タイトル:ましろ キャラクター名:ましろ 年齢:12歳 性別:女 髪の色:白 / 瞳の色:緑 / 肌の色:肌 身長:132cm 体重:42kg キャラクターレベル:5 Lv メインクラス :シーフ サポートクラス:レンジャー (1レベル時:レンジャー) 称号クラス: 種族:ヴァーナ ■ライフパス■ 出自:犯罪組織/ストリートワイズを取得(サーチリスクに変更) 境遇:裏切り/かき集めたちゅ~るを盗賊組織のメンバーに持ち逃げされた 目的:復讐/ちゅ~るを失い絶望して死んだメンバーのため、復讐を誓った ■能力値■ HP:62 MP:48 フェイト:5     筋力 器用 敏捷 知力 感知 精神 幸運 種族    8   7  12   6  10   6   8 作成時   0   2   0   0   2   0   1 →合計 5点/5点 特徴    3      3 成長等   3   4   3      2       →合計 12点/LvUp分12点 =基本値= 14  13  18   6  14   6   9 ボーナス   4   4   6   2   4   2   3 メインクラス   0   1   1   0   1   0   0 サポートクラス  1   1   0   0   1   0   0 他修正 =合計=   5   6   7   2   6   2   3 ■戦闘■ [キャラシート版]      能力 装備右/左 スキル  他  合計右/左(ダイス数) 命中判定   6   0/  0        6/  (2D) 攻撃力  --   8/  8        8/  (2D) 回避判定   7    0          7   (2D) 物理防御 --    7          7 魔法防御   2    0          2 行動値   13   -4    4     13 移動力   10    0         10m ■戦闘■ [全項目版]    物理 魔法     命中 攻撃 回避 防御 防御 行動 移動 射程 種別  Lv  冊子 右手   -1   8   0   0   0  -4   0  30m  弓   4 左手 腕 頭部    1         1             防具   5 胴部             3             防具   1 補助             3             防具   3 装身                          装身具   5 =小計=右  0   8   0   7   0  -4   0    左 能力値   6 --   7 --   2  13  10 スキル                  4     スピードショット その他 =合計=右  6   8   7   7   2  13  10    左 ダイス  2D  2D  2D ■装備■    価格  重量 名称 [クラス制限]   備考 右手 800  7   ファインクロスボウ [] 左手        [] 腕         [] =合計=800 7 /  重量上限14 頭部 500  3  グリーンベレー [シーフ] 胴部 50  4  クロスアーマー [] 補助 500  2  ソリッドブーツ [ウォ、アコ、シー] 装身 800  2  セブンダブ [シーフ]        トラップ解除に+2 =合計=1850 11 /重量上限14 ■所持品■ 名称            価格 重量 備考 収納:ベルトポーチ     0   15  パッシブ。所持者の携帯可能重量に+2する。このアイテムはひとつしか携帯できない。腰につける小物入れ。 収納:ポーションホルダー  0   150  パッシブ。所持者は「種別:ポーション」で「重量:1」のアイテムを5つまで「重量:0」として携帯可能。このアイテムはひとつしか携帯できない。ポーションをしまうためのベルトなど。 収納:小道具入れ      0   20  パッシブ。所持者は「種別:道具」で「重量:1」のアイテムを5つまで「重量:0」として携帯可能。このアイテムはひとつしか携帯できない。道具をしまうための箱など。 収納:矢筒         0   100  パッシブ。所持者は「種別:矢弾」で「重量:1」のアイテムを5つまで「重量:0」として携帯可能。このアイテムはひとつしか携帯できない。矢弾をしまうための筒。 道具:小型ハンマー     2   20  釘やくさびを打ち込むための道具。武器としては使用できない。 道具:くさび*4       0   4   判定の直前。使用者が行うトラップ解除の達成値に+1する。使用するには小型のハンマーが必要。消耗品。薄い刃型の金属。 道具:転送石        0   750  メジャーアクション。所有者は<テレポート>を使用する。消耗品 ポーション:毒消し     0   10  マイナーアクション。メジャーアクション。使用者が受けている[毒]を回復する。消耗品。 ポーション:MPポーション*4 0   200  マイナーアクション。メジャーアクション。MP回復を行う。使用者の【MP】[2D]点回復する。消耗品。 ポーション:聖水*2     6   1000 マイナーアクション。メジャーアクション。シーン終了まで武器攻撃が〈光〉属性の魔法ダメージに変更。 矢弾:祝福の矢*5      0   1000 対象が「種別:妖魔、魔獣、魔族」の場合、その射撃のダメージに+5する。 乗物:ラクダ           800  所持重量20、移動+5、同乗人数1 食糧:にく*4        0   80  メジャーアクション。HPを1d回復。 道具:調理用具       0   100  にくの効果を1d+2に変更 道具:釣り竿        0   5   フィッシングに+1D 道具:冒険者セット     0   10  野営道具、ロープ、ランタン、火打石のセット。 道具:折りたたみ梯子    0   500  メジャーアクション。エンゲージしている5mまでの[穴]に[橋]を設置できる。穴から取り外す場合、メジャーアクションを使用。 =所持品合計=    4764 G (重量 8/上限16) =装備合計=     2650 G = 価格総計 =    7414 G 所持金     2G 預金・借金    G ■特殊な判定■     能力値  スキル  他  合計 (ダイス数) 罠探知    6         6 (2D) 罠解除    6         6 (2D) 危険感知   6         6 (2D) 敵識別    2         2 (2D) 物品鑑定   2         2 (2D) 魔術               (D) 呪歌               (D) 錬金術              (D) ■スキル■ 《スキル名》        SL/タイミング    /判定  /対象   /射程/コスト/制限     /効果など 《アクロバット》     ★ /パッシヴ     /-    /自身   /-  /-   /       /猫族、作成時に敏捷基本値に+3 《ワイドアタック》    1 /メジャー     /命中  /範囲(選択)/武器/4   /       /武器攻撃を行う。2体以上を対象に取ったらダメージ+[SLx2] 《インタラプト》     ★ /効果参照     /自動成功/単体   /視界/-   /シナリオ中1回/対象が「タイミング:パッシブ、アイテム」以外のスキルを宣言した時に使用する。そのスキルは効果を発揮せず、持続もせずに即座に終了となる。効果を発揮しなくともスキルは使用されたことになるので、対象はコストなどを通常通り消費する。 《バタフライダンス》   ★ /パッシブ     /-    /自身   /-  /-   /       /回避判定に+1Dする。 《アームズマスタリー:弓》★ /パッシブ     /-    /自身   /-  /-   /弓使用    /武器を使用した命中判定に+1Dする。ただし、複数の<アームズマスタリー:~~>を同時に適用することはできない。 《バインドショット》   ★ /メジャーアクション/命中  /単体   /武器/3   /       /対象に射撃攻撃を行う。その攻撃で対象に1点でもHPダメージ与えた場合、対象が行う回避判定に-1Dする。この効果はラウンド終了まで持続する。 《ホークアイ》      5 /ムーブアクション /自動成功/自身   /-  /3   /-       /ダメージ増加を行う。射撃攻撃のダメージに+[Sl*3]する。この効果は移動を行うか、シーン終了まで持続する。 《ドッジムーブ》     1 /効果参照     /自動成功/自身   /-  /2   /盾非装備   /回避判定と同時に判定する。その回避判定の達成値に+[SL+2]する。 《フェイント》      ★ /マイナーアクション/自動成功/自身   /-  /4   /-       /あなたが行う武器攻撃のリアクションの判定に-1Dする。この効果はメインプロセス終了まで持続する。 《スピードショット》   ★ /パッシブ     /-    /自身   /-  /-   /       /武器の行動補正を±0 《スレイヤー(動物)》  2 /パッシブ     /-    /自身   /-  /-   /       /動物に対しSL*4ダメージ増加 《アデプト》       1 /セットアップ   /自動成功/自身   /-  /-   /シナリオSL回 /シーン終了までスレイヤーの対象分類が変更 《タウント》       1 /セットアップ   /感知  /自身   /10m /4   /       /対象の【精神】と対決。判定に+SL*2。成功すれば対象に逆上。 《一般スキル》     SL/タイミング/判定/対象/射程/コスト/制限/効果など 《ファインドトラップ》1 /パッシブ /  /自身/  /   /  /トラップ探知の判定に+1Dする。 さらにトラップ探知に失敗しても、ト ラップが作動しなくなる。 《サーチリスク》   1 /パッシブ /  /自身/  /   /  /危険感知の判定に+1Dする。 《リムーブトラップ》 1 /パッシブ /  /自身/  /   /  /トラップ解除の判定に+1Dする。 《トレーニング:筋力》 1 /パッシブ /  /自身/  /   /  /筋力の基本能力値+3 《フィッシング》   1 /効果参照 /  /自身/  /   /  /[MP]を2D+(CL*2)点回復 《エリアサーチ》   1 /パッシブ /  /自身/  /   /  /警戒行動が可能。聞き耳に失敗しても相手に気づかれない。 ■コネクション■ 名前    / 関係 ネフィリム / ボス ランディーネ/ 悪友 アレンディル/ 先生 七篠権左衛門/ 名付け親兼釣り仲間 ソーンダイク/ 後援者 ■その他■ 使用成長点:120点 (レベル:100点、一般スキル:20点、ゲッシュ:0点) レベルアップ記録:サポートクラス / 上昇した能力基本値 / 取得スキル Lv1→2: / 筋力、器用、敏捷 / ドッジムーブ、ホークアイ、ホークアイ Lv2→3: / 器用、敏捷、感知 / ホークアイ、ホークアイ、フェイント Lv3→4: / 筋力、器用、敏捷 / ホークアイ、スピードショット、スレイヤー Lv4→5: / 筋力、器用、感知 / スレイヤー、アデプト、タウント メモ: <すてねこびより> 「ふむ、名を持たないというのも不便であろう。 ......そなたを「ましろ」と呼んでも問題ないだろうか?」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 彼女はヴァーナ、名前はまだない。 彼女には、苦手なものが三つがある。 一つめは、ボスのゲンコツだ。 彼女は両親の名も、顔も覚えていない。 薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた赤子は、一人の盗賊に拾われた。 盗賊組織「こたつで丸くなる」六代目頭首、通称ボスである。 獰悪な者どもが蔓延るこの世界で、生きていく事は容易ではない。 罠の発見・解除や弓の引き方、ちゅ~るを舐める作法は、 すべて師匠であり、育ての親であるボスから教わったものだ。 二つめは、スリだ。 スリで求められる能力は、盗みをバレない素早さと器用さ。 そして、”カモ”を見極める力である。 彼女は人間観察が致命的に下手だった。 何故なら”他人に興味がない”からだ。 ハングリー精神が高く、能動的に動けるクソガキは、 果敢にも街のチンピラを獲物と定め、大敗を喫した。 幸い、逆上したチンピラに殺される事はなかったが、 あばら骨が3本と腕の骨が1本、歯が5本折れた。 その日以降、彼女はスリが出来なくなった。 死の淵を見る恐怖は、子猫には刺激が強すぎたようだ。 しょぼくれた彼女を、ボスは励ましてくれた。 「失敗を後悔するって事は、まだ生きてるって事だ」 「油断した奴は、すぐ死ぬ。覚えておけ」 「盗人はどう取り繕っても悪人だが、自分が人である事だけは忘れるな」 「お前は馬鹿だから、仲間の話をよく聞け。そうすれば、お前が間違える事は必ずない」 代わりにその日から、ボスの説教が長くなった。 ==================================== 10歳になった日、彼女はボスとちゅ~るを交わした。 正式に「こたつで丸くなる」のメンバーになったのだ。 「今日からお前を一人前として認めてやる。だからといって、自分が強くなったと思うな。 半人前がやっと一人前になっただけだ。だいたいお前は、基本中の基本であるスリの~~~。 お前はいつも~~~」 ボスの長話が始まると、彼女は決まってあくびをする。 そして、ゲンコツを食らうのだ。 しかし、今日はいつも通りではなかった。 初めて子猫は、鉄拳を回避する事に成功したのだ。 父親は娘の成長に大笑いし、二発目を食らわせた。 ======================================= 幸せな日々は、永く続かなかった。 組織の一人が、倉庫にあった10,000G相当のちゅ~るを持ち逃げしたのだ。 ボスは驚きのあまり、白目を剥いて泡を吹きながら死んだ。 彼女には、苦手なものが三つがある。 一つめは、ボスのゲンコツ。二つめは、スリ。 三つめは、仲間の死だ。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 今日も、子猫はこたつで丸くなっていた。 「ましろ、こたつで寝ると風邪を引きますよ」 「ん゛~~」 「早く起きてください。準備を済ませたら依頼を受けに行きますよ」 「分かったよ。”ボス”」 ましろには、好きなものが三つがある。 一つめはちゅ~る。二つめは、自由。 三つめは、死線を潜り抜けた仲間たちだ。 ~~~~~~妖魔の砦アフター~~~~~~ ましろは、とある一つの謎を抱えていた。 なぜこの世界には、自身にとって発見や解除が容易なトラップが存在するのか、と。 ランディーネがトラップに引っかかった様子を見て、 ようやく自分なりの答えを見つける事が出来た。 大抵の人間は、自分よりも不器用で、緩慢であり、無警戒である。 ましろにとって容易なトラップでも、一般的な人間には十分な脅威となり得るのだ。 もしかすると、この世界にはもっと難しい罠が存在するかもしれない。 ましろは、毎日のようにスラム街のゴミ山へ向かった。 ゴミ山には、壊れて不法投棄されたマジックアイテムや動かなくなったゴーレム、 そして、曰く付き宝箱があった。冒険者たちが泣く泣く諦めた高難易度罠付きの宝箱である。 ましろはゴミの山から謎の箱を見つけては、罠を延々と解除した。 目的は勿論、罠解除の修行だ。 まれに貧困層のチンピラに絡まれる事もあったが、ましろに拳を当てられた者は一人も居なかった。 箱の中身には高価なものもあり、すべてを換金したところ相当な額になった。 ましろは憧れの高品質な弓を購入するつもりだったが、 ネフィリムに危険な所へ行ったことを説教されたり、 「ましろさん!今度こそは怒りますからね!危ない所に行ってはいけません!」 ランディーネから集られる事を想像した。 「おいおい、ましろ。随分景気が良さそうじゃねえか。なあ、あのマジックアイテム買ってくれよ~」 結局ましろは、罠で得たすべての戦利品を、教会に寄付することに決めた。 ~~~~~~霧の魔獣アフター~~~~~~ ましろは、今日も頭をフル回転させていた。 誰かが攻撃をしたら、攻撃を受ける存在は、攻撃を避けようとする。 攻撃されたと思うから回避をする。 神々が作ったかもしれない、この世界の常識である。 アレンディルは、回避に集中する事で生存力を高める戦術を得意としている。 つまり、もしかすると回避のコツは、攻撃する存在の動きをよく理解する事かもしれない。 では、攻撃をすると確信出来るタイミングから攻撃が来ず、 ふとしたタイミングで予備動作のない攻撃をされたらどんな事が起きるだろうか。 ましろは弓を持って、姿見の前に立った。 いつも通りの感覚で弦を引き、離す。 ましろは、とあることに気づいた。 自分は集中すると肩が上がり、自分が攻撃をする直前には表情が硬くなる。 これでは敵に「これから打つので避けてください」と言っているようなものではないか。 ましろはこの日から、鏡の前に立つことが日課となった。 ~~~~~~ギルマンの洞窟アフター~~~~~~ あるアーシアンは、とある言葉を遺した。 「筋肉は裏切らない」 筋肉。 それは生命活動を維持させるための組織、あるいは力の象徴である。 トワドの港に、剣客と子猫。 今日も二人は、無気力に浮かぶコルクを眺めていた。 「なあ、かたなって重くねぇのか?」 「刀は武士の魂でござる。この世界にどれだけ扱いやすい得物があったとしても、 拙者は刀を手放すつもりはないでござる」 男は嬉しそうに語る。 「その割には、洞窟にかたな捨ててきたじゃねーか」 「っ、......」 屈強な体躯を持つ存在は、力を振り回す資格を得る。 しかし、どんなに力に自信を持つ者も、この世界そのものを持ち上げる事は不可能である。 二人は帰路に就いていた。 「今日は大漁じゃねーか」 「ましろ殿が来てくれて良かったでござるよ。 釣果が良すぎるというのも、考え物でござるな」 彼女は、子供の体には見合わないほど、大量の魚を抱えている。 日々の鍛錬は、ましろに大きな変化をもたらした。 動かない。 生物にとって、静止を続ける事は容易ではない。 しかし、予備動作のない射撃を身に着けるための、 不可能を可能にするためのトレーニングは、ましろの体幹機能を大幅に向上させたのだ。 「トワドに帰ったら、がうるてりお殿から料理を学ぶのも悪くないでござるな!」 「うめぇ飯、楽しみにしてんぞ!」 その後税関に止められ、泣く泣くその場でMPを回復した二人であった。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 番外編 全級・断地怨(ましろ編) 物事はいつも、唐突に起きるものだ。 唐突に親から捨てられることもある。 盗賊ギルドに入ることもあれば、唐突に育ての親が死ぬこともある。 唐突に一族から迫害を受けることもある。 唐突に巨獣に襲われ、絶体絶命になることもある。 唐突に学院を追放されることもある。 唐突に牛車轢かれることもあれば、異世界へいきなり飛ばされることもある。 唐突に仲間ができることもある。 仲間をかばって、唐突に死ぬことも———— ◇◆◇◆ コトンっと音を鳴らし、木皿が置かれる。この酒場の名物、羊肉の煮込み料理である。濃い味付けに独特の香辛料による風味と癖は強いが、一度でも口にした者はすぐに病みつきになる一品だ。 「おい、お前ら。ちっちぇえ方と、でけぇ方はどうしたんだ。」 竜の骸骨亭の主人、ガウルテリオは心配そうに話しかけてきた。 「ねふぃりむ殿は今頃賭場に行ってるか、ぎるどの在庫確認、買い出しをしていると思うでござるよ。らんでぃーね殿は......まじない道具屋で値切ろうと迷惑かけているのでは......っと噂をすれば」 「やだやだ買って。お願い。お願いだってば。買ってよアークスタッフ。嫌嫌嫌嫌......」 ◇◆◇◆ 「なんだお前ら、景気悪いのか。......ってその割には、ずいぶん上等なローブを着てんじゃないか」 床に転がって駄々をこねていたランディーネは、ローブについた埃を払ってドヤ顔をしている。 「ランディーネさん、バッチリ着こなしてますね。そういえばあの妖魔から奪ってから何処で、そのローブ洗ったんですか。あれから洗濯物の中で見てない気がするので......」 ランディーネの表情が一瞬硬くなる。 「へい、大将!今日もツケでよろしく頼むぜ!」 ガウルテリオは権左衛門になにか耳打ちすると、巨女を哀れんだ目で見る。 「依頼所にろくな仕事がねぇってんだったら、迷宮に挑んでみたらどうだ。 『ぜんきゅうダンジョン』っつーとこがあんだ。興味あるか」 「「ぜんきゅうダンジョン??」」 「全ての階級って書いて、全級ダンジョンだ。何でも入る度に迷宮の中身が変わって、挑戦者の強さに見合った難易度になるっつー不思議な迷宮らしいぞ」 「よっしゃ!大将ごちそうさん!!全級ダンジョン行ってくる!!!!」 「待ってくださいランディーネさん!まだどこにあるか聞いてないですよ---!!」 ◇◆◇◆ 「れべる6、き、め、つ、よ。......先生、あれなんて書いてあんだ?」 「ふむ、Lv6相当ですね。」 子猫は指を一、二と折りながら数を数える。 「6っつー事は、ポーションポーチに入り切らないくらいの数字だよな。それって難しいのか」 「簡単とか難しいなんて関係ねぇよ。全部アタシの魔法で蹴散らしてやる」 マジックスタッフを手慣れた様子でブンブンと振り回すランディーネ。彼女の表情には自信が満ちている 「何にせよ。警戒しながら進むべき事には変わりありませんね。慎重に行きましょう。......そういえば、ましろ君。今回は特別な矢を持ってきたようですね」 「ああ!教会で売ってるやつだ!ソーンダイクが祈りを込めた特別性だぜ!」 「へー、いくらしたんだよ」 「1本200Gで、合計1000Gだ」 「「「たっかー」」」 ◇◆◇◆ 「ましろさん、こちらが注文の『祝福の矢』になります。偽神の瘴気に影響を受けて生まれた、妖魔や魔獣、魔族に有効です。私自ら祝福を施したものですので、効果は保証しますよ」 グランフェルン王国大神殿の神官長は、親し気な語りで祝福の矢を差し出す。 「ありがとなソーン、1000Gだったか。これで足りるか」 一般的なアコライトは研鑽を積むことで、一時的に神の祝福を鎧や武器に与える魔術を会得できる。しかし、どんなに強力な魔術であっても”一時的”である。そのため、長い月日が経ったとしても祝福が残るこの矢は値が張るのだ。 「ええ、問題ありません。私とあなたとの仲ですから少し安くしてあげたいところですが、申し訳ございません。決まりですので」 「気にすんな。それにずっとただ飯貰ったり、ベッドと布団借りてたんだ。そのお礼とでも思ってくれよ」 「......はい、分かりました。ましろさんはまだ子供ですので、......なんて立派な冒険者にあれこれ言うのも野暮ですね。でも、命だけは大切にしてください。貴方にアーケンラーヴの御加護があらんことを」 「ゼンショ?するよ。行ってくる!」 ◇◆◇◆ 教師アレンディルから動物の授業の中で、「地の利」という言葉を学んだ。とある著書では、「魚人であるサハギンは、まるで”水に愛されている”」と書かれている。サハギンは水上・水中において、地上の人間を遥かに上回る動きが可能だ。迷宮では多種多様な環境があり、様々な生物・無生物が生息・活動している。自然状態となった迷宮内の生存競争において、地の利を得たコロニーが形成される事は当然の結果といえる。迷宮最下層の出口。迷宮を踏破せんと息巻く冒険者が、最も消耗している場所である。そこに、遠足気分で入り込む獲物が、5匹。 ましろは直感的に、次のエリアに敵が居ることを理解していた。しかし、ましろが出来たのは、クロスボウに矢を番える事のみだった。次の瞬間、眩い光がコーシカの弓を襲う。目にも止まらぬ絢爛は、運命の恩寵を得た彼、彼女らを嘲笑うかのように、異物を刈り取る大きな鎌となる。ましろは何時にも増して冷静だった。ネフィリム、ランディーネ、アレンディル、権左衛門、ボス、ソーンダイクの顔が、声が、頭を過る。一人の冒険者は、信頼の表情で「死」に立ち向かった。 自分の名前が呼ばれている気がする。体が思うように動かない。幾度か戦友が地に伏せる事はあったが、自身が倒れる事は、これが初めてだった。聴き慣れた、金属や「何か」が衝突する音。絶望の底に咲く一輪の花は未だに枯れていないようだ。次に聞こえたのは、『雷鳴』に近い何か。最も聴き馴染みのあるそれは、かつて聞いたこともない程の圧力でこの迷宮を震わせた。 「ましろさん!!」 顔をくしゃくしゃにしながら”ボス”は、自分を呼ぶ。死神は直ぐ側まで忍び寄っていた。しかし、捕まるのは今日ではないようだ。 「こんな所で倒れちゃいけねぇんだ」 戦況は勝利を確信させる程の優勢だったが、ましろはすぐさま、攻撃に転じた。ちょうど足元に転がる石ころを、孤立した敵の眼球めがけて蹴り飛ばす。怒りの視線を感じながら、ましろは次の標的に照準を定めた。 ◇◆◇◆ 敵が戦闘不能になるやいなや、ランディーネが無理やりポーションを飲ませてくる。ネフィリムが聞きなれた祝詞を唱えると体中の痛みが和らぐのを感じる。普段見れない仲間の表情を見て、ましろは大笑いした。 ましろには、好きなものが三つがある。 ちゅ~ると自由。そして、死線を潜り抜けた仲間たちだ。 to be continued…… ================================= [一般スキル]リムーブトラップ、トレーニング:筋力、フィッシング、エリアサーチ