タグ： old

　彼女の家は京都の外れにある。成宮家は京都で有名な家と血が繋がっている。しかし、決して権力があるわけではない。彼女の祖父は名家の末弟で家の中でものけ者にされていた。なにがなんでも家に取り入りたかった祖父は一人息子がいる家に嫁入りに向かわせるため、娘を欲しがった。あいにく祖母が産んだのは男の子だったが、その子供として生まれた紬はやっとこさ生まれた女の子だったのだ。 『女の子らしくしていなさい』 　彼女が幼い頃から言われ続けていた言葉だ。紬自身は元気で活発な子であったが、幼い頃から彼女はそれができないような環境だった。それでも紬はできる範囲でやりたいことを自分でやっていた。 　そんな中、紬が高校生に上がった頃両親から京都の有名な家にお手伝いに行くことを命じられた。普段やったこともなかった給仕や服装、紬には初めてなことばかりで窮屈で仕方がなかった。うまく行かない仕事で押しつぶされそうだったある日、家に一着の着物が届いた。焦った紬は急いでその服をもって屋敷に向かった。 「すみません！あの、こ、こんな高価なものいただけないです！」 差出人だったその家の一人息子、九条大和の部屋に入った。 「あぁあんさんか、よう来はったね。まぁお入り」 言われた通り紬は部屋に入る。 「あんさん、その服あってへんやろ。僕もそれほど詳しいわけじゃないんやけど、知り合いに見繕ってもらったんや。ほら、いいから着てみ」 その服は驚くほど自分にあっていて窮屈な服よりも幾分と動きやすかった。 「今度からはその服で仕事をしんさい。...大変よなぁ、求められるも、見捨てられるも」 　自分のことを気にかけてくれていたと理解した紬はとても嬉しい気持ちになった。 「あの！服、ありがとうございました！」 すると大和は微笑んだ。 「ええってお礼は。あと、この家弓道場のあるから、自由に使ってもろて構わへんよ」 　紬は両親からの束縛はあるが、それでも自分の好きなように生きようとしてる。それが彼女のいいところなのだ。

※歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
↑ページ上部へ