タグ： りんご族 りんごのお墓

以下、「生存者X名」のネタバレを含みます。未通過はご遠慮ください。　 ～～～～～～～ グールと人間の血が混ざっている亜人。人間の血のほうが濃いため、人間の世界で生きたいと願い、育ててもらったグールの仲間を裏切って人間として生きようとしていた。 グールの仲間たちからは「リヒト」という名前をもらって地下で生きていたが、地上を知り、人間を知り、夜空の美しさを知ることで、心を完全に地上に奪われていた、と言っても過言ではない。基本的には人間が好きだし、人間になりたいと思っていたし、地上で生きられるなら天文台で働きたいと思っていた。 蛇人間に協力を仰ぎ、グールの仲間の情報を売ることで人間に完全に成り代わる手段を得たものの、追手に攻撃され、記憶を失い…セッションに至る。 ヨツバネ、というターゲットの男と同じ空間に閉じ込められ、その気になれば彼を殺して彼に成り代わることもできたが…彼の表情や、人生や、仲間、思想を学習していくうえで、その行為は不可能だと感じた。 自分にはない「仲間への信頼」、「大切な人への感情」、「掴みとった居場所」…そのすべてが、暗闇で生きてきた自分にはあまりに眩しく感じた。 この人間のすべてを奪えるような「モノ」になれない。人間になりたいと何度も願ったはずなのに、結局彼を殺害するどころか、巻き込まないように行動してしまった。何も知らなければ、思い出すこともない。いつか、ほかの悪夢と混ざってうやむやになる日も来るだろう。 結局自分は何になれたのか？グールでも、人間でもないような気がする。ただ、冷たい土の下で凍えて死ぬのだけはいやだったし＿＿＿もう一度、夜空を自分の目で拝みたかった。 結末は分かっていた。後悔も苦痛も感じたが、きっとこの様子を見ている「彼」は…どうか、そのまま「人」として生きていてほしいと思う。 混ざりものの自分が言えたことではないが…人間らしい人間とは、ああいうヒトを言うのだ。

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