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表の顔はN市立花巻植物園の園長さん。朗らかに笑い。自分の子供の様に植物を愛でる一方、その知識を来園者に伝えることを楽しみにしている。 裏の顔はN市にあるUGN支部の支部長。若手を見守り、自身の力を“日常を守るために”使いなさいと教える。 支部があるのは植物園のカフェの倉庫、床下収納に見せかけた階段から入れる植物園の地下に建設された地下施設。30名ほどの植物園職員のうち、数名のオーヴァードのみが知っている。 支部で働く者の殆どが非戦闘員であり、自分の身を守れるものは市内で花屋などを営みこの植物園、もとい支部と関わりを持ちながら生活をしている。 祖父の影響から自然科学を学んでいたこともありUGNに助力する形で20年前のパンデミックの調査班に参加。そこでレネゲイドウイルスに感染してしまう。起源種〈オリジナルレネゲイド〉とカテゴライズされるその力は地面から茨を生やし相手を蝕む力を持つ。 覚醒した後、UGNに正式に所属し、頭角を現わしていく。サポーターとしての力を買われあらゆる作戦に参加していくことになる。 一方、表の顔として営んでいた植物園に通い詰める女性、麗華と意気投合し、自身の秘密を隠したまま結婚することになる。 時折、留守を預けることがあるのを心苦しく思う中、自分に戻る場所があることが彼の力を大きく伸ばすことになる。 まさに薔薇色の人生だったといえる。この時までは。 ある時、任務中に一本の連絡が入る。謎のオーヴァードが交戦していること。そしてその現場が植物園であること。 任務を一時中断し、急ぎ現場へと戻るとワーディングが展開され、火の手が上がる植物園に炎を操る見知らぬ男と、砕けた氷の欠片の中に横たわる麗華の姿だった。 駆け寄る彼を尻目に、淡々とその女が我々の組織FHのエージェントであったこと、情報を盗み取る為に接触したにも関わらずほだされ逆に情報を与える機会を作っていたこと、そして終いにはFHから抜けようとしたことを語られる。 突然のことに何も返すことが出来ず、FHのエージェントと思しき男は逃がしてしまう。程なくして到着した医療班：ホワイトハンドの尽力も虚しく帰らぬ人となる。 失意の中、遺品から彼女の遺書にも似た手紙に男が語ったように自分の素性とそして自らもオーヴァードであったことが綴られているのを見つける。 “例え何があろうとも貴方がくれた時間とあの薔薇を守れるようになりたい、貴方が信じてくれ女でありたい。そうありたかった”と。 焼け残った薔薇、あの日の作戦の情報提供者が匿名の人物であったこと、全てが彼女の手によるものだったことを悟るも、言葉を返す相手は亡き後だった。 焼け落ちた植物園は事故として処理され、後にN市のUGN支部として再建される。 その事件を知るものは彼をこう呼ぶ。―—今は亡き華を想い。茨によって囚われる者。パラサイトラブ《花弁亡き薔薇》と。 <ハンドアウト> 原因不明の異常気象がN市で頻発しているある雨の日、霧谷雄吾がキミの支部を訪れ、異常気象の調査を要請した。どうやら、この状況には、レネゲイドが関わっているらしい。霧谷によれば、FHは“セティボス”というオーヴァードを生み出したという。奴等の陰謀から、このN市を守らなくては。

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