タグ： 海枯れ HO1

ミュージシャン：言いくるめ、聞き耳、芸術(歌唱)、製作(作曲)、説得、心理学、値切り、他の言語(英語) 一人称「僕」、二人称「君」、語尾「～かな」「～だね」 濡れたような艶のある髪に深い青色の美しい目を持った女性。 見目もそうだがその声も非常に美しく妙な心地よさがある。 生活能力は皆無に等しく、やっとお茶が入れられる程度。 起きている時はいつも無表情だが、眠るときは穏やかな顔になる。 夢を見る彼女はよく歌う。その歌声は聞くものすべてを魅了するかのように美しく、優しい。 以下秘匿関連 ヴァーチャルシンガー「浮舟」として話題になった女性。 非常に美しい容姿と声をしているが、素顔は異父兄以外に明かしていなかったため正体は誰も知らない。 美舟はある財閥の不義で生まれた子供だった。 そのため多くの人間から避けられ、隠匿され、愛されずに生きた。父と母の顔すら知らなかった。 美舟は自分に自信がなかった。 愛されないのは、自分の性格が悪いのか、見た目が醜いのか、喋り方が不快なのか、何もわからなかった。 いつしか美舟は誰とも会わず、自分の空想の世界で歌だけを歌って生きていた。 そんな彼女を救ってくれたのは種違いの兄・浮蓉(ふよう)だった。 彼は彼女を自宅に引き取り、彼女の見目や声を褒め、会話を交わし、居場所を与えた。 浮蓉は音楽家であったため、美舟にいくつかの曲を作り、彼女に歌わせた。そうして生まれたのが「浮舟」であった。 美舟にとって兄との時間は穏やかで幸福だったが、長くは続かなかった。 優しく才能のある兄は精神を病んでおり、その症状は徐々にひどくなっていた。 通院を重ね、薬を服用しても彼の症状は治りきらず、その果てに兄は命を落としてしまう。 転落死した彼が事故だったのか、自殺だったのかは不明だ。 美舟は全ての財産と浮蓉の楽曲の権利を受け継いだ。受け継いでしまった。 それは浮蓉が彼女の兄であり、父だったからである。美舟は浮蓉と彼の母の間に生まれた子供だったのだ。 そして、彼女は出生届すら出されておらず戸籍すら存在していなかった。 兄は赤の他人の戸籍をどうやってか手に入れ、彼女に与えていたのだ。 世間では彼女は「霧藤 薫(むとう かおる)」という存在だった。 美舟はようやく自分が愛されない理由と、兄の病の正体を知った。 どうやって知ったのか、浮蓉の死の前後の記憶は美舟も曖昧だった。 もしかしたら、兄を殺したのは真実を知った自分だったのかもしれない。真実はもうどこにもないが。 彼女にとってそれからの人生は緩やかな旅のようだった。 何度も自分の存在を問い、苦しみ、投げ出し、傷つき、もがき、それでもまだ死ねないでいる。 しかし、この苦しみの中で生きることこそが自分への一番の罰なのかもしれないと、そう思って目が覚めるのもまた事実だ。 ただ歌うことだけが彼女の心を癒し、慈しみ、夢を見せる。歌こそが彼女の呼吸なのだ。 いつになったら死ねるのだろうかと、何度も自分に問いかけながら、彼女は今日も身を投げる。

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