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（an） determinate joker　不確定な切り札 これは彼の能力が成長途中であることを意味する「デターミネイト」”不確定”と、正しく訳した時の”確定的な”という意味のダブルミーミングである。 ※ちなみに「切り札」は正しくは「trump」だが、カードとしての意味合いが世間一般的に通りやすいので、あえて「joker」としています。 彼は順風満帆な普通の高校生。だった。 これといった趣味もなく。部活にも属さず。両親は多忙で家には帰らないが、妹とともにつつましく過ごしていた。 そのささやかで幸せな生活は彼が17歳になる誕生日に音を立てて瓦解する。 幼馴染から悩み事があると打ち明けられた彼は夜、人のいない公園にいた。 突如聞こえた悲鳴に彼の背筋は凍り付く。幼馴染の悲鳴だ。 駆けつけた路地裏にはこの世のものとは思えない、明らかな異形が幼馴染を殺さんとしていた。 勇気を振り絞り立ち向かうが、異形の牙に服ごと腹の肉がえぐられる。 その刹那、彼の心にあったのは幼馴染に対する心配や自身が死ぬことへの恐怖。ではなかった。 「血の匂いがする」 ”ドクン”と何かが身体の内側でゆっくりと動き始める。 それはぬめりと確実に彼の心を覆いつくすと、彼の腹部の傷は消えた。 隆起した筋肉が肉体を変化させる。鋭い牙と怪しく煌めく爪。その瞳は縦に裂け、色は紅く染まっていた。 ”彼だったもの”は雄たけびを上げる。その咆哮に異形は狼狽する。 「まさか、キサマも！」 瞬間。異形に向けて放たれた爪が何をする隙も与えず切り裂いた。 彼がまき散らした臓物と血とは比べ物にならない程の鮮血が路地裏を埋め尽くす。 恐怖と異形同士の戦いを目の当たりにする幼馴染は声を失っている。 だが、視線は”彼だったもの”から離せない。 ”彼だったもの”は爪についた血をひと舐めするとその鋭い眼光を近くにいる生物に向けた。 必然。幼馴染は射竦められる。 「血が、足りない。」 からめとられたかのように動けない”ニンゲン”に一歩近づいた”彼だったもの”は頭を抱える。 やめろ！そいつに手を出すな！やめろ！やめてくれ！そいつは大切な--- 大きな轟音。いや銃声が響くと”彼だったもの”は血に伏せる。 路地裏に新たに現れた男は奇妙なスーツを身にまとっている。 「UGN職員の宮本だ。君、大丈夫だったかい？」 「あ、……えと」 「危ないところだった。レネゲイドウイルスの感染者がこんなところに2体も」 「立てるか？とりあえず、場所を変えよう。桜井、こいつを始末しておけ」 宮本の後ろにいた別の男が”彼だったもの”に銃口を向ける。 「待って！」 とっさに幼馴染の口から言葉がでた。 「彼は私を守ってくれたんです。殺さないで！」 「もしや君、これの友人なのか？」 なるほど、といった様子で宮本は幼馴染を抱え起こす。 「桜井。そいつも運べ。詳しくは支部で話を聞こう」 こうして、彼の誕生日は幕を閉じる。 だがそれは彼の運命が紡ぎだす物語の最初のページだということを、彼はまだ知らない。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 以降、師崎龍治と幼馴染の舘めぐみはUGNという組織からレネゲイドウイルスについての説明を受け、UGN特別保護管理下に置かれこれまで通り生活を続けていくことになる。※UGNチルドレンとの扱いは別 UGNの調べで師崎はもちろんのこと、舘めぐみもレネゲイドウイルス感染者であることが発覚。 能力のノウハウをある程度学んだ二人は宮本監視のもと、UGNの仕事の手伝いを行っていく。 ＜技＞ （破壊の爪）「デストラクションクロウ」－－こんな力、使わせるな！ （獣爪撃）「エボルビングボディ（進化する肉体）」→「ブロウオブルイン（破滅の一撃）」ーーお前の身体も精神も、全て壊す！ （獣爪撃100％以上）「サブリメイション（昇華）」→「神龍一閃　カタストロフ」－－終わりにしよう。 ＜裏設定＞ 師崎龍治の獣化は一見オオカミのようにも思える。 しかし戦闘を重ねるとともにその姿は次第に”龍”に近づいていく。 彼が”龍”になったとき、本当の意味で「確定的な切り札」として君臨することになる。

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