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＝＝＝＝＝ ルウナの瞳はビードロ。透す光はプリズム。 ＝＝＝＝＝ ▼『ゆらめく魔法市』 ルウナ・ナイトフィルドは孤児である。 今の養父ドブリーデン・ナイトフィルドの家に、養子に取られた。 養父は冒険家であるためほとんど家にいない。 しかしルウナ・ナイトフィルドはさみしいと思ったことはない。 やさしい祖父母と共に生活している。 今日はルウナ・ナイトフィルドの7才の誕生日だ。 養父ドブリーデン・ナイトフィルドは独身である。 そのため、ルウナ・ナイトフィルドには養母がいない。 父はたまに家に帰ると、ルウナは決まって父にせがみ、 世界各地の伝承や、荒唐無稽な体験談を聞かせてもらっていた。 時に異国のキングの話を、時にジャングルの奥地の冒険譚を、 そのお話を聞くことが、ルウナは好きだった。 まだ幼く、この街からも出たことすらないルウナだったが 物語の世界ではどこへだって行くことができるのだ。 時に異国の王宮に、時に険しい山奥に、時に美しい花園に そして、父の冒険譚を聞いているときは、 異国で冒険をする父の隣で冒険をすることができたのだ。 ルウナ・ナイトフィルドは父に対して、 尊敬や誇り、憧れなど、好意的な感情を持っている。 ＝＝＝＝＝ 2-7【珍しい技能】 探索者は[INT5]%の、 日常生活には役立たないが特定の人を感心させるような技能を１つ、 キーパーと相談した上で持つことができる。 →「芸術/ビードロ細工」 ＝＝＝＝＝ ルウナ・ナイトフィルドの人生は煌めきとともにある。 ルウナは小さな街で父と祖父母に愛されて育った。 美しいビードロ細工に興味を持ったルウナは幼いながらも ビードロ細工を学び、技術を身に着けた。 ルウナのつくるビードロ細工はまだ未熟な面もあるが、 あたたかみのある不思議な魅力を持ち評判がある。 街の中の小さな世界しか知らないルウナ・ナイトフィルドには、 冒険家である父親の口から語られる冒険譚が キラキラの宝石箱のように感じられた。 世界のあらゆる出来事が、伝承が、景色が、 プリズムのように輝いてより一層鮮やかさを増して見えるのだ。 ルウナは特にノルウェイの物語「ガラス山のおひめさま」に心惹かれた。 ーーー 『ガラス山のお姫様』 ガラスの山の頂上で誰かが来てくれるのを待つお姫様、 美しい鎧兜と馬に乗り山に挑む謎の青年、 手掛かりはお姫様が青年に託した3つの黄金の林檎だけでした。 お姫様は国中の男性を集め、黄金の林檎を持つものを探しました。 そしてとうとう、再会を果たした青年とお姫様は 結婚し、いつまでもいつまでも幸せに暮らしました。 めでたしめでたし。 ーーー この物語を父から聞いたとき、 ルウナの瞳にはビードロ細工のように光が煌めいていた。 ビードロでできた山！お姫様を迎えに来た謎の騎士と黄金の林檎！ ルウナ・ナイトフィルドが生きる世界と物語の世界がフュージングした。 ビードロ職人のルウナのこころに火が付いた。 それは物語でプリンセスの住むの城に憧れる少女と同じ憧れであった。 クレヨンで城の絵を描くような、砂で城を作るような、 —しかし、ルウナ・ナイトフィルドはビードロ職人だ。 美しいビードロの山を自分の手によってつくりたい。 お姫様が頂上で素敵な王子様が来るのを 黄金の林檎を携えて待っているような、そんな美しい山を。 そんな美しい山ができたら、そのときには、 —いつか自分も、王子様が迎えに来てくれるかもしれない。 そう夢見た乙女は、 ビードロ細工で黄金の林檎を3つ作った。 まだ覚えたてでそこまでビードロ職人としても まだまだ未熟なルウナが作った黄金の林檎は 形がまちまちで歪ではあるものの、 唯一無二の不思議な煌めきを秘めていた。 自身も今までで一番の出来である黄金の林檎をいっとう気に入った。 ルウナはこの黄金の林檎を大切にし、いつも持ち歩いている。 いつか自分も素敵な騎士にあえたとき、 見失ってしまわないように、この黄金の林檎を託すのだ。 ＝＝＝＝＝ —これはひとりの少女が夢見た、ゆらめく御伽噺。 ＝＝＝＝＝

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