タグ： 濃縮還元

《職業：放浪者》（クトゥルフ2015より） 職業技能ポイント：EDU×10+STR×10 世界を旅しつつ博打を打つ旅打ちギャンブラー。海外のカジノによく出入りしており、ポーカーやブラックジャック等のカードゲームを得意としている。言葉巧みに相手を騙すよりは寡黙かつ冷静に相手の思考を読む戦法を好む。 良くいえばクール、悪くいえば冷淡な性格の持ち主。あまり多くものを言うタイプではなく、その少ない言葉もやや粗暴さが垣間見えるため初対面の印象は決していいものとは言えない。一言で表すならば無愛想。 人並外れた剣術を有しているが、自分は剣を持つ資格がないと自覚している 以下バックストーリーの為、閲読不要。 彼の生い立ちは壮絶だった。 父親は酒に溺れ毎日ギャンブル三昧、気に入らないことがあれば母や彼に暴力を振るい、母親は優しささえあれど、病弱で寝込んでいることが多かった。そんな家庭では金がどれだけあっても足りなかった。現代にあって戦災孤児並の生活を余儀なくされ、食事を摂ることもままならず、食いつなぐ為に盗みを働くこともあった。 …しかし、そんな暮らしに終止符が打たれる。 彼の盗みが父にバレたのだ。父は「お前がちゃんと教育しないからだ」と母にいつもの倍以上の暴力を浴びせた。 ―このままでは母が殺されてしまう。 危機感を覚えた彼は行動を起こす。父の部屋に飾ってあった刀を手にし、一目散に父へと斬りかかる。もちろん刀など触ったことすらなかった。しかし彼の太刀筋は見事なもので、一瞬にして父の命を奪ったのである。 そうして父による暴力の応酬は終わったが、母の命はもはや風前の灯火であった。虫の息の母を抱き起こすと母は一言「……守ってあげれなくて、ごめんね…」と言い残し、この世を去った。彼は一夜にして、肉親を2人も失った。弱冠10歳の事である。 その後は騒ぎを聞いた近隣住民が通報、彼は保護され事情聴取を受けることとなるが、何を喋るでもなくただ一点を見つめるだけであった為、警察は状況証拠のみで夫婦喧嘩のもつれで暴行を受けた母親が父親を殺害。その後母親も父親からの暴行が原因で外傷性ショック死したと決定。被疑者死亡のまま書類送検された。 彼はその後、父方の祖父に預けられることとなる。他の親族は既に他界していた為、唯一の肉親はこの父方の祖父のみであった。祖父は山奥で剣術の道場を開いており、放心した彼に自らの剣術を叩き込み、ここで立派に育て上げる事に決めた。稽古は毎日のように行われ、勉学も祖父から教え込まれた。どれも苛烈で厳しいものであったが、その日の食事もままならなかった彼にとって、衣食住の揃った生活が出来ているだけで満足だった。そして彼に対して真摯に接する祖父の温かさも加わり、疲弊していた心は徐々にではあるが回復し、身体も順調に成長していった。元々のセンスもあったのか剣の腕もみるみるうちに上達し、彼の太刀筋は人斬りの時代に生きた侍と遜色ない程に洗練されていた。 ようやく順風満帆な日々を手に入れた彼であったが、また災難が降りかかる。 ―祖父が倒れた。 実のところ祖父は重い病を患っており、本人も残り少ない命だと自覚していたようだ。自らの息子のように愛していた孫に迷惑はかけまいと、体調が優れない時であっても気丈に振舞っていた。その甲斐あってか最後の日まで弟子はおろか孫にも悟られることも無く、その生を終えた。 人間的に尊敬し、父のように慕っていた祖父…何より唯一の肉親であった人の死は、彼にとって衝撃だった。だが彼は気丈に振る舞い続けた。祖父がそうあり続けたように。 法要が一段落ついた後、兄弟子から祖父の遺言状を渡される。そこには自分の道場と遺産を全て彼に託すこと、免許皆伝を与えること、師範に命ずることが書かれており、最後は「お前は人を守る人間になれ」という一文で締められていた。 今やこの道場一の腕前であった彼が師範になる事に、誰も異論は唱える者はいなかった。遺言通り、彼は道場を継いた。この時20歳。人を守るという信念の元、弟子たちの稽古に励んだ。だが祖父の期待に応えようという彼の思いは、空回りしていく。立派に師範を努めようと思う度、稽古は苛烈を極める。音を上げる者には手を出した事もあった。そんな彼についていく者は1人、また1人と減っていっく。彼が継いだ時20人程いた門下生は、1年で5人にまで減った。それでも彼についてくる5人を、彼は愛弟子として愛した。 彼が自分の誤ちに気づいたのは、愛弟子に放った一太刀だった。 「大丈夫です。これくらいかすり傷ですよ」そう言われ見た傷は、何十倍にも大きく見えた。人を守る事を信念としてきた自分が、いつの間にか人を傷つけていたのだ。 道場を畳み、剣を置いた。祖父に合わせる顔が、なかった。 "人を守れ"そんな言葉から逃げるように日本を離れた。ギラギラとした装飾が施された空間で、目の前に置かれたチップとカードを見つめタバコをふかす間は、その言葉が頭から消える気がした。

※歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
↑ページ上部へ