タイトル:マーシィ=ローランド キャラクター名:"緑髪の騎士"マーシィ=ローランド 種族:人間 [特徴:剣の加護/運命変転] 生まれ:神官 ■パーソナルデータ・経歴■ 年齢:26 性別:女 髪の色:濡羽色 / 瞳の色:紫に近い黒 / 肌の色:白め 身長:162cm 体重:58kg 経歴1:本から大きな影響を受けたことがある。 経歴2:予知夢を見たことがある。 経歴3:罪を犯したことがある。 穢れ度:0 ■能力値■      技     体     心 基礎    4      8      9    器用 敏捷 筋力 生命 知力 精神 A~F   8   6   8   4   6  10 成長   4   5   2   3   1    →計:15 修正 =合計= 18  15  18  15  18  19 ボーナス  3   2   3   2   3   3    生命 精神    抵抗 抵抗  HP  MP 基本   9  10  36  28 特技        15   0 修正 =合計=  9  10  51  28 ■レベル・技能■ 冒険者レベル:7 Lv ファイター 7 Lv  / プリースト/騎士神ザイア 3 Lv スカウト  2 Lv  / エンハンサー       2 Lv ■戦闘特技・値■ [参照] 特技名   : 効果                  : 前提 [p2122]タフネス   : 最大HP+15               : ファイターLv.7 [pIB38]必殺攻撃   : 近接攻撃のダメージC値-1(最低8)、回避-2 : [pIB29]回避行動   : 回避力+1                : [pIB29]かいくぐり  : 回避成功時、対象への攻撃のC値-1    : 盾 [pIB31]防具習熟A/盾 : 防護点+1、Aランク装備可能       :    魔物       全力    知識 先制 移動 移動 基本   0   4  15  45 修正 特技        0 =合計=  0   4  15m  45m ■呪歌・練技・騎芸・賦術・鼓咆・占瞳■ [参照] 特技名   : 効果                 : 前提 [p]  キャッツアイ : にゃーん(命中+1)           : [p]  ガゼルフット : それは草原駆ける牝鹿の如く。(回避+1) : ■装備■ ・基本命中力、追加ダメージ、基本回避力        Lv 命中 追ダメ 回避 ファイター : 7  10  10   9 グラップラー: フェンサー : シューター : ・武器 価格 用法 必筋 修正 命中 威力 C値 追ダメ [カテゴリ・ランク] 名称(*:装備している) / 備考 (参照) 5660 1H両  17   1  11  17  10  11 [ソードB] *バスタードソード+1 / ザイア騎士団から与えられる特注の剣。ザイアの聖印が掘られていて、通常より若干装飾が多い。 (232p)     2H  17   1  11  27  10  11 [ソードB] *バスタードソード+1 / マーシィは独自に魔法による強化も行っており、通常のものより鋭さが増している。 (232p) =価格合計= 5660 G ・防具    必筋 回避 防護  価格  名称 / 備考 鎧 : 15      5   520 スプリントアーマー / 胸、肩、腰などの急所を金属で補強したもの。 盾 :  1   2   0  1600 エルエレナケープ / まだ習ってる途中なので、動きがぎこちない。 修正: = 合計 =   12   6  2120 G (回避技能:ファイター) ・装飾品    価格 名称       / 効果 頭 :2000 決死の鉢巻    / これは、我が矜持。そして騎士の心である。 耳 :5   耳飾り      / 街で見かけた可愛らしいデザインのもの。 顔 :            / 首 :1000 薔薇のチョーカー / いつも血に濡れる騎士に贈られた一輪の薔薇。 背中:40  ロングマント   / 引きずらない。 右手:1000 宗匠の腕輪    / さくらんぼの茎を舌で結べるようになる。 左手:1000 叡智の腕輪    / これによるカンニング事件が毎年起こる。 腰 :0   女王のコルセット / サングレアから報酬として貰い受けたもの。 足 :25  ロングブーツ   / 蒸れない新素材らしいが、あまり変わらないように思う。 他 :50  ガーターベルト  / …いや、だって、可愛いじゃないか。 =合計=5120 G ■所持品■ 名称         単価 個数 価格 備考 冒険者セット     100  1   100  「あなた、冒険者なのね」と言われる。 ジャックの豆     100  2   200  友人が庭に植えて大変なことになったところを見た。 メッセージルージュ  1200 1   1200 本で見かけたマジックアイテム。憧れアイテムの1つ。 救命草        30  5   150  体力が漲る危なくない草。 魔香草        100  5   500  魔力が漲る危なくない…ねぇ、ホントに危なくないの? 3点魔晶石       300  4   1200 もっぱら練技のために使う。 ヒーリングPt     100  5   500  傷が高速回復するのではなく、悪化を防ぐためのもの。 水着         30  1   30  逆に聞くけど普段着で水に入りたいと思う? 保存食(1週間)     50  1   50  口の中がパサパサする。 ポータブルカンテラ  60  1   60  ランタンと火口箱が一緒になった便利アイテム。 手鏡         50  1   50  乙女の嗜み。 筆記用具       10  1   10  羽ペン、インク、羊皮紙の3点セット。 スカウト用ツール   0   1   0   2016/7/16 アグライアより譲渡 アウェイクポーション 100  3   300  気絶した人間が飛び起きるほど苦い。 北向きの針      1000 1   1000 太陽は右から出る。 望遠鏡        1000 1   1000 見て!かもめがいる! インドミタブルPt   320  3   960  目が覚めます。 カイトシールド    500  1   500  凧って意味らしいよ! 風車の盾       2200 1   2200 なんかしらんが矢が避ける。(射撃に対して回避+2) =所持品合計=   10010 G =装備合計=    12900 G = 価格総計 =   22910 G 所持金    4060G 預金・借金    G ■魔力■ 知力ボーナス: 3 特技強化ボーナス: 0 武器ボーナス: 0  名前  Lv 追加修正 魔力 神聖魔法 3       6 ■言語■       話 読            話 読 共通交易語 ○ ○ / 巨人語       - - エルフ語  - - / ドラゴン語     - - ドワーフ語 - - / ドレイク語     - - 神紀文明語 - - / 汎用蛮族語     - - 魔動機文明語- - / 魔神語       - - 魔法文明語 - - / 妖魔語       - - 妖精語   - - / グラスランナー語  - - シャドウ語 - - / ミアキス語     - - バルカン語 - - / ライカンスロープ語 - - ソレイユ語 - - ・地方語、各種族語     話 読 名称 初期習得言語:交易交通語、地方語 技能習得言語: ■名誉アイテム■ 点数 名称   5 緑   5 髪   5 騎士  50 エルエレナ惑乱操布術  30 エルエレナケープ 所持名誉点: 22 点 合計名誉点: 117 点 ■その他■ 経験点:580点 (使用経験点:19000点、獲得経験点:16580点) セッション回数:15回 成長履歴: 成長能力  獲得経験点(達成/ボーナス/ピンゾロ) メモ 1- 生命力     0点(   /   / 回)  20160611クエストクリア! 左上さんGM 2- 敏捷度   1260点(1000 / 210 / 1回)  20160716クエストクリア! 下僕さんGM 3- 器用度   1600点(1000 / 600 / 回)  パジャマ炭鉱引きこもり事件の埋め合わせ 4- 敏捷度   1160点(1000 / 160 / 回)  20170214クエストクリア! まろさんGM 5- 器用度   11000点(   /11000 / 回) 調整 6- 器用度     0点(   /   / 回) 7-        0点(   /   / 回) 8- 敏捷度     0点(   /   / 回) 9- 敏捷度     0点(   /   / 回) 10- 敏捷度    0点(   /   / 回) 11-        0点(   /   / 回) 12- 筋力     0点(   /   / 回) 13- 筋力     0点(   /   / 回) 14- 生命力    0点(   /   / 回) 15- 生命力    0点(   /   / 回) 16-        0点(   /   / 回) 17- 知力     0点(   /   / 回)  調整 18- 器用度   1560点(1000 / 560 / 回)  20170307クエストクリア! ゲンさんGM メモ:  マーシィ=ローランドはルキスラ帝国内にある村の1つでこの世に生を受けた。 彼女の両親は共にザイア神官であり、彼女もまたザイアの教えのもとに育てられた。 特に貧しい家では無かったが、厳しい教えと贅沢嫌いの両親のおかげで質素の生活を送っていた。 しかし彼女は厳格な両親とは対照的に、ザイアの神官に課せられた訓練をサボって遊び歩くような娘であった。 そのため、ザイア神官としてはあまり強い肉体を持ち合わせていないが、 教官に怒鳴られても睨み返すような精神力は、常に彼女の原動力となっている。  訓練は抜け出せても、座学を抜け出すことは困難であった。 なにせ教鞭を振るうのは実の父である。抜け出せば晩のご飯は父のお腹に収まってしまう。それだけはなんとしても避けたい。 たが、座学に関しては退屈なものばかりではなかった。 「教養」として与えられる幾つかの詩や小説の中には、彼女の心を躍らせるようなものもあった。 なかでも彼女のお気にい入りは、騎士や冒険者が、邪悪に手を染めた者(もしくは邪悪そのもの)を懲らしめる、といった内容のものである。 胸がスカッとするような勧善懲悪モノが大好きで、彼女自身も物語に登場する主人公のような存在でありたいと常々考えていた。 考えすぎて夢にまで見るほどだ。悪を払い、弱き者を助け、人々の歓声を浴びながらも颯爽と立ち去る自分の姿を。  彼女が17のころ、いつものように訓練を抜けだして仲間と遊びに出ていた彼女にある災難が降りかかった。 彼女たちは人攫いに狙われたのだ。人通りのない道、助けを呼ぼうにも周囲には自分たち以外に誰もいなかった。 仲間たちの中で戦闘訓練を積んでいるのは自分だけであった。マーシィは「素手での格闘で相手の武器を奪う方法」をなんとかして思い出していた。 マーシィは、腹をくくった。 自らの命は、弱き者の命は、私がこの手で護るのだ。 決着は一瞬であった。ただ、マーシィ自身は逃げ去る人攫い達の遠い背中に気がつくまでに長い時間を要したのだが。 頭のなかは真っ白だった。仲間に抱きしめられ、手ぬぐいを差し出されるまで自分の体が返り血で汚れていることにも、 地面に人攫いのうちの1人が転がり息絶えていることにも気が付かなかった。 マーシィはこの日、「悪を斬る」ことと、「人を斬ること」の2つを同時に覚えた。  村に帰ったマーシィ達を出迎えたのは、悲鳴と困惑した表情をした大人達であった。 無理もない。年頃の少女がその服を血で染めているのだから、悲鳴の1つや2つ上がって当然であろう。 マーシィはすぐに大人たちに取り押さえられ、村長のもとに連れて行かれた。 村長に事の詳細を伝え、人攫いの死体が発見されてもなお、マーシィが開放されるまでには3日を要した。 「仲間や自分を護るための行動であった。だが、罪は罪だ」と村長がこぼしていたことを覚えている。 家に帰ったマーシィは、両親に手放しで褒められる。ザイアの神官にふさわしい事をしたと。 だが、彼女の耳にはあまり入らなかった。村長の言葉と、手にした感触と、そして、血に濡れた自分を見る目。 彼女は「物語の主人公も大変だな」と、ぼんやりした頭のなかでそう結論づけた。  その事件の後、マーシィは以前よりは訓練に参加するようになった。 訓練場に顔を出す回数が多くなった自分に対して、他の神官達に嫌味の1つでも言われそうだと思っていたが、そんなことはなかった。 皆、知っていたのだ。彼女の心に宿った騎士の炎を。燃ゆる使命感に突き動かされる体を。 自分たちでさえ、同じなのだ。遅れながらも輝く騎士を、誰も責めはしなかった。  20歳になったころ、マーシィはザイア騎士として冒険者になった。 父の紹介で入れてもらった「シャトー・ホーリーローズ」には、彼女の戦闘スタイルと似た戦い方をする剣士がいた。 頭を下げて教えを請うと、快く引き受けてくれた。 翼竜を乗りこなす騎士がいた。 なんと、かのレーゼルドーン大陸に派遣され、生還したというではないか。 グラスランナーの薬師がいた。 つい最近大型の古代遺跡を発見、探索し、現在調査隊の指揮をとっているらしい。 マーシィはそういった先人達の話を熱心に聞いて回った。心の疼きは、もはや止められなくなっていた。  そして、今。彼女は悪を挫き、弱きを助ける、ザイアの教えに基づいて。 最近はめっきり顔を出さなくなった訓練場の片隅には「騎士神ザイアの名にかけて、正義が邪悪を討ち滅ぼす!」という 汗臭い標語がデカデカと書かれているが…マーシィは、この言葉を結構気に入っている。  マーシィの称号である「緑髪の騎士」はそのまま彼女の美しい髪のことを指し示す。 濡羽色の長い髪の毛は、目に留まれば忘れるものはいなかった。 彼女の戦闘スタイルは騎士とはかけ離れたものであったが、それでも、彼女と冒険を共にした者達は、 彼女のことを騎士と呼ぶ。内に秘めた輝く炎が、彼女を騎士と呼ばせるのだ。  2016/06/11  「シャトー・ホーリーローズ」の店主から、ハイゴ-小国のゴッダクアという街に出向くように言われた。 突然の話で戸惑ったが、その後に差し出された手紙を読んで納得した。 マーシィと同じぐらいに入ったカレンというエルフの娘が、雪山の街ゴッダクアので依頼を受け、そのままそこを拠点に動いているらしい。 この度、ゴッダクアの街で地震が起こり、復興のために人手が必要だ、という内容であった。 マーシィは快く受け入れた。「ちびどらごん」と名付けられたカレンの噂は、なんとなく聞いていたし、 友だちになったというレッサードラゴンにも会ってみたかった。 マーシィは荷物をまとめ、乗合馬車に飛び乗った。  ゴッダクアにある冒険者の店に辿り着いたマーシィは、ひどく困惑していた。 店主は空の酒瓶製造機、備え付けのステージには妙な口調で喋りながら光るソレイユと歌って光るフロウライト、 その2人に向かって頭を縦に振り回すグラスランナーほどの少女。なんだアレ。 ドン引きしながらシチューを頬張っていると、不意に店主に呼び止められた。 集められたのはさっきの妙な3人と、マーシィ、そして、同じくドン引きしていたタビットうさぎであった。 どうやら依頼の話らしい。まぁ、冒険者の店の店主が冒険者を集めて話をするなど、依頼が来た時ぐらいしか無いが。 依頼の詳細は直接依頼人に聞け、ということだった。ここからまっすぐ3日ほど言った場所にいるという言葉とともに地図を渡された。  目的地に着くまでに軽く自己紹介を済ませておいた。 眩しい筋肉をもつソレイユは名をアグライア、性別はおかまというらしい。初めて見た。 よく通る声を持っていて、彼…じゃなかった。彼女もそれを利用して仲間全体に指揮をする。ウォーリーダー技能と呼ばれているものだ。 ファイターやグラップラーのように数多くいるわけではない、むしろ少数派なので、マーシィも実際に見るのは初めてだ。 光って歌っていたフロウライトはローレンという名で、こちらはキチンと男性。バードだそうだ。神聖魔法もすこし使えるらしい。 小柄に見えるが石で出来ているためかなり重い。フロウライトも珍しい種族であるため、やはり見るのは初めてであった。 ヘドバンをキメていたグラスランナーはセリスというらしい。ファイターによる近接攻撃と妖精魔法による補助支援が期待できる。 ヘドバンをキメていた理由は、ただの悪酔いだそうだ。 最後に真っ白うさぎのタビット。彼の名はリウス。マギテックとシューターを用いた銃による攻撃を得意とするそうだ。 余談だがかなり真っ白で、うっかりすると雪の中で見失ってしまいそうだ。  指定された場所にたどり着くと、雪の溶けた広場のような開けた場所と、その真中に建つ大きなお屋敷が見えた。 と同時に、大きな羽音と共に、日光がふっと遮られた。 ずずんと音を立てて着地したそれは紅の鱗と強靭な体をもつレッサードラゴンであった。 マーシィは事前に話を聞いていたためすぐに警戒を解く。恐らく、このドラゴンがサングレアなのだろう。 仲間たちに事情を話し、彼に敵意はないことを伝える。 サンちゃんは「おぉ、来てくれたか」などと言いながら嬉しそうにしている。 その口から聞かされた依頼の内容は、「(えーっと、思い出せないぞ)という場所に、自分の代わりに行ってもらいたい」というものだった。 ローレンから筆記具を受け取ったサンちゃんは、羊皮紙にウィザーズサインを書き込み、「これを見せれば通してくれるはずだ」と 紹介状代わりの手紙を差し出した。 マーシィ達はそれを受け取ると、「その山まで行くのに大体1週間ぐらいかかるな」と目安を付けた上でサンちゃんに 「いつまでに行けばいいか?」と質問する。サンちゃんはすぐさま「今夜までだ」と言った。  マーシィは変な体勢で空を飛びながら、なぜこんなことになったのかを考えていた。 サンちゃんに「今夜までに行ってくれ」と言われたマーシィ達は「無理だ」と即答した。 不思議そうな顔をされてしまったが、我々には翼など無いと伝えると、合点がいったような顔になった。 ウンウン、そーだったそーだった。そう呟くと「ならば俺様が飛ばしてやろう」という言葉とともにマーシィ達を翼で打ち付けたのだ。 その結果が、これだ。 どうやらフライトの魔法と同じ原理であるらしいのだが、龍独自の魔法であるらしく自分ではコントロールすることができなかった。 こちらの心配とは裏腹に正しい方向に進んでいるらしく、すぐに目的の山が見えてきた。ん、いやまて、ちょっとスピードが早すぎな… マーシィの意識はそこで途絶えた。  目の前に脚が2本飛び出ていた。どうやらフロウライトのローレンのものであるらしい。 重さに閉口しながら引っ張りあげると、なんとか雪の中から引っこ抜くことが出来た。 離陸から着陸まで全てが雑だった。マーシィは帰り際に文句を言ってやろうと決意した。 気を取り直して現在地を確認しようとした次の瞬間、空から1頭のドラゴンが舞い降りてきた。 「貴様ら、何者だ。なんの用があってここに来た。」 ドラゴン語のわかるローレンを通しての会話であったが、相手がかなり警戒していることがわかった。 ローレンはすぐさま懐からサンちゃんの紹介状を取り出し、目の前のドラゴンに差し出した。 「ほぅ、貴様ら、サングレアの従者達か。…ん?違うのか?まぁいい。そんなことはどうでもいい」 ため息を1つ 「我の名はキール。ここはお前らの知っての通り、我らドラゴンにとっての聖域だ。 出来ればお引き取り願いたい…が、しょうがない。」 そこまでいうと、キールと名乗ったドラゴンはマーシィ達に1枚の金属板を差し出した。 『永久氷雪の子爵竜』の名と4行ほどの詩が表面に掘られていた。 「それが始まりだ」と一言付け加えると、キールは飛び去ってしまった。 全く意味がわからないマーシィ達であったが、どうやらこれは竜に客人と認めてもらうための試練らしいと解釈した。 この山は人の身では到底登れないような場所もあるため、慎重に探索する必要がある。 サンちゃんは今夜までと言った。下山も厳しい。なにより食料が持たなかった。 マーシィ達は、試練を解くことに専念するのであった。  キールからは試練の話の他にもう1つ話を聞いていた。 最近空を駆けた明るく大きな流れ星の話だ。これに関しては、事前に噂を耳にしていた。 地震の日、揺れたのは夜中であったが、建物の被害に比べて人々の被害がかなり少なく済んだ。 なぜならハイゴ-の住人たちは皆、建物の外に出て夜空を見上げていたからだ。 人々は皆目に焼き付けていた。一際輝き、妖しく尾を引く流星を。 キールによれば、この流星の名は「竜刃星」ドラゴン達に伝わる話では、 この星が空を二分にするとき、厄災が訪れる…ということだった。 放っておけばフォールンソウルと呼ばれる異界の物が、死体に取り憑き暴れまわるらしい。 マーシィ達は少し恐れた。「もし、エンシェントドラゴン級の死体があったなら…?」  太陽が山の頂上に差し掛かった頃、マーシィ達の手元には6枚のプレートと、そのプレートとまったく同じ大きさの「穴」があった。 斜面にあった幾つかの洞窟を調べたところ、1つにつき1枚、最初に渡されたプレートと同じようなプレートが安置されていた。 だが洞窟の中に1つだけ、プレートではなく「穴」が空いている洞窟があった。 おそらくこの穴に正しいプレートを嵌める…というのが、試験の内容なのだろう。 最初に様子見で「永久氷雪の子爵竜」を嵌めてみたところ、激しいブリザードが吹き荒れてダメージを負ってしまった。 二枚目、法則性を確認するために境界竜のプレートを嵌めたところ、今度は魔法の風が吹いた。 それも、先ほどのブリザードよりもかなり高い威力のものあった。恐らく失敗を重ねるごとに強くなるだろう。 時間が無いが、次しくじったら死ぬ。 そう確信したマーシィ達は、熟考に熟考を重ねた。 やがてマーシィは1つの法則を思いつく。どうやら仕掛けを解くポイントは「誰が境界竜グーと遊んだか」にあるらしい。 正確には、「誰がグーの望みを叶えたのだ」というところに。 マーシィはこの時点でなんとなくだが1枚に特定することができていた。 だが自分が吐き出した根拠は薄く、間違えていたら死ぬという恐怖が二の足を踏ませた。 だが思いついてしまったものはしょうがないと、「私はこのプレートだと思う」と進言した。 結局、ランタン代わりのローレンと言い出しっぺのマーシィだけでプレートを嵌めることとなった。 緊張から溢れ出るツバを飲み下し、震える手でプレートを掴んだ。  マーシィは歪んだ空間というものを初めて見た。 歪んだ空間と操霊魔術師の放つスパークのような光線が見えた時は死を覚悟したが、 それはそのまま「洞窟の奥」となり、それきり大人しくなってしまった。 洞窟の外で待つ3人を呼び、「洞窟の奥」を指差す。 「アナタやるじゃない!」とアグライアに背中を叩かれる。 その手は大きく、かなり痛かったが悪い気はしなかった。  「洞窟の奥」の先は、すり鉢状になった山の中央。まるで自然のコロシアムのような場所。 その、ど真ん中。 辺りにはドラゴン達がひしめき、世界中のドラゴンが集まっているのではないかと思わせるほどであった。 しかしドラゴン達は突如出てきたマーシィ達を気にも留めず、中央に視線を向けている。 視線の先を追ってみると、中央にあるちょっとした高台には巨大な卵が置かれていた。 どうしたものかと戸惑っていると、不意に上空からキールが現れた。こちらに気が付いてくれたらしい。 「ふん、何度か失敗していたようだが、その様子だと問題なく試練をクリアしたようだな」 マーシィ達の前に着地し、こちらに顔を向けながら言葉を続ける。 「先にも言ったが、此処はドラゴン達の聖域だ。…だが、試練をクリアしたのであればお前たちは客人として扱う。」 そしてまたため息をつくと、キールは更に言葉を続けた。 「…まぁ、客人扱いはもう少し待って欲しい。お前たちは冒険者だろう?我々の頼みを聞いてくれはしないか?」  フォールンソウル達は死体に取り憑くが、既に取り憑かれた者達は実体を持つ。 成体のドラゴン達には敵わないが、幼体のドラゴンを襲って殺す程度の力はあるらしい。 タイミングの悪いことに、孵化を待つドラゴンの卵がひとつあった。 それが中央に置かれているあの卵だそうだ。 ドラゴン達はこれから「急速成長の儀式」で卵を孵化させ、逃がすことにしたと。 だが急速成長はある一定範囲内のドラゴンを成長させるというもので、 その中にドラゴンが入ると、そのドラゴンも成長…老いてしまうのだ。 だから、孵化が成功するまでの間、護衛としてマーシィ達を置こうというのだ。 成長の効果が及ぶのはドラゴンだけであり、人族にはなんの影響もない。 都合よく人族達がいるのだ。それも冒険者が。使わない手はない…とのことだった。  ドラゴンというのはどうしてこう身勝手なのか。人族に余裕が無いだけかもしれないが…。 まぁ向こうの言い分はわからないわけではないし、こちらとしても協力しない理由はない。 堂々真正面から報酬を要求するアグライアを制して、人の世は面倒なもので、労働には対価が必要だと伝えた。 キールはきょとんとした後、喉を鳴らして笑う「それもそうだ。まぁ安心しろ。ちゃんと報酬は用意してある」 輝く笑顔を覗かせるアグライアをまたしても制しながらマーシィは伝える。「では、ここに署名とサインを…」  決戦の時、マーシィ達は卵を囲んで円になるように配置についた。 フォールンソウル達は何処から来るか分からないが、儀式が始まればすぐに来るだろうとのことだった。 一時的にドラゴンが近づけなくなる時間…狙わないわけはない。  ドラゴン達が、ばらばらに唱えていた鼻歌のような詠唱が、徐々に揃って壮大な音楽を奏で始める。 卵を中心にして半径50mほどに円形の光陣が敷かれる。儀式が始まったようだ。 マーシィは剣を抜く。他の者も、それぞれに己の獲物を手に取り構えている。 一瞬の、静かな時間。張り詰めた空気をそれは文字通り引き裂いて現れた。  リウスが突然声を上げる。振り返ると、光陣の端ギリギリの空間が穴のように歪んでいた。 穴はじわり、じわりと広がりを見せる。人ほどの大きさになると、中から赤い帽子を被った蛮族を吐き出した。 マーシィ達は即座にリウスへと駆け寄る。蛮族の数は3体。 どうやら自爆をするタイプらしい。用心せねば。 アグライアが号令をかけ、味方を的確に配置した。 赤い帽子の蛮族はマーシィ達を気にも留めずに卵へ向かって突進していくが、前衛3人に阻まれる。 苛ついた声を上げる蛮族の1人の頭をリウスが消し飛ばした。 残りの2体もマーシィとアグライアが片付ける。 最後の1体のとどめを刺す直前、穴からもう2体の蛮族が吐き出された。  現れた蛮族は奇妙な格好をしていた。 しかしそれ以上に気を引いたのは、マーシィ達が理解できる言葉で話したということだ。 2体の蛮族は左右二手に別れて卵へ突進する。 マーシィ達は最後の蛮族の息を絶ち、弾けるように反応する。 左にマーシィとローレン、右にアグライアとセリス。その中央にリウスという布陣になった。 右へ走りだした蛮族はダルそうな声を上げると、なにやら魔法の詠唱を始めた。  マーシィ達に衝撃が走る。比喩ではない。実際に突き刺すような痛みと衝撃が襲いかかったのだ。 恐らく魔法の一種だが…覚えがない。おそらく独自の体系の魔法だろう。 気を引き締めてかからねば。 左に走ったマーシィとローレンだが、一瞬早くローレンがたどり着く。 卵への突進を止めたローレンだが、そのまま蛮族の攻撃の直撃を喰らってしまう。 マーシィはよろめくローレンに駆け寄り、剣を構えた。  その後もう一度、二度、蛮族が放つ衝撃の魔法によってリウスが地面に伏してしまう。 マーシィの魔法ですぐに起き上がるが、彼の体力はほとんど残っていなかった。 だが、魔法を放った方の蛮族は集中力を切らしたのか、アグライアの3連撃をその体に受け、そして倒れた。 その様子を見ていたマーシィとローレンの着いてた蛮族は突然背中に翼を生やし、マーシィ達の間を縫うようにして駆け抜け、 穴の中へと逃げていった。裂かれた空間は閉じ、周囲には再び静寂が訪れた…。  儀式が終わり、幼体までに育ったドラゴンを、マーシィ達は眺めていた。 しばらくすると大きな羽音をたててキールが目の前に降り立った。 「すまない。1体逃してしまった。」 ローレンとリウスが申し訳なさそうに「報酬はいらない」というのを手で制して、キールの言葉を待つ。 「ふむ…1体逃したのは確かだが、卵を守ったことも確かだ。全部とは言わないが、キチンと報酬はくれてやる」 キールはそう言うと、2つに割れた卵の殻の片割れを差し出した。 「ほら、持っていけ。」 ドラゴンの卵の殻といえば、貴重なものだ。硬く、靭やかで、武器や防具の素材や薬にまで使われることもある。 時には、そのまますっぽり被って防御に使う変人もいると聞くが…? キールは言葉を続ける。 「さて、サングレアにもよろしく伝えておいてくれ。アイツは全く、いつもいつも気まぐれで…」 キールの言葉に笑いながら、マーシィ達は聖域を後にする。 あぁ、とりあえず、帰って温かいシチューが食べたいな…。 「ところで、お前たち。どうやって帰るつもりだ…?」 マーシィ達は、笑顔を凍らせた…。