タイトル:Mr.Bunny( ミスター バニー ) キャラクター名:Mr.Bunny( ミスター バニー ) 職業:元ホテルコンシェルジュ 年齢:幾つに見えます? / 性別:男 出身:さぁ何処でしょう? 髪の色: / 瞳の色: / 肌の色: 身長:195cm 体重:非公開 ■能力値■ HP:16 MP:16 SAN:69/69      STR  CON  POW  DEX  APP  SIZ  INT  EDU  HP  MP 作成時  12  14  16  15   5  17  15  16  16  16 成長等 他修正 =合計=  12  14  16  15   5  17  15  16  16  16 ■技能■ ------------------------ 戦闘系技能 ------------------------ 習得/名前       現在値 習得/名前    現在値 習得/名前      現在値 ●《回避》      80%   《キック》  25%   《組み付き》   25%  《こぶし(パンチ)》50%   《頭突き》  10%   《投擲》     25%  《マーシャルアーツ》1%    《拳銃》   20%   《サブマシンガン》15%  《ショットガン》  30%   《マシンガン》15%   《ライフル》   25%  《大鎌》      85%  ●《ナイフ》  80%   《》       % ------------------------ 探索系技能 ------------------------ 習得/名前   現在値 習得/名前   現在値 習得/名前   現在値 ●《応急手当》65%   《鍵開け》 1%    《隠す》  15%  《隠れる》 10%  ●《聞き耳》 80%  ●《忍び歩き》60%  《写真術》 10%   《精神分析》1%    《追跡》  10%  《登攀》  40%  ●《図書館》 36%  ●《目星》  71% ------------------------ 行動系技能 ------------------------ 習得/名前    現在値 習得/名前   現在値 習得/名前    現在値  《運転》   20%   《機械修理》20%   《重機械操作》1%  《乗馬》   5%    《水泳》  25%   《製作()》  5%  《操縦()》  1%    《跳躍》  25%   《電気修理》 10%  《ナビゲート》10%   《変装》  1%    《》     % ------------------------ 交渉系技能 ------------------------ 習得/名前    現在値 習得/名前   現在値 習得/名前 現在値 ●《言いくるめ》40%   《信用》  15%  ●《説得》40% ●《値切り》  40%   《母国語()》80%   《》  % ------------------------ 知識系技能 ------------------------ 習得/名前      現在値 習得/名前      現在値 習得/名前  現在値 ●《医学》     65%   《オカルト》   5%    《化学》 1% ●《クトゥルフ神話》30%   《芸術()》    5%    《経理》 10%  《考古学》    1%    《コンピューター》1%   ●《心理学》30%  《人類学》    1%    《生物学》    1%    《地質学》1%  《電子工学》   1%    《天文学》    1%    《博物学》10%  《物理学》    1%    《法律》     5%    《薬学》 1%  《歴史》     20%   《》       %    《》   % ■戦闘■ ダメージボーナス:1d4 名称      成功率 ダメージ 射程  攻撃回数 装弾数 耐久力 / 備考 サリエルの大鎌   85 3d6+6                    / 棒状の物必須/使用回数3回                                   / ■所持品■ 名称        単価 個数 価格 備考 十字架のネックレス    1   0   首に掛かっている ナイフ          1   0   持ち込めたら持ち込みたい              1   0              1   0 =所持品合計=     0 所持金 預金・借金 ■その他■ メモ: ▽ ➤特徴表 5-1 動物に好かれる ↳大抵の動物に好かれる ▽ ➤技能値 ・職業技能 《ホスト/ホステス(2015)》をベースに技能取得 <言いくるめ>/<回避>/<聞き耳>/<経理>/<心理学>/<説得>/<値切り>/<目星> ↳<経理>を<忍び歩き>に変更しています ・趣味技能 <ナイフ>/<応急手当>/<医学> 取得理由は以下の通り 人を殺す時に使っていたので使い慣れている<ナイフ>。 衝動を抑える為に自傷行為に走りがちなので自分でも手当が出来る様に<応急手当>。 幼い頃は医学書が愛読書で、人を殺す様になってからは急所を外さない様に、と学び直した<医学>。 ▽ ➤xxxx年 ■■■■の記録 case.1 誰かに名前を呼ばれて意識が浮上する。 目を開けると、美しい女がいた。 名前を呼んでいたのは彼女の様で、頭を撫でながら優しく微笑んでいる。 『大好きよ、私の愛おしい■■■■』 『ほら、もっと顔をよく見せて?』 綺麗な瞳に顔が映る。 彼女の瞳に映るのは自分の顔だ、と彼も直ぐ認識した。 瞳はしっかり彼を捉え、彼もまた彼女を見つめている。 そんな平和な空気を読まず、荒々しく開く扉。 扉と共に聞こえたのは静かな、けれど怒りに染まった声色だった。 『何をしている?』 男の声だ、彼女はその声に少し反応を見せたが男はそんな反応を無視して彼女を突き飛ばす。 小さく声を上げた彼女に駆け寄ろうとして、腕を掴まれてやや強引に手を引かれた。 「おかあさま、おかあさま」 子が母を求める様に、彼は声を出す。 手を伸ばして必死に名前を呼ぶ、然し片方の手は力強く引かれて抵抗を許さない。 手を引くのは此方を全く見ようとしない男─否、これは父親だ。 では膝をつき、此方に手を伸ばす彼女は? ────嗚呼、アレは〝おかあさま〟だ。 『■■■■、■■■■』 おかあさまが名前を呼んでいる、誰の名前を? 紛れも無く、彼の名前だ。 でも何故だろう、上手く聞き取れない。 父親に手を引かれて、おかあさまから引き離される。 それが嫌で、彼はずっと泣き叫んだ。 それでも父親は止まる事は無く、歩き続ける。 ノイズが混じる、おかあさまが何かを言っている。 『■■■■、嗚呼あなたが……』 『あなたが、■■■の■■でなければ、■■■の■■に』 ノイズが強く混じる、映像が砂嵐の様に消えていく。 最後におかあさまは、何を言いたかったんだろう? 【暗転】 目が覚めて、意識が浮上する。 辺りを見回すと、おかあさまと暮らしていたあの家では無くて、鉄格子の付いた簡素な部屋だった。 医学書等が床に積まれて、後は簡易的な寝具がそこにはあった。 嗚呼思い出した、この鉄格子の部屋こそ、彼の住処だ。 外に出る事を許されず、ただこの鉄格子の部屋でぼんやり医学書を読み、決まった時間に食事を摂り、決まった時間に眠る、そんな生活を余儀なくされていた。 「おかあさま……」 膝を抱えて、部屋の隅でぽつりと零す。 嗚呼何で、こんな事になったんだっけ? 遡る事xx年前、医者の父親と娼婦のおかあさま、行きずりの関係で出来たのが彼だった。 厳格な父親は彼を腫れ物の様に扱い、普段から〝居ないもの〟として扱った。 そんな父親から隠れる様に、おかあさまは彼を愛してくれた。 引っ込み思案で人見知り、更に気が弱い彼は父親の冷たい視線が怖くてよくおかあさまの腕の中で泣いた。 怖い、もうやだ、おかあさまと一緒が良い、そんな風に弱音と涙を零しながら。 そんな彼を責める事も無く、おかあさまは優しく彼を抱き締めながら宥めてくれた。 『泣いては駄目よ■■■■。 強い子は泣かないのよ?』 『■■■■は強い子、おかあさまの自慢の子なの』 何時もそう言いながら、彼が泣き止むまで傍に居てくれたのはおかあさまだった。 父親からどんな扱いを受けようと、辛い思いをしようと、おかあさまが居れば彼はそれだけで怖くなかった。 だって、おかあさまは彼の全てだったから。 時は少し戻って数年前、冒頭に戻る。 父親からおかあさまと引き離された彼は、ずっとおかあさまの名前を呼び続けて泣きじゃくった。 泣きじゃくる彼を見て父親は冷たい視線を浴びせ、そして冷淡に一言告げる。 『お前はこれから、アイツの目の届かぬ所で俺と過ごすんだ』 『くれぐれも他人に、そしてアイツに見つからぬ様に』 『……家から出るな、分かったな?』 冷たい視線は怯える彼を射抜き、そして目が合う事は無かった。 この日を境に、彼はおかあさまと会う事は無かった。 【暗転】 時は流れて数年後、街には雪が積もっていた。 父親は相変わらず机で仕事をこなし、父親と同じ部屋で彼は窓の外をずっと眺めている。 「とうさん、雪が降ってます」 「いいな、おかあさまと見られたらもっと楽しいでしょうに」 〝おかあさま〟 その単語に父親の手が止まる。 冷ややかな視線を背中に受けながら、彼は父親に視線を向けた。 「何で僕はとうさんと一緒なんでしょう?」 その言葉は彼の口から出たとは思えないくらい冷たく、暗い声色だった。 父親との視線は合わない、でも合わせる気は彼に無かった。 「僕、居なくても良いのでしょう?」 「居なくて良いなら、どうして放って置いてくれなかったんですか?」 「僕はおかあさまと一緒に居たいだけだったのに」 今まで溜め込んでいた言葉は、とめどなく口から溢れて止まらない。 唇から血が出るくらい噛み締めて、父親を嫌悪に満ちた瞳で睨み付ける。 睨まれている父親は、呆れた様に溜息を吐いて羽根ペンを置いた。 『随分と今更な言葉だな』 『お前は何も分かってない』 『アイツは〝悪魔〟だよ』 父親の冷たい視線は彼を捉える。 おかあさまを侮辱され、挙句の果てに〝悪魔〟とさえ呼ぶ父親に、文句の一つでも言いたかった。 けれどその文句を言うより先に、父親は言葉を続ける。 『お前は悪魔の子だ』 『お前は最初から存在しない』 『孕ませたのは俺の責任だからな…』 『だからお前は寧ろ俺に感謝するべきなんだ』 淡々とした言葉は彼を次々と追い込んでいく。 おかあさまを悪魔と呼ぶだけでは飽き足らず、彼を悪魔の子と呼び、彼の存在を否定した。 「おかあさまは悪魔なんかじゃありません!」 「それに、僕は此処に居ます!存在してます!」 珍しく感情的になった彼は、叫ぶ様に否定を口にする。 だって自分は今此処に居て、現に父親と話をしている。 存在していない、なんてどうしてそんな酷い事を言えるのだろう?と疑問が頭を埋め尽くした。 然し、そんな感情的な彼とは対照的に、父親は変わらず淡々と話を進める。 『いいや、お前は存在しない』 『この世に居ないんだ』 『誰からも認識されない』 『誰にも必要とされていない』 淡々と父親の口から出るのは、実子に向けるものとは掛け離れた言葉ばかり。 存在を否定し、認識されてないとさえ言い切るその父親に、彼は絶望し、そして失望した。 「おかあさまは僕を必要としてくれました!」 「とうさんなんて嫌いです!」 そうだ、おかあさまは、おかあさまだけは彼を必要としてくれた。 この父親に、こんな男に何を言っても変わらない。 だったら、この家を出て探しに行けば良い。 自分の足で、おかあさまを。 そして彼は家を飛び出した。 父親とすら呼びたくないこんな男の元を、早く離れたかったからだ。 自分の力でおかあさまを見つけに行く、おかあさまに会いに行く、そう心に強く誓って。 ──きっと、ここから……否、もっともっと前から、間違っていたのかもしれない。 彼は自ら絶望へと歩みを進めている事に、愚かにも気付いていなかったのだから。 ▽ ➤xxxx年 ■■■■の記録 case.2 父親の元を離れた彼は、スラム街へと暮らしを移した。 スラム街で出会った仲間とつるみ、時折日銭を稼ぎに金持ちを狙って襲撃する日々を送っていた。 まあ彼は襲撃等をするより、スラム街に迷い込む犬猫の保護や、迷い犬・迷い猫の捜索等がメインの仕事だったが。 『今日も相変わらずモテモテだなァ、■■■■』 「喧しいですよ」 元より動物に懐かれやすい体質だった様で、犬猫は警戒せずに彼の元に近寄って来たので、だから保護や捜索をメインに仕事を任されていた。 よく仲間から揶揄いを受けたが、もう何年もの付き合いがあるので慣れたものだ。 迷い猫を飼い主の元へと返し、御礼として受け取ったお金を手にしながら、彼は手を組み目を閉じて祈りを捧げる。 その癖は何年もの付き合いがあるその男は見慣れていたが、揶揄いついでに話し掛けた。 『またお祈りか?』 「僕は無神論者ですよ」 にこやかに返される。 これはもう仲間の中ではお決まりのやり取りだった。 以前、仲間がその後の事を聞いた事があった。 〝無神論者〟と言う彼が祈る理由、それは〝お母様〟を想っての事らしい。 『■■■■ってば本当にお母さん好きだよな』と質問した仲間が笑えば、「はい、僕はお母様を愛していますよ」と頬を少し染めて素直に笑って答えたらしい。 その素直な反応に揶揄った仲間は罪悪感を覚えた、との事。 でも彼の祈りはまるで〝カミサマに何かを祈っている〟様に見えた、とも話していた。 まあ、それを彼に伝える事はないが。 仲間と別れ、ペットのウサギを抱きながら住処にしている廃教会へと足を運ぶ。 廃教会の入口に誰かが立っているのが見えて、足を止めた。 よく目を凝らして見てみると、そこに立っていたのは父親だった。 「今更何の御用でしょう?」 あくまでも穏やかに対応する。 笑顔は崩さずに、ウサギに不安を与えない様に、あくまで冷静に。 目の前の父親は彼の頭の先からつま先まで値踏みする様に眺めた後、忌々しそうに口を開いた。 『……嗚呼、穢らわしい』 『あの女にも、俺にもよく似ている』 『紛れも無く、俺とあの女の血が混ざったおぞましい子だ』 父親からの言葉に彼は表情を崩す事無く、けれど目を細めて軽蔑する様な視線で父親を見る。 「そんな事を言う為だけに態々此方に?」 「ご苦労な事ですね」 嫌味を交えながら彼は笑顔を崩さない。 けれど腕の中のウサギは何かを感じ取った様で、彼の腕の中からそっと降りて教会の中へと戻ってしまった。 ウサギを横目に見て、また直ぐに彼へと視線を移した父親は少しの間の後でゆっくり言葉を発する。 『……お前はアイツに、母親にもう会ったのか?』 突然の質問に、彼の表情が引き攣る。 僅かな反応でさえも見逃さなかった父親は、息を吐いてから『……会っていないんだな』と一言呟いた。 『アイツは今、この付近に居ると風の噂で聞いた』 『その内、お前に会いに来るだろう』 父親からの言葉に、彼は表情を輝かせた。 目の前の男から聞くのは癪だったが、良い情報だった。 やっと会える、長年探し求めていたお母様に、やっと会えるのだと彼は目を輝かせた。 「そう、ですか」 「これで僕はお母様に会えるんですね」 「癪ですが、貴方にはお礼をしなくては」 緩む口角、張り付けた様な微笑みが本物の微笑みになろうとしていた矢先、父親は呆れた様な声色で『は?』と確かに言った。 『礼なんて要らん』 『良いか、これは警告だ』 『今すぐ此処を立ち去れ』 何故、と問い掛ける間も無く、父親は言葉を繰り返す。 『聞こえないのか?』 『今すぐ、此処を立ち去れ、そう言っているんだ』 あの時と、否、ずっと昔から向けられて来たあの冷たい目。 冷たいあの目で睨まれると、何も言えなかった。 けれど、もうあの時の弱い自分じゃない、言い返す度胸は身に付けた。 「今更やって来て、何なんですか?」 「僕は貴方を父親と認識した事はありません」 「僕がどうしようが、貴方には関係無いでしょう?」 「僕は今度こそ、お母様と一緒になるんです…!」 最後の言葉は少しだけ感情が乗っていた。 肩を上下させ、息を切らす彼を前にしても、父親は冷静で溜息を一つ吐く。 『……それがお前の答えなら、俺は何も言わない』 『だが忘れるな』 『俺は警告した』 『知らなかった、は通用しない』 淡々とした声で、父親は彼に言葉を伝える。 それを冷静に受け取れるほど、彼は大人じゃなかった。 「言いたい事はそれだけですか?」 「なら早く僕の前から消えて下さい、目障りです」 何か言いたげな父親に向けて、彼も冷たく言い放つ。 他にも言葉を何か言おうとしていた様だが、彼が聞く耳を持たないのを察したのか、目を伏せて背を向けた。 『────すまなかった』 『これは父親として、だ』 そう言い残し、父親は去って行った。 どの口が、と喚きたくなったがそれはぐっと堪えて言葉を飲み込む。 早くお母様に会いたい。 お母様に会ってこの不安を、焦燥を。 言い様のない浮遊感を消し去ってしまいたい。 「……お母様さえ、お母様さえいれば……」 「僕は、僕は……」 生きていても良い、と胸を張って言えるのに。 ▽ ➤xxxx年 8/21 ■■■■の記録 case.3 8/21の朝、彼は誕生日を迎えた。 仲間内からお祝いを受け、夜にはご馳走を囲んでパーティをしよう等とも言われ、仕事に行く仲間を見送った。 少し遅めの出勤だった仲間の1人と並んで廃教会でのんびりしていたのだが、不意に彼がしおらしく問い掛ける。 「……貴方は、昔の事を覚えていますか?」 突然の質問に首を傾げながらも、仲間は『何だよいきなり。 覚えてねえけど』と笑って答えた。 普段ならそんな態度に悪態のひとつやふたつ、飛んで来るところだが、彼は膝を抱えて顔を埋めながらぽつりと言葉を吐き出す。 「どんどん、忘れてしまうんです」 「大切にしたかった事、お母様の事」 「お母様の言葉、お母様の温もり……」 「忘れたくないのに、忘れてしまう」 大切な事を、お母様の事を、どんどん忘れていくのが怖かった。 それが申し訳なくて、罪悪感に苛まれている様だった。 膝を抱えてしおらしくしょぼくれる彼を見て、仲間は薄く笑って彼の頭をわしゃわしゃと撫でる。 突然撫でられた彼は何事かと顔を上げ、撫でる仲間を見上げると、ソイツは楽しそうに笑って目を細めた。 『忘れるってのは、幸せな事だと思うぜ?』 『まあ、考え方はそれぞれだけどさ』 『少なくとも俺の中の幸せは忘却、って事』 揶揄う様に笑うその仲間の顔は楽しそうで、なんかその顔が癪で彼は仲間の脛を小突いたりした。 けれどそう言ってくれる仲間の優しさに、少し涙が滲んだのは秘密だ。 『時間だ、そろそろ仕事行ってくるぜ』と仲間も仕事に行ったので、それを見送り教会の長椅子に横たわった。 近くに寄って来た動物達を撫でながら、そっと目を閉じる。 お母様に例え会えなくても、自分がお母様を想い続けていたら良い。 自分の中のお母様は、何時だって彼を生かしてくれる。 大切な存在である事に変わりは無いのだから。 何時か、何時か会えたらその時は……。 「……名前を、呼んで欲しい……なんて、我儘ですかね…」 【暗転】 少し寝てしまった様だ、と長椅子から身体を起こす。 そう言えば意識が落ちる直前までお腹に乗って寝ていたウサギが居ない、と気付き探そうと目線を向けると、ウサギは直ぐに見付かった。 ────変わり果てた姿になって。 『■■■■?嗚呼、■■■■なのね!探したわ!』 嬉しそうに、弾んだ声で彼の名前を呼ぶのはお母様だ。 ただ、彼はお母様との再会に喜ぶよりも先に、変わり果てた姿となったウサギに目がいった。 無惨に殺されて、真っ白の毛並みは真っ赤に染まり、一目見て絶命している事を察せられる程の状態だった。 「お母様……?」 『え?嗚呼これ?■■■■のお腹で眠っているのが許せなくて、殺しちゃったわ』 何も悪びれる様子も無く、お母様は血に塗れた手を合わせて語尾に音符が付きそうな声色で楽しそうに告げる。 ウサギを床に捨て置いて、彼の元に駆け寄って来るお母様。 血塗れの手で彼の頬を撫で、うっとりした表情で彼を見つめている。 『お母様はとても嬉しいわ』 『貴方が立派な男になって…とても嬉しい』 彼の背筋に悪寒が走る。 つい後退したが、後ろには長椅子があり、長椅子に座る形になった。 「お母様…?」 お母様は聞く耳を持たない様で、やや馬乗りの様な状態で彼の膝に乗って頬を撫でる。 ウサギの血が付着したその手で頬を撫でられ、彼の顔には自然と血液が付着し、それすら愛おしいとばかりにお母様は恍惚した表情で見つめて来た。 『子供の貴方も素敵だった、でもこんな素敵になったのね!』 誰だろう、コイツは。 『貴方の全ては私のモノ、私だけのモノなの!』 この女は誰だ? こんなのは知らない、こんなのお母様じゃない。 『私のわたしのワタシの■■■■』 誰なんだ、この醜い女は。 『私と貴方、血さえ繋がってなければ……』 その言葉に、突然思い出した事がある。 『■■■■、嗚呼あなたが……』 『あなたが、わたしの子供でなければ、わたしのモノに』 あの日の映像、お母様から引き離されたあの日の記憶。 ノイズがクリアになって聞こえた言葉、きっとあの時忘れたかった言葉が、今ではハッキリ聞こえた。 忘れていた方が幸せだったと言うのだろうか。 こんな事、こんな女の事を、忘れていた方が幸せだったのではないか? 視線は絶命しているウサギへと向かう。 苦しかっただろう、痛かっただろう、あのウサギは彼にとって特別な存在だったのだから。 それを殺したお母様─否、〝こんな女〟殺してしまおうか。 【暗転】 気が付いた時はもう、手遅れだった。 手に持っていたナイフで目の前の女の頸動脈を切り、一撃で仕留めた。 首から溢れ出すのは真っ赤な鮮血、溢れる鮮血をただ呆然と見る事しか出来なかった。 血は止めどなく溢れ出て、廃教会の床を真っ赤に染め上げる。 ふと視線をやると、女のポケットから1枚の紙切れが出ていた事に気付く。 何だ?と思い拾い上げて中を見てみると、それは小さなメッセージカードだった。 Happy Birthday! Best Wishes for a Very Happy Birthday. Hope you have a Great Birthday. 綺麗な手書きの文字は確かにあの女の筆跡で、真っ赤に染まる手を見つめ、絶命した女を見た。 そして彼はこの状況下で高らかに笑った。 狂った様に笑う彼、女を踏んでその上を通り越し、絶命したウサギを愛おしそうに抱き締める。 「───〝家族〟を脅かす人を、始末しなければ」 動物を愛したその男は〝動物 - 家族 -〟を脅かす者を殺すシリアルキラーとなったのだ。 8/21 この日、彼の誕生日と共に1人の女が死に絶え、〝Mr.Bunny〟の産声が上がった。 ▽ ➤xxxx年 Mr.Bunny の記録 case.1 女の死体が邪魔、と感じた彼は早速解体に取り掛かる。 思ったよりも簡単に解体を終え、さてこれからどうしようか、と長椅子に腰掛けてのんびり天井の絵を眺めていると、先に仕事を終えた仲間が戻って来た。 『ただいま■■■■─……って、死体!?』 『断面綺麗だな…じゃなくて!どうしたんだよこれ!?』 矢継ぎ早に質問を投げ掛けられ、少し驚いた様子の彼だったが、興味無さそうに女の死体を眺めて淡々と質問に答える。 「〝うさこ( 殺されたウサギの名前 )〟を殺されたんです、この女に」 「だからカッとなって殺しました」 「動物殺しは裁かなくてはいけませんからね」 淡々とした口調と穏やかな微笑みに、仲間は少し恐怖を覚えた。 重苦しい空気の中、気の抜けた様な声がその空気を断ち切る。 『ただいまァ〜って何?空気わっる』 一部始終を知らない仲間は不思議そうに首を傾げていたが、横に転がる死体を見て妙に納得した。 ポン、と手を打つと彼に向かって歩き出し、そして彼に1冊の手記を手渡す。 『それ持ってさっさと逃げろよ、■■■■』 『此処は俺達が何とかするからよ』 『じゃあな、■■■■』 最後までその仲間はゆったりした態度でしっし、と手で追い払う仕草をする。 他の仲間も直ぐに顔を見合せ、口々に早く逃げろと言ってくれた。 仲間達からの言葉に一瞬たじろぐが、直ぐに飲み込み手記を持って廃教会を後にする。 道すがら、動物を殺す人達と複数すれ違い、すれ違いざまに殺してしまったが、そんな事は些事だった。 だって〝殺したい〟と言う衝動が消える事は無いのだから。 彼にとっての〝悪〟と言うのは〝動物を殺す事〟であり、それ以外は〝善〟である。 例えそれが世間から認められなくても、彼はそれを正義と信じているのだ。 【暗転】 逃亡先で仲間から渡された手記を開く。 その手記はどうやら日記の様で、筆跡を見る限り〝母親だったモノ〟の物で間違いは無かった。 パラパラと興味無さそうにページを捲れば、以下の様に書かれている。 《会いたい会いたい会いたい》 《あの子は私のモノ》 《まだ見つからない 見つけなきゃ》 《愛してるわ》 悍ましい言葉の数々に顔を顰める。 然し何故か、この手記に違和感を覚えた。 読んでいる内にその違和感は確信に変わる。 「───名前が、書いてない…?」 あんな女にあんな形で愛されていたのだから、名前のひとつやふたつ、書かれていたっておかしくはないのに。 何処のページにも、彼の名前は書かれていなかった。 何故?それは直ぐに理解する事になる。 《彼は生まれた事さえ無かった事にされていた》のだから。 ■■■■ ジャック。 名無しのジャック。 ジャックは身元が特定出来ない人への呼称であり、日本で言う所の名無しの権兵衛である。 だから彼は、名前が無い、戸籍も無い、生まれた事を認められていない。 「だから何だって話ですけどね」 手記は燃やした。 生まれた事を無かった事にされたから何だ、動物を愛でるのに戸籍は必要なのか? 彼の思考は既に動物に対しての愛情しか持って居なかった。 彼はこの日から自身の誕生日の語呂合わせで〝Mr.Bunny( ミスター バニー )〟を名乗る事となった。 ホテルのコンシェルジュとして働きつつ、ペットを殺す様な人を見つけると「こんばんは、Mr.Bunnyの首切りサービスです♡」と名乗りを上げてから殺し、解体するのが当たり前になっていった。 そこからはもう、殺戮の繰り返しである。 それから彼は母親だった女を含めて、82人を殺して逮捕された。 裁判では開き直り、何なら反省の色すら見えない事から終身刑を言い渡されている。 ▽ ➤パーソナルデータ 名前¦Mr.Bunny( ミスター バニー ) 本名¦無し( 囚人番号821が正式名称かもしれない ) 性別¦男 年齢¦不詳( 20代? ) 誕生日¦8/21 好きな物¦動物( 人間以外 ) 嫌いな物¦動物に危害を加えるもの全て( 人間含む ) 癖¦お祈り( 十字架を持ってお祈りする ) 趣味¦動物観察 特技¦動物の顔を覚えるのが早い( 特徴を捉えるのが得意 ) 善悪の一線¦3:動物を殺す( 人間以外 ) ↳我慢するのは1d6+1のダメージが必要 罪状¦殺人( 本人曰く〝82人殺した〟らしいが真偽不明 ) 刑罰¦終身刑 一人称¦僕( 口調荒れると俺 ) 二人称¦あなた、君 イメージカラー¦人参色 カラーコード¦# EC6800 ▽ ➤台詞サンプル 「囚人番号821です。 外に居た時はMr.Bunnyと名乗っておりました。 どうぞよろしくお願いしますね」 「ご利用ありがとうございます、Mr.Bunnyの首切りサービスです♡」 「本名?僕に本名はありませんので、好きに呼んで頂いて構いませんよ」 ■簡易用■ Mr.Bunny( ミスター バニー )(男) 職業:元ホテルコンシェルジュ 年齢:幾つに見えます? PL: STR:12  DEX:15  INT:15 アイデア:75 CON:14  APP:5  POW:16  幸 運:80 SIZ:17 SAN:69 EDU:16 知 識:80 H P:16  M P:16  回避:dex*2  ダメージボーナス:1d4 ―――――――――――――――――――――――――― [技能](職業技能点:320 個人技能点:150) (書式:職業/個人<成長>[その他]) ―――――――――――――――――――――――――― [持ち物] ・武器 ――――――――ここに記入―――――――― ・防具 ――――――――ここに記入―――――――― ・所持品 ――――――――ここに記入―――――――― [プロフィール]