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「……誰だよ、お前」 「居場所なんて、……」 一人称 オレ 二人称 オマエ 基本的に名前は覚えない。先生は先生。 *☼*―――――*☼*――――― 小さい時に両親が事故で亡くなった、らしい。よく覚えてないが。 そこから親戚のウチを転々とたらい回しにされ、入った中学の数は2桁を越える。当然友達も出来ず、親もおらず、愛ある家など無く、嵐樹は分かりやすくグレた。 家を飛び出したところで、遺産目当てに自分を受け入れた遠い親戚が自分を気にかける訳もなく。中学の知り合いの知り合いで出来た悪い伝手を辿って、日々をなんとか生きていた。 生きる為には金がいる。先輩達は金払いの良い仕事を幾つか紹介してくれた。良くない薬を売ったり、中から嫌な音のする倉庫の見張り番をしたり。仕事をすればする程、自分の中の何かが悲鳴をあげて壊れていくのを感じた。そういうのは大抵、見えないふりをしていれば小さくなるのだ。生きろ、生きてさえいれば何とでもなるのだから。のらりくらりと生きながら、いつかマトモな生活を送るのだ。 ……でもやっぱり、温もりが欲しかったかな、なんて。 *☼*―――――*☼*――――― ヘマをした。 今度の仕事は完全に遊びだった。いつも河原に住んでるあの髭の生えたじいさんを的に、石を投げ……たり。こんなん仕事じゃない。軽く拒否してみたらにやついていた笑みをするりと剥がし、先輩達は二度と仕事をくれなくなった。金が無ければ飯が食えない。家もない、何も無い、空腹で倒れて死にそうだ。 せめて、誰かに惨めに思われたくなくて、誰もいないところで死にたいなあと思って、嵐樹は意識を手放した。 「お、起きたか。おはよーさん」 警戒心のまるでないその声と、久しぶりの暖かい室内を今でもよく覚えている。 *☼*―――――*☼*――――― 【狂魘惨毒ストレイド】(2021-1-21) 先生、捨てないで、 おれもう悪いことしないから

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