タイトル:霧咲響(2022) キャラクター名:霧咲響 種族:人間(オーヴァード) 年齢:15歳 性別:女 髪の色:亜麻 / 瞳の色:ブラウン / 肌の色:平均的な日本人 身長:156cm 体重:48kg ワークス  :高校生 カヴァー  :高校生 シンドローム:サラマンダー ■ライフパス■ 覚醒:無知 衝動:自傷 ■能力値と技能■ 【肉体】:5 (シンドローム:2,2 ワークス:1 ボーナス:0 成長:) 〈白兵〉:SL4 / 判定 11r+4 〈回避〉:SL1 / 判定 5r+1 〈運転〉:SL / 判定 5r 【感覚】:1 (シンドローム:0,0 ワークス:0 ボーナス:1 成長:) 〈射撃〉:SL / 判定 1r 〈知覚〉:SL1 / 判定 1r+1 〈芸術〉:SL / 判定 1r 【精神】:2 (シンドローム:1,1 ワークス:0 ボーナス:0 成長:) 〈RC〉:SL2 / 判定 2r+2 〈意志〉:SL / 判定 2r 〈知識〉:SL / 判定 2r 【社会】:2 (シンドローム:1,1 ワークス:0 ボーナス:0 成長:) 〈交渉〉:SL / 判定 2r 〈調達〉:SL / 判定 2r 〈情報〉:SL1 / 判定 2r+1 噂話 【HP】    32 【侵蝕基本値】 31% 【行動値】   4 【戦闘移動】  9m ■エフェクト■ 《スキル名》    /SL /タイミング /判定/対象 /射程/コスト/効果など 《ワーディング》  /★$/オート$   /自動/シーン/視界/-$  /非オーヴァードのエキストラ化 《リザレクト》   /1$ /気絶時$   /自動/自身 /-  /[SL]d$/コスト分のHPで復活 《CR:サラマンダー》/2 /メジャー  /-  /-   /-  /2   /C値を-LV値(下限7) 《結合粉砕》    /3 /メジャー  /対決/-   /-  /3   /攻撃のダイス+LV個。装甲無視攻撃 《フレイムタン》  /2 /メジャー  /対決/-   /視界/2   /白兵攻撃の射程を視界に変更。攻撃力を-[5-Lv] 《白熱》      /1 /マイナー  /自動/自身 /至近/3   /素手を技能:白兵、命中:0、攻撃力[Lv+5]、ガード値:4、射程:至近に変更 《炎の加護》    /3 /マイナー  /自動/自身 /至近/2   /判定ダイスを+Lv個 《閃熱の防壁》   /2 /オート   /自動/視界 /視界/4   /自身以外の対象が受けるダメージを-[Lv+2]D点。1R/1回 《永遠の炎》    /1 /セットアップ/自動/自身 /至近/4   /攻撃力を+[Lv*4]点。ラウンド中行動値を-5 ■装備とコンボ■ ・武器とコンボ 名称 価格 種別 命中  攻撃力 G値 射程 メモ       1   11r+4 =価格合計= 0 pt ・防具     装甲 回避 移動  価格  名称 / 備考 鎧 :               / 下着:               / 修正: = 合計 =  0   0   4    pt ■所持品■ 名称      単価 個数 価格 備考 応急手当キット    1   3 カジュアル      1   0 携帯電話       1   0 アクセサリー     1   0 制服         1   0 =所持品合計=     3 pt =装備合計=      0 pt = 価格総計 =     3 pt 【常備化ポイント】 4 pt 【財産ポイント】  1 pt ■ロイス■ 対象      好意  悪意 備考 桐生未来    信頼  恐怖 亡くなった両親 幸福感 悔悟 永遠の炎 ■その他■ メモ: 彼女の名前は霧崎響。どこにでもいる明るい女子高生であり、普遍ではない過去を抱える少女。彼女を語るのであれば、時の針を逆しまに回さなければならない。 五年前の事。彼女は街の象徴でもあるミレニアムタワーの感謝祭イベントに、家族三人で向かった。優しい父、綺麗な母。温かい家庭に生まれ、仲睦まじい家族に囲まれて暮らしてきた響。それは当たり前に幸福で、あの日もその延長でしかなかったと記憶している。 ミレニアムタワーのイベントは盛況だった。前々から有名だった事もあり、催しには多くの人々が参加。まるでお祭りだと父が笑い、迷子にならないように母が手を引いてくれた。最初は慣れない人ごみで萎縮していたが、ものの数十分で笑顔を見せるようになっていたと思う。 幸福と感謝。響はその時、間違いなく自分と家族の平和を疑わなかったし、過去と未来に因果する全てに、平穏無事以外の関係性を考えた事もない。要するに、これまでの生活が、これからも同じように続くと、そう信じていたのだ。 ――紅蓮の業火がうねりを上げ、全てを灼熱に包み込んだ、あの瞬間までは。 それは、響の脳裏に焼き付いて離れない光景。煌びやかな空間に、忌まわしい破壊の爪痕を刻んだ事件。後にミレニアムタワー炎上事件と呼ばれるソレは、簡潔な表記とは裏腹に、あまりにも凄惨な事象だった。 橙色の炎に巻かれ、人が脂の臭いを撒き散らす肉塊となった。爆発で吹き飛ばされた人は四肢と胴体が離れ、崩れ落ちた瓦礫の下にいた人は……人の形をしていたかも怪しい。どういう末路を迎えたのか、それは個人で差があるだろうが、響からすれば、皆似たり寄ったりな最期だった気がする。 あれ? どうだっただろう。響の目の前で炎に焼かれたのは、自分が父と呼んでいた人ではないだろうか? 自分を守るように爆風に巻き込まれた人は、母と呼んでいた気がする。 そう、それは、まるで、口にしたくもないアレのような―― ――あぁ、嫌だ、嫌だ、嫌いだ。 火が嫌だ。炎が憎い。紅蓮と緋色に染まる景色の全てが忌まわしい。全てを忘れて捨て去りたい。なのにどうして、あの光景だけがずっとずっと、こびりついて離れない。 ……逆巻く炎に全てを奪われた響は、街の病院で目を覚ました。傍らにいたのは、離れて暮らしていた祖母。心から喜んでくれた祖母から、響は事の顛末を聞いた。ミレニアムタワーの炎上、それに伴う多数の死傷者、響が病院に運ばれて長い間眠っていた事。 全てが遠い世界の出来事のように感じられて、同時にそれを事実だと受け入れる自分もいて。詳しい事は何も思い出せないけれど、見るもの全てに死を焼き付けた炎の色だけが、どうしても現実を突きつけてきて。気が付けば、響は祖母の腕に抱かれ、心の底から泣き叫んでいた。 その後、響は祖母が引き取る事になった。祖母は一人暮らしで、響一人養うくらい問題ないと言ってくれた祖母は、響の前だと努めて明るく振る舞っていた。家族を亡くして悲しいのは同じなのに、そんな祖母がとても強い存在だと響は思った。 問題が生じたのは、響が入院中に偶然喫煙スペースの近くを通りかかった時。紫煙をくゆらせる煙草を見た瞬間、響が悲鳴をあげて自傷行為に走ったのだ。医師曰く、強い精神的刺激による後遺症、俗に言うトラウマが残ったのだと言う。炎に家族を奪われた響は、以後火に関するもの全てに恐怖心を抱くようになり、酷い時は自傷行為を繰り返した。 そんな響に賢明な処置とカウンセリングを施してくれたのは、専門誌でも有名だと豪語する一人の女史。退院するまで、祖母と同じく励まし続けてくれた彼女は、いつしか響にとって数少ない理解者の一人となっていた。おかげで響の火恐怖症も軽減し、一般生活に適応出来るレベルにまで落ち着く。余談だが、女史の聞かせる恋バナによって、響の耳年増度が上がったとかなんとか。 リハビリと治療の末、ようやく退院した響。住み慣れた家を移り、祖母と共に歩みだした新たな生活。まだ心の傷は癒えないけれど、前を向いて生きていこう。へいき、へっちゃら。よく父が言っていた言葉を噛み締めながら、響は元気な姿を取り戻した。 ――そんな響に対し、世界はあまりにも残酷だった。 響が中学に上がって間もない頃。祖母が突然、内臓の病気で亡くなった。 元々、響が入院する前から通院を繰り返していたらしい。体力の衰えもあり、満足に動けるような身体ではなかったと言う。そこへ響の両親がタワーの炎上に巻き込まれて死んだという訃報を聞き、精神的に強いショックを受けたのがいけなかったようだ。担当した医師は響に詳しい病状等を説明していたが、正直内容の半分も覚えていない。そんな身体であんな風に振舞っていた事や、立て続けに家族がいなくなった事実が、響の中でないまぜになって余裕という言葉を消し去っていた。 お父さんも、お母さんも、お祖母ちゃんも死んじゃった。私の大事な人達が、どんどんいなくなっていく。嫌だ、嫌だ、嫌だ。あの炎に対する嫌悪感以上に、この事実を拒絶したいと願った。この絶望を無かった事にしたかった。だがどれだけ望んでも、どれだけ涙を流しても、目の前の現実は何一つ変わらない。 途方に暮れる響を救ったのは、中学に上がって仲良くなった友達、桐生未来とその家族。何でも未来の父と響の父は昔からの知り合いで、長らく連絡が取れなくなっていたのを気にしていた。家族を亡くして困っている友達がいると未来から聞いた時、もしやと思って確認してみた所、タワー炎上事件と響の現状を知ったのだと言う。 響の家族が死んだ事を、未来の父は痛く悔やんでいた。昔馴染みの残した一人娘をこのままにしておくのは忍びないと、一緒に暮らす提案を申し出てくれたのだ。響はそれを了承し、桐生家に居候する事となる。未来の両親は響を本当の娘のように可愛がってくれたし、未来とも親友と呼べる間柄になった。 初めは落ち込んでいた響も、桐生家の支えと励ましのおかげで元気を取り戻し、中学を卒業して未来と同じ高校に入学。炎に対する恐怖も、家族を失った辛さも、全て無かった事には出来ないけれど。 それでも響は、自分を支えてくれた人々に改めて感謝しながら、今を賢明に生きている。 幸福と感謝。そう、響はかつての幸福を、今に移し替えて生きている。父と母と祖母がいた家庭を、過去と火葬して前を向こうとしている。 ……だが彼女には、一つだけ秘密があった。 それは、家族が死んでから発覚した、響の特異能力。 レネゲイドウィルス。人を人外に、条理を不条理に変貌させてしまう、異端中の異端。人の世にあってはならない歪みは、しかし確実に響の肉体を侵食していた。 いや、違う。あったのだ、元からそれは、霧咲響という人間の中に。それがどういうモノで、どういう経緯で響のものとなり、どういう原理で発動するのかも知らない。だがこの力は、はじめから響が抱えていたものだと断言出来る。 何故なら響は初めてこの力を目にした時、驚きよりも懐かしさを感じたのだから。 曰く、熱。彼女の持つレネゲイドウィルスは、あらゆる物質から熱を奪い、万象の全てを凍りつかせる。響のトラウマが関係しているのか、はたまた違う何かなのか。とにかく響は常人とは違いすぎるこの能力を隠し続け、親友である未来にも悟られないように過ごしてきた。 予感がするのだ。この力は良い事ばかりを運ぶものじゃない。いつかきっと、響や大切な人達に不幸をもたらすのだと。家族を失い、理不尽と絶望を経験した響だからこそ、未来達がこの力に触れて、よくない事に巻き込まれるのを恐れている。そんな事になって、もしもまた大切な誰かがいなくなってしまったら……響の心は、今度こそ砕けてしまうだろう。 今はまだ何もない。自分がこの能力を隠していれば、平穏無事な生活を過ごす事が出来る。だがあの日のように、突如として平穏が崩されるかも知れない。その時はきっと、迷わない。もう誰も失わないように、響はこの力を振るうだろう。 『氷の音色(コキュートス)』――やがて誰かが呼ぶであろう、響の別名。忌まわしき記憶と共に浮上し、大事な日常を喰み続けるレネゲイドウィルスは、多くの不幸モノに次のような蔑称を与える。 ――オーヴァード。 今はまだ、何も知らない。大事な記憶も欠落している。だと言うのに、響はこれからも災厄に見舞われ続けるだろう。その力を振るい、大事な者を守るに違いない。何故ならいみじくも、彼女もまたそのような人間だから。 業火の中で自分を守った、父と母のような熱を、響もまた有しているのだから。 url: https://charasheet.vampire-blood.net/522703