タグ： 一

高校三年生。保険委員で元剣道部。背は180と高いが、細身の体系で口数も少ないため、クラスではそれほど目立たない立ち位置にいる。 しかしその場において1番当たり障りのないポジションにつく事を意識している為、場合によっては積極的に話すし、明るい。 最初こそはぎこちない笑い方だったが、今ではにっこり笑顔をマスターした。何を考えているのか分からず、不気味だと思う人もいるかもしれないけど。 良くも悪くも一途で、それ以外は心底どうでもいいと思っている。愛犬(リプトン)との戯れや、家族との会話くらいなら、それなりに楽しめるものの、俺たち親友！　仲良し！　なんて関係はうざったい。 彼は静かに過ごしていたい。 祖父の進めで小4の頃から剣道を始めた。想像していたよりも楽しくてハマった。高校では、個人ではそこそこ、しかし団体戦では必要とされる程度の成績。 成美とは家が近いだけの微妙な友人関係だった（同じマンション）。小さい頃は仲良かったものの、大きくなってからは疎遠になっていた。(彼の一途の対象が剣道に変わったのも理由の１つ) 成美が虐められているらしい、という話は聞いていたし、本人から何か言われそうな機会はあったものの、「部活が忙しい」と理由をつけて避けていた。なんの関係もない自分が首を突っ込むことで、今の静かなポジションが危なくなるのが嫌だった。主犯達の恋人などに絡まれても面倒くさい。それに彼女がそんなに弱そうには思わなかった。大丈夫だろう。 成美の自殺は本当に想定外で、彼に大きな衝撃を与えた。数日前に届いた「大会頑張って」のメッセージ（大会はまだ先だった）が消せずに、今も彼女のＬＩＮＥが残っている。 家が近いがために、悲しむ彼女の家族を目の当たりにし、自分が少しでも行動していれば、何か変わったんじゃないかと後悔する日が続いている。「帰ろう」の一言だけでも言えたなら、あの時ラインに返事をしていたら、慣れない事ばかり考えて、最近ずっと頭が痛い。 彼女に応援された大会は、そこそこの結果を残したものの、その時のケガ（それほどたいそうなものではない）を理由に、三年の引退を待たずに退部した。道着や写真等はゴミに出したつもりだったが、親がこっそり回収して保存している。 受験勉強を言い訳にしたいがために、特に興味もない大学の、医学部の過去問を解いている。 長年一途に向き合って来た剣道を手放して、心がポッカリしている。しかし本人はそれが何故だか分からない。 (最悪の置き土産だ。竹刀を握るたびにアイツの顔がチラついてしょうがない。最悪だ)

※歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
↑ページ上部へ