タグ： 海も枯れるまで(HO1)

彼女はとても美しい。その美しさに惹かれ、仲良くしていた身の回りの人たちは成長するにつれ嫉妬や歪んだ愛を持つようになった。それでも、成長しても態度が一切変わらない家族が居たから彼女はありのままの自分でいようと思えていた。だが2年前、彼女が大学2年生だった頃家族が交通事故で亡くなってしまった。たまたま彼女が一緒に出かけなかった日の事だった。支えを失った彼女は医者になる夢を捨てて大学を中退し、それからずっと放浪している。己の死に場所を探すために。 生まれ育った地を去る際、彼女は性別を偽り始めた。常に男物の服を着てわざと男の子のような口調で話す。別の地でまで以前と同じような目で見られたくなかったからだ。それでも、彼女は髪だけは伸ばし続けている。家族がよく褒めてくれた美しい白髪だけは…。 死のうとしても死にきれなかったり恐怖が勝ったりして幾度もやってきた自殺行為は1度も成功していない。死ぬことも出来ないままダラダラとこの放浪の旅は続いている。今の彼女の関心は死に場所を探すことにしか向いていないだろう。

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