タイトル:カレンドレス=ヴェール キャラクター名:"ちびどらごん"カレンドレス=ヴェール 種族:エルフ [特徴:暗視、剣の加護/優しき水] 生まれ:魔術師 ■パーソナルデータ・経歴■ 年齢:19 性別:女 髪の色:冷たい金色 / 瞳の色:深い青色 / 肌の色:白っぽい。 身長:140cm 体重:42 経歴1:憧れる冒険者がいる。 経歴2:本来とは異なる性別として育てられた。 経歴3:本から大きな影響を受けたことがある。 穢れ度:0 ■能力値■      技     体     心 基礎   10      3     13    器用 敏捷 筋力 生命 知力 精神 A~F  10  11   4  11   8  10 成長   4   1      2   2   3 →計:12 修正 =合計= 24  22   7  16  25  26 ボーナス  4   3   1   2   4   4    生命 精神    抵抗 抵抗  HP  MP 基本   8  10  34  44 特技         0   0 修正 =合計=  8  10  34  44 ■レベル・技能■ 冒険者レベル:6 Lv ソーサラー 6 Lv  / レンジャー 1 Lv セージ   5 Lv  /        Lv ■戦闘特技・値■ [参照] 特技名   : 効果                             : 前提 [p2120]鋭い目   : 戦利品のロールに+1                      : セージLv.5 [p223] 魔法誘導  : 射撃魔法で誤射しない、完全に隠れ切れてない対象に射撃魔法可能 : [p226] 魔法拡大/数 : 対象を拡大するごとにMP倍増、達成値は個別           : [p219] 鷹の目   : 乱戦エリアや遮蔽物越しに射撃・魔法攻撃可能          : 《精密射撃》or《魔法誘導》    魔物       全力    知識 先制 移動 移動 基本   9   0  22  66 修正 特技        0 =合計=  9   0  22m  66m ■呪歌・練技・騎芸・賦術・鼓咆・占瞳■ [参照] 特技名 : 効果: 前提 [p]  遠隔指示 :   : [p]  攻撃阻害 :   : ■装備■ ・基本命中力、追加ダメージ、基本回避力        Lv 命中 追ダメ 回避 ファイター : グラップラー: フェンサー : シューター : ・武器 価格 用法 必筋 修正 命中 威力 C値 追ダメ [カテゴリ・ランク] 名称(*:装備している) / 備考 (参照) 110   2H   1   1   1  11  12   0 [スタッフB] *メイジスタッフ / っはー!魔法少女だ!魔法少女が持ってたやつだ!!っていうか私じゃん魔法少女!っはー!! (235p) =価格合計= 110 G ・防具    必筋 回避 防護  価格  名称 / 備考 鎧 :  7      3   150 ソフトレザー / 着てみるとわかるんだけど、動きづらい。 盾 :              / 修正: = 合計 =    0   3   150 G (回避技能:) ・装飾品    価格 名称                / 効果 頭 :20  とんがり帽子※魔法のアイテムに非ず / 魔法使いったらこれだよね!という理由で購入。 耳 :15  リングピアス            / 街で見かけたかわいいやつ。 顔 :   かわいい              / 実際に可愛いかどうかは見た人が決めること。 首 :20  マフラー              / 口元を隠すのがマイジャスティス。 背中:60  ロングマント            / 引きずる。 右手:20  手袋                / 指先が出てるタイプ。もちろん両手 左手:1000 叡智の腕輪             / これによるカンニング被害が毎年出ている。 腰 :10  ロングスカート           / ミニは嫌なくせに長いスリット入り。 腰 :50  ガーターベルト           / 大人な女性に憧れて。 足 :30  ロングブーツ            / 「蒸れなくなる魔法とかないかな…」 他 :3   リボン               / ほとんどの状態異常を防げるような気がする。 =合計=1234 G ■所持品■ 名称         単価 個数 価格 備考 冒険者セット     100  1   100  「あなた、冒険者なのね」と言われる。 水袋         20  1   20  人に投げると意外と痛い。 毛布         40  1   40  いいじゃない!子供の頃からのお気に入りの毛布があったって! ポータブルカンテラ  60  1   60  ランタンと火口箱が一緒になった便利セット。頭のいい人もいたもんだ。 手鏡         50  1   50  いや…これは…アレっしょ。嗜みっしょ。乙女の。 着替えセット     25  1   25  下着も入ってるよ!大丈夫大丈夫…アレ?忘れてきたかな…? 水着         30  1   30  ドライアードに着せたら胸元がダルダルになった。 防寒着        100  1   100  ぶっちゃけ、寒いのより暑いののほうがダメなんだよね…。 筆記用具       10  1   10  羽ペン、インク、羊皮紙の三点セット。 保存食(7日分)    50  1   50  これさぁ、口の中がぱっさぱさするんだよね。 救命草        30  5   150  体力が漲る危なくない草 魔香草        100  3   300  魔力が漲る危なくない…ねぇ、これホントに危なくないの? ヒーリングポーション 100  4   400  このドギツイピンク色、なんとかならない? アウェイクポーション 100  3   300  最近までアウェイク「ン」ポーションだと思ってた。 3点魔晶石       300  3   900  ライト3つ分か…。 テント大(4人用)   250  1   250  これでも若干狭かった。180×3はすごい。 北向きの針      1000 1   1000 これで遭難とはおさらば! 消魔の守護石     0   1   0   ドライアードのドリーに貰った。 ゴーグル       100  1   100  サンちゃんの背中に乗るために買った。 =所持品合計=    3885 G =装備合計=     1494 G = 価格総計 =    5379 G 所持金    6412G 預金・借金    G ■魔力■ 知力ボーナス: 4 特技強化ボーナス: 0 武器ボーナス: 0  名前  Lv 追加修正 魔力 真語魔法 6       10 ■言語■       話 読            話 読 共通交易語 ○ ○ / 巨人語       - - エルフ語  ○ ○ / ドラゴン語     ○ - ドワーフ語 ○ - / ドレイク語     - - 神紀文明語 - ○ / 汎用蛮族語     - - 魔動機文明語○ ○ / 魔神語       - - 魔法文明語 ○ ○ / 妖魔語       - - 妖精語   - - / グラスランナー語  - - シャドウ語 - - / ミアキス語     - - バルカン語 - - / ライカンスロープ語 - - ソレイユ語 - - ・地方語、各種族語     話 読 名称 初期習得言語:交易交通語、エルフ語 技能習得言語:魔法文明語、5個の会話or読文 ■名誉アイテム■ 点数 名称  -5 ちび  50 ドラゴン 所持名誉点: 53 点 合計名誉点: 98 点 ■その他■ 経験点:690点 (使用経験点:15500点、獲得経験点:13190点) セッション回数:12回 成長履歴: 成長能力  獲得経験点(達成/ボーナス/ピンゾロ) メモ 1- 生命力     0点(   /   / 回)  3.4 2- 知力      0点(   /   / 回)  3.5 3- 生命力     0点(   /   / 回)  3.4 4- 器用度     0点(   /   / 回)  1.2 5- 精神力     0点(   /   / 回)  2.6 6- 器用度     0点(   /   / 回)  1.2 7- 精神力     0点(   /   / 回)  3.6 8- 知力      0点(   /   / 回)  2.5 9- 敏捷度     0点(   /   / 回)  2.3 10- 器用度    0点(   /   / 回)  1.4 11- 器用度    0点(   /   / 回)  1.2 12- 精神力    0点(   /   / 回)  1.6 メモ: カレンドレス(以降カレン)は、テラスティア大陸の辺境にあるエルフの里でその生を受けた。 里のエルフたちには生まれてくる子供の性別を占う習慣があった。 カレンを占った時には、女性が身につけるヴェールが占いの結果に出たため、彼女の名前の後ろにはヴェールとつくこととなった。 この占いは子につける名前の指標にもなる。彼女の両親はヴェールに最も合う衣装である「ドレス」を、彼女の名前にすることにした。 かくして、カレンドレス=ヴェールという名前を与えられたエルフは、魔法使いの両親の間で産声を上げたのであった。 頭につけられたカレンには、「可憐」というどこかの国の言葉で、「可愛らしい」という意味があった。 カレンはそれを知ってからというもの、名は体を表すという言葉を信じるようになった。 「クールな」とか、「大人な」という意味だったなら、もう少し違ったのだろうかと、 同い年で身長が頭一つか二つ違う他のエルフたちを見て思ったとか。 さて、彼女の里の話だが、端的に言って変な風習がある。 辺境の地にある村や里にはよくある話だが、カレンの産まれた里では男女は同一で、同等で、変わりないもの。 そういった教えを説いていた。 理由はもはや誰も知らないが、住民たちは村の教えを守り続けていた。 カレンももちろんそういった教育を受けて育った。それまでは本当にそう思っていたし、 男女の顔や体つきの違いも、個人差としか受け止めていなかった。 だが彼女は知りたがりでもあった。「なんで違うの?」「どうして違うの!?」「ねぇねぇねぇ!!」と長老に詰め寄る度に 長老の寿命は少しずつ減っていった。 カレンが成人した時、長老により里から追い出されてしまった。 理由は「里の教えに反したから」である。正確には反していないが、彼女の知りたがりは そのうち里の住民の意識にも作用すると危惧した長老が、半ば無理やり追い出すための後付の理由というわけだ。 カレンは理不尽な理由で里を追い出され、友人にも両親にも会えなくなったことを悲しんだが、 (本当は悲しんだなんてものではなかった。里の門に向かって三日三晩泣き続け、叫び続け、エネルギーボルトを叩きつけ続けたのだ。) 見かねた門番と別れを悲しんだ両親(里の中の住民はこちらをなだめるのに必死だった)が用意した 幾ばくかのお金と食べ物、街への地図を手に、唯一里に出入りしていた商人の馬車に乗り込んだのであった。 カレンは商人に事情を話し、地図に記された花の街フェンディルへと向かうことにした彼女だが、ここで最初の試練が彼女を襲った。 そう。退屈なのだ。 里には友人と両親と、魔法の先生とお気に入りの本と、大好きなスウィートプディングがあるというのに、 ここにはカレンの為に空けられた小さなスペースと、硬い床と、揺れるせいで痛いお尻があるだけだった。 1日目は泣きじゃくり、2日目は馬車の外の景色を見ることでなんとか凌いだが、3日目からはどうしようも無くなってしまった。 3日目のお昼ごろに彼女は商人に文句を言った。商人は馬車の中の荷物から本を数冊取り出して彼女に与えた。 その本はとある女魔法使いが、自分の魅力と類稀なる魔法の力で様々な冒険を乗り越えていく、という物語であった。 上、中、下巻とあるその本を、カレンはまるで取り憑かれたように読み耽った。 全て読むまでに3日とかからなかったが、カレンは2度、3度とその本を読み返した。 特に、ヴァンパイアに対して誘惑するシーンがカレンのお気に入りであった。 誘惑というと聞こえはいいが、言葉を選び、一挙手一投足に気を配り、少しのミスも許されないまま、自らの全てでもって吸血鬼を魅了するというそのシーンを、 いままで性別や魅力といったことに全く縁の無かった彼女は「とんでもない魔法を使った」ように思ったのであった。 里を追い出されてから1ヶ月が経った頃、カレンはようやく、フェンディルへと到着した。 途中で貰ったクッションを胸に、商人へと大きく手を振る彼女は、1ヶ月前に泣きじゃくってた人物とは思えないほど明るかった。 カレンはまず商人に紹介された魔術師会へと足を運んだ。 彼女の経緯を聞いた魔術師会は、喜んで彼女を受け入れた。魔法使いは魔法の有用性に対して少ない習得者のおかげで、 いつも猫の手を借りている状況であった。 それから1年間、彼女は魔法の勉強の前に、基礎知識を叩きこまれた。 彼女に積み込まれた里の教えを崩す必要があると魔術師会が判断したからだ。 狭い里の中ならともかく、広い世の中に出た1人の女の子、しかも華奢なエルフが何も知らないというのは、 魔法云々の前に、いろいろよろしくないというのは…まぁ、お分かりになるかと思う。 おかげさまで、カレンは5~10歳の少年少女に混じって授業を受けることもあった。 もっとも、ぱっと見では誰が15歳かわからないほど、カレンの身長は伸び知らずであったが。 カレンが16歳になったとき、待ちに待った魔法の授業が始まった。 ここではカレンは同い年程の者達と授業を受けていた。里で教えられていた知識の中では、魔法の知識はかなり正確に教えられていたからだ。 しかし彼女は1年間教えられてきた「心と体の授業」で教師が言っていたエルフの平均的な身長と自分の身長に大きな差があることに ちょっとしたコンプレックスを持っていた。 彼女の目指す「オトナな女魔法使い」は、彼女の隣の席だった他のエルフの娘にこそ相応しい物のような気がする程度には。 「魔法の力では負けないし…!」とカレンが密かに情熱を燃やすことに、隣のエルフはまったく気が付かなかったが。 魔法の授業が始まったと同時に、カレンは冒険者の店に「新米」として登録されていた。 彼女の登録された「シャトー・ホーリーローズ」では、謎めいた店主と謎めいた猫がお出迎えをしてくれた。 カレンはすぐにその猫がファミリアだと気がついたが、それ以上に違和感が残った。 意思を持ったように喋るファミリアなど、聞いたことが無かったからだ。 カレンはすかさず店主に問いただしたが、店主はのらりくらりとかわすばかりで、答えを教えてくれることはなかった。 そして現在、カレンドレス=ヴェール18歳。 彼女は魔術師会での初級魔法講座を修め、冒険者としての道を歩んでいた。 知識よりも感覚が優先されるタイプであった彼女の魔法は、少々不安定で荒っぽいものであったが、 教師たちに真っ先に教えてもらった魔力のコントロール法のおかげで、どうにか味方の背中にエネルギーボルトを打ち込まずに済んでいる。 彼女の目指す「オトナな女魔法使い」に少しでも近づく為に、彼女は努力を惜しまない。 具体的には、長いスリットの入ったロングスカートを履いてみたり、ガーターベルトをしてみたり、 あの本に出てきた魔法使いの格好を真似て、マフラーで口元を隠してみたり。 それから、密かに、本当に密かに、バストアップ運動や身長を伸ばすトレーニングなどを積み重ねている。 彼女にとっては魔法よりも大事なことなのだ。目指すは魔法使いなので、魔法の鍛錬も忘れずにいることを願う。 《2016/3/13 オンラインセッション》 カレンはいつの間にか、女性のリルドラケンと共に旅を続けていた。 本当に、いつの間にかだったのだ。いつだかに受けた依頼の時にくっついてきて以来ずっとだ。 カレンのことをかわいいかわいいと褒めるのは満更でもなかったが、小さくて可愛いと言われるのには、複雑な気分だった。 さて、彼女は依頼を求めて辺境の街にやってきた。 雪に覆われたその町は、カレンのスカートのスリットにねじ込むように冷たい風を送り込んできた。 カレンは寒さに耐えられず、ゴッダクアの町にある冒険者の店に飛び込んだ。  ゴッダクアはリルドラケンとナイトメアの町であった。 町民はみな穏やかで大らかで、そして酒好きであった。 ナイトメアが多いのはここが元々リルドラケンの町で、リルドラケンという種族はそもそもナイトメアの存在を気にしないものだからであった。 今ではナイトメアの安寧の地として、遠方からわざわざ訪ねに来るナイトメアもいるらしい。  店主に出されたシチューを暖炉の前で頬張っていると、カレンは再び店主に声をかけられる。 もちろん依頼の話だ。冒険者の店の店主が冒険者に声をかけるなんて、依頼に話に決まっているのだ。 まぁ、カレンが今考えたことなのだけど。  依頼の内容は「サンちゃん」と呼ばれる何かの護衛であった。 山の向こうにあるネグローニという人物の元へ送り届ければいいらしい。 カレンはもちろん承諾した。町についたばかりの彼女は、腰を落ち着けるためのお金が必要だったのだ。 他に呼び止められたのは3人。うち1名はカレンについてきたリルドラケン…フランであったが。  他の2名はそれぞれナイトメアのグレゴリー(以下グレッグ)と、人間のジェラード。2人とも男性だ。 グレッグは頑丈そうな鎧と(カレンから見て)巨大な盾、フレイルを携えたファイターで、 ジェラードは革鎧に棘のついた盾、短めの槍を構えた軽戦士といった出で立ちだ。 後ろが自分だけだと不安になったが、聞けばグレッグは神聖魔法も嗜んでいるらしい。 カレンは「本に出てきた聖騎士のようだ」と思った。あの本に出てきた騎士は、フレイルではなくてメイスだったが。  軽く自己紹介をしていると、外から子供の悲鳴が聞こえてきた。 カレン達は弾かれるように振り返り、カレンはシチューのボウルを持ったまま店の外に駆け出していった。 悲鳴の聞こえた方へ走ると、泣きじゃくる少女の姿が見えた。こちらに向かってくる少女を、後ろからくるフランにまかせ、 カレンは少女が走ってきた方向へと目を向ける。 そこには、巨大な何かがいた。  カレンは向けた目を見開き、ついでに手もちょっと開いて持っていたスプーンをボウルの中に落としてしまった。 フランと、後ろから追いかけてきたグレッグ、ジェラードも驚きを隠せない表情をしている。 巨大な何か…町の門より遥かに大きいその巨体と、広い翼、長く鋭い棘の生えた尻尾、こちらを見つめる王者の目。 誰もが一度は聞いたことがある幻獣、レッサードラゴンの姿があった。  カレン達が冷や汗をたらしながら固まっていると、レッサードラゴンは頭を少し下げ「ここが、ゴッダクアの町で間違いないな?」と話しかけてきた。 いや、話しかけてきたのだと思った。カレンにはわからない言葉であったが。どうやらドラゴンの言葉らしい。 ドラゴン語のわかるフランが応対する。すると、最初は厳かであったドラゴンの雰囲気がみるみるうちに砕けていった。 知らない言葉で会話を続けている2人を眺めていると、店主がやっと追いついてきた。 そして「あぁ、こいつがサンちゃんだ。」…そう言った。  サンちゃん…サングレアという名前らしい…を広場に案内し、カレン達は店の中でもう一度改めて依頼を確認する。 本当にあのレッサードラゴンを護衛するのだろうか。自分たちが? どう考えてもいらない護衛であった。「むしろ私達が護衛される側じゃん」とごちる。 だが店主が言うには、サンちゃんは正確な場所を知らないらしい。 1人…1人?…1頭で歩かせれば目立ってしまうし、見かけた人々に恐怖されてしまう。 変な噂が流れ、いらぬ依頼を立ち上げても意味が無い。ということであった。  カレンはまだ困惑していたが、レッサードラゴンと行動をともにすることなどこの先そうあることではないだろうと思うと、 なかなか乗り気であった。フランは自分についてくると言うし、文句もないだろう。 他の2人もやはり困惑していたが、同時に了承もしていた。 依頼人であるネグローニの屋敷は、山を超えて3日ほど歩く場所にあるという。 ネグローニ本人は、魔動機術を研究する学者で、元冒険者らしい。店主とも旧知の仲で、依頼書に偽装などはないそうだ。 魔動機術の学者が、なぜドラゴンを欲するのかなど、気になる点はあったが…。 ペットにすると言われれば何も出来ない。よくそんなお金があったな…と思うだけだ。 あと、本人(サンちゃん)には言わないようにしようとも。 さて、出発の前に幾つか準備するものがあった。4人入るテントだ。 カレンとフランは馬車で来たため、その手の荷物は用意していなかった。他の2人も、似たような境遇のようだ。 もう時刻は昼過ぎ、夕方にさしかかろうというところであったので、出発は明日にして 今日は買い物ついでに町を見て回ってこよう。ということになった。 カレン、フランの2人はテントを買いに行くことになった。みんなで一緒にいくものだと思っていたが、 グレッグは何故か別行動をすると言った。1人あぶれたジェラードはグレッグについていくことにしたようだ。 どうにも、あのナイトメアにはあまり良い感情を持たれていないような気がする。何か気に触ることでも言っただろうか…?  そんなことを考えながら町のよろず屋に足を運ぶ。店主と思しき若い青年が食い気味に話しかけてきた。 「4人用のテントが欲しい」と伝えると、ドタバタと店の奥へ駆け込んで、そして急いで戻ってきた。 出してきたのはまさにリルドラケン用というような巨大なテントであった。端に付けられたタグには「4人用」と書いてある。マジかよ。 「そんなに大きくなくてもいい」と伝えると、また奥に駆け込んでいって、別のサイズのテントを出してきた。 これもまたサイズのあわないもので、2度、3度と同じやり取りをした後にようやく調度良いサイズのテントが出てきた。 やっとお目当ての物を購入できたカレン達は店を去るが、後ろから「もしかして商売向いてないのかな」という独り言が聞こえて、少し申し訳なくなった。  テントの問答の前に、ネグローニ氏のことについても質問してみた。 お菓子店でよくケーキを食べているのを見るそうだ。ただ、最近はあまり姿を見せていないらしい。 2人は、よろず屋を後にしたその足でお菓子屋に向かった。  お菓子屋の店主は気の良い感じの女性であった。この女性もまたナイトメアだ。 ショーケースには様々なお菓子が並べられているが、目当ては甘味ではなく情報だ。 店主にネグローニ氏のことを訪ねてみた。 よろず屋の時と同様、よくここを訪ねてきてはケーキを食べて帰ると話してくれた。 それからネグローニ氏はリルドラケンであったが、それにしてはお酒をあまり飲まないということも。 カレンはお土産にケーキを買っていこうと考え、そう店主に伝えた。ついでに自分用にも一切れ注文した。 店主の好意でその一切れはオマケしてくれることになった。 楽しみにしながら椅子に座って待っていると、通常のケーキよりも遥かに巨大なホールケーキが箱に包まれて出てきた。 カレンが呆然としていると、目の前にやはり巨大なケーキが一切れ置かれる。 おみやげの方も、自分用のケーキの方も、もっと小さいものを想像していただけに、彼女はそうとうびっくりした。 聞けば、ネグローニ氏は普通にホールで食べるという。  そこで少し問題が発生した。ゴッダクアからネグローニ邸までは雪の降る山だとはいえ、 そこまでケーキがもつかどうかはわからないという。 どうしようかと考えあぐねていると、フランが「高レベルの神官がいるなら、フリザーベーションをかけてもらえるかもしれない」と言った。 カレンはフランの考えに乗っかり、この町にあるサカロス神殿へと足を運ぶことにした。  サカロス神殿の中へ入ると、リルドラケンの女性が出迎えてくれた。カレンにはまったくわからないが、少しお年を召した方らしい。 事情を話すと、快く引き受けてくれた。ちょっとのお布施を払い、ケーキにフリザーベーションをかけてもらう。 その間、神官から妙な噂を聞いた。どうやらここ最近リルドラケンや亜竜を襲うならず者が出没するそうだ。 壁の掲示板には人相書きもあり、カレン達にケーキを渡しながら「気をつけるんだよ」とねぎらいの言葉をくれた。 そうして、カレン達はグレッグとジェラードに合流する。グレッグたちもあのならず者の話を聞いてきたようだ。 ならず者は名をアルディラといい、元々はこの町の出身らしい。 彼はナイトメアだったが、この町ではそんなこと関係無いハズ。 カレン達は少し気を引き締めることにした。  それから、酒屋の店主はなにか妙だという話と3匹のコボルトがいるという話も聞いた。 カレンはそれを聞くやいなや、コボルト達をもふりに行くことにした。  結果として、存分にコボルトをもふれたのは良いのだが、店主の正体はとんでもないものであった。 酒屋の店主の女性はなんとドレイクであった。蛮族の長たる存在がなぜこんなところで酒屋なぞやっているのかと疑問に思うが、 そんな言葉をふっかけて返り討ちにあったのでは目も当てられないので、カレンは気が付かなかったふりをして、 ネグローニ氏にお土産を用意したいという話をした。すれ違ってしまったということにして、その場を後にするために。  その晩はなぜか宴会になった。なぜだ。いや、ただ店主がガッバガバ酒を飲んでいるだけなのだけど。 カレン達はきりの良いところで自分たちの寝床に入った。最後に店主を見た時は、大樽から直接酒を飲んでいた。  翌朝、皆が目を覚まし、準備をして下へ降りると、店主が酔いつぶれてそこにいた。 酒屋の店主もいたが、「いつものことだ」というので放っておくことにした。  広場で寝ているサンちゃんを起こし、出発する。 サンちゃんに飛べばいいのにと言うと、「雪って、珍しいから歩きたい」と返ってきた。そんな理由かよ。 言い返したところで大した進展は無かったので、結局歩くことにした。  道中は穏やかなものだった。それもそのはず。自分たちが引き連れているのはレッサードラゴンだ。 襲おうなどと考えるものはほとんどいないだろう。 雪崩が起こったこと以外は特に障害もなかった。  1日目の晩に事件は起こった。いや、事件と呼べるほど大きなものではないが。 ゴブリンが2体、暗闇に乗じて襲いかかってきたのだ。どうやら、見張り1人だと思い込んだらしい。 テントからワラワラと出てきたカレン達に若干狼狽えるも、手にした武器を構えて突進してきた。 カレン達は経験は多少浅くとも冒険者だ。ゴブリン2体に手こずるようなことはなかった。 しかし、暗闇に乗じたはずだったのに、その暗闇のせいで一番の脅威に気が付かないなど、マヌケな話だ。 ちなみにその一番の脅威は、戦闘の喧騒になんの反応も示さず、気持ちよさそうに寝ていた。  2日目の昼には奇妙なものを見た。 長い髪に全身鎧、やりを携えた女性が肩に人間を担いで歩いているのを目撃したのだ。 うわさに聞くアルディラかと思い、警戒する。尾行されていた時に備えてグレッグがここに残り、2重尾行だ出来るようにすると言い出した。 彼はマントの上に雪を乗せ、その下に潜り込む。カレンは何かあった時のためにと自分の使い魔も一緒に潜り込ませた。  カレン達はそのまま歩き出す。しばらくすると、グレッグが起き上がったのが使い魔の目を通して見えた。 カレンはそれを皆に伝えて少し待つことにした。 帰ってきたグレッグは少し不思議そうな顔をしていた。 カレン達が歩いて行った方向とは別方向に歩いて行ったようだが、その足跡が突然消えていたのだ。 魔物か、ともすればアンデッドかも知れないと警戒するカレン達を、サンちゃんは不思議そうに眺めていた。  2日目の夜、またしても雪崩に巻き込まれた。どうなってるんだこの山の雪は。緩すぎだろう。 テントの中にいたカレンとフランであったが、巻き込まれる前にフランがテントの中に入ったまま翼で飛ぶという芸当をやってのけた。 「どーなってんのそれ!?」とツッコミを入れたかったが、傾き揺れるテントの中で、必死にしがみつくことしか出来なかったため、 そのツッコミが口から発せられるのはもう少し後になってからであった。  3日目。ようやくネグローニ邸と思わしき屋敷が見えた。 地図を見て、間違いない事を確信する。サンちゃんには少し待ってもらい、扉のノッカーを握った。 中からはリルドラケンが1人出てきた。無言で玄関から見える廊下の奥を指差す。ネグローニ氏本人では無いようだ。 ネグローニ氏はどうしたのかなど質問をたたみかけるが、相変わらず無言で奥を指差したままだ。若干イライラしているようにも見えるが…。 なにか怪しげな雰囲気を感じ取ったのか、フランが突然ディテクトフェイスの魔法を掛けた。 その途端、フランのふんわりとした雰囲気が怒気を孕んだものへと豹変し、「ラーリス信者だ」と言った。 「生かしてはおけない」とフランは戦闘態勢に入る。ラーリス信仰者と聞き、グレッグとジェラードも武器を引き抜く。 カレンはサンちゃんにもう少し待っててと言い、呪文の準備を始める。 ピリ、とした空気が辺りを包み込み、一瞬の静寂が訪れる、先に動いたのはコチラであった。  奥から出てきた仲間らしき人間たちを1人、2人と下した辺りで、騒ぎを聞きつけたのか奥の扉が開く。 そこからは、ネグローニ氏が出てきた。いや、少なくとも話に聞いていたネグローニ氏と同じ見た目をしていた。 だが、見た目意外の様子が変だった。丁寧に聞こえるが端橋にささくれが目立つ言葉遣いや、雰囲気が「なにか違う」という思いを起こさせた。 カレンは呪文の詠唱中に舌を噛んだ。 フランがまたしてもディテクトフェイスをかける。奥から出てきたその人物も、ラーリス信仰者であった。 ラーリスと聞けば止まらないフランは、その人物の足元へフォースを放つ。「コレは警告ですこの意味がわかりますね」と口にしながら。 謎の人物は鼻で笑って、戦闘態勢をとった。だが多勢に無勢。残っていたもうひとりと、その謎の人物は 前に出た3人の手によってとどめを刺された。 カレンはライトニングボルトをフランの背中に突き刺した。  さて、とどめを刺された謎の人物だが、どうにも様子がおかしい。というか、破けている。 そこでカレンは「きぐるみリルドラケン」というアイテムの存在を思い出す。 きぐるみリルドラケンとは、リルドラケンの頑強な防御力を真似て造られた「鎧」であり、その名の通りきぐるみ状になっている。 素体であればなんとも間抜けな姿をしているが、モデルを用意して加工することで、本物そっくりにすることが出来る。 そう。彼らはネグローニ氏に変装したならず者…そのうちの1人はなんとあのアルディラであった。  アルディラがここにいるということは、ネグローニ氏本人は何処へ…?カレン達は急いで屋敷の中の捜索をはじめた。 屋敷の中は荒らしに荒らされていた。特にひどかったのは蔵書の類で、おそらくこの壁一面の本棚を埋め尽くしていたであろう本や資料は 数えるほどしか残っていなかった。  ある程度捜索を終えたところで、雑に隠された地下への階段を見つけた。 慎重に降りてみると、その先は牢屋になっていた。人間用でない、かなりサイズの大きいものだ。 …いや、もともとこの屋敷は自分が小人になってしまったかと思うぐらいサイズの大きい屋敷だったが。 中を覗くと、横たわるリルドラケンの姿があった。一瞬警戒するが暴行されたような跡があり、声を掛けてみると その口からネグローニ氏本人であると紡がれた。  奥の牢には傷つき力尽きたワイバーンと、同じく傷つきながらも辛うじて息のある幼いドラゴンがいた。 そちらは回復魔法が使えるフランとグレッグに任せ、カレンはネグローニ氏の話を聞くことにした。 なんでも、あるとき突然屋敷を占拠され、ネグローニ氏本人はずっとここに閉じ込められていたそうだ。 ネグローニ氏は自分の置かれた状況と、隣の牢から聞こえる悲鳴に心をすり減らしているようだった。  そこまで話したところでサンちゃんが待ちきれずに地下牢へ突撃してきた。 面倒なので2人を呼び戻し、サンちゃんにあの幼いドラゴンの看病を任すことで黙らせた。 ネグローニ氏に依頼できたことを伝えたが、その依頼はアルディラが出したものであり、依頼書はネグローニ氏が無理矢理書かされたものであった。 アルディラ達は自らの欲を満たすために、リルドラケンやワイバーン、ドラゴンを襲い続けていたらしい。 「強いもの」の象徴である竜や亜竜を手にかけることに快感を感じていたようだ。 そして、ワイバーンを殺し、幼いドラゴンを虐待し、己の力を過信したアルディラは、標的をさらなる「強いもの」、レッサードラゴンへと変えた。 その標的が、そこで幼いドラゴンを中心にとぐろを巻いているサンちゃんであった。 だが、彼の企みは未遂に終わった。アルディラを仕留めたことを伝えると、ネグローニ氏は心底ホっとしたような笑顔を見せた。  ゴッダクアの町に返ってきたカレン達は、真っ先に依頼の報告をした。 店主は赤くなったり青くなったりしていたが、アルディラを仕留めたと言うと、その分の報酬で手を打つことに決まった。 後に店主が冒険者組合へ連絡を取って事の詳細を知らせると、依頼の報酬金を補填してくれることに決まった。 アルディラの死体はグレッグの提案で神殿前にて晒し物にすることが決まった。カレンはちょっと引いたが、何も言わないことにした。 報酬を受け取ったカレンは、しばらくこの町に残ることにした。もう少しだけお金を貯めたいというのが理由の1つだが、 もっとも大きいのはサンちゃんとあの幼いドラゴンがネグローニ氏の屋敷留まることになったことだ。 前の住処はどうしたのかと聞いたら「場所がわからないし、お宝もほとんど残っていないから」と返ってきた。 カレンはやはり何も言わないことにした。  ネグローニ氏はその境遇とは反対になかなか嬉しそうだ。 ドラゴン2体と共に暮らすなど研究者からすれば夢のまた夢だろうから、わからないではないが。 カレンはそんな1人と2頭の世話を焼くため、ここに残ろうと考えたのだ。 幸いにもフランとグレッグもそれぞれの事情で残ってくれるらしい。事情を知ってる者は多いほうがいい。カレンは少し安心した。  1週間ほどして、なんとかこの騒ぎが落ち着いた頃、カレンはシャトー・ホーリーローズへ向けて筆を執っていた。 あそこの冒険者に1人、ドラゴンに詳しい者がいる。腕前もなかなかのものであり、彼女ならきっと助けになってくれるだろう。 「 親愛なるエマリオンへ。実は―――――」 PS.この冒険の後、いろんな都市へサンちゃんに乗って行き来したところを何度か目撃されたカレンは、 身長の小ささ、経験の浅さ、それらに吊り合わないレッサードラゴンを背後に据えている…。ということで、 「ちびどらごん」という不名誉な称号を密かにつけられてしまった。