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加倉友峻(かぐら　ともたか)。関東圏の田舎の医者の息子として生を受ける。幼い頃より父に憧れ、医師の道をめざす。人柄も温和でニコニコしているタイプだった…ある事件が起こるまでは…。 今から5年前心臓外科の専門医を取得して、都内の大きな病院で研鑽を積んでいた時、難しい症例に置いて患者を死なせてしまう。元より成功率の低い手術であったが、何せ相手が悪かった。…某大物政治家だったのだ。成功せず相手を死なせてしまったことで彼は医療事故として訴えられてしまう。病院側も圧力を受け、彼のミスが原因であると責任を転嫁する形で…！ …それ以後借金とりに怯えながら暮らしている。不幸中の幸いとしては医師免許の剥奪にならなかった事と実名報道されなかった事…。でも、肩書きばかりじゃどうしようもないのだ。 ビクビクしながらも身なりだけはニコやかに…本心を悟られないように…。 そんな中だ。資産家の丹野さんから話が持ちかけられたのは。借金をチャラにできる大金が入る。そうすれば汚名返上し、再度医師の道を目指せる…！ 即決して私は船に乗った。…どんな手段を使っても金を得てやる…！ 「火点し頃の蜘蛛踊り」 PC4：観光客 あなたは、多額の借金を抱えている。もし、9 月までに 2000 万円を用意できなければ、あなたは屈強な借金取りたちによって殺されてしまうかもしれない。どうにかして数日中に 2000 万円を用意しなければならないあなたの元に、一人の資産家・丹野洋介が訪ねてくる。八肢島にあるという謎の石・霊石を持ち帰ってくることが出来れば、2000万でも 3000 万でも払うと言うのだ。借金取りから逃げたいという気持ちもあって、あなたは八肢島行きの船に乗ることとなった。 あなたの目的は『借金を返す』こと。9 月 1 日までに霊石を盗み出し、丹野洋介の元へ届けることが出来ればあなたは借金を返すことができるだろう。 職業：借金を抱えていれば自由 年齢：不問 性別：不問 推奨技能：≪交渉技能≫、≪隠れる≫ など （準推奨：≪戦闘技能≫） 技能ポイントとは別に、≪隠れる≫と≪忍び歩き≫に+50%される。 1日目セーブ 霊石の存在を知った。 丹野洋介の存在を知った。 この島の置かれている意義を知った。 …俺がしなくてはいけないことの意味を知った。 持って帰らねば俺は死ぬ。借金返済のアテになるものがない限り。 だが、持って帰れば島民はどうなる？ 嬢ちゃんや少年は？？ 船に乗る時、なんとしてでもという覚悟は決まったつもりでいた。…それなのに。 少年の眼には、沖山の目には覚悟が宿っていた。 …俺は死にたくないから彼らを見捨てようとしたのに彼は命を賭しても島を守ろうとしてる。 医者の端くれが人を救わず、自分を守ろうとしてる。 …あの時された事と同じじゃないか… 眠れない。薬を飲んで眠りに着こう。 …俺はどうすれば。 シナリオ生還。 後書き …救えなかった。 村人も、設楽さんも…あの少年も。 逃げた。逃げ帰ってしまった。 島から帰った直後、島の惨状がニュースで流れた。…我々が知る内容とは全く異なる形で。 我々が知ってはいけない禁忌なのだろう、私は何も言わない事にした。ニュース以外の話は正直覚えていない。 沖山くんが貰ったこのダイヤで俺の命は繋がれた。俺は何も出来なかったのに、彼は俺に全てを取り戻してくれた。 あの日の事は今でも夢に見る。美しい海、真実を知らぬ中楽しんだ蜘蛛祭り、島民の方々(主に信子と秋穂さん)、救ってくれた菅原さん、船に乗ってきた他の2人…地獄のような惨状、暴れる化け物…そして俺らを島から出すために覚悟を持って残った設楽さんと沖山くん…。 俺があの島に行かなければこんな事にはならなかったのか？俺が丹野に騙されなければ…。島に行かなければ彼等を知らず後悔の念に苛まれず死んでいたのか？ … 帰ってきた直後、我が身を呪った。だが同時に彼らの為にも生きねばと思った。…生きる事が彼らの贖罪になると思った。 ダイヤは売り払い、金を得た。今では念願だった医師として働いている。 一方、あの時共に逃げ帰った黒井、菅原さんとは連絡を取り合っている。というのも彼らは追われる身となったらしい。私はその逃亡の手伝いをしている。…彼らを助ける事が島に残った2人からの願いのように思えて。 暫くして3人であの島を訪れた。一縷の望みを、彼らとの再会を夢見て。…何も叶わなかった。 島は何も残っていなかった。化け物の痕跡すらもなく何もかも無くなっていた。 …私が死ぬときはここに骨を埋めたい。願わくば彼らの、我が命の恩人達の碑と共にここで眠りたい。 彼らが点した私の火が消えるまで、私は彼らを忘れる事はないだろう。

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