タグ： アルジャーノンの伝言

統星 咲空(すばる さくら)(17) (旧姓:不二 咲空(ふじ さくら)) 「おはよ。今日の一限なんだっけ？え？現国？しょうがないなぁ、ほら、先生来る前に写しなよ。お礼は購買のパンでいいからね」 　AB型。どこにでもいる普通の男子高校生だが、過去に両親を二度失っている。 　性格:基本的に人当たりが良い。何事にも好き嫌いがなく、もっと言うと物事にこだわりというものがなく、どことなく達観した雰囲気を持つ高校二年生。授業前日に予習をし、課題は休み時間や帰宅後にさっさと終わらせるタイプ。つまり優等生。頭がとてもいい。友達も多い。幼少期は今より少し気が弱く泣き虫だったらしい。 　そんな彼が唯一優先し固執するのが姉に関わることである。友人からはシスコンだと再三からかわれており、自分でも「僕はシスコンだからなぁ」と冗談めかして口にすることはあるが、実情はもっと深刻である。 「僕がまだ四歳の時に、お父さんとお母さんが死んだ。交通事故だったんだって。今でも覚えてる。急ブレーキと、へしゃげた車と油くささと焦げた匂い。お父さんもお母さんも真っ赤になって動かなかった。もちろんとても悲しかったけれど、大好きないとこのかすみちゃんと、これからずっと一緒にいられるって聞いた時は、本当にほんとうにうれしかったなぁ」 境遇:四歳の夏、親戚の集まりへと向かうため父親が運転していた車が玉突き事故に巻き込まれ、サンドイッチ状態で車体ごと押しつぶされる。シートベルトの金具が壊れ運良く座席の間に滑り落ちたおかげで奇跡の無傷生還を果たしたが、前座席にいた両親は即死。両親が潰れる様を間近で見ている。精神的ショックで一時は喋ることもままならなかったが、母方のいとこであるKPCの家へ引き取られることが決まるや否や精神を即座に持ち直したやべぇ幼児。好きな子の前で格好悪い姿は見せられないというなけなしのプライド。 　そのまま伯父夫婦の養子としてKPCの弟となり十二年間ほど過ごしてきたが、十六歳の時に家族旅行に向かう途中の高速バスが大型トラックに追突され高架下に転落。KPCが庇ってくれたのもありまたもやほとんど無傷での生還となるが、両親は死亡。KPCも心を壊してしまい、そのまま入院の運びとなる。 　現在は自宅で一人暮らし。一応長男ということで、親戚の手を借りながら喪主を務めあげた。どうでもいいけどこいつ親戚間で「死神」とか呼ばれてそうじゃない？ウケる。部屋をいつも綺麗にし、料理を作り、いつか帰ってくるKPCのために「いつも通り」を保とうとしているらしい。 KPCとの関係:従姉で姉で幼馴染。二歳の頃から彼女が好き。KPCのことを「お姉ちゃん」ではなく「かすみちゃん」と呼ぶ。 　彼女のことが本当に大好きで、恐らくきっと初恋だが、成就しなくてもいいとは思っている。KPCが幸せであることが第一であり、もし誰か好きな人が出来たのならばその恋を全力で応援するし、その障害になるものは全て取り除いてみせるので、結婚式には是非スピーチを任せて欲しいと思ってもいる。それは悲観的な感情から来るものではなく、文字通り「好きでいられるだけで幸せだから」。一度死んだはずの己が未来を望むことが出来る自体奇跡のようなものなので、彼女の目に映る美しい世界の片隅に自分を入れて貰えるなら充分嬉しいのであった……。無欲か？本当に高校生か？え？ 　前髪の編み込みはKPCの真似であり、いつも身につけている首元のリボンは幼い頃、泣き止まない己に彼女が結わえてくれたリボンである。今も大切に使っている。 「おはよう、かすみちゃん。今日のお花はガーベラだよ。いい匂いだね。うん、大丈夫。僕はここにいるよ。ずっとずっと、ここにいるからね」

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