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失感情症及びその影響での味覚障害の少女 元・特殊捜査班所属 エリート街道を歩んできた夫婦の元に生まれた。 幼い頃から父と母から英才教育を受けてきた。 小学生の頃、夏休みに描いたイラストが県で最優秀賞を受賞した際に父と母から褒められ「頑張ったらまた誉めてくれるのかな」と勉強や他の習い事も頑張るようになる。 しかし、次々と深雪が成果を出すようになってくると両親はいつの間にか深雪が成果を出すのは当たり前のことと思うようになってしまう。 それからの日常は悲惨だった。 まるでゲームで強いキャラを育てるかのように、ひたすらに勉強や習い事ばかりをやらされる日々。 彼女はそんな中で少しづつ壊れていった。 常にいい子でいるために、自分を偽り、いい子を演じ続ける。 頭脳明晰で人当たりのいい女の子をずっとずっと演じ続けるうちに深雪は本当の自分と、感情を見失ってしまった。 それからの彼女は、ただ親に敷かれた道を歩き続けるあやつり人形、深雪はそんな自分が嫌いだった。 だけど、何かを変えたいとも思えない。あやつり人形に意思なんてものは無い。 そんな風に過ごしていると、高校で不思議な青年と出会った。 「ねえ、どうして笑ってるのに笑ってないの？」 仮面を見破られたのは初めてだった。思わず少し動揺してしまう、でもすぐに取り繕う。 それ以降、彼はよく私に話しかけてくるようになった。 なんで笑ってないのかはあれから聞かれなかった。 どんなものが好きなのか、嫌いなものは何か、趣味はなにか、そんな他愛のない話ばかりをしていた気がする。 彼はどこか変わっていて、会話の途中にたまに変なことを言う。それに耐えられずに少し笑うと 「あ、今の笑顔は作り物じゃないね！」 と嬉しそうに言うのだ。 彼と過ごすうちに、失っていた自分が少しづつ見えてきた。 でも、元の性格には戻れそうにない…元の性格なんて忘れてしまったから。 それならせめて、彼の前では今の自分を出そうと思い、その青年の前では少しづつ本当の自分を出すようになる。 卒業を控えたある日、彼が自分の夢について語ってくれた。 「俺はみんなの笑顔を作るんだ！ミュージカルのキャストになって世界中の人達を笑顔にするんだ！」 誰かをカッコイイと思ったのは初めてかもしれない。そういった彼はキラキラ輝いて見えた。 夢なんて考えたこともなかった。両親の敷いたレールの上を歩き続けて、あやつり人形のまま死ぬのかと思っていた。 でも、彼が笑顔を作るなら…私は笑顔を守りたいな… そうして深雪は警察官を目指した。 それは両親の敷いたレールと同じ道だった。 しかし、彼女を操っていた糸は…その瞬間に切れ落ちた。 彼女が元の性格に戻ることは無い、本当の自分もまだ見つかっていない。感情の起伏も薄いままで、常にいい子を演じるのは既に彼女に染み付いた癖のようになっていた。 両親の刻みつけた呪いはあまりに重かった。 しかし、彼女はそれでも歩き続ける。今までと違い、自身の意思で、彼の作った笑顔を守るために クリア ・ビスクドールは微笑まない　第一章 悪夢で再び自分には価値がない、お前の力だけでは何も成すことができないと突き付けられ、戻りかけていた感情が再び霧散する。 けれど高校の時に手に入れた意思だけは消えることはない。

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