タイトル:プリス キャラクター名:プリス 種族:人間 [特徴:暗視/巨人化] 生まれ:冒険者 ■パーソナルデータ・経歴■ 年齢:16 性別:女 髪の色:紅  / 瞳の色:橙  / 肌の色:肌色 身長:123cm/310cm 体重:25kg/157kg 経歴1: 経歴2: 経歴3: 穢れ度:0 ■能力値■      技     体     心 基礎   11      9      8    器用 敏捷 筋力 生命 知力 精神 A~F   5   9   3   3  10   2 成長      2   1   1   4   2 →計:10 修正  -6 =合計= 10  23  13  13  24  12 ボーナス  1   3   2   2   4   2    生命 精神    抵抗 抵抗  HP  MP 基本   7   7  28  27 特技         0   0 修正 =合計=  7   7  28  29 ■レベル・技能■ 冒険者レベル:5 Lv スカウト     3 Lv  / エンハンサー 1 Lv アルケミスト   1 Lv  / ライダー   5 Lv デーモンルーラー 5 Lv  /         Lv ■戦闘特技・値■ [参照]  特技名         : 効果               : 前提 [p1-282]防具習熟A/盾      : 防護点+1、Aランク装備可能     : [p1-290]魔法拡大/時間      : 効果時間を倍増した分MPも倍増   : [p1-283]MP軽減/デーモンルーラー : 消費MP-1(最低1)、拡大時は-1後に倍 :    魔物       全力    知識 先制 移動 移動 基本   0   6  23  69 修正 特技        0 =合計=  0   6  23m  69m ■呪歌・練技・騎芸・賦術・鼓咆・占瞳■ [参照] 特技名    : 効果              : 前提 [p]  ビートルスキン : 防護点+2            : [p]  レジスタンス  : 使わないからかかない      : [p]  攻撃阻害    : 回避+1             : [p]  以心伝心    :                 : [p]  騎獣強化    : 騎獣の命中・回避+1       : [p]  HP強化     : 騎獣の最大HP+5         : [p]  姿勢堅持    : 制限移動の効果を使用可能    : [p]  ヒールスプレー : 射程10m、射撃、相手が誰でも回復 : [p]  バークメイル  : 射程30m、起点指定、防護点増加  : ■装備■ ・基本命中力、追加ダメージ、基本回避力        Lv 命中 追ダメ 回避 ファイター : グラップラー: フェンサー : シューター : ・武器 価格 用法 必筋 修正 命中 威力 C値 追ダメ [カテゴリ・ランク] 名称(*:装備している) / 備考 (参照) =価格合計= 0 G ・防具    必筋 回避 防護  価格  名称 / 備考 鎧 :    -3   8  2650 ソフトレザー/スーツアーマー / /全力不可、器用-6 盾 :        3  1750 カイトシールド/ナイトシールド / /防護点は防修込みの値・騎獣の防護点も+2 修正: = 合計 =   -2  12  4400 G (回避技能:) ・装飾品    価格 名称       / 効果 頭 :            / 耳 :            / 顔 :2000 アイソアーマスク / 防護点+1、右のチェックボックス使っても反応しない、なぜ? 首 :            / 背中:            / 右手:200  アルケミーキット / 左手:1000 知力の腕輪    / 腰 :            / 足 :            / 他 :500  敏捷の指輪    / =合計=3700 G ■所持品■ 名称           単価 個数 価格 備考 冒険者セット       100  1   100 保存食 1week       50  1   50 スカウトツールキット      1   0 救命草          30  4   120 魔香草          100  5   500 アウェイクポーション   100  2   200                 1   0                 1   0 カルキノスの魔動スフィア 1500 1   1500                 1   0 シンボル         100  1   100  (受けたいシンボリックロアなさそう)                 1   0 アビスシャード         3   0                 1   0 緑B            20  4   80 緑A            200  3   600                 1   0 蜘蛛の足         50  3   150  アガル                 1   0 入れ墨          100  1   100                 1   0 供物           1000 1   1000 =所持品合計=    4500 G =装備合計=     8100 G = 価格総計 =   12600 G 所持金    5950G 預金・借金    G ■魔力■ 知力ボーナス: 4 特技強化ボーナス: 0 武器ボーナス: 0  名前  Lv 追加修正 魔力 召異魔法 5       9 ■言語■       話 読            話 読 共通交易語 ○ ○ / 巨人語       ○ ○ エルフ語  - - / ドラゴン語     - - ドワーフ語 - - / ドレイク語     - - 神紀文明語 - - / 汎用蛮族語     - - 魔動機文明語○ ○ / 魔神語       ○ - 魔法文明語 - ○ / 妖魔語       - - 妖精語   - - / グラスランナー語  - - シャドウ語 - - / ミアキス語     - - バルカン語 - - / ライカンスロープ語 - - ソレイユ語 - - ・地方語、各種族語     話 読 名称 初期習得言語:交易交通語、巨人語 技能習得言語:魔動機文明語、魔神語、魔法文明語の読文 ■名誉アイテム■ 点数 名称  50 アルケミーキット専用化 所持名誉点: 114 点 合計名誉点: 114 点 ■その他■ 経験点:1800点 (使用経験点:16000点、獲得経験点:14800点) セッション回数:10回 成長履歴: 成長能力 獲得経験点(達成/ボーナス/ピンゾロ) メモ 1- 器用度    0点(   /   / 回) 2- 敏捷度    0点(   /   / 回) 3- 敏捷度    0点(   /   / 回) 4- 敏捷度    0点(   /   / 回) 5- 筋力     0点(   /   / 回) 6- 筋力     0点(   /   / 回) 7- 生命力    0点(   /   / 回) 8- 知力     0点(   /   / 回) 9- 精神力  13000点(13000 /   / 回) 初期作成 メモ: 9334文字です。 一番下に要約した文章を置いているので、他のPLはそれを読んでくれれば十分です。ここに出てくる国やキャラは自由に使ってもらって大丈夫です。 出会ってすぐ自分語りするようなキャラではないので他PCはこの過去は一切知らないでデーモンルーラーライダーやな~とだけ思っといてください。 あと完全なわがままなんですが、巨人化してもARのキャラみたいなレベルで恰幅がよくなるわけではないという設定でいきます。 孤は4000人ほどの小国であり、ルアーナ大湖の東に位置するナカジャマット王国の第三王女として生まれた。名はプリテスラ・ハインベルクである。我が王国の王族は代々武功を立て、求心力を保っていたが孤は武の才能に乏しくどれだけ鍛錬に時間を費やそうともウルフ一匹にさえ敵わない有様であった。ならばと政略結婚にでも利用されるのが世の常だがその見た目は醜悪の一言であり貴族や孤の唯一の忠臣であったエミルを除いた側使いからは「殻潰し」や「無用」など影で好き好きに言われていたようだ。だが王と女王は違っていた。 孤の姉たる第一王女は王からも貴族からも国民からも誰からも愛されていた存在であった。神々にも愛されており、その武才は正騎士が束になろうとも太刀打ちできるものではなく、その美貌はハーヴェスの大貴族から幾度も恋文を届けられるほどだったそうだ。しかし、ある日彼女は失踪した。正確には王国周囲に現れた魔域の攻略を行い、魔域を消滅させたが魔域から彼女が出てくることはなかったらしい。 それ以来王も女王も酷く心を痛めていたが、そんなお二方にとって孤は「戦場で死ぬこと」も「嫁ぐこと」もなく、どれだけ愛情を注ごうとも失われることのない存在として魅力的に映ったのか注ぐ先を失っていた寵愛を与えた。 だが、齢を重ねるにつれ孤の見た目は宮殿内で陰口しか叩かれない醜悪なものから王国全体で噂されるほど愛嬌に溢れ一度その姿を見るだけで思わず顔がほころぶ愛らしいものに変わっていった。王も女王も当初はその変化を悲しんでいたが、容姿が優れたることは孤の幸せに繋がると深い愛情で包んでくれたものだ。孤の噂は国外へと広がり、隣国のラーユ帝国から使者が訪れる。曰く、孤と同年代の王子と婚約してくれないか、と。 ラーユ帝国とナカジャマット王国はある鉱山を挟むように位置している。50年ほど前に鉱山の所有権を争い戦争にまで発展したが戦争中に蛮族の襲撃を受け鉱山は半々に分割して管理するという講和に落ち着いた。しかし、最近ナカジャマット王国が管理している鉱山部において高純度の魔晶石鉱脈が発見された影響により帝国との仲が少しずつ険悪なものとなっていた。王国と帝国の王族が婚儀を結ぶことは戦争による財産の消耗を嫌う貴族諸侯やこれ以上息子娘を失いたくない王・王女にとっては喜ばしい出来事であり、まずは顔合わせから行う運びとなる。 孤の婚約者となる者の名はガガン・クドゥワ・アルファート、孤より2年長く生きていると聞いている。奴の目は翡翠のように澄んでおり、思わず吸い込まれるのではないかと錯覚するほどであった。しかし、初めて出会ったときは王族とは思えぬその軽挙妄動さに思わずめまいがしたものだ。「僕はガガン・クドゥワ・アルファート、ガガンとでも呼んでよ、よろしくね!」と王族らしさを感じぬ口調で話しかけるのもあり得ぬし、何よりも出会ったばかりの女子の手を握るか!?礼儀というものを知らぬのか!?その軽率な行動に啞然としていると奴はその手を引き、孤を散策へと誘った。非常に癪なことではあったが、武才がないと判明してからは温室で育てられた孤にとっては新鮮なことばかりであり心が躍ったことは認めよう。シーン様が同じ表情を見せる度に奴と合わされ、話しをし、遊んだ。奴が日々孤に惹かれていったことは言うまでもない。 「やぁ、プリス今日も可憐な君に素敵な贈り物をさせてくれないか?」奴は下民のように孤のことを渾名で呼ぶ、なんど𠮟りつけても奴はにやけた顔で「わかったわかった」と返事だけはして改めることはない。奴はプリスという呼び名について孤に噛みつかれる前に星型の白い花を模したブローチを手渡そうとしてくる。怪訝な顔をしていると奴は何知れぬ顔で孤の髪にブローチをつける。そして満足そうな顔をする。 「うん、可愛い。想像通りだな!」孤がなんだこれはと尋ねると奴は帝国の宮廷術師に作らせたこと、持ち主の願いを叶え幸福にするものであると伝えてくる。聞きたかったのは花の種類であったが格の高い魔術師を子供の遊びに付き合わせるでない。だが、まぁわざわざ作らせたのならば受け取るのがその魔術師に対しての礼儀であろう、それに一応ガガンにも感謝の意を伝える。その日が「プリステラ・ハインベルク」として奴と出会った最後の日であった。 あと六日で奴とまた顔を合わせる必要があるのかと考えていたある日、王国に急報が入れられる。「ラーユ帝国が不可侵領域を破り、侵略を開始した!奴らは半年以上前から準備していたようで我々王国は鉱山に構えた最後の防衛線で撤退戦をしかけている最中である。」 孤とガガンの婚約は事実上破棄されたのだ。 孤は幼く戦争について深く理解をすることはできなかったが、おおよその流れだけ語ろう。序盤は鉱山を超えラーユ帝国に攻め入られるが、高純度の魔晶石を元にした魔法兵器や本来出力不足で動かせなかった魔動機を逐次戦場に投入することで我ら王国は徐々に盛り返していき、我々は元の領土まで取り戻した。 その時に帝国から会談の申し込みが来たらしい。王も王女も元々失うことを嫌っていた人物だ、講和に繋げようと喜んで王国を出発した。 結論から言うとそれは罠であった。 王族にも武力が求められていたことからも察せられるように王国の気風として戦を強く好む傾向、そして上を目指そうとする傾向があった。今までの王族(正しくは第一王女が死ぬ前までは現王や女王も含むが)はその力を持って家臣たちを従えられていた。しかし王が腑抜けたと見た副大臣は王を出し抜き、王国を手中に収めようとしたのだ。後で知ったことだが彼は王国が反抗作戦を行っている中帝国の者と密約を結んだ。内容としては彼の利益が最大限に確保されるようなものであったとは推測される。 滝のような雨が降る日彼は行動を起こす。王と女王、第一王子および第二王子は会談会場に辿り着く前に帝国兵に包囲され殺され、第三王子は戦場で孤立死し、第四王子、第三王女は投獄され後々衰弱死したと聞いた。 孤が今生きているのはただ幸運であったためである。孤の忠臣である側使いのエミルが不穏な動きを察知して知らせてくれたため、孤は価値の高い物品をとにかく集め豪雨により激流と化した水路へと騎士の目の前でエミルに突き落とさせた。その水路には代々王族にだけ伝えられている隠し部屋が存在している、激流の中その隠し部屋へとたどり着けるかは賭けであったが「死にたくない」という強い想いが体を動かしたのかそれともブローチにかけられた魔術のおかげか、命からがら隠し部屋に辿り着いた。そこから数か月孤は主に隠し部屋で過ごす。口にするものがなくなった時にはボロを纏い、泥で化粧をし貧民街に出かけた。街が普段の活気を取り戻したと感じられるようになってから孤はガガンと遊ぶ際に見つけた古塔へと足を運ぶ。 「プリステラ様!ご無事でしたか!」エミルは孤の姿が薄汚い上に、まともに水浴びもできていないため鼻がねじ曲がりそうな臭いを発していることも気にせずその肉体で孤を包み込む。暖かい。王族たるもの臣下の前で弱弱しい姿を見せるべきではない、そう頭では理解できているものの年相応の少女のように文字通りわんわんと涙をこぼし続けた。 孤が落ち着いた頃、エミルは王国で何が起きたか伝えてくれる。王国は帝国の属国とされたこと、王国の元副大臣が帝国から統治を任され王国において実権を握っていること、貴族たちにより孤以外の王族は遠い血縁も含め殺されたこと、そして賠償金の資金繰りのために国民たちは厳しい生活を強いられていること。報告を一つ聞くたびに目の奥が熱くなり、奥歯が軋む音がする、時おりめまいもする。全ての報告を聞き終わった後、立ち上がり思わず感情が高ぶるままに拳を壁に打ち付ける。 ドゴォ ・・・壁が凹んだ。エミルは孤に驚いた視線を向ける。いや孤も驚いてるよ?すっかり体も縮こまっているではないか。 「プリ・・・ステラ様、ですよね?」 何を言うているのか先ほどからずっと目の前にいるではないか、チェンジリングに放り込まれたでもあるまいし。そういって古塔にできた水たまりのほうになんとなく目を落とすとそこには紅の髪をして白い花のブローチをつけた見知らぬ誰かの顔があった。水たまりの中のその顔は唖然とした表情を見せている。自分の顔に手で触れる、水たまりの中のそ奴も同じように顔を触れる。思索を巡らせ、ある結論に辿り着き思わずクククと笑いをこぼすとそ奴は情けない顔で笑みを浮かべていた。 あぁ、そうか元々孤は王族でもなんでもなかったのだ。ナカジャマット王国の王家は断絶してしまったのだ。孤はどこかの不敬なスプリガンが王族の子と取り換えた子であるのだろう。今の孤の姿から想像できない幼少期の醜悪さはそう考えると納得がいく。孤が━━いや明確には孤ではないのだが、生を受けたとき産声をあげることさえできず弱っていたと王女から聞いたことがある。そして、医官に連れられて二週間ほど隔離されていた、と。その際にでも取り換えられたのであろう、そして医官は罰されることを恐れそれを隠していた、いかにもありそうな話だ。 ククク....ははは、ハハハハハハ!!!口を開け、大きく笑う。王族であったならば到底許されない品のない笑い方だ。 ハハハハハハ、はは......。突如、目の焦点が合わなくなり、糸が切れたかのように地面へと倒れこむ。「・・・ステラ様!・・・に!」エミルの声が遠巻きに聞こえる。今はとりあえず休ませてくれ、なんか、もう、疲れた。 上等なものではないが布の上で寝かされているようだ。上体を起こすと、濡れた布が腿付近に落ちる、冷たい。 「プリステラ様、ご様子はいかがですか?」孤はどれほど寝ていたのだろうか。 「大体三日ほどですね、その小さな体であの日以降気を張り続けてきたのでしょう。体中の筋肉が張っておりました。」そう言って額に手を当てる。「すっかり熱が下がられたようですね、お元気になってくださり大変うれしいです。」寝ているときに勝手に孤の体を触るでない、といいたいが体が軽くなっているのは確かだ。また、エミルの隈が酷い。もしかして寝ずに看病していたのか?王族でもないただのスプリガンのためだけに何をしているのか。 「ひゃっ・・!」エミルの肉体を抱き寄せ、孤が先ほどまでしていたように布の上で横にさせ、うつ伏せをとらせる。よっぽどエミルのほうが肉体が強張っているではないか、慣れない手つきで凝りをほぐそうとした。 「プリステラ様、ただの側使いのためにお手を煩わせないでください!まだ安静にしていなきゃいけませんよ!」黙っておれ、ただのスプリガンでしかない孤にはもうこれぐらいでしか恩に報いることはできない。それに孤はもうプリステラとは名乗れない。その名は本来孤に授けられたものではないのだ。エミルの体を揉みながらこれからのことを考える。考えがまとまるころにはエミルはすっかり寝入っていた。 孤はただのスプリガンだ。王や女王、王子、王女たちとの血の繋がりはない。孤が王族であるならば血を絶やさないためにどこか遠くで家庭を持つ、というのが他の王族が亡くなった時点でとるべき行動であっただろう。しかし、孤にとっては幸いなことに孤は王族ではない、だから孤がどこで死のうが問題はない。そして孤にとって彼らは紛れもなく家族であった。家族を奪ったものに同じ苦しみを味わせる。下賤なスプリガンは己にそう誓った。可能ならば全ての元凶となった戦争を仕掛けてきた帝国の王共と裏切った元副大臣を全員殺してやりたい。だが、国を治められるもの全て殺してしまっては国は大いに荒れ、国民たちにその皺寄せがいってしまう。また元副大臣が優秀なことは知っている、奴が実権を握っている限り国が大きく荒れることはないだろう。非常に腹立たしいがまずは帝国の王とその親族を殺す、それで良しとしよう。 しかし、孤は殺しの才能に乏しい。ウルフにも負けるような軟弱さだ。何か使えるものはないかと隠し部屋に戻り、自分が王宮から持ち出した物品を改めて確認する。なんだこの黒い本は。魔法文明語で「異世界との通じ方」と表紙に書いてある。結局真語・操霊魔法の才能はなかったが魔法文明語の読み書きができるように講義を受けていてよかったなと思いつつ、中身をじっくりと読む。書かれていたのは召異魔法、それも冒険者が使うようなものではなくラーリスに魅入られた者が使う外法である。孤の知能は高いわけではないがなぜかするすると文章が頭に入ってくる。これは・・・復讐に使えるな。 数年後孤はエミルを通し、元副大臣と顔を合わせた。奴は一瞬狼狽しかかったが、即座にいつもの飄々とした表情を取り戻す。 「おやおやぁ、プリステラ・ハインベルク陛下御健在だったのですね。ハインベルク王家の忠臣たるこの私感動でございます!しかぁし、陛下栄養をしっかりとられていますかぁ?最後にあった時と一切成長しておられないようですがぁ」その目には敬意なんてものはない、ただ下賤なものを侮蔑する貴族特有のあの目線だ。こやつ、孤がスプリガンであると理解したな。優秀だ、だからこそ信頼ができるし話が早い。 奴に帝国の王共を殺すための計画を話す。当初はバカにした目線を向けていたが、徐々に計画の改善案や細かい点についての懸念点を口出しするようになる。 「おぉ~よ~くできたじゃぁないですかぁ。何よりも面白い。あの心が弱く惰弱な王よりも巨人族のほうが王に向いているのかもしれませんねぇ。」心理的優位に立つために煽りをいれてくるが相手にしない。 「あなた様は本当にかわいいお方ですねぇ。えぇ、いいでしょう。不承不承この私、プリステラ・ハインベルク様に協力いたします。」孤にプリステラ・ハインベルクとは名乗る資格はない。今はプリスと呼べ、そう言葉を返した。 ================================================= ガリガリ.....ガリガリ..... おやどこからか視線を感じるな?やぁ、僕はガガン・クドゥワ・アルファート!ラーユ帝国の第三王子さ!今僕は真っ暗で2m*1mの狭い空間に閉じ込められてるから頑張って脱出しようとしているところさ!もう二週間近く指で天井を引っ搔いているからもう少しで天井が崩れそうなんだよね! ガリガリ.....ガリガリ..... おっと、失礼つい黙ってしまった。君は知っているかい?なぜ、僕がこんな空間に閉じ込められているか。 ......ハハハ、わかるわけないよね!だって僕もわからないもの。とりあえず僕に起きた出来事を説明して状況を整理してみようか! 僕には「プリステラ・ハインベルク」っていう婚約者がいたんだよね。彼女は王様や女王様に報いるために王族らしい立ち振る舞いを心がけようとしていた努力家だったんだ。だから本人としてはできるだけ毅然とした態度を保とうとしてたっぽいけど、近くで見ているとね実はわかりやすく表情が変わるんだよね。プリス!と呼びかけると彼女は決まって「王族たるもの人の名を略すではない。人の名には想いが込められておる、軽々しく扱ってよいものではないぞ」と口では窘めてくるんだけど、呼びかけられた瞬間は優しい笑みを浮かべているんだ、まぁすぐに怒ったような顔に変わるんだけども。可愛いといえばブローチをプレゼントした時も可愛かったな、ブローチを見せるとぱぁっと明るい表情をして、そのあとにつけてあげると「そんなに似合っているか?ありがとう」とそのありかを何度も確かめるかのようにブローチを何度も触れ、顔を少し赤らめていたんだ。僕は一生をかけて彼女を守ってやりたいと思ったね! そんな彼女は僕の兄によって他の王族諸共殺されたんだけど。 僕の父も母も王国とは協力関係を築くべきだと考えていたんだ。だけど僕の兄の第一王子は違った。言っちゃ悪いけど短絡的で傀儡にしやすい人だった。大臣や他の貴族諸侯にいいように操られ、兄は父と母を隠居させたあと突如王国に戦争を吹っ掛けた。僕としては負けるとは思っていたんだけどね、王国の偉い人とうまいことやり王国の王族を皆殺しにしたんだ、それで勝っちゃった。兄はおろかだからね、王国の偉い人も御しやすいと考えたんだろう。実際はそのあと、他の大臣たちが国の舵取りを行うようになったからその目論見は外れちゃったんだけどね。 それから数年後、僕たち帝国の王族は完全なお飾りにされた。一応帝国の象徴的な扱いではあったけど、政治に関わろうとすると即座に遠ざけられる。対外的には代表ではあったんだけど。だからかな、僕たちが標的になったのは。 ある日、王国から誘いがあった。端的にいうとうちの家族みんなを接待したいというものだ。兄は機嫌をとることで賠償金の返済を遅らせるつもりなんじゃないかとか適当なことを言ってたね。うちの大臣たちは僕たちがどれだけ喜ぼうが政治に関係しないんだからどうでもいいと、むしろ王国側の財源を少しでも割かせることで反乱を起こしにくくしてくれると助かるとでも言わんばかりに僕たちに少しばかりの護衛をつけて送り出した。 接待してくれる会場へと向かうが、途中で霧が出てきた。はぐれまいと注意をしたが、霧は深くなり続け最終的には1m先も見えないほどの濃霧となった。なんとなく足音だけで近くにいるんだろうと判断するしかない状況だ。 ......あれ?足音が減っている? 最も仲が良かった護衛騎士に話しかける。返事がない。父や母に話しかける。返事がない。兄に異常を伝えようとする。兄が目の前に現れた。その胸元は真っ赤な舌で貫かれていた。4m超の爬虫類型の化け物が兄をしゃぶりつくそうとしている。 「報酬はまだぞ。獲物はまだ残っておろうが。」どこかで聞いたかのような、でも記憶の中ではもっと幼い声質であったような声がする。僕には何を言っているかわからなかったが恐らく目の前の化け物に何か命令しているのだろう。 僕の目の前が赤く赤く染まる。これはファイアボールか。おいおい、僕は多部位じゃないぞ、ブラストでいいだろ。てかMPもったいないから素殴りでいいぞ。 「●×▼ー!」なんといったかわからないが目の前の化け物は同意したような声をあげ、尻尾で僕を叩き潰した。 ================================================= 万が一帝国の騎士に姿を見られたとしても王国に関係するものの仕業と思われないために、孤は巨人化した後同時に4門の魔界の門を開き、高位の魔神を召喚する。この外法は体への負担が大きく、もう一度試みようとしたら何も起きずにそのまま孤の肉体と魂が砕け散るだけであろう。一度目の使用でありながら、視界が赤く染まり、油断すると気を失ってしまいそうだ。巨人化時の肉体に何らかの障害が残っても可笑しくないなと笑う。 そして、そのまま帝国の王族どもを殺した。帝国の騎士たちには罪はない━━帝国の王族にも罪はないのだろうが━━魔神に気を取らせている間に副大臣が雇った腕利きの傭兵に気絶だけさせ別の場所に運び出させた。 門を閉じ、濃霧を晴らし、王族一人一人の胸元に耳をやる。もし生きていて、これが王国の者の仕業だと判明したならさらなる賠償金を請求してくるだろう。王国の民たちに苦労はかけたくない。一人ずつ確かに息が止まっていることを確認する。 最後にシハルスが叩き潰した男の胸元に耳をやる。弱いが確かに鼓動が聞こえる。腕に瘴気を纏わせ、腕を槍のように振り下ろす。 ━━━━その瞬間、奴の瞼が開き翡翠色の目が確かに孤を見つめていた。 孤はこのようにして復讐を終えた。詳しい後処理は元副大臣に任せたがうまくやってくれていることだろう。 しかしやはり復讐とは虚しいものだ。失われたものは帰って来ない上に復讐で大きくリソースを浪費した。何より同じ人族の命を自分勝手な理由で奪ったわけだ、孤の眼は奴らの死に顔を忘れてくれないしガガンの命を奪った腕にはその感触が残り続けている。あれから数日経ったが床につくたびにあの日の夢を見る。気が狂いそうだ。 孤は大きな間違いを犯した。かといって、法でその罪を裁かせることはできない。孤のやったことが明らかになれば王国は帝国に対しどのような要求をされるかわからない。自殺すればいい?それはただ楽になるための逃げの行為ではないか?罪を償うために孤には何ができるのか。そうエミルについ聞いてしまった。 「プリステラ様、私はあなたの行いが罪だとは思いません。奪われたから奪い返した、それでプラスマイナスゼロじゃないですか!....えー、わかっていますよ、プリステラ様はそうは思えませんよね、真面目な方ですから。そうですね、自己満足でしかありませんが私だったら奪った命の数だけ命を救うこととします。」 確かにどこまで行っても自己満足でしかないがそれは良い考えだ。だが奪った数だけ救うというのでは足りないだろう、奪った数の倍、いや十倍の命を救おう。となると冒険者ギルドに所属するか......?いや、いつ外法に手を染めたことがばれてもおかしくない。放浪者として人を救うこととしよう。 ================================================= 確かではないけど今に至るまでの僕ことガガンの記憶はもう一つだけある。 ルビーのような髪色をして白い花のブローチをつけている美しい女性が僕の胸を腕で貫いたという記憶だ。 「そうか.....そうか.....。そりゃそうよな。無意識に考えないようにしていたのだろうな。」そのあとにその女はそう言ったような気がしたがきっと夢だと思うんだ。だって、胸を腕で貫かれて人間が生きていられるわけないだろう!?そしてその夢の中で僕はなぜかこう思ったんだ。「プリスともう一度遊びたいなぁ。」と。 まぁ、プリスは死んだし、遊べるわけないんだけどね。 ガリ.....カリ...カリ..... おっ、音が変わった、多分もう少しだよ! カリ.....ドバッ うわっ!?ペッペッ 土が入ってきた!土をかき分けて上を目指す。藻掻くこと30分、僕は地上に立った。シーン様が明るく僕を照らしてくれている。 しかし、汚れてしまったな~おっ、湖があるじゃん!体あらうぞ~!! ・・・なんだこの化け物は。右腕は異常に肥大化し、左目が鼻の上から頬まで横断している、穢れが4点はありそうな見た目だ。何よりも僕の目を引いたのは左胸についている白い花のブローチであった。間違いない、僕がプリスにあげたものだ。そして、先ほどの夢の中で女性がつけていたものと一致する。 ふっふっふ、そうかプリス君は生きていたんだね!そしてこのブローチを僕に託してくれたっていうのはそういうことなんだろ! 王国とか帝国とか政治とかそういうものは一切気にせずにもう一度!いやずっと遊び続けよう!!まずはかくれんぼで僕が鬼、そういうことだね!!! ・小魔は星型の赤い花のブローチ 要約 ・王族と取り換えっこされたスプリガンだよ! ・隣国の王子が婚約者だったよ! ・隣国と戦争が起きて、家族が皆殺しにされたから向こうの王族にも復讐して全員殺したよ! ・そしたら婚約者だけなんやかんやで生き返ってプリスを探すアンデットになったよ!