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俺はいわゆる”天才詐欺師”だ。 物心ついたころにはもう俺の周りに親と呼ばれるものは居なかった。だから俺の名前は俺が決めた。 生きなきゃいけないと思った。そのために盗みでもなんでもしていた。その技術すら独学。 そのうち俺は自分に人をだます才能があると気づいた。人生のターニングポイントだった。俺は詐欺師になることにした。動かせる金の額がぐっと上がった。 今となっちゃ取った金の額なんてもう覚えちゃいねぇ。 普通の人間は(サツ含め)俺を知らない。だが裏じゃ有名人。 だから、どこからか俺の情報を聞いて何かしら言いにくい依頼をもったやつが俺のところに来る。俺はそれと交渉する。ビジネス。今はそうやって金を稼いでる。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 今回の依頼者は国栖映司ってやつ。たしか相当な資産家だったはずだ。 案の定依頼料に結構な額出してきた。 が、その依頼内容はこう。 「ある記憶喪失の女の子の治療のため、彼女の死んでしまった恋人を演じてほしい」。 額に対して、そしてこの依頼先に対してあまりに拍子抜けな内容。 もし俺が”ただの詐欺師”だったらノータイムでOK、むしろ簡単すぎて蹴ってやもしれん。 だが俺には一つ大きな問題があった。 「「「PLに恋愛経験がないのである」」」 故にその内容は二つの意味で驚きを隠せなかった。 動揺が隠せない俺にやつはこう言った。 「無理に他人を演じる必要はありません、あくまであなた個人が彼女の恋人を演じるだけで構いません。”天才詐欺師”たるあなたには然程難しいことではないでしょう？」 あぁやってやってやるとも！そんなこと簡単だ！！ いいだろう！俺は天才詐欺師だからな！！！

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