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もともとの名前：吉田湊 両親と湊の三人家族。11歳のときに両親が借金苦で練炭による一家心中を図る。 両親は練炭を焚く直前に睡眠薬を服用していたが、湊には可哀想で飲ませられなかった。その最後の甘さが結局湊を生き残らせてしまう。 借金取りの小河内は当時薬師院家の当主である薬師院父にちょっと気に入られており、その日も手柄を立ててやろうと元気よく借金を取りたてに突入したのだが三人ともすでに倒れていた。三人とも病院に搬送されたが両親はODが原因で死亡、湊も数日の間意識不明だった。 第一発見者になってしまった不遇な小河内は、金は回収できなかったがこの子供を借金のカタに労働力として使えばいいと考えて湊を拾うことにした。 借金漬けの吉田家は親戚一同から縁を切られており、引き取り手はいなかったので湊も拒めなかった。 目が覚めたら両親は既に骨（引き取り手がないことで迅速に火葬処理となった。同じ墓に入れることを親戚に拒否され、遺骨は合同墓に入れられた）、裏稼業の家に引き取りが決定している。色んな事が一気にありすぎたし、栄養失調で常にぼんやりした思考で処理できる情報量ではなかった。 そんなこんなで退院と同時に養子縁組がなされた。 ずっと貧乏で満足に食事もできなくて、学校でも毎日同じ服を着ていることでいじめられていた湊は、生活水準だけは『普通』になることができた。両親の命と、カタギの生活と引き換えに。 ヤバい家に引き取られたという噂もすぐに回っていじめられなくなり、栄養状態がよくなって集中力が増したおかげで元来の勤勉さが発揮されるようになる。(EDU高め) １年が過ぎたころ、順調に湊を養育していることへの褒賞として小河内は幹部に昇格した。 幹部に昇格した小河内は更に張り切って湊にヤクザとしての『英才教育』を施していった。そのあたりで樹が生まれ、湊は樹の世話を任されるようになっていく。 「人殺しだろうと子守りだろうとなんだってします、もう僕に帰るところは無いのでいいんです」 薬師院家の姉御・親分・若たちとは仲がよい。 現代日本のヤクザとはかくあるべきという姉御のご意見を取り入れた小河内に指導を受け、検挙されると組織に迷惑がかかる拳銃は教わらずに携帯しやすいナイフを習う。小河内の使う古武術も仕込まれ（MA）、戦闘員としてぐんぐん成長していく。 学校では相変わらず誰も近づいてこなかったが、家に帰ると年下の『弟』たちと遊ぶので忙しかった。 12歳のとき生まれたお嬢は湊が中学を卒業する辺りでもうすでに「あなたはわたちのけらいなのよ！」と湊を振り回すようになっており、友達がいないことも大人から白い目で見られていることも湊は気にしなくなっていた。 そうして対外的には礼儀正しく、裏社会の人間であるようには見えない好青年に成長した。 お嬢がかつての自分と同じぐらいの年になった辺りで、おませな彼女に小河内との血縁関係がないことについて質問されたことがある。(湊は養父の小河内を叔父貴と呼んでいるため) 「ああ、死んだんです本当の親。私を置いて。自分たちは完全に死ねるように薬を飲んだのに、私にはくれなかった……　酷いひとたちだ」 「両親が死ななければよかった、なんて思っていませんよ。安心してください。そんなやわな心でこの稼業は務まりません」 「どうせあのまま生きていても、貧乏で辛いだけでしたから。知ってますかお嬢、何日もまともにご飯が食べられないと幻覚が見えてくるんです。勉強どころじゃない。だけど学校には給食があるんで、そのために行くんです」 笑いながらそんな風に話して、何を言っていいかわからなくなって目を伏せる彼女を見下ろして。そういえばあの時の俺もこれぐらいの年だった、ってふと思って。 「一緒に連れて行ってくれれば、なんて思ったりは、しましたよ」 ぽろっと本音を零してしまう。 「あ、今の冗談です。冗談ですよ、ほら怒らないで」 （……こんなふうに想う心がまだ残っていたなんて、な） （違う、この子が思い出させたんだ） （余計な事しないでくれ。俺はこのままずっと、使い潰されて終わりでいいんだ。借金のカタである自覚を持て） ……でも、考えてみろ。本当の家族と生きてきたのは11歳までだった。今の俺は、同じだけの時間を薬師院のお屋敷で暮らしてきた。 などとたくさん考えた結果、湊は背中一面に菊の花と蛇の図案の和彫を入れる。 裏社会の男として、誰にも葬式をしてもらえないような死に方をする覚悟。そして今後も狡猾に生きていく決意を込めた刺青。龍なんて大それたものはこれから若たちが背中に背負うだろうから、自分は蛇くらいでいい。 家族の絆なんて存在しない。手放しで愛し愛される関係なんてない。利用価値がなくなった者から消されていく。そう思っていたけれど、だから何だ。 この命は恩義に報いるためにある。 組織の教えに従い、『兄貴分』『親分』『姉御』へのリスペクトを重んじ、『若』『お嬢』への親愛を胸に日々過ごしている。 小河内の叔父貴とは親子のような舎弟のような複雑な関係。たぶんいざとなったら弾除けにはなろうとする。 でもそこで、お互いそう思ってかばい合うことになって喧嘩になる。「アンタ幹部の自覚がないのか！？」「クソガキが！　お嬢の付き人はてめえだろ！」 名付け 賀茂郡南伊豆町　湊 静岡市清水区小河内 職業技能：言いくるめ、隠す、隠れる、心理学、聞き耳、目星 ＋キック、ナイフ

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