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片鱗　HO：高校生 「…。今の最悪な日々が少しでも変わるならなんでもしてあげる。」 「天気、オレは雨が、特に雷が鳴っている日が好き。…悲鳴も怒号も、ものが壊れる音も、雷とか雨の音で幾分かマシなんだ。それにそんな日は姉さんが絶対に側にいてくれたから。」 「もう帰るね。…今日はオレがおばあちゃんの相手する日なの。」 笑顔が顔に張り付いてしまった高校生。 表情が固定されたように動かないものの、その微笑みとは裏腹に、心情は諦観と怨嗟、自他共に対する叱責や呪詛がぐるぐると渦巻いている。 ■秘匿ハンドアウト HO1　高校生 ＜家庭＞ ・貴方の家庭はとても居心地が悪い。アルコール依存症の父親と精神が病んでいる母親、そして認知症でトラブルメーカーの祖母。 ・物心ついた頃から両親は飽きることなく喧嘩をしており、家庭の悩みの種は常に尽きない。性格の悪い祖母が引き起こす問題について家庭内の雰囲気は年々悪化しており、居心地の悪さといったらこの上ない。 ・両親の怒鳴り声や、物が壊れる音が自分の部屋にいても聞こえてきて、喧嘩の騒音で早朝に目が覚めることもよくあることだ。 ＜きょうだい＞ ・貴方には4つ上のきょうだいがいる。口数はそう多く無い地味な人柄だが、貴方に対してはとても優しい。 ・貴方と共に居心地の悪い環境を耐えてきたが、県外の大学に通うため家を出ていった。きょうだいの性別は好きに決めて良い。 →姉！ ＜憎悪＞ ・貴方には快く思えない人物がいる。それは学校のクラスメイトだ。貴方は主犯格の生徒とその取り巻きから軽蔑されており、陰湿で証拠が残らないようないじめを受けている。彼らせいで貴方は理不尽な扱いを受け、日々の学校生活は一概に楽しい物とは言えないだろう。 ＜願望＞ ・貴方はストレスの要因となっているものに対して『死んでしまえばいいのに』、『苦しんでほしい』と願っている。もしかしたらストレスの要因である人物を痛めつける妄想を何度かしたかもしれない。 ・貴方はストレスの要因について寛容ではないタイプなのだろう。心の中で嫌悪が黴のように蔓延って増殖している。 ＜その他＞ ・貴方は何かしらの趣味がある。趣味を一つ決めてKPに言うこと。 ・貴方は普通二輪の免許を持っている。運転技能に+10%。 最悪な家庭。 アルコール依存症の父は、昔は頼れる父だった。 精神を病んだ母。昔はよく笑う優しい母だった。 認知症の祖母。昔はとても博識で、いろんなことを教えてくれた。 ………ような気がする。これは自分の願いが生んだ虚偽の記憶だろうか。 どうしてこうなったのだろう。毎日怒鳴り声が、悲鳴が、ものが壊れる音が聞こえる。 そんな家庭の中で、唯一逃げ込めるような暖かな場所が姉だった。…そんな姉も家族に耐えかねて大学進学を機に家を出てしまったが。 姉のことは恨んではいない。よくこんな酷い環境で自分のために貴重な人生を何十年も使ってくれたものだとすら思う。寧ろ姉は、父や母がしてくれなかった役割全てを担ってくれたのだ。そろそろ休養が必要だとすら考えている。 今となっては姉の息災を知ることが心の寄る辺である。大丈夫。あとちょっとで自分もこの家から出るのだ。そうしたら姉と笑って再開し、自由になった互いの身を祝福したい。そう思っている。 …いや、嘘だ。自分一人だけこの環境から逃げ出したことを怒っている。ずるい。どうしてオレひとりこんな所へ置いて行ったのか。ここを出たら真っ先に姉に文句を言いに行ってやる。そう思っている。 …いや、違う。そうじゃない。優しい姉になんてことを。…………とりあえず、姉に会いたい。こんなところに居たくない。

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