タイトル:大和 葵 キャラクター名:大和 葵 種族:人間 [特徴:剣の加護/運命変転] 生まれ:傭兵 ■パーソナルデータ・経歴■ 年齢:16歳 性別:男性 髪の色:黒色 / 瞳の色:葵色 / 肌の色:肌白 身長:169cm→172cm 体重:58kg→64kg 経歴1:【ヒノモト】11:暗殺されそうになった経験がある 経歴2:一定期間の記憶がない 経歴3:決して手放せない小物がある。 穢れ度:0 ■能力値■      技     体     心 基礎    7     10      4    器用 敏捷 筋力 生命 知力 精神 A~F   9  10   9   4   3   7 成長   6   6   4   6      2 →計:24 修正         2   4 =合計= 23  24  25  24   7  13 ボーナス  3   4   4   4   1   2    生命 精神    抵抗 抵抗  HP  MP 基本  13  11  51  16 特技        45   0 修正         1 =合計= 13  11  99  18 ■レベル・技能■ 冒険者レベル:9 Lv ファイター  9 Lv  / マギテック  1 Lv レンジャー  1 Lv  / エンハンサー 5 Lv アルケミスト 4 Lv  /         Lv ■戦闘特技・値■ [参照]  特技名     : 効果                                                                                                                                             : 前提 [p2122] タフネス     : 最大HP+15                                                                                                                                          : ファイターLv.7 [p1-288]必殺攻撃     : 次の1回の近接攻撃のダメージの出目+1、C後も継続:回避-1                                                                                                                    : [p1-288]なぎ払い     : 5体までの敵(選択可)を同時攻撃                                                                                                                                : 2H近接武器 [p1-281]武器習熟A/ソード : ダメージ+1、Aランク装備可能                                                                                                                                 : [p1-279]頑強       : 最大HP+15                                                                                                                                          : [p2-228]超頑強      : さらに最大HP+15                                                                                                                                       : [p]           :                                                                                                                                               : [p]           :                                                                                                                                               : [p]           :                                                                                                                                               : [p]           : 〇大和者・裏…「〇力自慢」「≫見切り」を追加で得る。                                                                                                                     : 原領出身:侍限定:人間限定。 [p]           : 〇力自慢…筋力+2。                                                                                                                                      : [p]           : 見切り…MP4消費。そのR中、一回だけ自身を対象とした近接攻撃に命中判定で回避を行える。【刀槍限定】                                                                                               : [p]           : ○一閃…一刀流時、命中判定で対象の回避を「4」以上上回るとC値-1。【刀槍限定】                                                                                                         : ≫見切り [p]           : 〇居合…戦闘開始後、最初の近接攻撃に命中+3、打撃+3を得る。【刀限定】                                                                                                             : [p]           : ▷峰打ち…打撃-(任意の冒険者レベル上限)点。C値を「12」に固定する。この特技で対象のHPを0以下、かつ生命抵抗値以下にする事で、対象を殺さずに深い気絶状態にさせる事が出来る。この効果使用時は打撃攻撃とみなす。対象が「〇不屈」、またはこれに類似する能力を持っていた場合は効果がない。【刀限定】 : [p]           : ○鉄斬剣…対象の持つ、クリティカル無効系効果のみを無視する。【刀限定】                                                                                                            : ファイター技能8レベル。    魔物       全力    知識 先制 移動 移動 基本   0   0  24  78 修正 特技        2 =合計=  0   0  26m  78m ■呪歌・練技・騎芸・賦術・鼓咆・占瞳■ [参照] 特技名      : 効果                                                                       : 前提 [p]  キャッツアイ    : 自身の命中値+1                                                                  : [p]  ビートルスキン   : 自身の防護点+2                                                                  : [p]  マッスルベアー   : 自身の筋力ボーナス+2                                                               : [p]  メディテーション  : 精神抵抗判定+4                                                                  : [p]  デーモンフィンガー : 自身の器用度+6                                                                  : [p]  クリティカルレイ  : 対象が近接攻撃、射撃攻撃を行った場合、威力決定時の2dの出目を上昇させます。この効果でクリティカル値以上となった場合、クリティカルが発生します。 : 金 [p]  ヒールスプレー   : 対象のHPを回復する                                                                : 緑*2 [p]  バークメイル    : 対象の防護点を上昇させる。                                                            : 緑 [p]  ヴォーパルウェポン : 対象が与える物理ダメージを上昇させる。                                                      : 赤 ■装備■ ・基本命中力、追加ダメージ、基本回避力        Lv 命中 追ダメ 回避 ファイター : 9  12  13  13 グラップラー: フェンサー : シューター : ・武器 価格 用法 必筋 修正 命中 威力 C値 追ダメ [カテゴリ・ランク] 名称(*:装備している) / 備考 (参照) 7000  2H  20   1  14  25   9  15 [ソードB] *長薄刃 / 非常に刃の薄い大太刀。とてつもない切れ味を誇るが、威力が控えめ。 (p) =価格合計= 7000 G ・防具    必筋 回避 防護  価格  名称 / 備考 鎧 : 25  -2  10  4000 金剛具足:丙 / 受けるC効果+1 盾 :              / 修正: = 合計 =   11  10  4000 G (回避技能:ファイター) ・装飾品    価格 名称               / 効果 頭 :6000 スマルティエのヘッドバンド*専用化 / HP回復効果を受けたときMPが1点回復(スマルティエ1/3) 耳 :200  からくり玉・小(小)       / マギスフィア・小 顔 :251  スマルティエのコンタクト     / (スマルティエ2/3)*見た目変更なし 首 :0   思い出の組み紐          / 長年使用している。これがないと落ち着かない。 背中:280  スマルティエのハーフマント    / (スマルティエ3/3)*腰ほどの丈のマント 右手:500  巧みの指輪            / 壊すと+13 左手:500  俊足の指輪            / 壊すと+13 腰 :200  札箱*専用化            / 足 :252  スマルティエの草履        / (スマルティエ4/3)*草履をスマルティエ加工!コーナーで差をつけろ 他 :0   卜伝の護符            / 毒・呪い・病気属性から受けるダメージを-1する。 =合計=8183 G ■所持品■ 名称          単価 個数 価格 備考 冒険者セット      100  1   100 保存食:1週間分     50  1   50  残:7日分                   0                   0 【マテリアルカード】  -   -   0 金札・劣(金Bカード) 20  20  400  残:20 金札・並(金Aカード) 200  8   1600 残:8 緑札・劣(緑Bカード) 20  20  400  残:20 緑札・並(緑Aカード) 200  12  2400 残:12 緑札・上(緑Sカード) 2000 1   2000 残:1 赤札・並(赤Bカード) 20  5   100  残:5 赤札・並(赤Aカード) 200  3   600  残:2                   0 【魔晶石】       -   -   0 魔晶石5点       500  1   500  残:0 魔晶石5点       500  1   500  残:0 魔晶石5点       500  1   500  残:0 魔晶石5点       500  1   500  残:0 魔晶石5点       500  1   500  残:0 魔晶石5点       500  1   500  残:0 魔晶石5点       500  1   500  残:0 魔晶石5点       500  1   500  残:0 魔晶石5点       500  1   500  残:0 魔晶石5点       500  1   500  残:0 魔晶石5点       500  1   500  残:0 魔晶石5点       500  1   500  残:0 魔晶石5点       500  1   500  残:●● 魔晶石5点       500  1   500  残:●● 魔晶石5点       500  1   500  残:●●●●● 魔晶石5点       500  1   500  残:●●●●● 魔晶石5点       500  1   500  残:●●●●● 魔晶石5点       500  1   500  残:●●●●● 魔晶石5点       500  1   500  残:●●●●● 魔晶石5点       500  1   500  残:●●●●●                   0 魔香草         100  10  1000 残:0(共有袋へ) 救命草         30  10  300  残:0(共有袋へ) ヒーリングポーション  100  7   700  残:7 アウェイクポーション  100  3   300  残:2 トリートポーション   500  1   500  残:1                1   0 ぴゅろぴゅろ笛     500  1   500 ぽっけに砂       400  1   400                1   0 怪力の腕輪       0   1   0   筋力+2/壊すと+14                1   0 串だんご        10  1   10                1   0 無銘刀         -325 1   -325 無銘刀の売却 逆刃刀         -500 1   -500 逆刃刀の売却 足軽具足:丙      -400 1   -400 足軽具足:丙の売却                1   0 防寒具(5点セット)  100  1   100 防寒具(5点セット)  100  1   100                1   0                1   0 =所持品合計=   20335 G =装備合計=    19183 G = 価格総計 =   39518 G 所持金    157G 預金・借金    G ■魔力■ 知力ボーナス: 1 特技強化ボーナス: 0 武器ボーナス: 0  名前  Lv 追加修正 魔力 魔動機術 1       2 ■言語■       話 読            話 読 共通交易語 ○ ○ / 巨人語       - - エルフ語  - - / ドラゴン語     - - ドワーフ語 - - / ドレイク語     - - 神紀文明語 - - / 汎用蛮族語     - - 魔動機文明語○ ○ / 魔神語       - - 魔法文明語 - - / 妖魔語       - - 妖精語   - - / グラスランナー語  - - シャドウ語 - - / ミアキス語     - - バルカン語 - - / ライカンスロープ語 - - ソレイユ語 - - ・地方語、各種族語     話 読 名称 初期習得言語:交易交通語、地方語 技能習得言語:魔動機文明語 ■名誉アイテム■ 点数 名称 100 専用化*2  50 武器専用化*1  50 防具専用化*1 所持名誉点: 210 点 合計名誉点: 410 点 ■その他■ 経験点:0点 (使用経験点:32500点、獲得経験点:29500点) セッション回数:24回 成長履歴: 成長能力  獲得経験点(達成/ボーナス/ピンゾロ) メモ 1- 生命力   13000点(13000 /   / 回) 初期作成 2- 器用度     0点(   /   / 回) 3- 敏捷度     0点(   /   / 回) 4- 敏捷度     0点(   /   / 回) 5- 敏捷度     0点(   /   / 回) 6- 精神力     0点(   /   / 回) 7- 器用度     0点(   /   / 回) 8- 筋力      0点(   /   / 回) 9- 敏捷度     0点(   /   / 回) 10- 器用度   1410点(1000 / 310 / 2回)  第一話 11- 筋力    1350点(1000 / 150 / 4回) 12- 器用度    0点(  0 /  0 / 0回) 13- 生命力   2305点(2000 / 155 / 3回) 14- 生命力    75点(  0 / 25 / 1回) 15- 生命力    0点(   /   / 回) 16- 器用度    0点(   /   / 回) 17- 生命力   3490点(2000 /1190 / 6回) 18- 敏捷度    0点(   /   / 回) 19- 生命力   2430点(2000 / 330 / 2回) 20- 精神力    0点(  0 /  0 / 0回) 21- 器用度    0点(  0 /  0 / 0回) 22- 敏捷度    0点(  0 /  0 / 0回) 23- 筋力    250点(  0 /  0 / 5回) 24- 筋力    5190点(4000 / 940 / 5回) メモ: 名前:大和 葵 年齢:16歳  性別:男性 身長:169cm 体重:58kg 髪の色:黒  瞳の色:葵 出身地:原領・大和 好きなこと:刀剣の手入れ 好きな食べ物:雑賀衆の皆で食べるご飯 苦手な食べ物:特になし(本人談)・梅干し(友人談) 嫌いなもの:人の正義を踏みにじり嗤う者 尊敬する人物:雑賀孫一 気が付けば見渡す限りの焼け野原を、今にも死んでしまいそうな状況で独り歩いていた。 悲鳴も絶叫も聴こえず、ただ赤い炎が火の粉を踊らせて、家も人も思い出も、そこにあった全てを静かに燃やし尽くしていた。 どうして自分は生きているのか、この焼死体は誰なのだろうか、此処は──何処なのだろうか。 駆け巡る思考とは相対的に、体力はとっくに底を尽きていた。 どさり、と、灰だらけの地面に身体を預け、夜の闇へと溶けていくように意識が遠のいていく。 最後に聴こえてきたのは鉄と鉄がぶつかりあった甲高き金属音。白黒の世界で炎とは違う紅色の火花が遥か遠くで散って何度も交差する。その鉄の音は不快な音のはずなのに、澄んだ水面なような美しさと、蒼天に煌めく太陽のような気高さを感じさせるその鉄の音に刹那の中で聴き惚れながら、この残り僅かな命を天へと捧げる決意をして眠りについた。 そして優しい日差しと共に畳の上で目覚めたのだった。 少年は戦場と化した村で独り放浪しているところを雑賀衆に拾われ、生き延びた。 命を救ってくれた雑賀孫一に対して恩義を感じており、雑賀衆について行くようにして行動を共にして成長していく。 また、救われたこの命で誰かを救いたいと思う心が芽生え、その信念から刀を振るうようになっていく。 しかし、子供時代の記憶が欠如している為か、何処か浮世離れしている面もある。常人では即座に辿り着く回答に時間を要することが時折見受けられる。常識がないということではなく、現状を理解しようと努力する面もある。 雑賀衆に加入したのは推定9歳 推定3歳から雑賀衆に拾われるまでの記憶が欠如している。 当時のことを思い出そうとすると、記憶に靄がかかったように思い出せず、強烈な吐き気に襲われる。 雑賀衆で目覚めた時から“赤い組紐”だけを握りしめており、なぜこれを持っていたのかは思い出せない。今は髪を結ぶ用に肌身離さず身につけている。これがないと落ち着かない。 ────────────────────── 「組紐はね、糸を結んだ人の願いや解いた人の思い。夢や祈り。怒りや哀しみ。沢山の人やモノを繋ぎ合わせることができる、とても大切なものなんだ。」 穏やかな昼下がりだった。透き通った青い空の下で竹製の物干し竿に吊るされた白い衣服が爽やかな春のそよ風に優しく揺れ動く。 二人で座ることが精一杯の縁側に若葉の香りがふわりと流れ、病弱な父は色鮮やかな紐と紐を結び合いながら、そんなことを口にした。 手の届く距離に置かれた、余り物の細い紐を手に取って、伸ばしたり、ゆらゆらと振ってみたり、指に巻き付けてみたり。色々と触ってみるけれど、父の言葉の意味や真意が自分には良くわからない。 けれど、穏やかな表情の奥に、憂いを帯びた瞳を浮かべている父の顔を見て、この組紐が父にとってとても大切な物であると言うことはなんとなく分かった。 「葵。繋がりだけは、絶やしちゃいけないよ。葵の力が及ばずに、苦しむ日が訪れるかもしれない。葵にとって不自由で息の詰まる日々が訪れるかもしれない。そんな時、人は自分の弱さを蔑み、誰かの輝ける部分を見てしまうものだ。力も、知識も、富も。あることに越したことはない。──けれど、届くことのない領域は必ず誰にだってあるものさ。そんな時には──」 「──仲間を頼るんだ。沢山、誰かに頼れば良い。自分の短所を補ってくれる誰かが、長所を更に伸ばしてくれる誰かがきっと居る。そして葵もまた、自分の優れた部分で誰かが不得意とするものを支え、誰かが得意とするものの背を押してあげるんだ。時には、仲間とぶつかっても構わない。思いをぶつけないと前に進めない時もあるから。けれど、その後には沢山励まし合うんだ。そうして紡がれた絆はどんな闇だって超えていける。」 「……わかった。おれ、沢山友達を作るよ!……だけどね、父さん。やっぱり、自分の力は強い方が良いと思うんだ。強くないと、大切な友達も、父さんも母さんも、守れない。」 「葵──。葵にとって、強い人ってどんな人?」 「それはもちろん──」 ─────────────── 「僕の中にあったのは、後悔だ。全部、自分一人でなんとかしようとした、僕自身の後悔と過ち。僕と同じ道を葵にも歩んでほしくはない。そんな思いは怠惰だとも思う。そんな感情を子に押し付けるなんて、自己矛盾も良いところだ。人生を肯定できない者が、子に未来を語るなんて。」 「その通りよ!」 「えぇ…やっぱり……?」 「だけど、貴方は一人じゃない。私が貴方にずっと付いている。それは葵もそうよ。そんな中であの子は、貴方の話を聞いた上で、貴方を守ると言ったのよ。あの子には、貴方の思い、そして私の思いも生きている。私達が繋いだ未来の希望。それが葵よ。」 「参ったな。そうか、やはり僕は自分の生き方を変えることが出来ないでいた。この後に及んでまでも自分一人で考え、悩み、心を締め付けていた。だけど──そうか。“それでも良い”のかもしれないな。僕の隣には君が居る。葵の未来には僕達が居る。自分が歩んできた道のりには辛いものが多かったけれど、この未来には君と葵が居てくれる。なら、自分の人生は肯定していくしかない。悲しみも後悔も多いけれど、それでも葵という子が産まれてきてくれた。それは──。」 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ →父の過去について ・大和葵の父、大和安貞は戦士だった。大和国は大破局の損害が大きく、大地は荒れ果て、空気は重く息苦しい。夜になると妖怪達が何処からともなく現れ、大和国の民達の命を奪い取っていく。 大和安貞はそんな現状を変えるために剣を手に取った戦士である。 陰陽師が少ないこの地では、個人の力を如何様なく試され、そしてそれを信じなければならない土地だった。 誰かを頼るのではなく、一人一人が自分の持てる力を最大限に発揮すれば良い。いや、この国ではそうするしかなかった。 大和安貞もその内の一人だった。この国に古来から伝わる特別な呼吸法と剣術を行使して、命を守る為に戦っていた。 そんな彼の価値観を変える、大きな出会いがあった。 後々の妻となる、組紐師である霞との出会いだった。 きっかけは、妖怪に襲われているところを大和安貞が助けたことにあった。 霞はそのお礼にと、未完成の組紐を安貞に手渡す。「それを完成させたければ、これからも私とお付き合いしてください」という言葉と共に。 安貞にとって霞は、【これまで助けてきた命の一つでしかない】との思いであったが、霞はそうではない、この救われた命を、これまでよりもより尊いものへと変えたかった。 霞は安貞に好意を抱き、やがて二人は行動を共にすることが多くなっていった。 出会うたびに、はじまりの組紐に糸が一本一本と追加され、それはよりしっかりとした物へと築き上げられていく。 そんな中、剣士であった安貞に当時の大和国領主から多くの兵や流浪にを集め、大きな任務を任されることとなった。 大和国を取り囲む山々の内の一つ、春日山に強力な妖怪の根城があることを大和国は突き止めたのだ。 その討伐任務に大和安貞を含む、他四名が派遣され、彼等は妖怪退治を成す為の準備に取り掛かった。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ うねる蛇のように夜の竹林を全速で駆け抜ける。 光源は月明かりのみで視認性は皆無にも等しい。 吹き荒む風の音、踏み締められる土の音、金属同士が僅かに擦れ合う鉄の音、そして遠くで聞こえる男の絶叫。 その声の源に全速力で駆け付ける人影が五つ。 絶叫が聞こえた場所まで目視百五十メートルにまで近づいたところで、その影のうちの一人が大地を鋭く蹴り上げて空高く跳躍した。 美しい満月に照らされた一つの影は瞬きの内に、薄明なる蒼き雷の如し、絶叫が聞こえた地点へと周囲の竹林を吹き飛ばしながら飛来した。 そして確認する。相対するもう一つの巨大な影。 「──今日ハ、獲物ガ、ツキナイ、ナァッ」 二足歩行で立ち塞がる人の形をした異形の存在。手足の爪は鋭利に伸び、肌は鱗のようで硬質。頭部には角のようなものが二本発達しており、瞳は鮮血のように紅い。身長は目測三メートル二十。特筆すべきは“刺青のようにして胸に掘られた『真』と言う青い文字” その者の傍らには内蔵を剥き出しにして横たわる無惨な人の姿。 先陣を切った者は確信する。 「──お前が、春日の民を食らう妖怪か。」 睨み合う二つの影にあるのは明確なる殺意のみ。人間は腰に掲げる蒼金色をした太刀の鍔に手をかけ抜刀の準備を整えている。それに対し妖怪はニタリと不敵な笑みを浮かべているのみだ。 殺意が空間を制する静寂な竹林に、木の葉が穏やかに舞った。それはゆっくりと浮力を失い、ひらひらと地上に向かって落ちていく。 三秒。二秒。一秒。その木の葉が地上に落ちたその刹那、人間と妖怪の戦いの火蓋は切って落とされた。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ─────────────── 叶うのなら、なるべく人を殺したくはない。 けれどこの世界は生きる為に争い、死なない為に戦い続ける。これまで死んでいって人達に報いる為にと、更に命を奪い合い続ける。──自分もまたその内の一人だ。 それを間違いだとは思わない。 戦ったことで、守れた人々が居たのなら。 争ったことで、救えた居場所があるのなら。 それは尊いものだと思う。 ──だけど、もしもそんな世界から解放されたのなら。 俺はどんな風に命を感じ、どんな風に人生を歩んでいくのだろう。この大陸の在り方は本当にこのままで良いのだろうか。俺は、そんな些細で覆しようのない疑問に少しでも、生きているうちに近づきたい。 ─────────────── グンマ―PT3