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矩一紗夜夢(ｸｲﾁｻﾖﾑ) 性自認があやふやマン。好きな人はこの世の人類。男でも女でも誰でもなんでもいい。この世界にいて自分の存在が目に映る人なら、映ってなかったとしてもそれはそれでいい。愛したがり。 二卵生の双子として生まれてきた。一人は母に引き取られて孤児院へと投げ捨てられもう一人は父親に引き取られた後その父親を亡くし転々と親戚をたらい回しにされることとなる。矩一は後者。矩一は最終的に引き取ってもらった親戚の苗字で本来は千雪紗夜夢でした。どちらが幸せかは微妙なところ。 薄ぼんやりとした記憶でしかないけど、母親の姿を少しだけ覚えている。父親のことも大好きだった。優しくて暖かな人だった。 ……ように上手く記憶を改竄しているけれど実際母親の顔なんて1歳の時に見たっきりで多分覚えていないし父親からはネグレクトを受けていた。父親が死んだのも多分精神を患っていたからだと思われる。毎日のようにぶたれるし息をしてるだけで殺されかける小学校6年の毎日の中でちょっとずつ何かがすり減った結果今の彼があるのでしょう。矩一はそのあたり全く覚えていない。 そんな状態で引き取られたからはじめはこの子も精神を患っているのだろうと腫れ物のように扱われた。笑わないし泣きもしないしただじっと部屋の隅で足を抱えている子供、哀れには思うけどどうにも触れたくはないよね。はじめは子供のいない夫婦のところ、反応のない人形を育てたいわけじゃないと言われ次は同い年の子がいるところ、ここで同い年の子に言われた「お前の父さんキチガイだったんだってな」って言葉にブチ切れて大乱闘、ボッコボコに殴りまくったあとで我に返る。もちろん追い出される。余計に引き取り手無くなる。父さんを馬鹿にされたくない。だっていい人だった優しかった最後までこんな僕のことを気にかけてくれていたっていう幻想に縋って生きてるから、それを否定されると無茶苦茶になる。なので完璧な人になろうと思った。 優しくずっと笑っていて、なんでもはいって返事をして、哀れまれている時は可哀想な顔をして、どうしてそうするかはわからなかったけど、とにかく笑っていれば、愛していますって自分の何かを差し出せば、人は自分のことを悪く言わないって学んだ。 矩一家に引き取られたのは多分高校生の時。それなりにお金持ちの家で跡継ぎが欲しかったので引き取られました。成績が良かったのかもしれない。矩一さんちはよくも悪くも放任主義だったので共働きだったこともあって紗夜夢は大金持たされて放っとかれたんだと思います。高校生、家に帰っても1人、その時にはもう性自認があやふやで自分は男なのか女なのかもよくわかっていなかった。髪が長かったから、女の子みたいだねって愛してくれる人もいたし、すらっとした体つきを素敵な男性だねって愛してくれる人もいたから、その人が望む性別が良くなってた。 時々やばい人に引っかかってめちゃくちゃにされたこともあったけど、それでも1人よりずっとマシだった。 でも結局都合のいい短期間の付き合いばかりで、紗夜夢はそれしか知らなかったから、いつかちゃんと自分が人を愛することができるようにならないと、きっと愛しては貰えないんだって高校3年間で学びました。 大学はもっと人の気持ちが分かれば愛してもらえるかもしれないって思ったので心理学科。学校の保健医になったのは単位数をできるだけ多く取りたかったから。勉強してないとすぐに人に会いたくなるから。でも学ぶにつれて学校の環境の中にも自分と同じように愛されないことで心を壊す子がいるのかもって思ったらその子たちを助けることで自分も愛とはなにか知ることが出来るのでは？って考えに至ったのも事実。 お菓子を持ち歩いたり配るようになったのは、甘いものを食べると少しだけ人肌恋しさが収まるって知ったのがエスカレートしていった結果。他の人も好きなもの貰って喜ばないなんてないでしょ？っていう愛の押し売りです。心理学学んでるから自分が記憶を改ざんしてるのも甘いものと人間に依存しているのもわかっているけど、それ以外の生き方を知らないから仕方ないよねって諦めてる。綺麗なものだけ見ててもいいよね 杏ちゃんに関しては、よく保健室に来る子だなーくらいの認識だったのに、家庭にもどこにも居場所がないの、保健室が居場所だと思えるって言ってくれる彼女を小さな自分と重ねてしまい、小学生の恋愛ごっこみたいなことをはじめてしまった。大丈夫。杏は僕が守ってあげるからね。って手を繋いでお話したり頭を撫でたり、プレゼントもあげたりしたかも。内緒だよって手作りの小さなぬいぐるみをあげました。 そんなこと誰ともしたことがなかったから、自分の心が彼女のことを考えていて、杏ちゃんのことを考えてる時はお菓子がなくても平気な自分に気がついて、もしかしたら、これは愛なんじゃないかって思ってたら、彼女は自殺して死んでしまいました。 諦めにも近い何かと、ごめんね、僕が愛を知らないから、きっとあなたに愛して貰えなかったんだって心ぐちゃぐちゃにしてます。表には出せないけど父親を失った時と同じ暗くてよく分からない何かが心の底に溜まってる感じ。死んだの、自分のせいだと思ってるし、今現在無力感の塊ではある。 シナリオを通過して いい子ちゃんでいるのをやめました。 「杏、これからはずっと一緒だね。」

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