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警視庁特殊犯罪零課（汐田班）の現チーフ。 小学4年生の時、高速道路での玉突き事故に巻き込まれ、両親を亡くす。奇跡的に無傷で生き残った3歳年下の妹・穂乃（ほの）だけは守らねばという気持ちで生きて来た。 もともと埼玉県の出身だったが、父方の親戚の家（叔父家かな）に養子として引き取られることになったため、父の実家がある福井県に身を寄せる。そのため、普段は標準語だが、気を許した相手や興奮した場合などに福井弁が出ることもある。 叔父一家（不妊のため子無し）はとても温厚で心優しく、快く理人と穂乃を迎え入れ、実の子のように大切に育ててくれた。叔父達は大学あるいは専門学校へ行きたいなら学費を出すと言ってくれたが、理人は高校卒業と同時に警察官採用試験を受検することを選び、合格して警察学校に入る。警察官になることは両親を亡くして以来の夢であり、「大切な人を守れる職業に就きたい」との考えから理人は一刻も早く警察官になり、刑事を目指したかった。 警察学校卒業後、東京へ配属された理人は上京し、一人暮らしを始める。東京での警察官としての生活を意欲的に過ごし、23歳で晴れて刑事講習へ参加できることに。福井の大学に通っていた穂乃にそのことを報告したところ、大層喜んでくれ、「お祝いに東京まで行くよ」と遠路はるばるやってきてくれる。 冬休みを使って東京へやって来た穂乃を一人暮らしの家に招き、二人でクリスマスパーティーをしようと意気込んでいたクリスマスイブの夜。二人で街中へ繰り出し、華やかな街中を歩くことを楽しむ。理人が何か買ってやろうとしても、穂乃は遠慮して何が欲しいのか言わない。しかし、穂乃がショッピングモールの一角の水色のマフラーを名残惜しげに見つめていたことに目ざとく気がついた理人は、店の外に出てから「トイレへ行く」と嘘を吐き、穂乃を店外に残してマフラーを買いに行く。 ショッピングモールで買い物を済ませ、階下へ降りてゆくと何やら騒がしい。不穏にざわつく群衆の向こうの道路へ目を凝らすと、所々に血痕が飛び散り、何人もの人が倒れている。その横に救急車、パトカー、「立ち入り禁止」のバリケードテープを貼って行く警察官。嫌な予感に我を忘れて群衆を掻き分けて道路へ飛び出すと、血まみれの穂乃が担架に乗せられて運ばれて行くのが見えた。 何が起こったのかもわからないまま無理やり穂乃に付き添って救急車に一緒に乗り込み、穂乃の様子を見守るが、意識はない。理人の必死の呼びかけにも応えることのないまま穂乃は息を引き取った。 真相としては、理人が店内でマフラーを購入している間、運悪く外の道路で通り魔による無差別連続殺傷事件が起こっていたのだった。通り魔は、その場に駆け付けた警察官によって射殺されたため、死亡。死傷者20人にも上るこの事件は、後世に凶悪事件として名を残すこととなった。（ぽけの探索者・栗栖光國が遭遇し、その家族が全員殺害された事件と同一。） 大切な人を守りたくて刑事を目指したはずが、自分の力の及ばないままに最愛の妹を失ってしまい、理人は悲嘆に暮れる。そんな時に支えとなってくれたのが、先輩刑事の相模原涼だった。 涼は、イブの殺傷事件に駆け付け、犯人を射殺した刑事張本人だった。刑事責任を問われるかと思いきや、犯人が正に17歳の少年（当時の栗栖光國）を刺殺せんとしていたこと（緊急性）や、事件の凶悪性が加味され、涼は起訴や処分を受けることなく、引き続き刑事として従事することとなっていた。 「妹を守れなかった」「こんな自分には刑事になる資格はない」と悔いる理人を、「あなたに刑事になる資格がないなら、私にもその資格がないということになる。だって私は、あの事件で、あなたの妹さんを含む20人の被害者を守れなかったから」「全部を守りきるのはきっと無理。でも確率を上げることはできる。そのために努力するのはまだ遅くない」「あなたには十分刑事になる資格がある」と涼は励まし、理人が刑事講習に参加できるよう促した。 涼の言葉に心を動かされ、刑事講習に参加した理人は、やがて刑事になる。精神的にタフでありながらも、誰に対しても優しく温厚で、人の悩みを真摯に聞くことができる思いやりのある涼に理人は次第に惹かれていく。理人が26歳の時、「全部を守りきることは無理かもしれないけど、涼さんだけは守りたい」と言って諒に告白。二人は付き合い始める。 周囲には黙っていたものの、3年間仲睦まじく涼と付き合い続けていた理人。いずれは結婚して家庭を築きたいと夢想していたが、3年前の「庭師」による事件で諒を失う。イブの殺傷事件で穂乃を亡くした時と同じく、このことも正に青天の霹靂と言ってよかった。「涼さんだけは守りたい」という言葉を守れなかったことを激しく悔いた。 涼を失ったショックに酷く打ちひしがれ、その悲しみは現在まで続いているが、涼の生前の姿と言葉が理人を動かしている。 「涼さん、俺わかったよ。涼さんは『全部を守りきるのはきっと無理』って言っていたけど、そんな考えじゃ甘いんだね。大事なら全部守らなきゃ。そう、全部。100%を目指すんだ」 という信条を胸に、今日も汐田班として刑事事件の解決のために奔走している。 理人の考える「全部」とは、自分の関わったもの「全部」。つまり、汐田班のメンバー全員であり、関わった事件の関係者であり。とにかく自分が関わった人間は「全部」守らなければならないという強迫観念に取り憑かれており、ゆえに高い精神力を保ち続けている。 気配り上手で温厚。面倒見がいい。ただ、怒ると怖い。部下の粗相は積極的に尻拭って行くが、厳しい一面もある（死なれたら困るので、生死に関わる案件については厳しく指導する）。

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