タイトル:ミラ・オニール キャラクター名:ミラ・オニール 種族:レプラカーン [特徴:暗視、見えざる手、姿なき職人] 生まれ:軽戦士 ■パーソナルデータ・経歴■ 年齢:15 性別:女 髪の色:黒  / 瞳の色:紫  / 肌の色: 身長:130cm 体重:??? 経歴1:血縁者と死別:父親と死別、母親と離別 経歴2:誰かを救ったことがある:ヴィンド派師範 経歴3:有名人の知り合いがいる:ヴィンド派師範 穢れ度:0 ■能力値■      技     体     心 基礎   13      5      5    器用 敏捷 筋力 生命 知力 精神 A~F  10   3  12   9   8  10 成長   5   6   9   4   2   4 →計:30 修正            3 =合計= 30  24  28  21  15  19 ボーナス  5   4   4   3   2   3    生命 精神    抵抗 抵抗  HP  MP 基本  10  10  42  22 特技         0   0 修正 =合計= 10  10  42  22 ■レベル・技能■ 冒険者レベル:7 Lv フェンサー  7 Lv  / スカウト     7 Lv セージ    5 Lv  / エンハンサー   3 Lv アルケミスト 2 Lv  / デーモンルーラー 1 Lv ■戦闘特技・値■ [参照]  特技名      : 効果                            : 前提 [p2120] トレジャーハント  : 戦利品のロールに+1                     : スカウトLv.5 [p2123] ファストアクション : 戦闘の第1ラウンドで先手なら、主動作を2回行える       : スカウトLv.7 [p2120] 鋭い目       : 戦利品のロールに+1                     : セージLv.5 [p1-281]武器習熟A/ソード  : ダメージ+1、Aランク装備可能                : [p1-288]必殺攻撃      : 次の1回の近接攻撃のダメージの出目+1、C後も継続:回避-1   : [p1-283]両手利き      : それぞれの武器で同一対象に攻撃可能、命中-2、必要筋力20以下 : [p1-281]二刀流       : 両手利きの命中ペナルティがなくなる             : [p1-286]牽制攻撃      : 次の1回(範囲攻撃ならその全て)の攻撃の命中+2       : [p1-281]武器習熟S/ソード  : さらにダメージ+2、Sランク装備可能             :    魔物       全力    知識 先制 移動 移動 基本   7  11  24  72 修正 特技        0 =合計=  7  11  24m  72m ■呪歌・練技・騎芸・賦術・鼓咆・占瞳■ [参照] 特技名     : 効果                : 前提 [p]  ビートルスキン  : 防護点+2             : [p]  ガゼルフット   : 回避力+1             : [p]  キャッツアイ   : 命中力+1             : [p]  クリティカルレイ : 物理ダメージの威力決定の出目を上昇 : 金 [p]  ミラージュデイズ : 対象の命中力判定にペナルティ修正  : 白 ■装備■ ・基本命中力、追加ダメージ、基本回避力        Lv 命中 追ダメ 回避 ファイター : グラップラー: フェンサー : 7  12  11  11 シューター : ・武器 価格 用法 必筋 修正 命中 威力 C値 追ダメ [カテゴリ・ランク] 名称(*:装備している) / 備考 (参照) 620   1H   6   0  12   6  10  14 [ソードA] *マンゴーシュ / (p) 0    1H   8   1  13  20  11  15 [ソードA] *正しき信念の刀 / 蛮族・アンデット・魔人に対してダメージ+3 噓を付けなくなる。鎧を付けている場合:命中に-1のデメリットを受ける。鎧を付けていない場合:行動判定に+1のメリットを受ける。 (p) 0    1H  14   1  13  24   8  15 [ソードS] *ジャスティティア / この武器でHPを0以下にすると、生死判定なしで即死させる。そのとき、使用者のMPを5点回復する。 (p) =価格合計= 620 G ・防具    必筋 回避 防護  価格  名称 / 備考 鎧 :              / 盾 :        0      / 修正: = 合計 =   11   0    0 G (回避技能:フェンサー) ・装飾品    価格 名称           / 効果 頭 :256  スマルティエの髪飾り   / 耳 :                / 顔 :4000 ひらめき眼鏡       / 見識・探索判定+1 首 :258  スマルティエの首飾り   / 背中:                / 右手:900  スマルティエの怪力の腕輪 / 左手:900  スマルティエの疾風の腕輪 / 腰 :260  スマルティエのベルト   / 足 :258  スマルティエのトゥリング / 他 :900  スマルティエの宗匠の腕輪 / 他 :                / 他 :                / =合計=7732 G ■所持品■ 名称           単価  個数 価格  備考 【持ち物】           1   0 保存食          50   1   50   7日分/7日分 冒険者セット       100  1   100  ルルブ1 P320 ヒーリング        100  3   300 魔香草          100  5   500 マテリアルカード(金B) 18   20  360 マテリアルカード(白A) 200  4   800 配布保存食           1   0   4日分/7日分 勇者の証         10000 1   10000 勇者の証:技                 1   0                 1   0 【販売済み】             0 バックラー        30   1   30 ファストスパイク     410  1   410 ピアシング2本      2150  1   2150 ソフトレザー       75   1   75                 1   0 【出費】            1   0 幸運のお守り:割り勘   400  1   400                    0 【使用済み】          1   0 アウェイクン       100  1   100 魔香草          200  3   600 マテリアルカード(金B) 2   1   2 マテリアルカード(白A) 200  1   200                 1   0 【賭博】            1   0 賭け           3000  1   3000 賭け           1200  1   1200  2回目                 1   0 【滞在費】           1   0 宿泊              1   0                 1   0 =所持品合計=   20277 G =装備合計=     8352 G = 価格総計 =   28629 G 所持金    2241G 預金・借金    G ■魔力■ 知力ボーナス: 2 特技強化ボーナス: 0 武器ボーナス: 0  名前  Lv 追加修正 魔力 召異魔法 1       3 ■言語■       話 読            話 読 共通交易語 ○ ○ / 巨人語       - - エルフ語  - - / ドラゴン語     ○ - ドワーフ語 - - / ドレイク語     - - 神紀文明語 - - / 汎用蛮族語     ○ ○ 魔動機文明語○ ○ / 魔神語       ○ - 魔法文明語 - ○ / 妖魔語       - - 妖精語   ○ - / グラスランナー語  - - シャドウ語 - - / ミアキス語     - - バルカン語 - - / ライカンスロープ語 - - ソレイユ語 - - ・地方語、各種族語     話 読 名称 初期習得言語:交易交通語、魔動機文明語 技能習得言語:魔神語、魔法文明語の読文、5個の会話or読文 ■名誉アイテム■ 点数 名称  50 ピアシング専用化  50 ピアシング専用化  50 正しき信念の刀専用化  50 ファイラステン古流ヴィンド派(双剣の型)  30 乱風・双手分撃 所持名誉点: 385 点 合計名誉点: 615 点 ■その他■ 経験点:360点 (使用経験点:30500点、獲得経験点:27860点) セッション回数:30回 成長履歴: 成長能力  獲得経験点(達成/ボーナス/ピンゾロ) メモ 1-       1000点(   /1000 / 回)  初期作成ボーナス 2- 器用度   2400点(2000 / 350 / 1回)  1度目の冒険 3- 筋力      0点(   /   / 回)  1度目の冒険 4- 器用度     0点(   /   / 回)  1度目の冒険 5- 精神力   3000点(2500 / 450 / 1回)  2度目の冒険 6- 生命力   1000点(   /1000 / 回)  デーモンルーラー用 7- 器用度    900点(   / 900 / 回)  1ヶ月分 8- 筋力      0点(   /   / 回) 9- 精神力   3010点(2500 / 460 / 1回)  3度目の冒険 10- 精神力    0点(   /   / 回) 11- 筋力     0点(   /   / 回) 12- 敏捷度    0点(   /   / 回) 13- 生命力   3070点(3020 /   / 1回)  4度目の冒険 14- 筋力     0点(   /   / 回) 15- 筋力     0点(   /   / 回) 16- 生命力    0点(   /   / 回) 17- 敏捷度   7180点(2500 /4630 / 1回)  5度目の冒険 18- 敏捷度    0点(   /   / 回) 19- 敏捷度    0点(   /   / 回) 20- 筋力     0点(   /   / 回) 21- 筋力     0点(   /   / 回) 22- 筋力     0点(   /   / 回) 23- 器用度    0点(   /   / 回) 24- 生命力    0点(   /   / 回) 25- 知力    6300点(5000 /1200 / 2回)  6度目の冒険 26- 精神力    0点(   /   / 回) 27- 敏捷度    0点(   /   / 回) 28- 器用度    0点(   /   / 回) 29- 知力     0点(   /   / 回) 30- 筋力     0点(   /   / 回) 31- 敏捷度    0点(   /   / 回) メモ: 【簡易紹介】 レプラカーンの少女。非社交的で友達以外には滅多に姿を見せない。他人を幸せにすることで充足感を感じる。 一か八かが好きな博打人間。割と自立しているが、金銭感覚だけは少しズレている。 透明になり探索することが得意で、剣術を駆使する。いずれは双剣使いになることを目指している。 信条:欲望(所有・奪取) 矜持/執着:ギャンブルの機会は見逃さない =============================== 【感情・関係】 ミラ → アミエーラ:有益な存在だと思っている ミラ → クリス  :愛情/恋慕/好意 ミラ → ナナ   :油断できない ミラ → タビー  :兄弟姉妹/親族/遠い親戚/義兄弟 =============================== 【年表】 0歳:大きな都市の一般的な家庭に生まれる ↓ 3歳:火事で父親と死別。母親の故郷に移り住む。 ↓ 5歳:母親が過労で倒れる。ラダイト村に引き取られる。クリス、タビーと出会う。 ↓ 6歳:アミエーラと出会う。 ↓ 8歳:街で買った宝くじに当選。ヴィンド派に全額寄付し、師範と知り合いになる。定期的に村に修行をつけに来てくれることに。 ↓ 8歳~:密偵としての訓練を受けつつ、剣術を習う。当選した成功体験から博打が好きになる。 ↓ 10歳:ナナと出会う。 ↓ 14歳~:友人たちと共に冒険に出ることに。 表の目的:村に対する恩返し 裏の目的:ギャンブル資金を集める =============================== 【背景物語】  ごく普通の家庭に生まれたミラは、大都市にある人間の工房の屋根裏で暮らしていた。到底裕福だとは言えなかったが何不自由なく幸せな生活を送っていた。父親と母親はともに革細工の修理職人であり、階下にある工房を夜な夜な借りては人間の修理作業を手伝うことを生業としていた。平凡ながらも幸福な生活…しかし、それも長くは続かなかった。  ミラが3歳のとき地区一帯を焼き払うほどの大火が発生した。当然、住み家としていた工房も火の手に飲まれた。その時のことをミラはあまり鮮明に覚えていない。記憶の彼方におぼろげに残っているのは、自分と母を窓から投げ出す父と炎に向かって泣き叫び続ける母だけだ。今ならば分かる、そのとき父は自らの命を捨て自分たちを逃してくれたのだ。しかし、その当時に母から聞かされたのは、父は別の仕事に就くことになり別居するため、自分たちは母の故郷に引っ越すことになったということだった。  それからは母親の故郷で暮らすことになった。父親はおらず、見ず知らずの場所での一からの生活。幼少期のミラにとっては負荷以外の何物でもなかった。しかし、不幸は続くものである。もともと病弱であった母親の体調は、父親がいなくなったことの精神的負担や、父親の分も働こうと無理をして働いたことによる肉体的負担から徐々に悪化していった。ミラが5歳になる頃、母親はもはや寝たきりとなりこれ以上ひとりでミラを育てるのが不可能なほどに衰弱していた。弱りゆく母を目にしながらも何もできることがないミラであったが、ある日、かつて父親と縁のあった信頼の厚い人間に引き取られることとなった。かすれがすれの声でベッドから謝り続ける母親の姿は今でもたまに思い出す。  その人間は父親が信頼するだけあって人徳と忠義を体現したような人物だった。後から聞いた話によると、その人間はかつて王国で重装騎士を務めていたらしい。引き取られる時、これから暮らすことになる村の名前はラダイト村だと教えてもらった。しかし、引き取り先の決定にはもうしばらくかかるらしく、数日の間はその人間の家で暮らすことになるらしいということも伝えられた。その後のミラは不安に押しつぶされそうで、移動中に他にどのような話をしたのか覚えていない。人間は一生懸命にミラのことを元気づけようと話しかけ続けてくれた気がする。そんな優しさが身に沁みないほど、見ず知らずの場所で孤独な生活を始めるというは齢5歳の少女にとって過負荷以外のなにものでもなかったのだ。  ラダイト村につくと、人間が村を一通り案内してくれた。小規模で静かな村であったが、様々な種族が共に手を取り合って暮らしているのは一目で分かった。だが、それは憂愁に閉ざされたミラの心を救うには足りなかった。一通り案内を終えると、人間は自分の邸宅へとミラを連れて行った。村のはずれにある割と大きな邸宅、そこには人間の妻と思われる人物と息子と思われる人物がいた。人間はミラを招き入れると家族を紹介した。息子の名前はクリスで、ミラと同い年らしい。ミラは同い年の人間を見るのは初めてだった。自分と違う容姿、恐怖と興味が入り混じる。クリスが口を開く。×××××。何を言われたかは思い出せない。しかし、その言葉は確かに、そして、急速に凍り付いたミラの心を溶かした。自然とこぼれる笑顔と涙。クリスは不幸続きの少女の心に刺した一筋の光であった。  クリスの家で過ごして1週間ほど、クリスの父親の人間が受け入れ先が決まったと告げてきた。どうやら村に住むリカントが世話を引き受けてくれるらしい。引き取られるとはいえ、リカントは主に衣と食の面倒を見てくれるのであって、住居としては村で使っていない工房を無償で与えてくれるとのことだ。クリスと離れて暮らすことに幾ばくかの寂しさを感じつつも、これ以上恩人に迷惑をかけまいと精一杯の笑顔でミラはクリスの家を後にした。  世話になるリカントの家にもミラと同い年の子供がいた。元気な子供で獣の姿であることのほうが多いようだった。母親がその子供の名前はタビーだと教えてくれた。リカントの家での生活が始まったが、タビーはリカント語しか話さなかったため、ミラは彼女が何を言わんとしているのかまったく分からなかった。こちらから話しかけても反応は薄く、本当に話を聞いてくれているのかも判別できなかったが、ミラは姉妹ができたような気分で嬉しかった。たまに母親が間に入って通訳してくれることで、徐々に言葉の意味が分かるようになり、半居候生活を始めて1年経つ頃には簡単な会話ならばリカント語ですることができるようになった。  村で暮らし始めて1年、レプラカーンゆえに工房に引きこもりがちであったミラは特に交友を広げることもなく過ごしていた。友達と言えば飯を一緒に食べるときに毎日顔を合わせるタビーと、ちょくちょく遊んでくれるクリスくらいであった。ある日、気分に任せて飯時以外にタビーの家に遊びに行ったとき、そこには普段見かけない顔があった。それは耳の長い少女でリカントではないことは明白であった。聞けば、その少女はアミエーラと言い、タビーの幼馴染らしい。アミエーラはミラの知らない情報をたくさん知っていた。特に、彫刻細工の技術はミラのそれよりも遥かに高度で、アミエーラに教えてもらうことで両親と別れて以来伸び悩んでいた細工の技が大きく向上した。それ以来、アミエーラはミラと会うたびに有益な情報を渡してくれて、ミラにとっては情報通の頼れる姉という存在になった。  8歳のとき、クリスの一家に連れられて街へと遊びに行く機会があった。季節柄行われていた「その場で当たる年末宝くじ」を試しに引いてみたところ、特賞が当たる。使い切れないほどの金を手に入れたが、景品の小切手を授与されるときに観衆の中で号泣している青年を発見する。あまりの喚きぶりに会場がざわつく中、意を決したミラが事情を聴くと、自分が師範をしている道場の経営が火の車でどうしても大金が入用とのこと。そして、藁にもすがる思いでこの年末行事に参加していたが、目の前でミラがクジを引いてしまったらしい。現在の暮らしに特に不満もなく、大金の使い道も考えつかなかったミラは、大胆にも全額を道場に寄付することを宣言する。青年は涙で崩れた顔をさらにクシャクシャにして感謝を述べ、後日必ず恩返しをさせてもらうと誓った。後から知ったことだが、この青年はヴィンド派という双剣流派の師範であり、剣の世界では非常に有名な剣豪だったようだ。そして、この時、ミラの中に博打で勝てば人を幸せにできるという間違った常識が根付いたといえる。やがてこの誤認はミラを博打好きへと変えていくのだが、それはまだ先の話。  宝くじの出来事から数日後、村に青年が訪れてきた。自分にできる恩返しと言えば、修行を付けることくらいしか思いつけなかったと告げる。両親を失って以来、ミラはどこかで自分の弱さや不甲斐なさを攻めてきたため、その申し出は非常に魅力的に感じた。ミラは青年師範の修行を快く受け入れ、その日から時間を見つけては修行に明け暮れる日々を送った。青年はミラがレプラカーンであることを踏まえて、ミラに偵察術と軽装で戦う術を教えた。青年の師範としての腕はなるほど折り紙付きのものであり、戦いや偵察のいろはも知らなかったミラでさえ人より早く技術を吸収していった。義理堅い青年は、ミラが冒険者となるその日まで修行に付き合い、立派に成長したあかつきには自分の流派に迎え入れると約束してくれた。それまで家に引きこもるばかりであったミラにとって、外に出て行う修業は初めの内は苦しく辛いものであったが、できることが増えるという喜びとたまに応援しに来てくれるクリスの声が励みになり、挫折することなく練習を続けることができた。何より、過去の守られるだけの軟弱な自分に別れを告げられることが、ミラにとっては他のどんなことよりも誇らしく嬉しいことであった。  この頃のミラの日常は、朝昼晩のご飯をタビーとその家族とともに食べ、朝から昼にかけて部屋の片づけや洗濯などをし、昼から夜にかけて修行や細工練習を行い、夜の時間を趣味に費やすというルーティンから成り立っていた。修行が始まったことで以前より友達との遊びに費やす時間は減ってしまったが、それでもクリス、マハ、アミエーラとは交流を続けていた。何か大きな変化があったわけではない、しかし、何故かはわからないが修行にクリスが顔を出した時には普段の何倍もやる気が湧いた。このまま頑張れば、何か彼の役に立てるかな。そんな考えが頭によぎったが、どうしてそんな風に考えたのかは分からなかった。他の村人との交流がなかったかと言われると、そうとは言えない。小さな村だ、誰もがレプラカーンである自分がこの村に住んでいることは知っていた。友達と遊びに行く道すがらに村の老人たちから壊れた革細工や小物を直して欲しいと頼まれることも多々あった。ミラは直接その村人たちと会話したり会ったりすることはしなかったが、人に頼られることに悪い気はしなかったので、自分が暮らす工房の前に修理品預り所を設けて依頼を受けることにした。そして、夜な夜なそこに置かれた品々を修理した。ミラは無償で修理を引き受けていたのだが、老人たちは感謝の気持ちとして修理代を数ガメル置いていってくれた。しかし、ミラはお金の使い方を知らなかった。練習に使うものは青年がすべて用意してくれていたし、家で使うものはあらかじめ用意されており、食事もマハの両親が出してくれていたからだ。最初、ミラは自分で稼いだお金を使って修理道具や材料を揃えた。しかし、それらはたいしてお金がかからず、せっかくもらった金を余らせてしまっていた。どうしたらこのお金を有効に使えるか、ミラは考えた。どうせなら人の役に立つことに使いたい。そう思ったミラの思考回路が導き出した答えは宝くじだった。ミラの人生で最も人の役に立ったとき、それは青年を宝くじの当たりで救ったときだったからだ。ミラは余った金をクジにつぎ込んだ。そして、当たりが出れば、透明化して近くの困っている人に配って回った。町では金を落としていく妖精が都市伝説となったが、その正体はミラだったのだ。当然、ミラの名が有名になることはなかったが、ミラ自身はそれで満足だった。賭けに勝てば人を幸せにできるし、自分も満たされる。それからというもの、ミラは稼いだ金を賭けにつぎ込むようになった。9歳のミラには、誰にも教えられずに金の経済的な意味を見出すことは難しかった。ミラにとって、金も賭けも自他をともに幸せにするための手段にすぎなかったのだ。  10歳の頃、村に新しい少女がやってきた。クリスの父親がどこかから連れてきたのだという。二人はどこか同じ志を抱いており話が合うようで、よく二人で語り合っているのも見かけた。ミラはそれが羨ましかった。どうして羨ましいのか考えたが、いまいちよく分からない。クリスに認められたいのだろうか。もやもやとした気持ちを抱えつつもミラはその少女のことを嫌いにはならなかった。確かに、心のどこかではこの女は油断できないと思ってしまう自分もいる。しかし、どこかで彼女にはかつての自分と同じような寂しさや苦しさを感じていた。だからこそ、自分に優しくしてくれたあの時のクリスのように、自分もまた彼女に優しくしなくてはならないと思ったのだ。少女の名前はナナといった。どこから来たのか、なぜ来たのか、疑問に思うことはあったが聞くことはしなかった。ただ、年齢が近いということはクリスが教えてくれた。またひとり同性の遊び仲間が増えたことはミラにとっても幸運だったと言えよう。  それから4年が経った。少女4人と少年1人はともに日々を過ごしながら、それぞれすくすくと成長していった。師範の青年はあの日から約束を忘れることなく、週3回は稽古をつけてくれた。そのおかげもあって、ミラは順調に偵察者剣士として腕を磨き続けた。剣士としては大きく成長したミラであったが、自分のことになると途端に未熟であった。13歳になってようやく自分のクリスに対する気持ちが恋慕に近いものなのではないかと気が付いた。そう考えることで、ナナをどこか油断大敵だと思ってしまう自分や、練習を応援されたときに昂る感情の説明がつくと分かったのだ。しかし、ミラにとってクリスは恩人であり、雲の上の存在であるため、そのような感情を抱くこと自体が間違いなのではないかという葛藤も生まれた。この気持ちも透明にしてしまえたら良いのに。そう思いながら、悩める少女は自分の気持ちを隠し通す決意をした。一方で、日常生活にも変化があった。12歳になったとき、自立することを決意したミラは思い切って修繕を仕事にすることを決めた。相変わらず、客との取引は間接的に行われたが、小さな村で修理職人もいなかったため、それなりに商売は繁盛した。この頃には経済を知り、金銭の大切さも把握しており、儲けを賭け事に使って他人に渡すことは控えるべきだと理解していた。しかし、子供の頃に身に着いた習慣は中々やめられないのである。さらに、時としてそれは悪い方向に成長を遂げる。多幸感や満足感は、賭けや金を手段として人々を喜ばせることができた結果であった。しかし、その感覚に慣れていくうちに賭けること自体が幸福や充足の源であると勘違いしてしまった。もちろん今でも賭けで買った金は配ることを続けている。けれども、それは今やオマケであり、主目的は賭けることとなっているのだ。一か八かの状況自体がミラにとっての幸せであり、その時が一番ワクワクするのである。過酷な運命を受け入れてきたミラにとって、それくらいが丁度いいのかもしれない。特にうしろめたいわけではないが、このことは誰にも話していない。  ある日、いつもの少年少女が集められ村を代表して冒険に出ることが決まった。冒険者になることは決して嫌ではなかった。幼いころからの恩を村に返す日が来たのだと理解した。師範から受けてきた修行の成果を見せられるのも嬉しかった。それに、冒険隊にはクリスもいた。つまり、冒険に出れば今よりもっとクリスといられる時間が増えるということだ。それはまんざらでもなかった。あわよくば賭けの資金を…そんな考えがよぎったが、あまりにも邪だと自分を叱責した。あくまでこの冒険は村のためだ。そう自分を律して、旅立ちの日を待った。