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どこにでもいるごく普通の男の子として生きてきたはずが、高校の卒業式の朝に全てを思い出した。 前世、自分は「東向 日葵」で女の子で、シェルターから出て拓水と一緒に手掛かりを探し旅をしてて、最後拓水のそばで死んだことを。 ……なんでわたし男の子になってるの！！？？ 恐らく前世で「守れる力があれば…」と思っていたから男子に転生した感じ。 前世を思い出す前も無性にぬいぐるみに惹かれたり、将来の夢も自衛隊とか警察とかだれかを護れる職業に就きたいって思ってたり、何かと前世の影響受けてた模様。そのまま自衛隊員になった。 でも前世では考えられないバリバリ武闘派になっちゃって、自分の事ながらちょっと困惑してる。「日葵」の頃は運動スキル皆無の勉強しかできない子だったのに…転生ってすごいなぁ…… 先に前世を思い出していた零と龍心に見つけてもらえ、最後転生後の拓水が見つかったって零から連絡もらって駆けつけたが、こっちは「拓海」で女の子になっててまだ思い出してなくて、しかも強姦被害の後だってこともあって冷たくされて一週間は塞ぎこんだ。隊の同僚や部下にめちゃくちゃ気使われた。とにかく拓海に怖い思いさせた男は本当に許さない。殴れるものなら殴りたい。 その後拓海が前世を思い出し、土下座してるのが見えたけどこっちはやっと本当に”拓水”に会えてうれしくて、男の姿とはいえめちゃくちゃ泣きながら零と龍心がいるにも関わらず抱きしめた。やっと会えたんだもん、許して。 という事があった後、拓海と同棲生活を送っている。元々自宅通勤が許されていたから大丈夫だった。 拓海へのプロポーズは考えているが、まだ拓海が学生だってこともあって言えない。社会人になったら言うんだ、頑張れ自分って思ってる。 ほら今度はお前の番だよ、しっかりせぇ、ヘタレ度増してんじゃねぇよ by中の人 前世思い出してすぐは本気で自分のことがよくわからなくなってたし、まず自分の一人称に違和感しかなくて大変だった。 いまはもう慣れて一人称は「俺」ですごせてるし男として生活できるけど、卒業式直後は何度も「わたし」と言いかけてた。 拓海のことは前世のように「拓水くん」って呼びたいけど外だとそれは変に思われるんだろうかと気にかかって、だからといって「拓海ちゃん」と呼ぶのも違うし…と、前世ではずっと言えなかった「拓海（拓水）」と呼び捨てで呼んでる。最初はめちゃくちゃ緊張した。でも拓海がこうやって名前よぶたびに嬉しそうだから自分もうれしい。 高校時代以前も、顔の良さもあって密かにモテてはいた。けど全く興味なかったため告白されるたびに断ってた。同級生の男子に「お前、まじで勿体ねぇよな」って毎回言われてた。 今度こそ、彼を守りたい。生きてほしい。 わたしがあなたを守るから。そのために生まれ変わったんだ。 ただ、もしどうしようもなくなった時は、僅か一秒でもいい、どうかわたしより長くあって。 AF 【紡ぐ縁の編飾り】 夜空のような紺色の組紐に、きらきらとした銀色の小さなガラス玉が施されたもの。 ほんの少し海の薫りがする。 これを所持している親しい間柄のふたりは、どんな暗闇でも、死後の世界でもお互いを見つける事が出来るだろう。 あなた達が紡いだ縁の糸は、それだけ強い繋がりたり得るのだから。

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