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介護士+大学教授ベース --- 「キレイなお母さんだね」母を見た人はみな口を揃えてそう言う。 自分はそんなこと一度も思ったことがなかった。暇さえあれば鏡を眺め、男に依存していないと生きていけない母。少しでも構ってもらえなければ他の男へと擦り寄って、そのたび殴られ詰られて。いま思えば、明らかにさまざまな精神疾患を患っていたのだろう。 小学生のとき、一度だけ母が授業参観に来たことがあった。自分を16歳で産んだ母はまだ20代も前半で、派手な顔立ちをより際立たせるような濃いメイク、肉つきのいい身体を惜しげもなく見せつけるような服装、酔ってしまいそうなほどに甘ったるく濃い香水をその身に纏わせた母は、当然のように注目を集めた。 ざわめく教室。保護者たちは一斉に顔を顰めていたけれど、クラスメイトたちからは「すっごくキレイ」「お母さん若くていいなあ」「センスいい」と口々に褒められた。悪い気は、しなかった。嫌いで仕方なかった母のことを、少しだけ見直すことができた。 その日の放課後、教室で母と担任教師がセックスしているところをクラスメイトに目撃された。 それからは地獄だった。学校では「お前に触ると性病が移る」とイジメられ、家では毎日のように違う男と母が身体をまぐわせている。男が「ガキがいると気が散る」なんて言おうものなら、凄まじい剣幕で追い出される。居場所なんて、どこにもなかった。 母が連れ込む男はだいたいがマトモな人間ではなかった。とある日はストレス解消のために殴り飛ばされ、とある日は少年である自分までを性のはけ口にしようとし、とある日は「お前はここから産まれてきたんだよ」と、母の女性器を指で開いて見せつけられた。このことが決定打となり、性嫌悪を抱くようになる。 母親譲りの容貌も、すらりと伸びた手足も、嫌で嫌で仕方なかった。前髪を伸ばし、メガネをかけ、できるだけ背を丸め、息を潜めるように生きてきた。高校生になって、母に隠れながら必死にアルバイトをし、貯めた金で大学進学を機に家を出た。地元から遠く離れた、自分を知っている人は誰もいない土地に。引っ越した先は狭くて古い六畳一間だったけれど、自分にとっては楽園のようだった。 小学生時代のあの日から、友達らしい友達はできたことがなかった。けれど、ここでなら、自分でもマトモに生きることができるかもしれない。そう思って、前髪を切って、メガネを外した。明るくなった視界に慣れた頃、2人の友人ができた。 --- 母がフィリピン×日本のハーフだったのでクォーター。 カラオケバイトとたまに日雇いバイトを掛け持ちしている。 --- 一人称：おれ 二人称：きみ

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