タグ： 混沌 悪

FHセル「蜃気楼」に所属するFHエージェント。 カジノ内での仕事は向いていないため、出勤することはほとんどない。 セル同士の勢力争いやUGNの攻勢の鎮圧が主な仕事である。 普段の立ち振る舞いは至って普通の好青年だが、目だけはいつも死んでいる。 外部に記憶する媒体に興味を持っており、今のトレンドはカメラ。 彼が常に抱いている欲望は「自分自身が何者であるか」である。 勿論そんなもの自分の中にあるはずなのだが、自分自身を空っぽと揶揄する彼には永遠に満たされない命題である。 睡眠・気絶をキーとして記憶の一部を失ってしまう病気に罹っている。 主に消えるのは「他人の情報」「自身の名前」「物の名称」などである。 毎日日記をつけており、その日何があったか何を感じたかを明確に記している。 表向きは問題の無いように振舞うが、彼の自我は全くもって不安定である。 24時間以内に寝ている時間によって度合いが変化し、7時間を基準としてそこから離れるほど症状は悪化する。 例えば24時間不眠の後に寝起きすると肢体の動かし方を忘れ、戦闘時の獣性が一部むき出しになる。 この奇妙な特性が仇となり扱いの難しい駒としてFH内では認識されている。 これがFHの実験の結果なのか、はたまた別の理由なのかは闇の中である。 戦闘時においては本能的ともいえる野蛮な動きで行動を行う。 普段の彼とは全く違う姿、言動、思考が目立ち二重人格も疑われていたが、在りし日の本人曰く「あれが素で普段は理性で強力に押さえつけている状態」らしい。 月夜の渡烏 『僕は君だ。そしてこれより前の頁の彼らも君だ。』 『君は全てを忘れてしまう。』 『意識を手放せば君の記憶は消えてしまう。』 『君にあるのは17時間の一生だ。』 『ロスタイムは認められない。だから君はこの生を精一杯謳歌してくれ。』 『そして、この日記に新たな頁を記してくれ。』 『朝日と共に生まれてくる君のために。』 『じゃあ、』 『さよなら』…っと。これでいいかな。 ……ああ、僕は消えるのか。 この堪え難い怠さが消滅の前兆なんだ。 別段悪いものじゃない。むしろ心地良いくらいだ。 ……明日の僕、リーダーはそこまでしっかりした人でもなかったよ。意外と脆い人なんだよ。 ……明日の僕、サルビアちゃんは怖くないよ。案外優しい子だよ。 …………ああ。目が霞んできた。もう開けてられないや。 ことばをもっとつむいでいたい。みんなにえがおでおはようといいたい。ふれたい、ふれられたい。これがこうかい、きっとそうだ。でも…ああ、のこらないなら、こうかいじゃないな。ふふふ わらっておわかれだ。きょうはきっといちばんのきょうだった。 おやすみ。……さよなら。

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