タイトル:エルデル=ネル=ベルン キャラクター名:エルデル=ネル=ベルン 種族:人間 [特徴:剣の加護/運命変転] 生まれ:傭兵 ■パーソナルデータ・経歴■ 年齢:22 性別:男 髪の色:薄灰 / 瞳の色:薄青 / 肌の色:白 身長:185 体重:88 経歴1:経歴表B-1-6:かつて信頼できる友人がいた 経歴2:冒険に出た理由:失われた家門を取り戻すため 経歴3: 穢れ度:0 ■能力値■      技     体     心 基礎    7     10      4    器用 敏捷 筋力 生命 知力 精神 A~F   8  10  10  10   9   6 成長   2   5      4   3    →計:14 修正  15   9  14   7   8  11 =合計= 34  33  34  33  24  21 ボーナス  5   5   5   5   4   3    生命 精神    抵抗 抵抗  HP  MP 基本  19  17  75  21 特技        30   0 修正 =合計= 19  17  105  21 ■レベル・技能■ 冒険者レベル:14 Lv ファイター  14 Lv  / スカウト   12 Lv セージ    1 Lv  /  エンハンサー 8 Lv アルケミスト 1 Lv  /         Lv ■戦闘特技・値■ [参照]  特技名      : 効果                           : 前提 [p2122] タフネス      : 最大HP+15                        : ファイターLv.7 [p3143] バトルマスター   : 宣言の必要な戦闘特技を最大2つ同時に宣言できるようになる : ファイターorグラップラーLv13 [p2120] トレジャーハント  : 戦利品のロールに+1                    : スカウトLv.5 [p2123] ファストアクション : 戦闘の第1ラウンドで先手なら、主動作を2回行える      : スカウトLv.7 [p2120] 影走り       : 乱戦エリアの脇を通り抜けるとき、乱戦を宣言されない    : スカウトLv.9 [p3143] トレジャーマスター : さらに戦利品のロールに+1                 : スカウトLv.12 [p1-286]全力攻撃      : 次の1回の近接攻撃ダメージ+12:回避-2           : [p1-288]なぎ払い      : 5体までの敵(選択可)を同時攻撃              : 2H近接武器 [p1-279]頑強        : 最大HP+15                        : [p1-281]武器習熟A/ソード  : ダメージ+1、Aランク装備可能               : [p1-286]牽制攻撃      : 次の攻撃1回(範囲攻撃ならその全て)の命中力+3      : [p1-281]武器習熟S/ソード  : さらにダメージ+2、Sランク装備可能            : [p3-212]武器の達人     : 全ての武器を装備できる                  :    魔物       全力    知識 先制 移動 移動 基本   5  17  33  99 修正 特技        0 =合計=  5  17  33m  99m ■呪歌・練技・騎芸・賦術・鼓咆・占瞳■ [参照]   特技名       : 効果                : 前提 [pIIp211] キャッツアイ     : 命中力+1              : [pIIp212] ビートルスキン△   : 防護点+2              : [pIIp211] アンチボディ△    : 毒・病気に対し、生命・精神抵抗判定+4 : [pIIp211] スケイルレギンス   : 水中で自在に行動する        : [pIIp215] ワイドウィング    : 飛行が可能になる          : [p]    ジャイアントアーム  : 筋力+12(近接攻撃+2)        : [p]    ケンタウロスレッグ△ : 敏捷度+6              : [p]    デーモンフィンガー  : 器用度+6              : [pIIIp206]ヒールスプレー    : 対象のHPを回復           : 緑x2 ■装備■ ・基本命中力、追加ダメージ、基本回避力        Lv 命中 追ダメ 回避 ファイター :14  19  19  19 グラップラー: フェンサー : シューター : ・武器 価格  用法 必筋 修正 命中 威力 C値 追ダメ [カテゴリ・ランク] 名称(*:装備している) / 備考 (参照) 280  2H片  17     19  27  10  22 [ソードB] *バスタードソード(売却) / (1-301p) 475   2H  22     19  32  10  22 [ソードB] *シャムシール(売却) / (1-301p) 1790  2H片  23     19  38  10  22 [ソードA] *フランベルジュ(売却) / 銀のフランベルジュ (1-302p) 6000   2H  26     19  46  10  22 [ソードS] *銀のクレイモア(売却) / (2-239p) 83000  2H  30   1  20  70  10  25 [ソードSS] *ガイスター / 手番終了時、HPに5点ダメージを受ける (3-220p) =価格合計= 91545 G ・防具    必筋 回避 防護  価格  名称 / 備考 鎧 : 23      6  14200 防弾加工のドントレシアの堅忍鎧 / 防弾回数残6 盾 :              / 修正: = 合計 =   19   7  14200 G (回避技能:ファイター) ・装飾品    価格  名称           / 効果 頭 :2000  セーフティメット     / 大ダメージのピンチを1度だけなんとかする 耳 :3500  蝙蝠の耳飾り       / 盲目状態でも行動可能、透明状態を感知可能 顔 :6000  水飲み鳥のマスク     / 毒・病気に対する生命・精神抵抗・薬品学・見識判定に+2 首 :7500  スマルティエの銀鈴    / 「装備部位:その他」を得る 背中:25000 スマルティエの風切り布  / 戦闘補助,準備に宣言で1R命中・回避+2(18Rに1度) 右手:900  スマルティエの疾風の腕輪 / 敏捷度+2 左手:900  スマルティエの宗匠の腕輪 / 器用度+2 腰 :3000  ブラックベルト      / 防護点+1 足 :11600 軽業のブーツ       / 転倒から即座に復帰 他 :2000  幸運のお守り       / 戦利品ロール+1 他 :18000 スカベンジャーの帽子   / 稀な戦利品を持つ魔物に対し、行為判定または戦利品獲得の出目+2 =合計=80400 G ■所持品■ 名称               単価 個数 価格  備考 冒険者セット           100  1   100 保存食6D/ヒーリングポーション1個 0   1   0 ベルトポーチ           15  1   15 小型ハンマー           10  1   10 くさび              20  1   20   10本 フック              10  1   10 着替えセット           10  1   10 布                4   1   4 スカウト用ツール         100  1   100 火縄壺              100  0   0 アンチドーテポーション      500  1   500 油                20  3   60 防寒着              80  1   80 宿泊費              30  1   30 アウェイクポーション       100  1   100 消費差分             520  1   520  火縄壺/油/緑A4 スプリントアーマー        520  1   520 カードホルダー          200  1   200 マテリアルカード緑A        200  10  2000 マテリアルカード緑S        2000 2   4000 マナチャージクリスタル(3点)    1500 8   12000 3,3,3,3,3,3,3,3 接合潤滑剤            160  2   320 トリートポーション        500  2   1000 ヒーリングポーション+1      200  2   400 受益者のシンボル         0   1   0   エルフリーデ 水着               20  1   20   持ってけって言われた アンロックキー          100  2   200 <祝福の間>入場手形        500  80  40000 器用4,敏捷4,筋力3,生命2,知力3,精神4 怪力の腕輪            1000 1   1000  筋力+2、壊すと+14 受益者のシンボル(猫の置物)    0   1   0   カカリア 疾風の腕輪            1000 1   1000  敏捷度+2、壊すと+14 宗匠の腕輪            1000 1   1000  器用度+2、壊すと+14 =所持品合計=   65219 G =装備合計=    186145 G = 価格総計 =   251364 G 所持金   38131G 預金・借金    G ■言語■       話 読            話 読 共通交易語 ○ ○ / 巨人語       - - エルフ語  - - / ドラゴン語     - - ドワーフ語 - - / ドレイク語     - - 神紀文明語 - - / 汎用蛮族語     - - 魔動機文明語○ ○ / 魔神語       - - 魔法文明語 - - / 妖魔語       - - 妖精語   - - / グラスランナー語  - - シャドウ語 - - / ミアキス語     - - バルカン語 - - / ライカンスロープ語 - - ソレイユ語 - - ・地方語、各種族語     話 読 名称 初期習得言語:交易交通語、地方語 技能習得言語:魔動機文明語、1個の会話or読文 ■名誉アイテム■ 点数 名称  20 ダガーランクへ昇級  30 レイピアランクへ昇級  50 ブロードソードへ昇級 100 グレートソードへ昇級 所持名誉点: 132 点 合計名誉点: 332 点 ■その他■ 経験点:13050点 (使用経験点:116000点、獲得経験点:126050点) セッション回数:14回 成長履歴: 成長能力  獲得経験点(達成/ボーナス/ピンゾロ) メモ 1- 敏捷度   1540点(1440 /   / 2回)  ゴブリンスレイヤースレイヤー 2- 生命力   1420点(1370 /   / 1回)  奈落の魔域 3- 生命力   1710点(1560 /   / 3回)  山猫大量発生 4-       6840点(3840 /3000 / 回)  魔剣の迷宮〈欠片喰らい〉の冒険 /スプシ補填3000 5-       3400点(3400 /   / 回)  忍び寄る影 6- 生命力   3280点(3130 /   / 3回)  将軍の村(成長2:器用/成長3:筋力) 7- 知力    4620点(4520 /   / 2回)  切り裂き魔と(成長2:精神力/成長3:器用) 8- 敏捷度   3000点(3000 /   / 回)  前兆中間報酬(成長2:器用/成長3:筋力) 9- 知力    5810点(5810 /   / 回)  前兆(成長2:精神/成長3:筋力) 10- 器用度   3650点(3650 /   / 回)  一堂に会す(成長2:筋力/成長3:生命力) 11-      20580点(   /20580 / 回) 曰く付きの魔剣/されど亡者は踊る/Dread or Alive差分 12- 知力    4030点(3980 /   / 1回)  ハーヴェス交渉団(成長2:知力/成長3:筋力) 13- 敏捷度   4180点(3980 /   / 4回)  奈落教の十二人(成長2:知力/成長3:器用) 14-      17580点(   /17580 / 回) 蠢く者たち〜完結編差分 15- 敏捷度   6990点(6890 /   / 2回)  戦乙女の工房 16- 器用度   6810点(6710 /   / 2回)  蒼穹の賊船(2:筋力/3:筋力/4:精神/5:敏捷) 17- 敏捷度   5560点(5510 /   / 1回)  大暴走(前編)(2:精神/3:敏捷/4:生命) 18-      9440点(9290 /   / 3回)  大暴走(前編) -side:Bioris- 19- 生命力   7460点(7460 /   / 回)  誰そ彼時の来訪者 -間章-(成長2:器用/成長3:生命) 20-      8150点(8150 /   / 回) メモ: ―「将軍の村」後日譚― 静かな建屋の中、陽光が帳から零れるような昼頃とは言えども。 暫く目を瞑って横になろうが、主の意思から手が離れたように、思考が巡っては胸を燻り、眠りにつくことがない。 戦闘続きの徹夜明け。眠くないはずなどありはしないのに。 眩暈し続けているみたいにまるで気分が優れない。身体に大した不調はないのだが…… こうなったのもあの男と最後に対峙してからだ。その場では、最初こそ嫌悪感を抱きはすれど、あの男の自己矛盾を孕んだ下卑た説法に辟易し、酷く冷静でいられた。 だが、その下卑た説法の何かがこうも焚き付けたのだ。それを突き止めなければなるまい。そう腹を括り、皆が寝静まった昼前、上体を起こし柱に背を預ける。 あの男は、事の顛末を傍で聞いていたかと思えば、尤もらしくのべつ幕なしに"何もしなかった"理由を述べ始めた。そもそも回収した冒険者証を渡したまでで、理由など聞いてはいないのにだ。 聞いてもいない話を語り続ける者、傲慢で不遜にふるまう者。珍しくもない。その両方であろうが、平時なら歯牙にもかけないはずだ。なのにどうして、こんなにも厭悪の感情が湧き上がるのだ。 ……気に入らない、と思う。しかし、それは結果だろう。前提となる思いが、気に入らない理由があるはずだ。 失態とは言えど、戦死した仲間のことを貶したことに対してか?ライフォス神の信徒であろうに、村人はおろか、仲間の命さえも軽視するとは。 同じ神を信ぜる者でありながら、こうも異なるものなのかと驚いたものだ。あの小柄な神官ならば、見捨てようなど、ちらりと考えもしないだろう。例え自身がどれだけ傷付こうとも。それが―― ――いや、違う。結局、村人は唯一人の欠員も出なかった。落命した彼らも、一党とはいえど最終的には各個人で自身の命を守らなければならない冒険者だったのだ。奴の言動には反吐が出るが、言い分はわからないでもない。 では、アノール・ロンドについてだろうか?俺は彼の地へと行きたいと考えていただけのはずだ。それを他者にとやかく言われようが、こう不愉快に思いはしないのではないか。 彼の地については……足を踏み入れた父曰く、複雑な構造となっている都市は堅固な守りとなるが、一度侵入を許せば殲滅は容易いことではない、と。名は失念したが、ある都市でのならず者の捜索依頼での経験則を基にそう分析していた。 それを、彼の都市の王グウィンネルダは、取り返しのつかない被害が出る前に決断したのだ。 陥落を覚悟し、外と内、どこで挟み打ちに遭うか判らない、混迷を極める都市から多くの命を救い、点在する集落のために戦力を分散させたのだろう。 身命を賭して魔の手を封殺し、一矢報いんとする当時の風潮も手伝えば、その決断は生半な覚悟では出来ないはずだ。 だが。封殺などしようが、陥落した後を考えれば、無数に蔓延る魔の手の一部を削ごうとも、いずれそこを拠点にした侵略の開始が早まるか否かの違いでしかない。英断だろう。誉れある指揮官だ。 ……それか。 先人が命を賭して守った未来に生ける子孫が、あのような傲慢な男である事実が。その男が、グウィンネルダの名を借ることが。 そして、忌まわしき土地の血を継ぐ者などと言われていることが。理解されないことが。 それが、悔しいのか。俺は。 ……俺はああは、決してなるまい。今は地に落ちた栄誉を、せめて少しでも回復する一助になれるのなら。誇り高き騎士の末裔として、廉直に生きよう。 そして、親に与えられただけでなく、彼の地の復興を願う1人として、彼の王の御名をもう一度借りるのだ。 そう考えに至ると、憑き物が落ちたかのように、肩の力が抜けてゆく。手にもかなりの力が入っていたようで、手を解くなり前腕から指先にかけて少しずつ感覚が戻る。 "詩"を使える自分に素直な妹ならば、こんなことで呆れるほど時間を要しはしなかっただろう。どこまで自己分析が下手で、不器用なのだろうか。 深く息を吐き出すと、少し外れて共に寝ていた金髪の男性がもぞりと動き、薄目を開け静かに口を開く。 「……不寝番のつもりか?村長は村民が起きているから不要だと言っていただろう……」 「いや――」 「はっ。まさか、我が妹の寝顔を盗み見ようなどと不埒な――」 「違う。考え事をしていただけだ」 ぴしゃりと続く言葉を遮る。 流石に村長宅にも女性6人が寝泊まりできるほど自由な空間がなく、かと言って男性2名を女性の村長宅へ収容する訳にもいかず、会合に使う一際大きな建屋に間仕切りを立てて寝る場所を確保したのだ。 確かに、やろうと思えば難しいことではなかろうが、それに何の意味があるのだ。 「……冗談はさておいて。悩みは晴れたようだな、青年。未明から随分思い詰めた表情をしていたからな」 ……俺はそんな表情をしていたのか? 「ああ。漸く考えが纏まったところだ」 「そうか。ニーナ嬢の口ぶりからすれば、今回の件は君に深く関係することのようだからな。メルエル嬢もか」 「そうだな。一族全員に関係することと言える」 「まあ……君は信を置けそうだからな、困るようなことがあれば人を頼ることだ。私だけでなくな。同じ過去の断片を覗いた身であるし……私も無関係ではないだろう。わかったら早く休むんだ、帰路も安全とは言えないんだ……」 そう言うなり、彼は再び整った寝息を立て始める。 人を頼る、か。確かに苦手なことだ。だが、苦手なことは少ないに越したことはない。時間はかかるだろうが、意識するようにしてみよう。 それにしても、妹にだって僅かな機嫌の機敏に良く気付くものだと感心していたものだが、こんな性格をした者のことを彼はこれだけの短い付き合いでよく判るものだ……――。 布が壁を撫で、床に確かな重みが加わる音が一つ。すぐにその空間は、穏やかな寝息だけとなった。 ――「ゴブリンスレイヤースレイヤー」後日譚―― 「どうして冒険者になったのか話し合いませんか?」 初依頼を無事に終えたのだから、と誘われた食事。 料理の並べられた机を囲み、皆ひとまずは肩の力も抜けた頃合いに、仮面を外さないルーンフォークの青年がふいに切り出す。 行きがけで語らわないものだから、自然と避ける話題なのかと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。 「ああ、勿論、話せる範囲で構いませんから。そうですね、では私から――」 そう言って周りの視線を汲み取ると、自らの動機を語り出す。…………なんて動機だ。耳を疑うが、酒の席だ。ズレているくらいが丁度いいのだろう。 目を丸くする者、笑い飛ばす者、苦笑を浮かべる者。反応は様々だが、場は和やかだ。 「私はこんなものでしょうか。では、エルデルさんはどうでしょうか?」 席順からか、次に、とばかりに問いかけられる。 「……幼い頃、見てみたいと思った景色があるからだ。」 それだけ答え、杯に口をつける、が。 「おや、夢のありそうなお話ですが、話せるのはそこまででしょうか?」と返される。 一度落とした視線を持ち上げると、皆俺の続く言葉を待っているようだった。 仕方ない。あまり得意ではないから長くなっても恨むなよ、と忠告して思案を巡らせる。生い立ちを避けては話せないだろう―― 「俺の故郷は、ディガッド山脈の麓にある、イルシールという村だ。5歳になると、病弱などの例外を除けば皆何かしらの戦闘術を習うことになっている。主に剣術だが、得手不得手に合わせ魔法なども教えられる。それがいずれ自衛のための力となるからだ。」 そこまで話し、区切りとして一口飲み物をあおる。 「幼い頃、俺は大人しい子だと言われる事が多かった。思いやりがあるだとか、大人びているとも。だが、そんなに褒められたものではなく、ただ無関心で、無欲だっただけだ。己のことでさえもだ。教え込まれる剣術も、ただ教わるがまま、周りに求められるがままにこなしていただけだった。才を認められても、どこか他人事のように感じていたんだ。」 関係ないことまで話しているように思うが、誰も口を挟まず穏やかに耳を傾けてくれている。つくづく同期に恵まれたものだ、と身に染みる。 「齢が二桁になった辺りで、冒険者だった両親から初めて村の成り立ちを聞いたんだ。かつて、ディガッド山脈の深奥にて栄え、大破局をきっかけに滅ぶことになったアノール・ロンドという都市のこと、そこに仕えた生き残りの騎士、鍛冶師、魔導師、あらゆる民が集い、できた村こそがイルシールであるということを。両親は冒険者としてアノール・ロンドへと足を踏み入れたことがあったらしい。かつて栄華を極めた都市は、蛮族の手に落ち、朽ちつつも尚、美しい姿を保っているそうだ。」 再び飲み物を口にする。長くなってしまった。早く終えてしまおう。どこを削ればいいか…… 「俺はその話を聞いた時、目が醒めるような感覚を覚えた。自分の足でその地を踏みしめ、その光景を見てみたい、と思った。自ら何かをしたいと、生まれて初めて思ったんだ。しかし、その地へ至るためには蛮族と対等以上に渡り合う腕がなくてはならない。今までただ求められるがままにこなしてきた剣術も、目的ができてからは、かつてないほど力強く、鋭く身体が動くようになったんだ。」 机に置かれたナイフの背を指でなぞる。師であり、友でもあった彼。一足先に冒険者になった彼は、今頃どこかを冒険しているのだろうか。 「曰く、5歳から仕込まれる戦闘術の数々は護身の他にも、アノール・ロンドで磨かれた技術を絶やさないことと、蛮族と渡り合える者を増やし、いずれは彼の地を取り戻すことを目的としているらしい。だが、俺は取り戻すだとか、そんな大それたことを考えているわけじゃない。ただ幼き日に焦がれた憧憬のため腕を磨き、冒険者となった。これが理由だ。」 長い説明を終え一息をつくと、各々が称賛にも似た言葉を口にする。 「いいですね!なんとも夢のあるお話ではありませんか!応援したくなりますね!」などと声も大きく言われるとどうにもむず痒く、誤魔化すように杯の水面に目を落とす。 もう1つの説明を省いた部分。妹について。 初日に宿すら取れぬほどに金を使い果たす誰ぞと違い、しっかり者の彼女は心配ないだろう。きっとすぐにでも追い付いてくるはずだ。 そして、彼女が冒険者となって成したいこととは何なのだろうか。肉親であるにも関わらず、知らなかった。知ろうとしなかった。結局俺は、昔と大して変わっていないのだろう。 自分自身に呆れていると、次の話者が語り出す。妹にも今度聞いてみようか。まずは、同期達の話に耳を傾けることから始めてみるとしよう――