タイトル:阿左見茶々 キャラクター名:阿左見茶々(あざみ・ちゃちゃ) 職業:曲芸師 年齢:21 / 性別:男 出身: 髪の色:黒 / 瞳の色: / 肌の色: 身長:177cm 体重:62kg ■能力値■ HP:14 MP:13 SAN:/99      STR  CON  POW  DEX  APP  SIZ  INT  EDU  HP  MP 作成時   8  14  15  15   8  14  13  12  14  13 成長等 他修正        -2 =合計=   8  14  13  15   8  14  13  12  14  13 ■技能■ ------------------------ 戦闘系技能 ------------------------ 習得/名前       現在値 習得/名前    現在値 習得/名前      現在値 ●《回避》      70%   《キック》  25%   《組み付き》   25%  《こぶし(パンチ)》50%   《頭突き》  10%  ●《投擲》     70%  《マーシャルアーツ》1%    《拳銃》   20%   《サブマシンガン》15%  《ショットガン》  30%   《マシンガン》15%   《ライフル》   25% ------------------------ 探索系技能 ------------------------ 習得/名前   現在値 習得/名前   現在値 習得/名前   現在値  《応急手当》30%   《鍵開け》 1%   ●《隠す》  40% ●《隠れる》 70%  ●《聞き耳》 70%   《忍び歩き》10%  《写真術》 10%   《精神分析》1%    《追跡》  10%  《登攀》  40%  ●《図書館》 65%  ●《目星》  70% ------------------------ 行動系技能 ------------------------ 習得/名前    現在値 習得/名前   現在値 習得/名前    現在値  《運転》   20%   《機械修理》20%   《重機械操作》1%  《乗馬》   5%    《水泳》  25%   《製作()》  5%  《操縦()》  1%    《跳躍》  25%   《電気修理》 10%  《ナビゲート》10%   《変装》  1%    《》     % ------------------------ 交渉系技能 ------------------------ 習得/名前    現在値 習得/名前   現在値 習得/名前 現在値  《言いくるめ》5%    《信用》  15%   《説得》15%  《値切り》  5%    《母国語()》60%   《》  % ------------------------ 知識系技能 ------------------------ 習得/名前      現在値 習得/名前       現在値 習得/名前  現在値  《医学》     5%    《オカルト》    5%    《化学》 1%  《クトゥルフ神話》0%   ●《芸術(猫との曲鞠)》75%   《経理》 10%  《考古学》    1%    《コンピューター》 1%    《心理学》5%  《人類学》    1%    《生物学》     1%    《地質学》1%  《電子工学》   1%    《天文学》     1%    《博物学》10%  《物理学》    1%    《法律》      5%    《薬学》 1%  《歴史》     20%   《》        %    《》   % ■戦闘■ ダメージボーナス:0 名称 成功率 ダメージ 射程  攻撃回数 装弾数 耐久力 / 備考                              /                              / ■所持品■ 名称 単価 個数 価格 備考       1   0       1   0       1   0       1   0 =所持品合計=     0 所持金 預金・借金 ■その他■ メモ: ①殺害方法→絞殺 ②殺害理由→「相手が自分よりも幸せそうだったから」 ③殺した女性との関係→全くの他人。たまたま芸を見に来た女が、たまたま道を歩いていたというだけ。 ④よく持ち歩く大事なもの→伊佐木少彦の随筆集『月影』 見世物小屋「阿左見座」の出身。 着物を脱ぐと身体中に打撲痕があることから、「三毛猫のようだ」と言われる。赤子の時、公園に捨てられていたところを座長・阿左見吉吉(よしきち)の妻・阿左見淀(よど)に拾われたと聞いているが、実は淀が幼児時代の茶々を裕福な家庭から攫って来た。茶々はずっと「捨てられていた」と嘯かれ、恩を着せられて暮らしてきた。 淀は、不妊であることから、吉吉からDVを受けていた。そのことから淀は子持ちの家庭を憎み、ある縁日の日に衝動的に「かわいいな」と感じた子供――茶々を攫ったのだった。淀が攫ってきた子供を見て、吉吉は面倒なことをするなと一度は淀を殴ったが、芸を教えて育てれば格安の給料で賄える団員を増やせると思い直し、茶々を育てることに決める。茶々の誘拐事件については、本名の高辻正一の名前で何度か写真付きで報道され、捜索願いも出されていたが、ついに移動式見世物小屋である阿左見座に捜索の手が迫ることは無く、茶々はそのまま阿左見茶々として育った。(攫ってきた子供なので、もちろん戸籍登録はされていない。茶々は「茶々」とだけ呼ばれたが、あえてこの境遇の彼にフルネームを付けるなら「阿左見茶々」だろう) 茶々は小さな頃から様々な曲芸を吉吉から仕込まれたが、本人が猫好きだったことから、特に猫を操って曲鞠をさせる芸を得意とし、ショーでは大抵猫との曲鞠を披露した。猫の調子が悪い日は、吉吉と共にナイフ投げの芸を披露したりした。 淀は、優しい時とそうでない時の差が激しかった。淀が暴力を振るわれた日には茶々も淀からの暴力と暴言を受け、繰り返し「あんたが悪い」と殴られ蹴られた。しかし、淀は優しい日には学校へ通っていない茶々のために勉強を教えてくれた。吉吉と駆け落ちをして一家との繋がりを断ってしまった淀は、元は良家の娘だった。淀には教養があり、機嫌の良い日には実の母のように茶々にその教養を分け与えた。お陰で茶々は文字が読めるようになり、淀の持っていた小説を読み込むようになった。特に、猫にまつわるエッセイを書いていた伊佐木少彦の小説に入れ込み、淀の持っていた数冊の伊佐木の小説を読破してからは、客からもらったチップや機嫌の良い時の吉吉や淀が渡してくれる小遣いを使って、外出を許された日に伊佐木の本を少しずつ買い集めて行った。 一番のお気に入りは、やはり猫にまつわるエッセイが収録されていた随筆集『月影』で、淀の所有していた特装版の本革・箔押しの一冊をつくづくと眺める日は多かった。淀にとっても『月影』は気に入りの一冊らしく、他の作家の特装版の本と共に所有していた。曲芸で行動を共にするほか、私生活でもほぼずっと傍で生活している三匹の猫(「藻々(もも)」、「楽々(らら)」、「宵々(よみ)」)と共に、夜中月の光をたよりに『月影』を読む静かな時間が好きだった。夜中なので音を出すことは出来なかったが、淀に聴かせてもらったレコードの「月の光」のメロディーを想起しながら読んだ。茶々が『月影』を気に入っているらしいことを知った淀は、「センスがいいねぇ」と笑った。機嫌の良い日の母は、茶々が聞けば小説談義に応じてくれた。伊佐木の小説のどこが好きなのかと問えば、「生き方と死に方」と答えるので、答えになっていないと茶々は思った。また、『月影』の中で淀が最も気に入っているという佐上誠一にまつわるエッセイを読んだ時などは、淀の半生や吉吉への想いを垣間見るような気がして、名状しがたい気分になるのだった。 団員たちは小人症からゲテモノ食い、フリークスに見せかけたただの偽物、売れない芸人までさまざまで、雑魚寝のような形で暮らしていた。座長夫婦から子供のような扱いを受けている茶々は団員たちから遠巻きにされ、吉吉からの指導で殴られた痕や、淀に暴力を振るわれた痕が身体にまばらにあることから、裏で「三毛猫の茶々」と呼ばれた。時には直接いびられること、殴られることもあったが、茶々はそれを座長夫婦に言いつけることも無く、ただじっと耐えていた。茶々にとっては、猫と小説と機嫌の良い時の淀さえ居ればそれで充分だった。機嫌の良い時の淀からは確かな愛情が感じられたし、機嫌の良い時の吉吉から淀への態度にはそれなりに愛を感じられた。というよりも、無理やりにでも愛を見出さなければやっていけなかった。 だが、本を読む中で、「もしも普通の家庭に生まれていたら」と夢想することはしばしばあった。興行を行う縁日には、家族連れも観客としてやって来た。茶々は客席の子供に自分の姿を重ねた。本の中の人物や、縁日に両親に連れられてやって来る子供のように、自分も一つの家に定住して、両親と暮らし、健全に学校に通っていたらどんな人生だっただろうかと考えた。だが、暴力を振るう淀の「死にそうだったあんたを拾ってあげた」「殴られるのはあんたの出来が悪いのが悪い」という言葉に、はなからそのような未来などありえなかったのだと思わざるを得なかった。 そうして20歳を過ぎた茶々は、相も変わらず阿左見座で芸をしながら暮らしていたが、帝都東京へ興行のためにやって来たことを機に、昼間には街に繰り出すようになる。吉吉も淀も、茶々の幼少期の時ほどの体力は失われており、茶々が自由に動ける裁量も増していたのだった。 流行りの本を読みたいと考えて書店へ行った茶々は、書店の壁に古びた紙が貼り付けてあるのをみとめる。「高辻正一ちゃんを探してください」と書かれたその紙には、良い服を着て髪の毛を整えた3歳位の男の子の写真が印刷されていた。奇妙な胸騒ぎがした茶々がその写真に釘付けになっていると、書店の店主が「ああ、その子ねえ……15年くらい前かな、縁日の日に消えちゃったって」「俺はもう駄目だと思ってるけどね……高辻のウチの人に剥がすなって言われたら、そりゃあ無理な話でさ」と言う。縁日。その言葉にピンと来た茶々は、「高辻正一」の写真が、淀や吉吉と一緒に映っている数少ない自身の写真に酷似していることに思い当たる。「その高辻ってどんな人ですか」と問えば、「高辻って言ったらそりゃあね、地主だよ。長男が産まれたって喜んでた矢先に行方不明だからね……」と言われ、目の前が真っ暗になる。「その紙、余っていたら貰えませんか」と尋ねれば、いやあこんな古い紙の余りなんてないよ、と返される。本当は書籍を買うために使おうとしていた金銭を差し出し、「これで売ってください」と頼んだところ、店主は「まあ……そこまで言うなら」と紙を剥がして茶々に手渡した。 帰り道、茶々の動悸は止まらなかった。帰ればいつも通りに吉吉と淀に出迎えられ、芸の稽古が始まる。ミスをすれば吉吉になじられ、団員たちからは冷ややかな目線を送られる。淀は素知らぬ顔で裁縫をしたり身の回りの家事をこなしている。これは本当に自分の生活なのか? いいや、もしかしたら。そうした心情が茶々の脳内をぐるぐると渦巻き、吉吉には「気を保て」と殴られた。 公演のある日の夜、茶々はタイミングを見計らっていた。公演のない時間帯に吉吉や淀が同時に一座のテントを留守にすることは無いと知っていた茶々は、公演中に淀の私物を漁ろうと考えていた。淀の私物の中には、少なくとも何枚かの写真が入っていることを茶々は知っていた。自身がもし誘拐された「高辻正一」であるのなら、証拠は淀の私物の中にある可能性が高いとも踏んでいた。 茶々はオールキャストのカーテンコールの時間にひっそりと抜け出し、淀の私物を漁りに行った。淀は舞台裏で公演の裏方をしているので、私物の管理が手薄になる時間は公演中しかなかった。 淀の私物を漁り、まず写真が何枚か貼られている手帳を手に取る。几帳面に写真の貼られたその手帳には、若い頃の淀や吉吉の写真や、阿左見座旗揚げの時の写真や、団員たちの写真もあった。当初はサーカス一座だったらしいが、いつの間にかアングラな見世物小屋へシフトして行ったことが写真の移り変わりから伺えた。 そうしてページを捲っていけば、とうとう茶々の写真が貼り付けられたページが表れる。猫と曲芸をする写真や、団員たちと映っている写真。少なくはあったが、茶々の写真はそこにあった。茶々は、書店で買い取ってきた紙を開き、見比べる。着ている服や髪型は異なっていたが、同一人物としか思えないほどに顔の造形は似通っていた。 茶々は震える手で残りの淀の私物を漁る。出てきた一冊のノートには新聞記事の切り抜きが丁寧に貼り付けられており、どれも「高辻正一行方不明事件」について追ったものだった。 茶々の頭の中を様々な想念が渦巻いた。会場からは、派手な音楽と歓声が聞こえてくる。この空間は紛れもなく茶々が物心ついた時から暮らし、育ってきた世界だった。阿左見座が茶々の世界の全てだった。だけど、本当は? 地主の長男「高辻正一」としての裕福な人生。伊佐木少彦の随筆や小説に書かれていたような、豊かな生活を送っていたはずの自分が居たのではないか? だとすれば、ここは……。 そんな茶々の思考を、「あんた何してるの」という冷たい声が遮った。振り返ると、公演で裏方をしていたはずの淀が居た。「何してるの」淀はもう一度繰り返した。 舞台音響はまだ鳴り響いていた。その場にいるのは淀と茶々だけだった。茶々は、「俺は本当は、高辻正一だったのか」と問うた。淀は、「あんたは茶々でしょ」と答える。「俺を誘拐したのか」と茶々が問えば、淀は沈黙した後に「……さぁ」と答えるだけだった。 茶々は強い口調で言った。「あんたが俺の人生を奪ったのか」「俺は本当は金持ちの家の子供だったはずなのにこんな所に連れてきて」「あんたのせいで人生めちゃくちゃだ」と矢継ぎ早に淀を責めた。 触発された淀は、「あんたが幸せそうだったのが悪い」「どの道あんたは茶々以外にはなれない」「今更戻ってもあんたには教養がない。地主の長男としてのあんたなんてもうお役御免に決まってる」「高辻正一の人生なんて無い。あたしが殺してやった。ここにはあんたの人生しかないし、あんたは茶々にしかなれない」と声を荒らげた。 感情が収まらなくなった茶々は衝動的に淀に詰め寄り、押し倒して首を絞めた。淀はもがき苦しみ抵抗したが、茶々の力には敵わなかった。徐々に抵抗の力を失っていく淀の首を締め続けていた茶々は、突と舞台音楽が終演後のものに切り替わり、団員たちが戻ってくる気配を察した。はっとして手を離した時には、淀はもう息をしていなかった。(茶々は死んだと勘違いしていますが、実はかろうじて生きてます) 自分のしてしまったことに青ざめ、取り乱した茶々は、吉吉や団員たちに見つかる前にと咄嗟に目に付いた『月影』と、持てるだけの売上金、「高辻正一ちゃんを探してください」の写真、そして老猫の宵々を連れてテントを出た。 小さな頃から連れ添った藻々や楽々は既に亡くなっていた。劇団で現役として活躍している猫たちも連れて行きたかったが、その猫らは団員たちにも可愛がられていたため、自分が連れていかなくても大丈夫だろうというとっさの判断で置いていくことにした。長年連れ添ってきた老猫の宵々にとっては、飼い主は自分しかいないことを茶々は感じていた。 テントを飛び出し、縁日を抜けて遠くまで走った茶々は、半ば投げやりのような心持ちでふらふらと夜の街をさ迷った。淀を殺してしまったという欠落感が渦巻いた。「俺は悪くない」とぶつぶつ呟きながら歩いていると、一人の女性が目に留まる。上等そうな着物に見覚えがあった。ちょうど今日の公演にやって来ていた者だと分かった。背丈や雰囲気が淀に似ていたことと、純粋に顔が好みだったことから、記憶に残っていたのだった。 周りに人がいないことを確認した茶々は、「こんばんは」と彼女に話しかける。振り返った彼女は、茶々の顔を見るなり少し驚いたように目を見開く。「……ああ!」「確か、縁日で曲鞠を?」夜中の人気のない路上で話しかけられているというのに、彼女は朗らかに笑って見せた。その幸せそうな笑顔を目にした瞬間、茶々の頭の中に「あんたが幸せそうだったのが悪い」という淀の声が蘇る。「ああいった見世物は普段見ないんですけれど……」と笑顔のまま続ける女性に、「へえ?」と返しつつ、茶々は女性に気づかれないようにさりげなく「良さげな場所」を探す。古びた空き家をみとめた。悪気の無い様子で「普段は見ない」と言う彼女に、茶々は無邪気な傲慢さを感じた。「すこし不気味な演目もありましたけど、あなたの曲鞠は……」と話し始めた彼女の口を塞ぎ、茶々は空き家の敷地内へ素早く連れ込む。建物の影に隠れたまま、茶々はあらん限りの力で彼女の首を締めた。茶々は途中、目の前の彼女と共に、淀の首も締めているかのような錯覚に陥った。苦しそうに呻く彼女の身体からくたりと力が抜けるまで、殺す気で締め続ける。冷たくなった彼女に跨ったまま、茶々は荒い息を吐いていた。不思議な高揚感が茶々を支配していた。茶々の横で丸くなった宵々は、鳴きもせずにおとなしくしている。 やがて落ち着いた茶々は、金品を拝借しようと彼女の私物を漁る。鞄から出てきた手帳には、「小野菊子」とあった。手帳を開くと、恋人らしき男性とのツーショット写真が挟まれていた。菊子の死体の左手の薬指を確認すれば、しっかりと指輪が嵌っている。婚約者なのだと察した茶々の口からは、ふ、と笑いの交じった溜息が漏れていた。「俺は悪くない。俺じゃない。全部こいつらが悪い。俺を差し置いて幸せになるから。俺から幸せを奪うから。」とぶつぶつ呟きながら、茶々はその辺にあった錆びたスコップを用いて、菊子を金品以外の私物ごと庭に埋めた。そんな茶々に差し込む月の光はなく、その日は厚い雲が光を完全に遮っていた。 死体を埋め終わった茶々はそのまま疲れて寝てしまい、目を覚ました次の日に街へ出て、格安の宿に泊まり始めた。当面の金はあったが、気休めのものでしかなく、どうせすぐに捕まるだろうと半ば諦めにも似た気持ちで日々を過ごしていたが、自分の元に追っ手が迫る様子はない。毎日新聞を買って確認していたが、犯人を追う様子はあるのにも関わらず、自分には捜査の手が伸びて来ない。この結果を受けた茶々は、「やっぱり俺は悪くないじゃないか」と思った。また、阿左見淀の死亡記事を毎日探したが、出て来なかった。「阿左見淀」は本名ではない確率が高い、と気づいた時には既に遅く、茶々が淀の本名を知る術はもう残されておらず、淀のその後を知る術は残されていなかった(茶々は完全に殺してしまったと思っているが、報道されているのを確認することで再度淀の輪郭を確認したかった)。 これで完全に開き直った茶々は、日銭稼ぎに大道芸として野良猫を手懐けて公園などで曲鞠をし始める。質素な生活を送っていた茶々にとっては、その程度の稼ぎで充分だった。やがて茶々は保証人の要らない、即入居できるボロ部屋を借り、宵々やその他の野良猫たちと住み始める。夜には必ず電気を消して月の光をたよりに淀の大切にしていた『月影』を読み、佐上に割り当てられた家で過ごしていた伊佐木の生活の描写をなぞりながら、あったはずの裕福な自分の生活を夢想して過ごした。その夢の中では決まって、母は淀の姿、父は吉吉の姿をしており、恋人の菊子や三匹の猫たちと共に豊かな暮らしをしているのだった。 そんな日々を過ごし始めてから数日経った時に、いつも通り大道芸をしていると、「村井」と名乗る記者に名刺を渡される。 怪しまれているのかと思いきやそんなことは無く、大道芸をしながらのらりくらりと暮らしている者にはしがらみが無く、街の情報を集めやすいだろうからとのことで人脈作りの一環として選ばれたのだった。 村井と世間一般で言う友人のような関係性になり、茶々はぽつぽつと文通を始めた。物知りな村井は一定の文学知識もあり、小説の話で盛り上がった。初めて自分の好きな本の話が出来る相手が出来たことに茶々は嬉しさを感じていた。 しかしその一方で、自分が殺したはずの人間の顔があやふやになり始めていることに気がつく。あの日、淀を殺した直後、道端で出会った女性の首を絞めて殺したこと、その名前を確かに確認したことまでは覚えている。しかし、肝心の顔と名前が思い出せない。いや、そもそも、自分は淀を本当に殺したのだろうか? 全ては悪い夢だったのではないか。しかし、阿左見座で淀と過ごした日々は、他でもない『月影』と、老猫宵々の存在、そして他でもない自分の曲鞠の腕前が証明している――はずだ。 茶々は毎晩、『月影』を読みながら夢をなぞった。吉吉、淀、三匹の猫、顔と名前の分からない恋人と幸せに暮らす妄想だった。妄想の中の恋人は、薄々あの日殺した「あの女」と関係している気はした。しかし、月の光が厚い雲によって遮断され、暗く閉ざされていたあの日のことなどは、無かったことにしてしまっても良いような気がした。顔も名前も思い出せない彼女を殺していようがいまいが、自分は悪くないのだから。 (参考:流行猫の曲鞠) ■簡易用■ 阿左見茶々(あざみ・ちゃちゃ)(男) 職業:曲芸師 年齢:21 PL: STR:8  DEX:15  INT:13 アイデア:65 CON:14  APP:8  POW:13  幸 運:65 SIZ:14 SAN:99 EDU:12 知 識:60 H P:14  M P:13  回避:dex*2  ダメージボーナス:0 ―――――――――――――――――――――――――― [技能](職業技能点:240 個人技能点:130) (書式:職業/個人<成長>[その他]) ―――――――――――――――――――――――――― [持ち物] ・武器 ――――――――ここに記入―――――――― ・防具 ――――――――ここに記入―――――――― ・所持品 ――――――――ここに記入―――――――― [プロフィール]