたとしても、当人はあまり気にせずさらりと否定している。 ・そんな、自身の容貌への高い自意識を持ち、その姿を今まで保ち続けてきた、穏やかで凛とした女性。  柔和な物腰で微笑み、けれど、時に凛とした揺るぎない態度を見せ、背筋を伸ばしている。  静かな微笑みか、或いは整った静謐たる真顔を浮かべていることが多く、些か感情の変化が淡い。大きく感情を出すことはせず、ふわりと、けれども真っすぐに他者を見据える。だが、その感情の淡さから、些か淡々とした雰囲気も覗き、絶佳たる美しさと相まって、人から外れた姿にさえ見えることも。  自身の容貌には十分すぎるほど自覚があるため、意識をして柔らかな雰囲気を作り出すように微笑んではいるが、考え事をしていたり、意識をしていないとさして表情が浮かばないことが多いため、無意識に上記の勘違いを助長させてしまうことも儘ある。  だが、それは同時に、自身の防衛本能のひとつであることも理解してる。この容貌ゆえに数多に声を掛けられては来たが、美しすぎて底が知れないモノへ、人は声を掛けることを恐れる傾向にもあるのは分かっているわ。以前は無意識に、然し、歳を重ねた今では意識的にそれを行使している。この世には、見てるだけ、にしておいたいいものもあるのよ。 ・真面目で誠実、また、人のことを放っておけない世話焼きの気質も些かあり、困っている人々に頼られたら、中々断ることが出来ない。推しに弱い。  真面目ではあるが、この年齢まで育っているために、ある程度の物事や意見に対しては柔軟に対応することが出来るが、然し、元来の気質ゆえに、穏やかな根底で実はきちんと受け止めている。知的好奇心旺盛な部分と含めて、様々な知識や情報を得て、それらが職務や人々の役に立つのならば、あまり苦労を苦労と思うことが無い。 ・幼少期から10代まではモデルとして活躍をしていたため、その際の体系維持や美容管理は未だに強く名残を残しており、自身の美しさをきちんと保つ為に、日々努力を重ねている。仕事などで忙しいときも、きちんと周りに迷惑にならないように時間を作って、肌の手入れなどは決して怠らない。  自分がいちばん美しく見えるプロポーションを常に意識をしているため、体格はかなり華奢。筋力はあまり無く、実際非力な自覚はある。だが、職務がら体力はきちんとつけており、仕事が忙しくないときには、友人の開いている会員限定のプライベートジムへも通っているが、筋力を付けることは若干諦めている。というよりも、下手に筋力をつけて、プロポーションを崩したくはない。 ・自分自身を飾ることも大変好んでいる為に、プライベートや、或いは仕事で必要な際などでは、きちんと自分が美しく見えるよう着飾っており、幾人かの友人たちとの外出も楽しんでいる。綺麗すぎて逆にナンパが声を掛けづらいやつ。逆にスカウトに声を掛けられることは日常茶飯事過ぎて、もうあしらいが慣れ切っている。だが、邪険にはせず、きちんと断る。しつこい連中に関しては別だが。周囲からの目線に関しても同様。見られることは当然であり、人から見られることを前提で全ての行動、言動を成り立たせている。  ある種、美しさゆえに万人が抱くであろう理想を叶え、そう在るべき姿を成している。  けれども、その全てを叶える訳ではなく、自分自身として、また職業として必要な姿を優先させることも。 ・一見はモデル、或いは女優と思われるような姿をしているが、長年警察官、刑事として働いている。  特に警察組織の中でも「公共の安全と秩序」を維持することを目的とする公安警察に所属をしており、実力としてはかなりのもの。  今回「公安局刑事課アンドロイド事件捜査係」に異動してくるまでは、通信傍受や分析の職務を担う外事情報部の第2課に長らく所属をしていた。そのため、コンピューターや機械類の扱いには長けており、分析を得意としている。  ただ、あまりに容貌が印象に残り過ぎる為に、公安として極秘の活動をするよりも、敢えて人前へと出ることが多く、その為対外的には警視庁の広報部に所属をしている扱いになっている。警察の後方活動に多く携わりつつ、その裏で真の所属たる公安課にて、諜報・分析活動を行っていた。  広報部とは異動をした現在も繋がりがあり、仕事の関係などでモデル役として呼び出されることも多々。老若男女問わず、誰からも美しさゆえのウケが大きいのが武器。だが、第一優先はドロ課での仕事であるために、バランスは上手くとっている。 ・まだ、些か気持ち的には固まっているものではないけれど。  自分がドロ課に所属をし、尚且つアンドロイドと共に行動をすることで、警察内部はともかくとして、世間一般へのアンドロイドの有用性の宣伝効果が及べば、と考えている一面もある。 ・アンドロイドに関して、さして良し悪しどちらの感情も特には抱いていないニュートラル。  アンドロイドはアンドロイド、人間は人間。  人間が出来ない行動をアンドロイドが担い、アンドロイドでは難しい箇所を人間が担えばいい。お互いがお互いの領分を見極めて過ごせばいい、という中立派。  共に仕事をするというならば、当然仕事仲間として対等に扱い、相棒であるというならば大切に扱いはするが、あくまでも人間とアンドロイドと分けて考えており、接し方も同様。一個人、というよりも、一個体として認識し、然し同時に彼、彼女らに意思があるのならば、それらにきちんと耳を傾ける。  だから、彼らが傷つけば心配もするし、今現在引き起こっている事件や、また、他の刑事たちの態度に対しては、あまりいい感情を抱いてはいない。別にどんな感情を抱くことも自由ではあると思うけれど、イタズラに傷つけたり、或いはイジメじみた陰湿なことをするのは気に入らないわ。文句があるなら正面から。或いは、自分が実力を示せばいいでしょう。 ・ある種、種族・人種の違い、くらいの認識。  ゆえに、人間に対してもアンドロイドに対しても、若干ドライの兆しがあるかもしれない。 ・舞台俳優の父と、歌手タレントの母。また、政治家の祖母と、スタントマンだった祖父、そして親戚各所に芸能・業界関係の人間を数多く輩出している家柄に生まれる。  両親、祖父母共に美しい容貌を持って生まれる家系であり、どうやら、母方の家系を古い時代の過去まで遡ると、「神に愛され、美しさを与えられた」家系だとかなんとか、という伝承が残っているらしいとか。だが、詳しいことはあまり興味が無かった為に知らない。というよりも、確かに美しさを持って生まれたかもしれないけれど、きちんと見せれる物として磨いたのは自分自身でしょう、と、あまりいい感情は抱いていない。  そんな家柄らしく見目麗しく誕生をし、将来的なことを見据えてそれこそ赤ん坊のころから父や母に連れられて子役として活躍をしていた。だが、中学生のときに引き起こったとある事情をきっかけに、その道から外れ、警察官の道へと足を踏み入れることを決意。だが、一家の中でも類稀なる美しさを持っており、将来も嘱望されていたために、家族や親戚筋から凄まじい反対に合う。反対、というよりも、こちらの意見を受け入れようとしない、ほぼ一方的な抑圧と決めつけだった。  どんなに説得しようとしても、その言葉が聞き届けられることは、一切なくて。だから、自身としてそれを聞き入れるつもりも一切なくした。決裂は目に見えていて、半ば勘当される形で、高校に進学が決まったタイミングで家から飛び出た。 ・幸い、それなりに精力的にモデル活動を行ってきた為に、幼いながらも自分自身の稼ぎはあったため、それらを何とか駆使して進学をする。また、その際に、親戚の更に親戚、その末端に、自衛官をしている姉のような存在がおり、家の事情を薄らと察し、彼女のことを気の毒に思っていた彼女から手を貸され、何とか生活をすることが出来た。  だが、その問題を世間に露わにすることを嫌がった、また未だ往生際悪く彼女のことを引き戻そうとする実家が、縁を切ることを拒否。これ以上の面倒事を引き起こしたくはなかったため、その女性自衛官や、彼女の友人の法律関係者の手を借りて、自分自身の生活に干渉しない代わりに、名前や戸籍などをそのままにしておくことは承諾をした。 ・その為、大人や世間の汚い部分、薄暗い部分を嫌というほどに見てきており、些か嫌気がさしている部分がある。  だが、同時に強かな性格でもあり、また、この年齢まで過ごしている為に、時に互いの利害が合致する形で、警察の広報で利用できる際は利用する、などといった世渡りも出来るようになっている。 ・然し同時に、警察組織、それもこの公安に所属することによって、いつかこの家の、或いは業界に蔓延る「黒い部分」を掴むことができないか、と画策をしているところもある。家のせいで、或いは業界のせいで。苦労をしたという人々の話も、家から飛びでて以来、多く聞いてもいるから。そんな彼らの為にも、…………自分の、自由の為にもなるんだったら。  もし万が一掴めたそのときは、家と一緒に沈む覚悟も出来ている。まあ、それはきっと、先の途方もない話になるのだろうけれど。 ・自身を助けてくれた、女性自衛官。彼女に憧れたこともあって、実は少し、自衛隊への所属も考えた。だが、自衛隊に所属をするためには、どうしようもならないほどに非力で在った為にその考えはやめ、きちんと自身を一定ラインまで鍛えながら、高校・大学を過ごして、警察大学校へと進学する。  それから、今現在の道へと進んだ。  そんな女性自衛官たる彼女は、数年前に海外戦地への招集に自ら志願し、ここしばらくは電子的な画面でしか会ってはいない。けれども、今も昔も変わらない、心強くたくましい彼女であるために、彼女のような強い女性になりたい、と未だに強く目標にしている。また、その彼女が派兵された戦地にて、アンドロイドたちに助けられている話なども多く耳にしているために、アンドロイドに対する、ニュートラルな思考への一つの要因となっている。 ・メイク道具や香水などを様々に集めることを趣味としており、一人暮らしのマンションには、それらと衣装含めた諸々を飾っている、かなり広々とした衣装ルームが備え付けられているほど。  季節などに合わせて様々に香水を楽しんでいるが、特に秋口では、長年ずっと気に入っている金木犀の香りの香水があり、それを愛用している。 ・HO4に渡した名前は『蛍』。  由来は此処に。https://fusetter.com/tw/g2iCQFHK#follower ・カラーコード:Aliceblue #f0f8ff         卯の花色 #F7FCFE ・イメソン:「魔女(花譜)」「麻痺(yama )」「血流(yama)」「光の夜(yama)」「DAYBREAK FRONTLINE(Orangestar)」 ・白と黒。黒よりも、尚深い玄。そして、幾つもの経験を乗り越えてきた、玄人たる「玄」。  美しく真白い外見をしながらも、背負うものは、ひたすらな玄である。 【特徴表】 35:絢爛豪華 あなたは元より見目を着飾れることが自慢だ。APP+2 ただし近くにいる相手のAPPが自分より2以上高かった場合SANc1/1d3(一度のみ) 43:Knowledge is power. 知識こそ力だ。広く浅く。 クトゥルフ神話技能を除く知識系技能の初期値が20になる。 ただしSTRかCONどちらか-1。 【花言葉】 24:サルビア 「家族愛」「燃える想い」「知恵」「エネルギー」 その力はどこから来るのか。溢れる思い、尽きない望み。後悔すらも気力に変えて、絶望すらも希望に変えて、貴方は前へ前へと進むだろう。先頭はいつだって貴方だ。貴方のいるその場所こそが最前線だ。 63:胡桃(くるみ) 「知性」 膨大な知識が貴方の人格を形成した。貴方の心は本のように厳密で、言葉は法律のように論理的。しかしどうだろう、その知識で振り分けられないものが現れたら、貴方は知的好奇に幸福を感じるだろうか。未知なるものに恐怖するだろうか。 91:春紫苑(はるじおん)・ハルジオン 「追想の愛」 会えない人を、いつまでも思い偲ぶ。あの人しか考えられない。あれ以上の思い出など出来るはずもない。いつまでもいつまでも、過去にしがみつく悲しい人なのが貴方。悲しみでは前へ進めないのも知っている。悲しみを活力に変えられるのが貴方だ。 【通過シナリオ】 ・『VOID』 ・『遺却の君へ』 ・『僅差平行のヴェルダンディ』 <以下、『VOID』HO3秘匿情報有り。> 「な」 「なんで、」 「────~~~~~……………なんであんたがそんなとこいるのよ、恭雅のばーーーーーーーか!!!!!」 ・今となっては落ち着いた態度をしているが、その実、素の性格はかなりのお転婆で、跳ねっ返りが強い性格。  かなり感情的なところがあり、喜怒哀楽がはっきりとしている。  だが、下手に人に対してその素を見せようとはせず、美しい容貌に相応しい、凛と穏やかな性格を取り繕ってきた。  特に大喧嘩の末に家を出て以来は、その傾向が顕著であり、誰からも見目麗しい絶佳の女性と在れるよう。  けれども同時に、困っている人々へと手を差し伸べることが出来る、穏やかで頼りがいがある警察官になれるよう。  常に自身の中で言い聞かせて、取り繕ってきた。  理由はある。けれども、その理由をおいても、家を自分の意思で飛び出したのだから。ならば、責任を持って、美しさを私として誇れる、自分で在らなければ。焦りにも似たものが、ずっと、胸の中に蔓延っていた。 ・ゆえに、白瀬恭雅、彼に出会った警察学校時代。  彼に対しても、誰に対しても、当然最初はその、取り繕った自分自身で接していた。些かの変わり種ながら、美しく穏やかで、けれども、真っすぐに警察を目指す女として。白瀬の実力には、入学当初から一目置いており、表面上では穏やかに接しながらも、内心では対抗心を密やかに抱いて、度々に競っては、けれども中々彼より先に行くことができないことを入学当初からもどかしくも思っていた。  だから、誰にも見つからないように、一人残って自主練や勉強を重ねて、優れた実力を持った彼に何とか追いつけるよう、追い抜かせるよう、努力を重ねるようにしていた。 ・そんな入学当初から、さほどせず。ふとしたタイミングで、彼とふたりきりになる、そんなタイミングがあった。  自主練を申し込んだ射撃場で、偶然、避けていたはずの彼の自主練と被ってしまって、ふたりきりになってしまった。  表面上は取り繕って、いつも通り当たり障りなく接していたけれど。  こちらをじっと見た彼が一言、ぽつりと零した言葉を、もうこの十数年間、忘れられたことはない。 「そんなに取り繕って、苦しくないのか?」  完璧に美しさの下に、取り繕ってきたはずだったのに。  大丈夫だったはず、なのに。  きっと、僅かに生まれてしまったのだろう、綻びを、出逢ってほんの数週間も経っていないはずの彼に、見抜かれてしまって。  瞬間的に思ったことは、「悔しい」だった。  悔しくて、悔しくて、酷く悔しくて。どうして、なんで、バレたの。  そんな感情が胸に湧き上がって、焦燥とくやしさで、取り繕っていたはずの美しさが崩れるのはあっけなかった。 「私のことを何も知らないのに、なんでそんなことを言ってくるのよ!」  抑えきれない感情のままに叫んでしまったその言葉に、彼は少しだけ驚いたような顔をして。  少し視線を彷徨わせた後に、 「何も知らない、けれど。何も知らないからこそ、苦しそうに見えた」  だから、声を掛けた、と言われて。  酷く、酷く驚いた。驚くと同時に、ずっと入学当初から不器用だと、不愛想で、生真面目だと思っていた彼が、けども、思っていたよりもずっと、他人のことを見ている人間だと、分かって。  その後のことは、あまり思い出したくはないけれど。…………泣いてしまって、そうして、流石に慌てた彼に慰められたことは、誰にも言わないで、と警察学校時代も、相棒時代も、強く彼に言い含めている。言い含めていた。 ・以来、彼に対して、自身を取り繕うことを辞めた。  彼の不愛想さに突っかかり、時に噛み付いて。でも、遠慮せずに笑ってだってやった。困ってるなら手を貸して、また、手を貸して貰って、互いに、よく競い合っていた。  取り繕うことをやめたら、あれだけ重くのしかかっていた焦燥感も消えて、動きだって、思考だって、入学当初からずっとスムーズに動けるようになった。  気づけば、警察学校の同期たちにも、その態度に変わっていって、彼らからは「入学したての頃よりもすごく人間らしくなったね」と、度々言われるようになった。それも、警察学校を卒業するころには笑い話になっていて。  そして、白瀬とも。不思議な距離感を持つ、ライバルのような、相棒のような関係性になっていた。男女、という枠を超えて、警察官、という括りの中での、確かな関係性だった。何故か、彼の隣では、彼の傍では、いつのまにか素のままの自分で、笑えるようになっていた。彼と一緒にいることは、ひどく、楽だった。そのころには、彼の妹である心とも交友を重ねており、気付けば彼女にも慕ってもらっていて、また自分も、妹のようにかわいがっていた。 ・そうして、長いようで短かった激動の警察大学校の期間を終えて。  警察時代の成績を評価され、公安警察第一課へと抜擢、引き抜かれることになる。  それを上官から伝えられたときは、驚きすぎて固まって、その反応を白瀬から「あのときのお前みたいだな」と小さく笑われて、上官の前だっていうのに、「うるさいわねシロ!!!」と叫んでしまったことは、今でもその当時の上官に会うと笑われる。  だけど、じわじわと噛み締めたその事実が、あまりにも嬉しくて。思いっきり彼に抱き着いて、喜んだのだって、覚えている。 ・以来、数年の間、白瀬と共に公安第一課にて、相棒として数々の事件へと望んで、時に解決し、時に負けては悔しさを呑み込んで来た。  そのころから、彼のことを名前で「恭雅」と呼ぶようになった。互いの苗字に白が入っており、よく先輩たちが呼び分けを面倒がって、名前で呼んでいたから、というのと。  かなり仲良くなってきていた心とのこともあり、いつの間にか名前呼びが定着していた。  二人のことをひとり暮らしの家に招くことも多々あって、よく三人で食事をしたり、何処かへと出かけたり、と不思議なほどに仲良く、交友を続けていた。特に、自室にある衣装室を見せたときの、言葉を失った恭雅の反応と、また反対に大きな歓声をあげてくれた、心の姿は、いまでも思い出せる。メイクのやり方やファッションなどを様々に心に教えてあげ、また彼女からも最近のトレンドだったり学生の流行りを教えて貰ったりと、女子トークを大変楽しんでいた。時々はきっと、ふたりで恭雅のことを思いっきり着飾ったりもした。  彼と過ごせること、彼女と過ごせること、三人で過ごせること。それは、酷く幸福だった。  だって、そう、……ここまで人に気を許したことなんて、ほとんどなかったから。  何も取り繕わない、素の自分として接することが出来たのは、自衛官たるあの女性と、彼と彼女のふたりと、そして、「彼」だけだったから。  しばらく味わうことが出来なかった、忙しくも幸福な時間を、たくさん、たくさん過ごした。  これからだって、たくさんたくさん、……過ごしたかった、のよ。 ・10年前に引き起こった、連続殺人・誘拐事件。  親の惨殺死体だけが残されて、子どもが行方不明になる、あの事件が引き起こったとき。  解決しなければ、と、酷く切実な思いを抱いた。  だって、どんな形であろうと、成されている”普通”の家族との暮らし。きっと、互いに言葉を交わして、親と子が思いを重ねて、いつも通りの普通な日常を送る筈だった、そんな家族たちの形を壊す、その事件。  普通に過ごせるはずの家族が、普通に過ごせるはずの子供たちが、そんな悲劇に見舞われることが、酷く苦しかった。  自分が過ごせなかった時を、過ごすことが出来ている彼らのことを守りたい、と思って、ただ、ひたすらな気持ちだった。  当たり前に過ごせることが、どれだけ幸福なことか。家族との日々が、どれだけ大切なものか。  ────憧れていたから。きっと、他者よりもよく、分かっていたはずだから。  遺体が出て来ないならば、誘拐されてしまっているのであれば。せめても、救い出してあげたい。日常を送らせてあげたい、って思った。  アンドロイドが関わってるのではないか、と気付くことが出来て、共に捜査にあたっていた恭雅と共に、それこそ、寝る間だって惜しんで捜査にあたっていた。 ・そうして。彼女が、心が行方不明になった。  あまりにも唐突に、あまりにも何も無く。  同時に、捜査の打ち切りが、決定されて。  納得なんか、出来るはずがなかった。彼女を探したかった、放ってなんておけるはずがなかった、どっちだって!  心のことを恭雅がどれだけ大事にしてるかだって、この数年で理解していた。  この兄と妹が、互いのことをどれだけ大切に想いながら過ごしているかだって、十分過ぎるほどに分かった。  そんなふたりのことが、互いを思いやって、時に言い合いをしながらだって兄と妹の、家族の形を成すふたりの姿が、どこまでだって眩しくて、大切で、自分にはないもので。  ふたりには、この形を崩してほしくなかった。崩れてほしくなかった。壊れて、ほしくなんてなかった。  私が守れるなら、守りたいとさえ思った。  なのに、なのに!  どうして、って、叫びたくなったけれど、私のそんな感情なんかよりも、恭雅の気持ちの方が大切で。  だから、あの時恭雅と視線があって。頷いて、互いに捜査の一線を越えることに、きっと躊躇いなんてなかった。 ・けれども、無情だった。どうしたって、あの時の時間は残酷だった。  無断で捜査をしていたことが上層部にバレ、問題となった。捜査をさせてほしいと懇願したけれど、その言葉が聞き入れられることは、決して無くて。  ならば、と、もう警察を辞めてやるつもりで、やっぱり、叫ぼうとしたけれど。  恭雅に、止められて。  そして、呆然としている内に、止める間も無く。いいえ、止めたけれど、覆らなかった。叫ぼうとして、けど、恭雅の目を見たら、叫べなかった。  彼が辞めて、私が残った。  庇われた、のだと、分からないほどに、馬鹿じゃなかった。  なんで、って、零した言葉が、彼に届いたのかは分からない。  けれど、肩を叩かれて、細められた彼の、静かな黒い瞳が忘れられない。  そう、庇われた。庇われて、また、残った。  残るしか、なかった。 ・けれど、当然、私情調査をした処分は重く、公安第一課からは異動させられた。  以来、公安第二課と、そしてまるで見せしめのように広報課へも表の身分として配属させられ。  刑事として、過ごして来た。 ・辞める覚悟だったのに、辞めることは出来なくなった。  庇われて、残ることになってしまったから。  彼がどうして自分を庇ったのか、真意は分からない。……いや、彼の性格を考えれば、分かってしまう。  でも、納得なんかしてなくて。  けれど、言葉が出て来なかったから。  だから、残って、刑事を続けた。  残されたことに意味がある、庇われたことに意味がある。そうされたからには、託されたからには、其処にいる以外の、選択肢はなかった。  相棒が、そうまでしてくれて守ってくれた場所を、自ら手放そうだなんて、思えなかった。 ・だから、刑事を続けて。一度表だって反抗をしてしまったから、周囲からの目は酷く冷たいものになったけれど、そんなものだってどうだってよかった。  だって、視線だなんて、慣れ切っている。それが、どんなものであったとしたって。受け止めることなんて容易かった。  それら全てを、実力で黙らせて、努力で見返して、そして────完璧な微笑みで、魅了をしてやった。  いいわ、いいわよ、恭雅。貴方が私を此処に残したっていうんなら、私は此処で全力を尽くす。私は、私のこの場所で、出来ることを全てやる。やって、やり切って、出来ることをやって。貴方が私を此処に残した意味を、絶対なものにしてあげる。誰だって忘れられないような、意味を刻みつけてやるわ。  美しくて、誰もが振り向く完璧な私で、貴方が守った其処に、立ってやるわよ。  でも、でも。  ────……………………納得なんて、してないんだからね、バカ。 ・美しい身体を守る為にしていなかった煙草とお酒も、魅了と武器のひとつになるならば、とはじめた。  煙草は対外的な視線があったから、大々的に人前で喫うことはないけれど、ほんの時たま、誰も通りかからないような通路の裏で。  でも時たま、”偶然”通りかかり、驚いた表情を見せる同僚たちには、人差し指を唇の前に一本立てて、小さく蠱惑的に笑って言ってやるのだ。 「……あら、バレちゃった。ナイショにしてね?」  その紫煙の香りを隠す為に、十年前よりも、金木犀の香水の香りが、少しだけ強くなった。  短かった髪も、長く伸ばし始めた。その方が、表情も感情も全て隠してくれるから。  私の本当の感情なんてどうでもいい。  美しい私だけを見ればいい。貴方たちが望む私だけを見ればいい。  鮮やかで、凛々しくて、背筋を伸ばして嫋やかに微笑む、正義感溢れる、まるで時が止まったかのように美しい女刑事。  そんな姿を魅せることなんて容易い。────苦しさだなんて、十年の其処に置いてきたから。  私は、完璧にそうなれる。  そう成れるって、言い聞かせている。 ・美しく、誰しもが振り向いてしまうような絶佳の容貌。それに、傷付けることはない。  けれども、人の目に見えない場所の傷であれば、さして気にしないようになってしまった。  数年前に、拳銃を持って廃墟へと立て籠もった犯人の説得へと向かった際。  震える銃口をこちらへと向けて、世間へ絶望した呪詛を吐き出す犯人へと、頭上から振ってきた瓦礫から犯人を庇ったときだって、さしたる感慨はなかった。  咄嗟に犯人へと駆け寄って抱き込んで、持ち上げた右手で、その瓦礫を受け止める。その時、腕から酷く嫌な音がして、そして、背後に一緒にいた同僚や上司たちから悲鳴のような声があったけれど、自身の顔にも、犯人にも傷がついていなくて。  呆然と、こちらを見上げてくる犯人へ、ふわりと微笑んで、「大丈夫?」と言えてしまった。  そうして犯人を確保したけれど、瓦礫を受けた右腕はかなり重度な複雑骨折を負っており、優れた医療技術と医師らのお陰で問題なく動かすことが出来るまでは回復したものの、神経を傷つけた影響で、上手く力を込めることが出来なくなった。(STR6)  力仕事に向かなくなってしまったけれど、そこは割り切って、頼れる人材に頼っている。  他にも、目には見えない腹部などに、犯人らに撃たれた銃創や、傷つけられた痕が、この十年で幾つも刻まれている。  けれど。  十年経とうとも、────この美貌に、傷をつけることはいちどたりともない。  まるで、時が止まったかのように。変わらない美しさを保ち続けている。 「時よ止まれ、お前は美しい」 ・その実。双子の弟がいた。「白射刻哉(しらい・ときや)」という名前の、片割れ。  一卵性双生児の、ひどくよく似た双子だった。男女の差はあれど、それでもあまりによく似ていて、同時に双子揃って酷く端麗な容姿をしていた為に、芸能一家の美しい双子として、幼少期から界隈で名を馳せてきた。  お転婆な玄乃と、ヤンチャな刻哉。けども、刻哉の方が少しだけ落ち着いていて、玄乃を落ち着けるのは、いつも刻哉だった。  幼少期から芸能界で活躍をし、様々な芸能に触れてくる中で、二人揃って不思議なほどに気に入ったのは、舞台俳優の父が演じていた「ファウスト」だった。  善と悪、人間の罪と欲望、神と信仰。人間の永遠の課題とも言えるそれらを描いた、ゲーテ作の小説。そして、劇作家シラーによって、手掛けられた戯曲。  どうしてふたり揃って其れを気にいったのかは、もう三十年経った今では覚えていない。けども、幾度となく原作の小説を読み、互いに父から借りた台本を読み合って、拙く演じ合いながら笑って。そんな拙いやりとりも、もしかしたら、演技力を育てる一因だったのかもしれない。  互いに、「「時よ止まれ、お前は美しい!」」だなんて、笑いながら言い合った。鏡写しのように自分たちが美しいことだって、分かっていたから。  たわいもない戯れだった。 ・ずっと一緒にいた。ずっと、互いが鏡のようで、けれども確かに自分自身で、喧嘩だってしたけれど、誰よりも何よりもお互いのことが理解できて、どんな感情だって分かってしまえた。  辛いことや悲しいことがあっても、其れを共有できて。嬉しいことや楽しいことも、全力で一緒に味わえた。  誰よりもいちばん近くて、誰よりも言葉が届く、彼と彼女。  誰が見ても仲が良いと太鼓判を押す双子で。  ずっと、一緒にいるんだと、信じてやまなかったけれど。 ・中学時代に上がった、その年に、刻哉からひとつの相談を受けた。  「玄乃、俺さ、……警察官に、なりたいんだ」  一世一代の告白をするように、今まで見たことなんてなかった顔で、そう相談してきた弟に、ぱちくりと瞳を瞬かせて、色んなことを考える前に、「なんで?」って理由を聞いていた。  すれば、彼は教えてくれた。芸能一家ではあるけれど、親戚筋の末端に、唯一自衛隊という職業についている姉のような女性の存在。その彼女のことは勿論知っていたけれど、あまり話したことはなくて。  でも、刻哉は以前に話したことがあって、そして、彼女に憧れたのだという。彼女のように、人を守れる職業につきたい、って。  そうして、色々と調べるその一つに、警察官があって。自分たちが外での撮影をする時なども警備を担当してくれる警察官がいて、そんな彼らと交友を重ねる内に、目指したくなったんだ、って。  その話を聞いて、驚いて。でも、すごく、嬉しかった。目指すものが見つかって、そんな憧れと全力の気持ちで、己の片割れが目指したいって、思えてるなら。それって、すごく、素敵なことだから。  芸能界でずっと一緒だと思っていたから、離れてしまうことが、悲しくて寂しくはあったけれど。  それでも、自分たちは双子で。離れていても、繋がっている気持ちがあるというのは、お互いがいちばんよく分かっていたから。  双子の片割れが、はじめて、自分とは違う、明確な「夢」を見つけた瞬間を知れたのは、何よりも嬉しいことだった。  だから、彼のことをずっと、応援していくつもりだった。  けれど。 ・それから、ほんの少しした後に。  ふたり揃って、誘拐事件へと巻き込まれた。  双子の美しさに惚れ込んだ男が、その双子を揃って手中に収めたいと、両親へと養子に、と乞うたが、両親は其れを断って。  そのことに激高した男が、無理矢理に双子を連れ去り、建設途中のビルの中へと監禁した。  その美しさゆえに幾度となく危うい出来事には合って来たけれど、誘拐され、監禁されるだなんてことは初めてで。拘束されて動けない身体で、けれども、酷い恐怖を覚えて、震えていたことは未だに覚えている。  けれど、動けない自分とは裏腹に、刻哉は何とか拘束を解いて、動くことが出来た。「逃げて人を呼んで来よう!」自分の拘束を解きながら、そういって、伸ばされた手が、ひどく熱かったことも、そう、覚えている。  誘拐犯の隙を見つけて、何とかその場から逃げ出して、大きなビルの中を必死に走って、逃げようとした。けれども、大の大人には気付かれてしまって、追われた。大人の歩幅と、子どもの歩幅では間に合わない。  捕まってしまう、って思ったときに、  「玄乃、逃げろ!」  手の温もりが、離されて。背中を、強く押された。咄嗟に首だけ振り向いた、その時に。こちらを見て、刻哉はわらってた。  大丈夫だって、言うように。ごめんな、って言うように。  その笑った彼の顔が、さいごで。大きく背中を押された自分は、先にあった階段から落っこちて。  ふわりと身体が浮いて、思わす反転したその視界の中で、刻哉は、うしろから追いついてきていた男に、刺されていた。  飛び散った赤が、目に焼き付いて離れなかった。 ・身体が落下して、けれどもどうしたって身体を動かすことなんかできなくて、ただ、呆然と自由落下に身を預けていた。次に来るであろう、地面に叩きつけられる衝撃に備えることも、できなくて。  まるで、時が止まった、ようで。  けれど、次に身体へと感じたのは、地面へと叩きつけられる衝撃じゃなくて、誰かに抱きとめられた感覚だった。  「大丈夫か!?」  と、叫んだ彼は、両親からの通報を受けて、その場へと駆けつけた刑事の一人だった、他にも刑事の同僚らしき人々が多く居て、彼らは皆辺りを警戒しながらも、自分を見て、心から心配げな顔をしていて。  はっと我に返って、弟の名を叫んだ。  叫んで、その腕から転がり落ちるように抜け出して、階段を駆け上がって。  落ちるのはあんなにも呆気なかったのに、駆け上がった階段は、あんまりにも、あまりにも、先が長かった。 ・短くも長い、その階段を駆け戻った先で。  目にしたのは、──────赤に塗れて倒れ伏している弟の姿と、弟を刺したナイフを手にして震えている、犯人の男だった。 「汚したい訳じゃなかったんだ、ただ、ただ、この子たちを美しいままに、私の手に、時を止めて私の手に、」  動かない弟を見ながら、ぶつぶつと零す男なんか気にせずに、ただ、弟に駆け寄って、血に塗れた彼を抱き起こした。  抱き起こして、必死に声を掛けた。名前を呼んだ。 「刻哉、ときや、なんで、どうして、なんで私のこと……!!!」  手のひらが赤く染まって、服も体も赤く染まるのなんて気にせずに、抱きしめて、叫んで。  そんな自分に、刻哉は僅かに目を開けて、見慣れた、呆れたような、自分とよく似た笑顔を、震える表情筋に描きながら、掠れた声で、いった。 「だ、めだ、って、くろの。よごれ、る」 「くろのに、けががなくてよかっ、た」 「玄乃はきれい、だか、ら。そ、なくろのに、きずがつけ、たく、なか、ったんだ、」 「『時よとまれ、お前はうつくしい』……、そんな、じゃ、な、くて。ときがとまら、なくて、も、くろの、がきれい、なの、は、あたりま、え、なのに、な」 「ごめ、ん、くろ、の、おれの時間は、とまる、け、ど」 「まもれ、て、よ、かった」 「────くろの、…………いきて」  どんな言葉を発したらいいのか、何を返したらいいのか、何一つ分からなかった。  そして、そんな弟の最期の言葉を聞きながら、冷たくなっていく彼の身体を、ずっとずっと抱きしめ続けていた。消えていく彼の温もりに、ずっと、縋り続けていた。  何も分からなかったのに。弟が、刻哉が。世界でたったひとりだけの片割れが、いなくなってしまったことだけは、分かった。 ・その後のことは、あまりよく覚えていない。  けども、自身のことを受け止めてくれた警察官と、その仲間たちが、どうやら、男を確保してくれていたらしい。  そして、美しい双子たちが交わす姿を、誰も、何も、邪魔をしなかった。それは確かだった。もしかしたら、見惚れていた、のかもしれない。  その後に、彼らから保護をされて。家へと、物言わぬ冷たくなった弟と一緒に、帰った。 ・然し、その件は、それだけでは終わらなかった。  誘拐犯にして、殺人犯たる、その男の正体が、世間的にも大物芸能人であったことから、弟の死は"無かったことにされた"。  この事件が公になれば、その大物芸能人だけでなく、代々芸能一家として名を馳せてきた白射家、そして、それらとコネクションをもっている、数多の人脈に影響が出てしまう。  そんな理由で。  闇へと、葬られたのだ。  刻哉の死は、偶然の不慮の事故だった。悲劇的な事故死とされた。  さしもの犯人たる大物芸能人は、芸能界を引退はしたけれども。  弟が、殺された事実は、無かったことにされた。 ・当然、家族に説明を求めた。抗議をした。何故、って。  けども、返ってきた説明が、上記であり。 「うちの体裁を悪くするな」  尊敬していたはずの父から返ってきたその言葉で、全てを察した。  家族は、弟の死を確かに悲しんでいたけれど。それは、美しい、この先世に羽ばたくかもしれないこの家の人間の死を悼んでいたのだ。  誰しもに誇れた、美しい双子というステータスが欠けてしまったことを悲しんでいたのだ。  何を言っても、自分の言葉は届かない。彼らにとって、私の言葉に意味が無い。 「貴方がアンドロイドだったら、貴方の美しさはこの先傷つかないのかしら?」  だなんて、泣き腫らした目でこちらを見た、母にだって、きっとそうだ。 ・あの時の感情は、もう思い出せない。  ただ、ただ、そう。  ────悲しかった。  何を言っても意味が無いのだと、言葉が届かないんだって、分かった瞬間の、悲しみだけは覚えている。 ・だから。  警察官になると継げて、家を出た。  自分に持っているもの、全てを使って、警察官になった。  自分のことを、世界でいちばん誰よりも思ってくれて、守ってくれた、この世で唯一の片割れが目指した道。  彼の憧れを、背負いたかった。  私を守りたいと言った彼は、きっと、嫌がるんじゃないかって、分かったけれど。  でも、刻哉だって好き勝手したんだから。私だって、するわ。 ・それに、此処に自分がいることは、家への、全てを無かったことにした彼らへの、何よりも牽制になる、とも分かっているから。  この世界でいちばん怖いのは、人間だっていうのを、よくよく、学んだわ。 ・それらの過去があり、置いていくこと、置いていかれることが些かトラウマ気味。 ㅤ過去の弟のこと、そしてベクトルは違えど、恭雅と心のことが、どちらもダブルパンチで心に傷となっている。 ㅤ職務ならば割り切ることが出来るが、大切にしている身内が関わってくると苦しい。 ㅤけれども。それらの葛藤は全て、美しさで覆ってしまって、穏やかにさえも微笑んでいる。 ・私の時は止まらない。  時が進んだとしても、私は美しい。  時が止まらずとも、私の美しさは変わらない。  刻まれる時など恐れずに、私はただ、私が成したいことを成して、生きるの。  私が持てなかったもの。其れを持っている人たちの日々を、守るために。私の片割れの憧れを、果たすために。  私は、生きているの。 ・だから、蛍のことも。 ︎ 旧式の機体だと分かっているから、壊れてしまうことのないように、日々のメンテナンスには意識を配り、大切にしている。 ㅤアンドロイドであるから。故障がない限りは、彼らは目的の元に稼働をし続ける。 ㅤ明確な人間との違いは其処だろう。  だから、せめても彼が長く。私の手から離れるその日まで、彼の目的と意志を遂行出来るように。元の場所に、戻ることが出来るように。 ㅤ大切にしている。 ㅤ貴方は確かにアンドロイドだけれど。貴方には貴方の意思があると、私は思う。その意思に、私たちとの違いは何も無いわ。 ㅤだから、貴方の思うがままに、生きて欲しい。…………いいえ、過ごしてほしい。 ㅤ蛍のように、呆気なく。その時間が、止まってしまうことのないように。 ・貰ったディアベルは、ネックレスの形にして、首から下げている。10年間、殆ど外したことがない。 HO3 刑事/30代限定 貴方は元公安第一課の刑事だ。貴方はその能力の高さを活かし今までいくつもの事件を解決してきた。これまでの功績もあり貴方は周りから信頼を得ている。任意の<交渉系技能>に +50。 貴方はとある事件の捜査で上に逆らい、異動を命じられた。今の警察の在り方に少なからず疑問を抱いている。 【過去】 公安第一課に所属していた頃、貴方は白瀬恭雅の相棒だった。貴方達は警察学校で出会い、それからは良きライバルとして、そして友人としてお互いを信じ合いいくつもの事件を共に解決してきたのだ。彼には妹がおり貴方もよく家に行っていたので、貴方達は3人で遊びに行くほど仲が良かった。 10年前、この街で連続殺人・誘拐事件が起きた。被害者は家庭を持っている者がほとんどで、現場には親の惨殺死体だけが残されていた。そしてその家の子どもは行方をくらましており、遺体が全く出てこないことから、警察の方では犯人によって拉致されているのではないかと見解が出ている。 貴方達はこの事件の担当になった。捜査を進めていくにつれ、現場に残された部品や油の匂いから、アンドロイドが関わっているのではないかと貴方達は考えた。しかしそんな最中、白瀬の妹が行方不明になったのだ。急に捜査の打ち切りを命じられたのもこの時である。 納得がいかなかった貴方達はそれでも捜査を続けた。しかしそれを上に知られ、白瀬は貴方を庇う形で辞職、貴方は異動となったのだ。 【現在】 それから10年の時が経ち、貴方はテレビで白瀬の姿を見かけることとなる。彼はアンドロイド破壊事件に関わる犯罪組織のリーダーとして報じられていた。情報規制がされている為か彼が元公安警察だということは公表されていない。 彼はなぜこのようなことをしているだろうか。何にせよ彼に再び会わなければ。 【HO4との出会い】 HO4とは1年前、廃品置き場で出会った。たまたまその近辺でパトロールをしていた貴方は 廃品の中で倒れるHO4の姿を見かけ、記憶がないと言う彼/彼女に手を差し伸べたのだ。その後どのような経緯かは分からないが、HO4は貴方のパートナーロボットとなった。この1年の間で貴方達はお互いを信頼し合える仲となったことだろう。 【目的】 1.事件の真相をつかみ、白瀬の妹を探し出すこと。 2.白瀬の居場所を突き止め、話をすること。 【NPC】 □白瀬恭雅(しらせきょうが) / PCと同い年 貴方の元相棒。勉学、体術共に優秀で警察学校時代から一目置かれる存在だった。不愛想で生真面目な性格。 無愛想な為に誤解されることが多いが実際は他人に甘く人情に厚い人物。 □白瀬心(しらせこころ) / 当時16歳 恭雅の妹。明るく優しい性格。貴方によく懐いていた。 <以下、『VOID』のネタバレ有り> ・シナリオ終了後は、恭雅の遺志を受けて、警察を辞めてスパローを継ぐ。  すぐに新しいリーダーの座に収まれるとは思っていないため、ゆっくりゆっくり、スパローの面々と交友を重ねて、少しずつ彼らと打ち解けられたらいいと思っている。  恭雅が守りたかったものを、これから先も守っていけるように。  そして、あらぬ誤解を掛けられてしまっている彼らの存在を、きちんと正しい形で世間から認知されるように。  アンドロイドと人々が、穏やかに共存できるように。  亡くなってしまった彼と、そして、祈りと全ての思いを込めてくれた心ちゃんの為に、この組織を守っていくことを決めた。 ・決意を表す為に、長かった髪をざっくりと切り落としてしまったけれど。  蛍が惜しがってくれたので、もういちど伸ばしてみるつもり。  願いを込めるつもりはもうない。  だって、私の手で願いを叶えていくから。 <以下、通過シナリオネタバレ有> 【通過シナリオ】 ・『VOID』 ・『遺却の君へ』 ・『僅差平行のヴェルダンディ』:目星+2,心理学+3,芸術(絵画)+10 《後遺症》 “過去の貴方”を燃やさずに連れ帰った場合、 “現在の貴方”の命が2つ分になる。 肉体ロストすれば一度だけ蘇生し、 SANロストすれば一度だけSANが1D100回復する。 ■簡易用■ 白射玄乃(女性) 職業:刑事 年齢:35 PL: STR:6  DEX:16  INT:17 アイデア:85 CON:15  APP:20  POW:14  幸 運:70 SIZ:13 SAN:99 EDU:18 知 識:90 H P:14  M P:14  回避:dex*2  ダメージボーナス:0 ―――――――――――――――――――――――――― [技能](職業技能点:360 個人技能点:170) (書式:職業/個人<成長>[その他]) ―――――――――――――――――――――――――― [持ち物] ・武器 ――――――――ここに記入―――――――― ・防具 ――――――――ここに記入―――――――― ・所持品 ――――――――ここに記入―――――――― [プロフィール]