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かげうら　みゆ(仮名) 梅雨の時期に紫陽花に隠れて雨から逃げるように蹲っていたぼくを彼が紫陽花の中から引きあ上げた。 暗い夕暮れの中彼は電話を忘れたと一人愚痴る。 記憶もなく行くところもないと言えば、そのうち思い出すだろうと、家に置いてくれた。名乗る名もなく不便だったため出会ったのが梅雨であることと夕暮れだったため瑞雨と夕暮れからとり「瑞夕(みゆ)」と名付けられた。借りた風呂場にタオルを置きに来た時に彼が驚いた声でタオルを落とした。基本的に「みゆ」呼ばれている。ぼくはおじさんと呼ぶことにした。 ぼくのおぼろげな記憶の海におじさんは悩んでいたけれど、なんだかんだで一年過ごしている。紫陽花の紫色からおじさんはたくさんの色を教えてくれた。 ぼくはまだ、言っていないことが二つある。そのうち一つは伝えなければ。 『ありがとう』って。 通過シナリオ 孖゛獄の虚星墜つ 余命二ヶ月　2２日フィティッシュ

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