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【経歴・表】 　政治権力にも通じる影響力を持つ大企業『マック・ザ・ナイフ』の社長令嬢。 　国際化を謳う父はプライベートでもそれを実践しており、母は英国人である。 　世間一般の親子の触れ合いからは程遠い関係性であったが、公人としての父は深く尊敬しており、そんな家に生まれた己に恥じないように生きてきた。 　文武両道、というにはやや武に偏っているきらいはあったものの勉学の方に手を抜くこともなく、一方で才覚を発揮した武においては県大会で優勝するほどの実力を身に着けた。 　しかし中学三年目の夏、全国大会に向かう飛行機にて事件は起こる。 　警報、メーデー、飛行機の窓の外に見える『何か』、衝撃、浮遊感。 　断絶する意識と記憶。 　次に目を覚ました時、彼女は望まぬ力の代償に多くのものを奪われてた。 　特に喜怒哀楽のうち『怒』の感情を奪われているのは大きく、対人関係に大きな支障をきたした。 　このまま帰るわけにはいかない。今の自分はあの家に迷惑をかけることしかできない。 　そんな強迫観念に憑りつかれた彼女は、日常から離脱し、己から感情の一角を奪った怪異を追う生活を始める。 　彼女にとって幸運だったのは、その最初の第一歩でＢ市の繁華街に流れ着き、怪異探偵事務所の庇護下に入れたことだろう。 　今の自分のまま生きるノウハウを得た彼女は、事務所の所員として活動する傍ら、プライベートで手がかりを探すという、新たな日常を得たのだから。 【経歴・裏】（閲覧自由） 　彼女が自身の感情を奪ったと思い込んでいる『怪異』自体は存在しており、それにより飛行機事故が発生したのも事実だが、実は感情や記憶の欠落と『怪異』は無関係。 　彩歌は大会で優秀な成績を残したことによりＦＨに目を付けられ、拉致同然の勧誘対象になった。そこに『怪異』が介入したため計画は失敗に終わったが、ＦＨの手元には彩歌のＤＮＡマップが手に入った。 　この『彩歌』はオリジナルではなく、ＦＨがそのデータをもとに作成したコピー。工作員として教育し、オリジナルとすり替えるつもりだったのが、自身をオリジナルと誤認したコピーは暴走。施設を脱出し行方をくらませてしまう。 　記憶や感情を奪われたのではない。元から持ってない。再現に失敗しただけのことだ。 　巻き込むわけにはいかないと自ら連絡を絶ち、いつか帰りたいと願う家は、とっくの昔に本物が帰宅している。 　彼女を指す彼女だけの記号は、怪異探偵事務所の所員であることを意味するコードネーム“インパチェンス”のみである。

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