タグ： きたさと はると

"正義"に生きる男。 捜査一課出身の叩き上げの刑事。 警察官僚の一家に生まれ、幼い頃から警察官になるべくして徹底した教育の中で育てられた。 彼の家庭ではいかに善良で、社会のために"善"である事ができるのか、"正義"として在れるのか、それだけが彼に対する評価、ひいては彼への愛情の全てであった。 幼い彼に嫌というほど植え付けられたその価値観はじわじわと彼の心を歪ませた。 小学生だった彼はある日、同級生の一人が下級生に暴力を振るう現場を目撃した。 次の瞬間、彼は迷いなく同級生の後頭部に石を振り下ろした。 幸い同級生の命に別状は無かったが彼は教師から叱責を受け、助けた下級生は彼に感謝するどころか彼を悪者のように扱った。 しかし、彼の両親は違った。彼のした事を褒め称えたのだ。 よくやった、お前は正しい事をした、間違っているのは彼らで、それこそがお前が持つべき正義なのだ。と。 彼はその日気づいた。 そうか、僕だけが良い人間で、他のみんなが悪い人間だったんだ。と。 彼にとって他人とは無自覚な"悪"であり、彼が正さなくてはいけない人間であり、自分とは全く違う存在だった。 それから彼は"善"であるために他人から尊敬され、敬愛されるように振る舞うすべを学び、彼らを導く存在であろうとしてきた。 そして彼にはそれができる能力があった。 警察学校では優れた成績を収め、主席として卒業した。 若くして配属された捜査一課ではその能力から多数の事件を解決へと導いた。 その一方で課内では彼の捜査は強引すぎる、犯人やその家族に対する配慮は無いのか、という声も多く囁かれていた。 親切から彼に忠告する同僚も居たが彼は耳を貸さなかった。 "悪"を排除するための行為は"善"であり最も尊重するべきものではないか。そんな事を気にしているからこの社会にはこんなにも平然と"悪"がのさばっているのだ。と。 しかし、世間ははそうは考えていなかった。 とある事件でのほんの僅かな違法捜査が切っ掛けで上層部は彼は厄介払いするように彼を一課から零課へ異動させた。 幼い頃から憧れてきた警察に失望しかけていた彼が相模原に出会ったのはそんな時だった。 彼女は彼にとって今まで生きてきて初めて見つけた揺るぎない善良さを持つ人間だった。 心から信頼し自分の背中を預けられる、そんな人間に会うのは生まれて初めてだった彼は、彼女を大切にするために自分が何をしてあげればいいのか分からなかった。 彼は周りの人間がそうしていたように彼女に交際を申し込んだ。彼女も満更では無かったのだろう。 少なくとも彼女と交際していた日々は彼にとって充実した、かけがえの無い時間であった事は確かだろう。 彼女と過ごすうちに少しずつ彼の心は癒やされていった。 自分の"正義"は本当に正しかったのか。そんな疑念すら抱くようになった。 もはや彼女の存在こそが彼にとっての"正義"だった。 零課の仕事は彼の能力を活かすにはもってこいの仕事だったし、他の同僚達へも徐々に気が許せるようになっていた。 しかしそんな幸せな時間もそう長くは続かなかった。 自分は本当に彼女を愛していたのか、今となってはそれすらも分からない。 あの日から、彼にとっての"正義"は死んだ。 彼が現在も刑事として働いている動機は彼女を殺した犯人がどんな人間なのかその顔を一目見てやりたい、それだけだ。 自分を突き動かすこの感情は犯人への怒りか、刑事としての"正義"からか、彼女への弔いか、はたまた自己満足の単なる好奇心なのか、今となっては彼自身もわかっていない。 それまでは誰とでも気さくに接する明るい男に見えたが、3年前の事件があってからは常に自分の感情を押し殺しているかのような慇懃で冷たい人物になった。 仲が良かったはずの零課の人間とも一歩距離を置いたような距離感を保っている。 事件後は暇さえあれば3年前の事件のデータを見返し、古今東西の様々な猟奇殺人事件の記録、プロファイリング、猟奇殺人犯に対する精神医学的な分析など独自の観点から調査を進めている。 その執着は他人からすれば最早狂気とも言えるだろう。 実は元々彼女にいいカッコしたいが故にコーヒーをブラックで飲み始めたが、飲んでいるうちに愛飲するようになった。 名前の由来は偽善者:hypocriteのもじり ひぽくりと→ひほくりと→ほく り ひ と→北 里 陽 斗 言わずもがな、偽善に生きてきた男だから 死別したヒロインが涼なので温かい感じの名前にしたかったので陽を入れた 冷たい家庭で育っているので冷たいふるさとというイメージで北里、他人を勝手に推し量る人間だから斗という文字を入れた

※歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
↑ページ上部へ