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ゴーストライター 文　翔琉（ふみ　かける）/28歳 物忘れが多い、自分の世界に入りやすい 独り言も多い、好きな食べ物「チョコボール」 5人家族の末っ子 幼少から静かで大人しく、本を読むのが好きだった 翔琉が10歳の時両親が蒸発し 上の兄と姉とは分れて親戚に引き取られる その環境はとても良いものだったとは言えない 翔琉は空気のような存在で 小さな個室が居場所であった 暇さえあれば本を読み 小説を描いた 透明で薄い自分の存在を小説の中でだけは 濃く美しく、また表現ができたからだ その文才は人々に認められ 高校生直木賞受賞作に選ばれる 親戚の手のひら返しに動揺を隠せず 体中を駆け巡る、黒い何かがそれを嫌悪し 次第に体を壊しやすくなる ある学校の帰りに見知らぬ車に乗れと言われてついていくと 「俺のために本を書け、その分の報酬はお前の人生だ」と言われる あの家から出るためなら 自分の人生など安いものだと承諾した。 彼女は個室で本を描いた だが、それは資産家やセレブの間でバイブルと称されブランド化 持っている者こそ金持ちというラベルになったのだ 中身の価値を微塵も理解できないであろう人々に 彼女の文才は削られていく 彼女に与えられたのは ペンネーム『群青　誠』 あとがきページに乗る写真は資産家の息子の傲慢な笑みだ 私はずっと空っぽだ、大切な本も私のものではない 私は薄く透明で、いつでも消えてどこかへ行ける 私には何もない、きっとこのまま何者にもなれないのだ そう感じていた矢先、始めたゲームがあった 自分ではない名前、アカウント 自分の世界ではない世界で 生まれ変わったような気持ちになった オンラインで協力し モンスターを打ち倒し、更なる武器、更なる防具を身に着け 更なる強敵に立ち向かうゲームだ 初めて一人ではない気がした 初めてそこにいたいと思えた オフ会で紅葉狩りへ行く企画が上がり 勇気を振り絞って人に会いたいと思った。 資産家の息子にはすべての行動を監視されているため オフ会の件を頼むのには気が引けたが 彼は軽返事で「行って来い」という 条件は「群青　誠」である事を世間に知られなければ 存在を許すというものだった 私は久々に外へ出て、文　翔琉を表に出す いや、アカウント名で言うなら「竜殺しのキョロちゃん」

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