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延田 ゆかり （ のぶた ゆかり ） ────────── ▍概要 現代文を担当する教師。背が高い。物静かで、笑うことは少ない方。 生徒からの評判は良くも悪くも「普通」。服装検査の時に違反を見逃したり甘く見ることは絶対にないため、陽キャにはちょっと嫌われるタイプかも。 ────────── ▍学生時代 中学時代の頃、軽いいじめを受けていた。 無視やひそひそ話、ハブとか、そういう類の軽いもの。明るい性格でもなかったので、立ち向かえはしなかった。 軽いものがそのまま続くのであればまだよかったけれど、段々といじめは学年が上がるに連れてエスカレートしていった。 中学２年の頃には上履きを隠されたり、汚いもの、として扱われたり、苗字から取って「豚」と呼ばれたり。 住んでいるところが田舎だったから、高校に行ってもメンバーはそこまで変わらない。高校に行ってもいじめられるのは目に見えていた。学校に行くのなんてやめようか、なんて考えていた。 そんな時、中学最後のクラス替え。その時に一緒になった女の子が、私にとっての救世主だった。 いじめられている私を見て、あの人は自分がいじめられるかもしれないのに、そんなことは構わないと声をあげてくれた。私を助けてくれた。 最初こそ効果なんてないと思われていたけれど、あの人が声をかけ続けてくれるうちに、いつの間にかいじめはなくなっていた。 それから私たちは仲良くなって、高校でも一緒だったおかげで、進学してもいじめられることはなかった。 高校２年にもなる頃には、あの人のことが好きだった。 馬鹿なほどにあの人を愛していて、あの人の何気ない「先生になったら？」なんて言葉を鵜呑みにして、進路希望調査に「先生」と書いて、今、本当に教師として働いている。 「先生」になれば褒めてもらえると思った。 「先生」になれば見てくれると思った。 「先生」になれば意識してくれるって、 そう思ってたけど。 ６月のあの日、あの人はきらきらした白い衣装に身を包んで、私の目の前でよく知りもしない男とキスをして、幸せそうに微笑んで、それで私に「親友だから絶対に呼びたかった！」なんて言うから。 もう何もわかんなくて。 好きだったのは私だけだったのかなって。 それでなんとなく疎遠になって、そしたら私のことを気にしてあっちから連絡くれるかなとか思ってたけど、そんなことは全然なくて。偶然街で見掛けた彼女は幼い子供を連れて、母親の顔をして幸せそうに歩いていた。私のことは忘れていたみたいだった。 初めて煙草を吸った。 灰の中が何かに支配されていくような感覚が気持ち悪くて、少し噎せた。 ────────── ▍愛那千歳について 彼女はとりわけ目立つような子じゃない。でもだからこそいじめられているんだろう。私もそうだった。だから、彼女ことは守ってあげたい。 私にとってのあの人のように、 あの人、 そう。 愛していたあの人を彼女に重ねている。 彼女の髪が、目が、あの人によく似ていて。 駄目だと分かっている。 分かっていても、彼女が私を見る度に、胸が弾んでしまう。 あの人が彼女を通して、私にだいすき、なんて言ってくれるから。 もうどうしようもないほどに、彼女に惹かれてしまうし。あれほど馬鹿にした携帯小説のような展開に、どうしようもなく胸が高鳴ってしまうのだ。 あなたは私が守ってあげなくちゃね。 あなたには私しかいないものね。 私もよ。

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