タグ： きしかげ みやび

常にニコニコしていて不気味。話しかければ意外と答えてくれるが、声色は平坦で表情も変わらない。自分から話題を振るような事は一切ない。表情が変わるのは絵を描いているときだけ。真顔になり、描き終わるまで筆を離すことはない。凄まじい集中力で描いているため、話しかけられても中々気づかない。常に絵の具の匂いがする。生徒からは顔がいいため初見は好かれるが、その不気味さに段々と近づかれなくなる。生徒のみならず他教師ともそう。本人は全く気にしていない。 博愛主義であり、生きとし生けるものは全て愛している。何をされても受け入れるし、なんでも許すし愛せる。命こそが最も尊いと思っている。 だからこそ、妹の死を知った時は今までにない感情に襲われた。絶望、悲しみ、戸惑い。そのどれをも上回る憎しみがあった。あの日からずっと頭から妹の死という事実が離れない。何度泣いたことか、何度嘆いたことか。それでも収まらない憎しみはすべて真っ白なキャンパスに向けられた。いつだってキャンパスは自分を受け止めてくれてきたから。幼い頃に病気で苦しかった時も、両親が離婚して寂しかった時も。 三日三晩寝ずに描きあげた作品は、今までのどの絵よりも美しかった。透き通るような白い頬にしなやかで美しい黒い髪。薄らと開いた瞼の奥、長い睫毛の隙間から見える黒曜石のような瞳。ほんのりと赤みがある妖しげな唇。全てが完璧だった。完璧で理想の、妹の死体だった。 それ以来、気づけば街中にいる美しい人物を見かけてはその人の死んだ姿を想像してキャンパスに描くようになった。何ものより尊い命が失われた時、人は真に美しくなる。そう気づいてしまったのだ。彼はあの日から死に囚われ続けている。 イゴーロナクに関わるシナリオに行った場合、セッション終了後にイゴーロナクにとりつかれる。

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