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隠崎衛門　かくれざき　えもん 中性的な顔立ち、線の細い身体、しかし身長も低いわけではなく、しっかりと男性の体にはなっている 眼鏡、ぼさぼさの天パ、おしゃれだとかそういったものにはあまり関心がないのだろうといった印象を与える 学校では特定の友人もおらず、孤立というよりは背景として認識されている様に見える 委員会は図書委員をやっているが、文学少年というわけでもない 目つきは決して柔和とはいいがたい そんな彼ではあるが、いつも夢想するのは宵闇の中無数のパトランプに囲まれながらも高笑いと共に闇に消える自らの姿。 彼は怪盗に憧れていた。アルセーヌ・ルパンの様に神出鬼没で華麗な怪盗に。 そんな夢想を現実にするため必要な技術、知識を彼は本を読み漁り、ひたすらに反復することで身に着けた。身に付いた読書の習慣はその時の名残である。 人とは得てしてそういうものである。彼は身に着けた技術や知識を試したくて仕方がなくなった。 そのために一つの仮面を作り上げた。 『怪盗ラ＝クラバット』 無論、本来学生である彼にたいそれたことはできない。 時間も、資金も、行動力も制限されるからだ。 所詮できるのは、大人たちから言わせれば怪盗ゴッコ。目の敵にするようなものではないはずだ。 しかし、彼が予告状を出せば10人からの警察が動き、現れれば全力で捕縛しようと躍起になる。 何故か、怪盗ラ＝クラバットは本来身に着けるべきものを身に着けていない。 全裸にネクタイ、マント、シルクハットに赤いアイマスク。これが奴の正装だった。 その姿はさながら不審者、というより正に不審者である。 昼は大人しい地味な学生の、夜は闇夜を飛び回る怪盗（もとい不審者）。 二つの仮面を手にする彼こそ隠崎衛門である。

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